タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

現在、札学鉄研OB会ブログから筆者投稿の記事を移転中です

Top Page › 北海道 › 北のターミナルの大黒柱、札幌駅輸送本部
2018-03-18 (Sun) 23:53

北のターミナルの大黒柱、札幌駅輸送本部

札幌駅輸送本部
JR北海道最大のターミナル駅である札幌駅は、道内各方面との都市間輸送と札幌近郊の通勤通学輸送を一手に担う要衝です。
現在の高架駅舎になったのは国鉄分割民営化後の事で、1988年11月に商業施設「パセオ」を併設して一次開業し、1990年9月を以って全面高架化が完成しました。
駅構内には島式ホーム5面10線と留置線1本を有しており、1日に上下合わせて630本もの旅客列車(当駅止まり含む)が乗り入れます。
ホームの頭上は積雪対策により全面的に屋根で覆われ、なおかつ特急列車の多くは気動車での運行となっているため、ディーゼル音が大きく反響するのが特徴的です。
天井にはディーゼルエンジンの排煙を逃がす19基の排気塔が設けてあり、屋根の上はJRタワースクエアの屋外駐車場として活用されています。


函館本線 札沼線 学園都市線 千歳線 JR北海道 国鉄 札幌駅5番線 札幌駅6番線 JR貨物
札幌駅輸送本部
札幌駅5・6番線の中間には、ホームを跨ぐように1軒の社屋が建っています。
お分かりの方もいらっしゃるかと思いますが、この建物が今回の記事で取り上げる札幌駅輸送本部です。
輸送本部とはJR各社の大規模駅(場合によっては中規模駅も)に設置されている、駅構内での運転取扱業務を総括する事務所です。
駅の運転取扱業務と言えば操車(車両の入換えや増解結)、信号操作、運転整理、出発指示合図、乗務員に渡す運転通告券の発行、工事に伴う線路閉鎖手続きなどが挙げられますね。
CTC化が進み日常的に運転取扱業務を行う機会が無くなった駅は少なくありませんが、数多くの列車が乗り入れるターミナル駅の輸送本部は今なお、安全・安定輸送を守る重要なセクションとして機能しています。
駅によっては構内本部や運転本部、輸送事務室などとも呼ばれますが、同じ札幌市内にある札幌貨物ターミナル駅でも輸送本部という呼称が使われています。
輸送本部の解説は国鉄当局が編纂した『鉄道辞典』にも記されています。

*********************************************************************
ゆそうほんぶ 輸送本部
 駅または操車場において輸送助役が執務して、構内における輸送・運転に関する業務を総括する場所をいう。通常おおむね構内の中央に位置し、ここには助役・運転掛・車号掛等が執務する。輸送本部においては、構内の輸送計画および作業内規の作成ならびに鉄道管理局の指令をうけ、また他の業務機関との打合わせ、連絡を行って、これをさらに構内の現場各詰所に執務する従事員に伝達する。また構内本部または運転本部ともいう。(内田富彦)

出典:日本国有鉄道『鉄道辞典 下巻』(1958年)p.1713
*********************************************************************


JR東日本 JR西日本
札幌駅輸送本部
分割民営化後の現在、大抵の輸送本部には輸送助役を筆頭に、輸送主任、輸送指導係、輸送係といった運転取扱業務を担当する駅員が配置されています。
また、特に大きな規模のターミナル駅になると、輸送助役の上位に輸送総括助役を置き、更には作業内規の作成・業務指導を行う指導助役や、輸送計画を策定する計画助役を置く場合もあるそうです。
すると指揮命令系統は「輸送総括助役-指導助役/計画助役/輸送助役-輸送主任-輸送指導係-輸送係」というようになります。
JR東日本ですと2012年4月の職制改正で、助役と輸送主任の間に輸送主務を新設しています。

なお、JR西日本については2000年4月の職制改正に伴い営業担当駅員(営業係・営業指導係・営業主任)と輸送担当駅員(輸送係・輸送指導係・輸送主任)を統合し、非管理職の駅員の職名を運輸管理係に統一しています。



札幌駅輸送本部玄関
札幌駅輸送本部の玄関はホーム中央、やや小樽寄りに設けられています。




札幌駅輸送本部玄関ドアのプレートには「札幌駅輸送本部 列車検査詰所」と書かれています。
この列車検査詰所というのは札幌駅で主に夜間滞泊車両の点検を担う部署で、輸送本部内に併設されているんですね。


札幌運転所札幌詰所 車両技術主任 車両技術係 車両係

札幌運転所の組織図を見ると、「札幌・小樽詰所」の存在を確認できる
『鉄道ジャーナル1990年10月号 特集:JRの車両基地1990』p.23より引用

どうやら列車検査詰所は札幌運転所の派出所的な存在らしく、1990年時点の組織図を見る限りでは折返検修助役が直轄していたようです。
流石に28年も経過しているので運転所全体の組織体制も多少は変化しているでしょうが、大規模駅で駅長の指揮管理下に検修員を置くという話も聞いた事が無いので、札幌詰所については概ね当時のままだろうと思います。



札幌駅輸送本部室内札幌駅輸送本部の執務風景
連動装置がコンピュータ制御化されたとはいえ、モニターを監視し適宜、信号・転轍機の操作を行う
札幌駅南口総合開発プロジェクト『札幌駅116年の軌跡』(1996年)p.185より引用

JR北海道開発事業本部が会社発足10周年を前に編纂した書籍には、短いですが札幌駅輸送本部に関する記述が見られます。
下記に本文を引用しましょう。

*********************************************************************
 新しい札幌駅のホームは最長280㍍を含めて5面、路線数10本。5、6番線ホームの中央に『輸送本部』の建物が設けられている。
 旧駅時代は札幌でもダイヤ表によって、手動で入線指示をしていたが、高架駅ではこの輸送本部に導入された『電子連動システム』で札幌、桑園、苗穂の3駅に出入りするすべての列車に進入ホームと通行線の指示を送って管理している。

出典:札幌駅南口総合開発プロジェクト『札幌駅116年の軌跡』(1996年)p.184~185
*********************************************************************

面白いのは札幌駅輸送本部が当駅構内のみならず、函館本線桑園~苗穂間の3駅における運転取扱を一括管理しているという事。
苗穂運転所、苗穂工場の出入庫にも携わっているのでしょうね。
札幌駅構内で増解結がある際は、輸送本部から作業服と赤帯入りヘルメットを着用した輸送係・輸送指導係が出てきて、輸送主任の立会いのもと作業を行います。



札幌駅輸送本部と弁菜亭
輸送本部の真下には札幌駅立売商会(弁菜亭)の立ち食い蕎麦屋・駅弁屋があります。


札幌 出発指示器
札幌駅輸送主任と出発指示合図器
札幌駅の各ホームではハンドマイクと赤いフライ旗を持った輸送主任が立ち番を行い、運行状況を確認しつつ出発指示合図を送っています。
助役と同じ金線1本入り赤帯制帽は当務駅長(駅長と同等の運転取扱資格を持つ駅員)の証です。
出発指示合図器は発車ベルの鳴動と共に杏色のランプが点灯するようになっており、これを視認した車掌は「出発指示よし」と確認してから、続けて出発反応標識の点灯を確認し「出発現示よし」と指差確認。
輸送主任と連携を取りながら閉扉操作を行います。
輸送主任は概ね2時間半おきに交代し、休憩の際は輸送本部に引き返していきます。


BELL BOX 札幌駅 出発指示器
札幌駅出発指示合図器
出発指示合図器のスイッチとベルボックス。
スイッチは縦に3つ並んでおり、上から指示、上り合図切り替え、下り合図切り替えとなっています。



札幌駅輸送主任と乗車係
札幌駅ホームでは輸送主任の他に、「乗車係」と明記された腕章を着用した社員が配置されています。
一般の駅員・車掌・運転士とは制服が異なり、乗車係はダークグレーのドゴール帽とズボン、カラシ色のジャケット(写真では黒のコートに隠れている)を着用しており大変目立ちます。
札幌駅に所属する駅員と思われがちな乗車係ですが、名札を見るとそのほとんどは札幌車掌所からの助勤者、すなわち本来は車掌である事が分かります。
乗車係の仕事内容は旅客案内や整列乗車の呼びかけで、一般的な駅員と何ら変わりありませんが、これに札幌車掌所の助勤者を充てている理由はよく分かりません。



札幌駅輸送本部
それに加えて国際警備からも警備員が派遣されている訳で、ますます助勤を配置する必要性を感じにくいですね・・・。
札幌駅に助勤を回すよりも、室蘭本線423Dの補助乗務を復活させた方が良いと思うのですが・・・。
ちなみに函館駅にも乗車係が配置されているのですが、あちらも函館運輸所からの助勤者を受け入れているのかも知れませんね。

==================※2019年7月13日追記※====================
乗車係について補足訂正を致します。
匿名の方からメールを頂いたのですが、乗車係は札幌車掌所の係員ではなく、JR北海道の子会社である北海道クリーン・システム(株)の社員との事です。
同社は車内・駅構内の清掃業務を受託するほか、公共施設・商業施設等への警備員の派遣事業も展開していますね。
どうやら名札に書かれた所属名は「札幌営業所」だったらしく、これを遠目で見て「札幌車掌所」と読み間違えてしまったようです。
訂正してお詫びいたします。
頂いたメールの内容も興味深いので下記に引用しましょう。

*******************************************************************
はじめまして。
乗車係をしていた者です。
乗車係は車掌とは全く無関係で、
北海道クリーン・システムという会社が委託を受けておこなおります。
11時〜20時までの間で3名が勤務しております。
3名のうち2名は11時〜19時20分まで
1名は13時〜20時までホームにおります。
1日の勤務でうち1人は5番6番ホーム専属で、
他2名はあちこちのホームを移動して勤務します。
乗車係の目的はお客様へのご案内や誘導、ホームの安全確認ですが、
もう一つの業務は指定席車両から自由席車両への割り込み乗車の阻止です(JR北海道ホームページのJR北海道マナーガイドをご覧下さい)
自分が担当した列車で何名の割り込み乗車阻止を行ったのか全て記録してあります。

特に、快速エアポートでは割り込み乗車阻止がゼロの日はありません。
割り込み乗車を阻止したらお客様から暴言を受ける事は多々あります。
また、特急ライラックも指定席車両から自由席車両への割り込み乗車があまりにも酷いです。
ホームで仕事をしていたら、お客様はホームの札などあまり意識していないようです。もちろん、放送も意識しないで指定席車両から自由席車両への割り込み乗車をする方も居ます。

指定席車両から自由席車両への割り込み乗車は、
悪質な人は、わざと意図的に割り込み乗車をします。
乗車係が居ない時間帯の朝の快速エアポートでは悪質な割り込み乗車が多々あるようです。
割り込み乗車を阻止したら、力づくで人の身体を押し、無理矢理に自由席車両に移り割り込みして座席に座る悪質な人も居ました。
自由席乗車口で真面目に並んでいるお客様から見たら悪質な迷惑行為ですね。
因みに、ホームの札の管理も現在はクリーン・システムが委託を受けて管理してます。札担当専属勤務の人が1人で8時40分〜翌朝8時40分までの24時間勤務(深夜仮眠あり)しております。
*******************************************************************

なお、現在は乗車口案内札の管理も北海道クリーン・システムが受託しているとの事ですが、国鉄時代ですと設置・交換などの実作業は営業係・営業管理係といった事務係職の仕事ではなく、その下の労務職、即ち運輸係・運輸指導係の仕事でした。
運輸係は駅務掛(旧・駅手)、運輸指導係は駅務指導掛(旧・駅手世話掛)を前身とする駅員です。
どちらもフロント業務(駅営業)に従事する駅員ではあるものの出改札業務の資格を持たず、専ら駅舎の掃除や雑務を担当しました。
「営業関係職員の職制及び服務の基準」に示された運輸係・運輸指導係の職務内容は下記の通りです。

*******************************************************************
【運輸指導係】
運輸係の指導及びその職務

【運輸係】
貨物の積卸し、運搬及び整理
電報の取扱い、室内外の清掃
旅客列車の案内標及び寝台用品類の取扱い
車両の給水及び清掃
その他の雑務

出典:国鉄職制研究会『国鉄における職制の構造』(1978年/鉄道研究社)p.57
*******************************************************************
===================※以上、追記終了※=====================


※写真は特記を除き2017年12月30日撮影


(文・特記を除く写真:叡電デナ22@札幌市在住)


鉄道コムのブログランキングに参加中!バナーのクリックをお願い致します。


※ご注意!※
この記事は当ブログ管理人が「札幌学院大学鉄道研究会OB会のブログ」に投稿したものです
スポンサーサイト



最終更新日 : 2019-07-13

No title * by 彩香
高校生の頃片道2時間かけて札幌から余市までJRとバスで通学していました.
なので駅員さん方となかがよく色々話していました.
札幌駅のホームにいる方々は札幌駅の駅員さんではなかったのですね.
帽子に赤いラインがあったので助役さんだと思っていました.

No title * by 札学鉄研OB会
>彩香さん

円筒型のドゴール帽を被っている乗車係さんは札幌車掌所からの助勤ばかりですね。
赤いラインの方々は札幌駅の駅員さんですが、ホームの列車扱い担当は名札に「助役」と書かれていないので輸送主任だな…と見分けが付きます。
ところが最近、ホーム上の赤ラインで30歳前後くらいの若い駅員さんが増えてきまして、「もしかして主任じゃない駅員も任されるようになってきたのかな?」と思いました。
その矢先に北海道新聞の朝刊で連載された札幌駅特集で、出発指示合図を出している若い駅員さんが取材に応じており、職名を見ると「輸送指導係」とあって「やっぱりそうなんだ」と知った次第です。

連載では「みどりの窓口」や、「インフォメーションスタッフ」という赤い制服を着た女性駅員も紹介されていました。
この連載は『行くも帰るも…サツエキ物語』というタイトルで『どうしん電子版』にも掲載されています。
有料ですがご興味がありましたらお読み下さい。

(叡電デナ22@札幌市在住)

Comment-close▲

Comment







管理者にだけ表示を許可

No title

高校生の頃片道2時間かけて札幌から余市までJRとバスで通学していました.
なので駅員さん方となかがよく色々話していました.
札幌駅のホームにいる方々は札幌駅の駅員さんではなかったのですね.
帽子に赤いラインがあったので助役さんだと思っていました.
2018-12-16-13:26 * 彩香 [ 編集 * 投稿 ]

No title

>彩香さん

円筒型のドゴール帽を被っている乗車係さんは札幌車掌所からの助勤ばかりですね。
赤いラインの方々は札幌駅の駅員さんですが、ホームの列車扱い担当は名札に「助役」と書かれていないので輸送主任だな…と見分けが付きます。
ところが最近、ホーム上の赤ラインで30歳前後くらいの若い駅員さんが増えてきまして、「もしかして主任じゃない駅員も任されるようになってきたのかな?」と思いました。
その矢先に北海道新聞の朝刊で連載された札幌駅特集で、出発指示合図を出している若い駅員さんが取材に応じており、職名を見ると「輸送指導係」とあって「やっぱりそうなんだ」と知った次第です。

連載では「みどりの窓口」や、「インフォメーションスタッフ」という赤い制服を着た女性駅員も紹介されていました。
この連載は『行くも帰るも…サツエキ物語』というタイトルで『どうしん電子版』にも掲載されています。
有料ですがご興味がありましたらお読み下さい。

(叡電デナ22@札幌市在住)
2018-12-21-07:12 * 札学鉄研OB会 [ 編集 * 投稿 ]