タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

現在、札学鉄研OB会ブログから筆者投稿の記事を移転中です

Top Page › 交通ニュース(非実地活動) › 戦後日本初の暖房バスを導入した国鉄札幌自動車営業所
2018-03-15 (Thu) 23:32

戦後日本初の暖房バスを導入した国鉄札幌自動車営業所



今日は高知市において、全国初となる桜(ソメイヨシノ)の開花が観測されましたね。
2018年3月15日の開花は平年より7日早く、1週間から10日後には満開になる見込み。
高知地方気象台の所見では2月下旬以降の気温が高かったため、成長が促されたのではないかとの事です。
鹿児島市でも2018年3月19日に桜が開花すると予想されており、こちらも予想通りなら1953年の観測開始以来、3番目に早い開花になるそうです。
今年は全国的に見ても、例年より早く桜の見頃が訪れそうですね。
一方、北海道なら通常の桜の開花は函館近郊で4月下旬、その他で5月上旬と遅め。
札幌でも春の到来を実感できる時期はまだ先ですが、既に雪解けが進み今日は雨も降りました。
3月はヒグマも冬眠から覚めるので、秘境駅巡り等で山道を歩く際はご注意下さい!

さて、冬の終わりが近づきつつある中ですが、シーズンに逆行するかのようなネタを仕入れたので紹介しましょう。
函館本線札幌~苗穂間の高架線沿いにはジェイ・アール北海道バス札幌営業所がありますが、その前身に当たる国鉄バス札幌自動車営業所は1950年11月、戦後全国初となる暖房バスの運行を開始しました。
配備された暖房バスは計12台(うち7台は暖房化改造車)、札幌~小樽間の急行バスに充当されました。
なお、戦前にも暖房バスは存在したのですが、日中戦争が勃発した1937年を最後に運行が中断されています。
戦時下ではローカル線のレールが兵器製造に流用されていましたし、暖房に使う燃料すら軍備に回されたという事なのでしょう。
道新の縮刷版を漁っていたら、戦後日本初の暖房バスの導入を報せる記事を見つけたので引用しましょう。
なにぶん68年前の新聞記事なので、句点を用いるべき箇所も読点を使っていたり、現在とは一部仮名遣いが異なります。

********************************************************************************************
戦後初の暖房バス
札幌-小樽間にお目見え

窓吹く風もどこへやら、ユツタリしたロマンス・シートにほのかな暖気、オーヴァーもいらないという暖いバスが登場する、国鉄札幌自動車営業所では十一月五日から札幌-小樽間急行バスに新車(ロマンス・カー)五台を増加、現行一時間ないし一時間半おき発車、往復二十三運行を三十分おき往復三十五運行することになつたが、この間を走る十二台のバス全部に戦後全国初の暖房装置を施すことになつた、この暖房は外部に放出されるガソリンの排気をパイプでイスの下に通すもの
なおこのバスの暖房復活は昭和十二年以来のことで札樽バスの冬季間通し運行を建前として実施されるもの

出典:『北海道新聞』1950年11月2日(木) 夕刊 第2面
********************************************************************************************

札幌鉄道管理局 国鉄 JR北海道バス 函館本線
ジェイ・アール北海道バス札幌営業所 JHB 国鉄自動車


前掲の新聞記事では1950年11月5日から運行を開始するとしていましたが、実際に当日から営業運転を開始する事はなく、11月6日に試運転を実施しています。
この試運転についても道新が報じているので、下記に記事を引用しましょう。
句読点がやたらと省略された記事で、文章の区切りが無く若干読みづらいですがご了承下さい。

********************************************************************************************
車内は眞夏風景
初の暖房バス試運転

戦後初の暖房つきの暖いバスが六日国鉄自動車札幌営業所に到着さつそく札幌駅前-神工園間で試運転を行つたテスト結果はまず上々で車外七度に対し車内発車地点札幌駅前で十七度、円山二十四度琴似曽田香料前二十四・五度銭函付近では二十八度から三十度という盛夏なみの温度となり、車内ではオーバーも上衣もぬいでワイシヤツ一枚、窓吹く木枯もどこへやらの眞夏風景を描く軽快なバスの旅だつた
この暖房バスはエンジンの冷却用水が暖められたのをパイプに通して椅子の下を回らせ室内の寒暖計をみながら適時温度の調節をもできるという簡便なもので同営業所ではまず札樽間急行バスと日高様似線にこれを配車、好評を博すれば随時道内各国鉄バス路線にとり入れるとのことで寒い本道真冬のバス旅行はこれでアツサリ解消されるというわけなおこの暖房車はイスズデイーゼル約百八十二万円

出典:『北海道新聞』1950年11月7日(火) 日刊 第4面
********************************************************************************************

試運転の終点になった神工園は、1998年7月に営業休止となった函館本線張碓駅(2006年3月廃止)の近くにあるバス停ですね。
バス停の名称は1935年前後の僅かな期間に営業していたというレジャー施設「神工園」が由来になっていますが、試運転当時で既に施設を偲ぶものは残されていなかったようです。
現在では周囲に民家も無く、乗降客さえほとんどいないのにジェイ・アール北海道バスの停留所として残されています。

暖房の効き目は結構強かったようで、車内室温は出発地点の札幌駅前で17度だったのが、銭函付近で28~30度という高温に!
試運転バスに乗車した道新の記者は「夏風景を描く軽快なバスの旅だつた」と評していますが、いくら寒冷な季節とはいえ、室温が30度まで達するようでは寧ろ気だるいと思うのですが・・・。
何はともあれ当時としては、冬場の車内で寒い思いをせずに済むようになっただけでも歓迎された訳ですね。
その後、暖房を装備したバスは全国各地で導入されるようになり、今や無くてはならない存在です。


※写真は全て2018年3月4日、ジェイ・アール北海道バス札幌営業所を敷地外から撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)


鉄道コムのブログランキングに参加中!バナーのクリックをお願い致します。
スポンサーサイト



最終更新日 : 2019-07-02

Comment







管理者にだけ表示を許可