タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2017-10-28 (Sat) 10:37

士別軌道RC「急行雨竜号」で札沼線・深名線の廃線跡を辿る【1】



「日本一最終列車の早い駅」として有名になった新十津川駅で、2017年10月14日に開催された「秋の終着駅フェスタ」。
当イベントに関する記事を4回に渡って執筆して参りましたが、今回からは同日開催の新十津川駅を起点に士別まで北上するバスツアーについて書きましょう。
宗谷本線旭川四条駅前の鉄道ショップ「ぽっぽや」が終着駅フェスタの開催に合わせ、士別軌道の旭川22か1269(日野RC/1982年式)を使った臨時バス「急行雨竜号」を企画・運行した事は既に述べました。
旭川22か1269は道内のバス業界において現役最後のモノコックバスであり、定期運用のある路線バス車両としても道内最古参の車両です。
そんな貴重なバスが新十津川駅に乗り入れると、来訪者からの注目を集めるのは必然。
多くのファンが撮影に勤しみ、バスの傍に人だかりも出来たものです。
なお、同じ道内の函館バスには日本最古の現役ボンネットバスである函館200か・354(いすゞBX352/1959年式)が所属し、「函館浪漫號」の愛称を冠して使用されていますが、函館市内の定期観光バスとして運行されるのみで一般路線には充当されません。

JR北海道 国鉄 学園都市線 留萌本線
JR北海道 国鉄 学園都市線 臨時列車 日野K-RC301P


2016年10月の「新十津川駅開業85周年を祝う会」開催時も、やはり士別軌道の日野RCで運行された急行雨竜号。
前々回の記事にも書きましたがおさらいという事で、昨年に続いて2度目となる急行雨竜号のダイヤを再掲しましょう。

【第1便】
士別営業所6:00発→下徳富駅途中停車→新十津川駅前9:30頃着
※体験乗車グッズ販売価格2,000円(子供設定なし)
※事前電話予約要

【第2便】
新十津川駅前9:50発→滝川駅前10:10頃着
※体験乗車グッズ販売価格500円(子供設定なし)
※新十津川9:28着の札沼線5425D(石狩当別7:45始発・新十津川行き普通列車)と接続

【第3便】
新十津川駅前11:00発→下徳富駅途中停車→道の駅つるぬま途中停車→浦臼駅前12:00頃着
※体験乗車グッズ販売価格800円(子供設定なし)

【第4便】
浦臼駅前12:20発→新十津川駅前12:50頃着
※体験乗車グッズ販売価格800円(子供設定なし)
※浦臼12:14着の札沼線5427D(石狩当別11:15始発・浦臼行き普通列車)と接続

【第5便】
新十津川駅前13:00発→石狩沼田駅途中停車→旧・沼牛駅途中停車→旧・添牛内駅途中停車→「旅人宿&田舎食堂 天塩弥生駅」食事休憩→士別営業所18:00着
※体験乗車グッズ販売価格3,000円(子供設定なし)
※事前電話予約要

このうち、私とTJライナーさんの2人が乗ったのは第3便・第4便。
古き良きモノコックバスで浦臼~新十津川間を1往復した訳ですね。
第4便が新十津川駅に予定より10分早く到着した後、私は大本命である第5便に乗って士別まで5時間の旅に出ました。
急行雨竜号の最終便は1972年6月に廃止された札沼線新十津川~石狩沼田間、1995年9月に全廃された深名線の多度志~天塩弥生間と廃線区間に沿って走ります。
しかも駅舎が現存する沼牛駅や添牛内駅、元鉄道職員が宿を営む天塩弥生駅での途中停車も設定されています。
どちらかと言えば乗り鉄志向が強い私としては(今回は鉄道ではなくバスだけど)、これに乗車する機会を見逃すのは理外。
第3便の乗車前に迷わず3,000円を支払って予約し、新十津川駅に着いて20分の休憩を挟んでから颯爽と日野RCに乗り込みました。
岩見沢からマイカー移動のTJライナーさんとはここでお別れ、とうとう単独行動になります。


営団地下鉄 東京メトロ 北陸本線 JR西日本


側面の行き先サボは「士別駅行 朱鞠内経由」と表示。
でも今回は朱鞠内を通りかかりこそすれ、停車する事は無かったんですよね。
通過だって経由する事に違いはありませんが、わざわざ朱鞠内と表記しているところが引っかかりました。
このサボはもしかして、と思って過去に撮影した写真を見返したら、2015年7月の「おかえり沼牛駅」開催時に運行された急行深名号からの使い回しである事が判明。
こんなかたちで特製サボを再利用するとはね。





第3便・第4便の乗車率を見てある程度は察しましたが、第5便の乗客は私を含めて2人だけ。
まさかここまで少ないとは・・・。
他に「ぽっぽや」の関係者が2人乗車し、うち1人は例によって車掌を務めていました。
これ以上の乗客が望めないという事で定刻より3分早い12:57、駅前に集う多くの人々に見送られて新十津川駅を出発。


鯨 クジラ


急行雨竜号の最終便は道道625号線を北上し、五差路の中央18交差点で国道275号線(暑寒国道)に進入します。
国道に乗り入れてすぐに新十津川物産館(食路楽館)の前を通りかかりました。
新十津川町では1984年に約500万年前の鯨の化石が発掘されており、物産館もそれに因んで鯨をデザインした建物になっています。
これから新十津川駅を訪問される予定の方には、新十津川物産館への寄り道もオススメしたいですね。


徳富川


物産館を過ぎると徳富(とっぷ)川に架かる新十津川橋を走行。
石狩沼田まで線路が延びていた事を今に伝える、数少ない遺構です。
列車で新十津川駅に来る鉄道ファンは大半がすぐ折り返すもので、この鉄橋を見ようと9:40発の最終列車を見送る同業者をあまり見かけないのが寂しいですね。





急行雨竜号は金滴酒造の手前、中央71交差点で左折して引き続き国道275号線を北上。
この交差点はそのまま真っ直ぐ進むと国道451号線に切り替わり、函館本線沿線の滝川市街に繋がっています。
金滴酒造を離れると稲作地帯をひたすら走り続け、急行雨竜号の愛称になっている雨竜郡へと足を踏み入れていきます。
石狩沼田駅のある雨竜郡沼田町まで1本道です。
札沼線の廃線跡も国道275号線の西側に並行して北上。





道中では馬の放牧も見られました。





暫くすると雨竜郡雨竜町の中心街に入りました。
13:12、北海道中央バスの雨竜市街停留所を通過。
雨竜町商工会の手前にバス停が置かれており、トイレ完備の真新しい待合所も建っています。
札幌駅前ターミナル~留萌ターミナル間の高速るもい号(滝川経由)が1日4往復、滝川ターミナル~碧水市街間の滝川北竜線が1日4往復発着します。
雨竜市街停留所から約1.1km北西、国道から逸れた農地に札沼線の雨竜駅がありました。
駅舎やホームは跡形もありませんが、1本だけ残されている腕木式信号機と林立する農業倉庫に面影を見る事ができます。


恵岱別橋 恵岱別川


雨竜市街を出ると再び稲作地帯を走行。
恵岱別(えたいべつ)橋を渡り、雨竜郡北竜町に至ります。





北竜町はなだらかな丘に向日葵畑が広がる「ひまわりの里」が有名で、見頃である毎年8月には多くの観光客で賑わいます。
そんな訳で市街地の街灯も向日葵の花をモチーフにしており、街並みに彩りを添えています。





13:27、道の駅サンフラワー北竜を通過。
駐車場には2頭の竜が向かい合って鎮座する「北竜門」があり、かなりインパクトが強い施設です。





構内には北海道中央バス・空知中央バスの北竜温泉停留所があり、北海道中央バスは先述した滝川北竜線が乗り入れ、空知中央バスは北竜温泉~深川市立病院前間の北竜線が8往復発着します。
このように北竜門をバックにバスを撮影すると、何とも言えない非日常的な絵になってしまうw




2017年5月5日撮影

実はこの道の駅、中ノ岱(なかのたい)駅跡とは国道275号線を挟んで真向かい。
中ノ岱駅は1956年11月、戦時中にレールの鉄を兵器製造に転用するため営業休止にされた札沼線雨竜~石狩沼田間が復活した事に伴い、当該区間の和~碧水間に新設された無人の旅客駅です。
農家の生活利用に配慮して設置されたのでしょうが、札沼線の全面再開に10年以上を費やした事が仇となって集客が振るわず、更にはモータリゼーションの台頭により路線自体が苦境に立たされました。
そして1972年6月、札沼線新十津川~石狩沼田間の廃止と運命を共にし、残念ながら16年足らずという短命で役目を終えてしまいました。
駅跡は畑に転用されており、往事を偲ぶ物は残されていません。






2枚とも2017年5月5日撮影

一方、道の駅サンフラワー北竜は1992年6月に開業した「サンフラワーパーク」を前身とし、1995年1月に開業しました。
オランダ風の大きな建物は北竜町が建設したサンフラワーパーク時代のもので、道の駅として引き続き活用されています。
北竜門に負けず劣らずインパクト大。
館内には土産屋とレストランのほか、サンフラワーパークホテル(北竜温泉)が入居しています。
ホテルの大浴場は日帰り入浴が可能で、大人500円、子供250円とリーズナブル。
反面、素泊まりは通常価格で大人1名6,900円とやや高いですね。





今年5月に訪問した時は外壁の傷みが目立った道の駅サンフラワー北竜ですが、やはり施設が老朽化しているそうで補修工事に伴い2017年11月1日~12月上旬の全館休館が決まっています。
温泉・ホテルについては更に長く2018年3月下旬まで休館し、これに先駆けて2017年9月19日からは露天風呂が改修工事により閉鎖されています。
急行雨竜号が通過した時は、既に外装工事に取り掛かっていました。


日野RC 士別軌道 日野K-RC301P 旭川22か1269




急行雨竜号は国道275号線を走り続け、沼田町の市街地へ。
商店街を通り抜けて13:42、留萌本線の石狩沼田駅に停車しました。
札沼線は札幌の「札」と沼田の「沼」を合わせて路線名称としており、新十津川駅で断ち切られた線路は当駅まで延びていました。
故に新十津川~石狩沼田間の廃止後は路線の名称と実態が一致せず、現在では存続区間に対し1991年3月に名付けられた学園都市線の愛称が定着しています。
JR北海道も駅の掲示板や車内放送の乗り換え案内では専ら「学園都市線」と呼んでいますし、市販の地図やGoogleマップ、Yahoo地図さえ「札沼線」の名称を記しません。
札沼線沿線に住む大学時代の友人も、毎日利用していながら正式な路線名称を知りませんでしたね。

それは良いとして個人的に解せないのが、愛称が設定される前に廃止された新十津川~石狩沼田間ですら、「学園都市線」と呼ぶ同業者が見られる事。
これって営団時代に引退した丸ノ内線500形を、「東京メトロ500形」と呼ぶのと同じくらいナンセンスだと感じるんですが如何でしょうか?
まあ、私の頭が固すぎるという話ですね。





停車中は士別軌道の運転手さんもトイレ休憩。
古びたコンクリート造りの駅舎と日野RCがよく似合いますね。







せっかくなので駅前にある「夜高あんどん祭り」の看板とも絡めます。
夜高あんどん祭りは沼田町の夏の風物詩。
同町の開拓者である沼田喜三郎氏(1894年入植)が富山県小矢部(おやべ)市のご出身である縁から、小矢部市からあんどん祭りの由緒書が送られ、1977年8月より始まったお祭りです。
迫力のある「喧嘩あんどん」で知られ、五穀豊穣を願い巨大なあんどんをぶつけ合う様は圧巻です。
ちなみに小矢部市はあいの風とやま鉄道(旧・北陸本線倶利伽羅~市振間)の沿線なのですが、市名を冠した駅が無く石動駅ただ1駅だけが所在するという珍しい街です。


停車時間は10分間を予定していましたが、乗客乗員の用が早く済んでしまったため5分での発車となりました。
次回に続きます。


※写真は特記を除き2017年10月14日撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)


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最終更新日 : 2019-07-02

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