タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2017-06-29 (Thu) 00:08

石勝線南清水沢駅 女性委託駅長が管理する簡易委託駅



空知管内は夕張市南清水沢にある、JR北海道の南清水沢駅。
夕張市が計画している清水沢への「拠点複合施設」建設に伴い、早くて2019年3月の廃止が見込まれる新夕張~夕張間の石勝線夕張支線に属しています。
国道452号線(夕張国道)沿いの住宅地に位置し、駅前ではAコープゆうばり南清水沢店やホーマックニコット夕張店が営業中です。
南清水沢郵便局や南清水沢診療所、コープさっぽろ夕張清陵店も近く、夕張市内では比較的利便性が高い地域です。
南方500mの地点には夕張高校があり、聞くところによると前身である夕張南高校がこの地に移転した1951年11月以降、市街地として整備が進められてきたのだそうです。
周辺には北炭夕張新炭鉱の開発に伴い建設された、コンクリートブロック造りの長屋と4階建て集合住宅が多く集まっており、石炭産業が崩壊してもなお住民が暮らす棟が少なからず見受けられます。
今後はコンパクトシティ化によって隣町の清水沢と共に、夕張の中心部として新たなスタートを切る事になります。

JR北海道 国鉄 北海道夕張高校 貨物列車 JR西日本 山陰本線
JR北海道 国鉄 北海道夕張高等学校 貨物列車 JR西日本


石炭輸送を使命として敷設された夕張支線にあって、南清水沢駅は唯一となる開業当初からの旅客駅。
歴史も戦前生まれの他駅に比べて浅く、1962年12月に国鉄夕張線の駅として開設されました。
有人駅とはいえ棒線駅のため輸送担当駅員(運転取扱駅員)は配置されず、営業担当駅員のみの配置だったそうです。
しかも古くから駅員が全員女性という事で有名だったのだとか。
どうやら3名の勤務だったそうですね。
国鉄にも駅の電話受付や管理局の事務などに女性職員が採用される事があったので、男の世界だった当時の鉄道現業でも運転取扱いの必要が無ければ、女性のみの勤務で問題ないと判断されたのでしょう。
なお、国鉄初の女性駅長(正職員)が誕生したのは1980年3月、山陰本線乃木駅での事。
北海道初の女性駅長が富良野線美瑛駅に着任したのも1990年3月ですから、南清水沢駅には元から駅長が配置されていなかったといえます。
大方、清水沢駅長の管理下にあったのでしょうね。

1984年3月には簡易委託化され、1987年4月の分割民営化に伴いJR北海道が継承。
簡易委託は30年以上が経った現在も続けられており、新夕張駅が管理しています。





駅舎は開業当初から建つコンクリートブロック造りの平屋で、緩やかな傾斜を描く招き屋根を有しています。
玄関右横の4つ並べた小窓は、当時としてはモダンな意匠だったんでしょうね。







待合室の様子。
小さなテーブルを囲むように4人掛けの椅子が配置されており、壁には夕張のローカルニュースを報じた新聞記事が多数貼られています。
トイレの手前に設置された木製の柵が(ガーデニングのラティスフェンスみたいですね)、やや殺風景な室内に彩りを添えています。





倉庫ドアの頭上には何故か、十和田観光電鉄モハ3400形のイラストが貼られています。
鉄道ファンの置き土産でしょうか?





南清水沢駅の簡易委託駅長を務めているのは、夕張市内に住むお婆さん。
夕張支線の廃止が決まってから読売新聞が南清水沢駅を取材しており、待合室には記事が掲示されていました。
駅を中心にした地域の絆を垣間見られる良い記事です。
写真では見づらいので下記に抜粋してみましょう。
惜しむらくは掲載年月日・面が不明な事ですが、内容からして2017年3月1日の物でしょうね。

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廃線の駅 卒業生送る
委託駅長・村上さん 生徒と飾り付け

 雪に囲まれた古びた駅舎が、華やかに飾り付けられていた。「卒業おめでとう」「夕張でまた会いましょう」。メッセージが書き込まれた風船や50個の雪だるまが並ぶ。3月1日に卒業する夕張高校の卒業生を出迎えるためだ。廃線が決まったJR石勝線夕張支線の南清水沢駅。簡易委託駅長を務める村上美知子さん(68)が、乗り降りしてきた生徒の卒業を祝うため準備した。「通学で駅を使うのは1日が最後。明るく送り出したい」。そんな願いを込めた。
 村上さんは2003年、当時の新夕張駅長に頼み込まれ、駅長になった。支線を走る列車の平均乗客数はわずか7人。乗り降りする客は少ないが、実は色々な出来事があった。駅で倒れた人を救急車に乗せた。窃盗事件が起き、途方に暮れたこともあった。
 駅は地域の高齢者の憩いの場にもなっている。待合室には約100冊の本が置かれ、近所の女性たちがストーブに手をかざしながら「男より年金よ」などと冗談で笑い合う。村上さんから切符を買うために、岡山や神奈川県からやって来た客も。一人で2万円近くの切符を買っていった鉄道ファンもいたという。
 特に大事にしてきたのは、毎日約20人が乗り降りする夕張高校の生徒との交流だ。数年前に大病を患い、駅舎の掃除もままならないときに、ほうきで掃除したり、花壇に水やりをしたりしてくれた。ゴミを投げ捨てていると思っていた生徒も「駅長さん大変だろ」と助けてくれた。「私は高校生たちに守られていたと思う」と振り返る。
 卒業式にあわせて2010年まで駅舎を飾り付けてきたが、手術後は中断。夕張支線の廃止が決まって初めて迎える今年の卒業式は、どうしても復活させたかった。在校生に手伝いを頼むと、2月25日、集まってくれることになった。だが前日の24日は吹雪で「死別した夫の仏壇に『明日は晴れにしてね』と手を合わせた」と語る。翌日は快晴。在校生ら22人がホームで雪だるまを作ってくれた。「たくさん来てくれると助かるわ」。思わず感謝の言葉が出た。
 夕張市は昨年、JR北海道の支線の廃止方針を受け入れた。バスを活用した新たな公共交通網を模索している。「かつて炭鉱で栄えた夕張だが、今の住民は8000人台。乗る人がいないのに『維持しろ』とは言えない。鉄道は好きで、なくなることには涙が出そうになるけれど……」。村上さんは静かに話す。
 2月28日、飾り付けが終わった駅の前で空を見上げた。青く澄んだ空に柔らかな色の雲が浮かび、かすかに春の兆しを感じた。「夕張の自然は美しい。卒業生たちには、ここで育ったすばらしさをずっと忘れず、いつか夕張に戻ってきてほしい」と願った。
 同駅の飾り付けは3月2日に閉幕する「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」が終わる同6日まで残すという。
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南清水沢駅の簡易委託を受け持ってから、今年で14年目を迎える村上さん。
廃線まで残り時間が少なくなり哀しい限りですが、最後まで簡易委託駅長として活躍して頂きたいものです。





コンクリートの壁に小さく開いた出札窓口。
簡易委託の営業時間は特に明記されていません。





窓口に掲示された、切符の購入を呼びかける貼り紙。
テレホンカード、靴下、手袋、カラー軍手、傘の販売もしています。





ラッセル車(除雪用モーターカー)の写真と解説も貼り出されています。





出札窓口の脇にはVHSテープが置かれており、無料で配布しているようでした。







改札口の様子。
床面を見ると柵のラッチを撤去した痕跡があります。








1面1線の単式ホーム。
全長は20m車3両分ほどです。
床面は大部分が未舗装ですが、駅舎の手前にはアスファルト舗装が為されています。







駅のすぐ傍には南校通り踏切があり、対岸からもホームを眺める事が出来ます。





対岸から駅舎を眺めた様子。





日高色のキハ40系350番台が停車した様子。
夕張支線としては乗降客が多めです。


※写真は全て2017年6月10日撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)


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最終更新日 : 2019-07-02

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