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2017-06-20 (Tue) 23:58

2016/5東海旅行【17】 三岐鉄道北勢線の湘南顔・200系



軽便鉄道博物館をひとしきり見学し、そろそろ移動しようという頃。
隣接する阿下喜駅のホームに、深緑とベージュ色のツートンカラーを纏った4両編成の電車が入線しました。
せっかくなので、博物館で静態保存されているモニ226とのツーショットを撮影します。






270系が圧倒的多数の北勢線において、277Fは最古参の200系3両が組み込まれた唯一の編成です。
切妻顔の270系に対し、200系の前面形状はオデコに前照灯2灯を設けた湘南顔。
2枚窓の細面は別海町営軌道や歌登町営軌道など、北海道の簡易軌道(殖民軌道)で使われていた気動車を彷彿とさせます。
277Fの編成内容は下記の通りで、全車非冷房となっています。

←西桑名 クハ200形クハ202サハ100形サハ101サハ200形サハ201クモハ277形クモハ277 阿下喜→

案の定、MT比は1M3Tなんですね。
200系3両は元々、北勢線の前身企業である三重交通が三重線(現・近鉄湯の川線/四日市あすなろう鉄道内部・八王子線)用車両として1959年に導入した車両。
当時はモ4400形を名乗り3連1本が新製され、クハ202・サハ201の2両とも制御電動車でした。
しかも面白い事に日本国内の特殊狭軌鉄道(ナローゲージ)としては珍しい新性能車であり、垂直カルダン駆動にノーシル・ノーヘッダーの車体、連接車方式を採用したエポックメイキングな車両だったのです。
本系列が導入された背景には御座所ロープウェイの開業による、湯の山温泉への観光客輸送に対する期待の高まりがあるのだそうです。
三重交通は1964年2月に鉄道事業を分社化して三重電気鉄道を発足し、同年3月に湯の山線が改軌(762mm⇒1,435mm)された事に伴いモ4400形が北勢線に転属。
1965年4月には三重電気鉄道が近鉄に吸収され、モ4400形も改番して200系となりました。

しかし旧性能車ばかりの北勢線にあって、僅か1本しか在籍しない新性能車の存在は、メンテナンス面で大きな困難を招いてきたそうです。
1971年に制御電動車2両とも電装解除され、旧性能車との併結により運行される事となりました。
この辺の話は1950年代に全国各地の路面電車が導入したものの、結局は定着しなかった和製PCCカーと相通じますね。
神戸市電1150形や土佐電鉄500形も直角カルダンを採用したものの、最終的に在来車と同様の吊り掛け駆動に変更されていましたし、西鉄福岡市内線の1000系列に至っては途中の増備車から旧性能に切り替えられました。
ノウハウが身に付いていないと、せっかくの新機軸も宝の持ち腐れになるという虚しい事例です。

近鉄 近畿日本鉄道 三岐鉄道 JR北海道 路面電車 西日本鉄道 神戸市交通局
近鉄 近畿日本鉄道 三岐鉄道 JR北海道 路面電車 西日本鉄道 神戸市交通局


軽便鉄道博物館を出る前、転車台の周囲を走るミニ電ホクさん」の200系と277Fを一緒に撮影。
こうして見るとミニ電は実物よりも明るい緑色ですね。





阿下喜方のクモハ277は三岐線・北勢線ともに三岐鉄道では最も若く、唯一の平成世代です。
1990年製でありながら吊り掛け駆動、それでいて廃車発生品を一切流用しない完全新造車というこれまた強い個性の持ち主です。





改札口で駅員に「三岐鉄道1日乗り放題パス」を提示してホームへ。
200系に乗って西桑名駅へ戻る事にしました。





車内の様子。
壁・天井にアイボリーの化粧板を付け、ロングシートには煤けた青色のモケットを張っています。
スタンションポールは設置されておらず、袖仕切りの形状はクハ140形・サハ140形・サハ140-1形に酷似しています。





連結部付近の様子。
270系に比べて貫通路の横幅は広く、引き戸が省略されています。
手前には優先席が設けられていますが、他の座席と同じモケットです。





クハ202の乗務員室仕切り。
半室構造ですが車掌側にもポリカーボネートの仕切り板を付けています。
2005年1月の4両編成ワンマン化に伴い、増設された物でしょうか?





縦軸式の運転台。
270系に比べて計器類が低めの位置に設けられています。
右端の圧力計がブレーキ弁に隠れてしまい、よく見えないですね。
ワンマン運転に配慮しマスコンとブレーキ弁の間には車内放送装置、右手には自動放送装置の設定盤が増設されています。





運転台が撤去され、中間車と化したサハ201は・・・





乗務員室跡は側面の扉が埋め立てられ、座席も増設されないがらんどうの状態になりました。









一方、クモハ277の車内は座席配置がクロスシートで、四日市あすなろう鉄道のモ260形に準じた装いです。





15:34、西桑名行きの277Fが阿下喜駅を出発。
車窓よりマルーンレッドのご隠居と別れを惜しみます。





阿下喜の町を離れ、山林を疾走する200系。
齢58の古豪に酔いしれますが、如何せん電装解除されているだけにモーター音を楽しめないのが少し残念ですね。
電装解除されなかったならば、どんな唸りを上げたのやら。
でも直角カルダンと抵抗制御を組み合わせていた訳ですから、相鉄7000系みたいに静かな走行音だったのかも知れない・・・とも考えてしまいますね。





そんな古豪に乗務したのは女性運転士。
何処かで見た事のある顔だな・・・と思っていたら、著名な鉄道写真家・中井精也さんのブログで紹介された方でした。
どうやら秋田県のご出身だそうで、故郷から遠く離れた三岐鉄道に就職したという気骨ある方です。
前方を注視し、指差確認を行う姿が凛々しいですね。





16:14、在良駅に入線。
交換列車待ち合わせのため1分間の停車になったため、一旦外に出て撮影。





そして16:27、終点の西桑名駅に到着しました。





これにて三岐鉄道の乗り回しは終了。
次は養老鉄道に乗るべく、桑名駅へと向かいました。


次回に続きます。


※写真は全て2016年5月15日撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)


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最終更新日 : 2019-07-02

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