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2017-03-04 (Sat) 22:01

札幌市交東豊線、2017年4月のワンマン化まで残り時間わずか


新道東駅にて 車掌として乗務するベテランの兼務運転士
  
今日はJRグループでダイヤ改正が実施されましたね。
JR北海道でも道北の一部特急列車が札幌発着から旭川発着に変更された事に伴い、札幌~旭川間には789系基本番台の充当で特急ライラックが復活し、カムイと宗谷から“スーパー”の4文字が削除される等の変化がありました。
新体制の運用やキハ183系の処遇に道内鉄道ファンの関心が向く一方、札幌市営地下鉄も来月に大きな転換を迎えようとしています。

札幌市交通局では「市営地下鉄事業10ヵ年経営計画」に基づき、可動式ホーム柵の設置とそれに伴うワンマン化を推進してきました。
2009年4月の東西線に始まり、2013年4月には南北線もワンマン化され、現在では全3路線中2路線においてワンマン運転を実施しています。
唯一のツーマン運転となった東豊線も、当初の予定より1年早い2017年4月1日よりワンマン運転が開始されます。
これに伴い3路線合わせて乗務員132名の削減が実現する事となります。

JR北海道 札幌市営地下鉄 札幌市交通局 札幌市営地下鉄東豊線 京都市営地下鉄 京王電鉄
JR北海道 札幌市営地下鉄 札幌市交通局 札幌市営地下鉄東豊線 京都市営地下鉄 京王電鉄

新道東駅にて

2月初旬から札幌市営地下鉄の全駅および車内に、東豊線のワンマン運転開始を知らせるポスターが貼り出されました。
東西線や南北線の時と同様、ポスターでは車内での非常時に使う非常通報ボタンや、故障等の際に手動でホームドアを開ける非常解錠ボタンについて説明されています。

東海道新幹線 JR東海 阪急電鉄
東海道新幹線 JR東海 阪急電鉄

元町駅にて ホームドアが開け放たれたままの可動式ホーム柵(日立製)
設置されたばかりで調整中の状態だった

東豊線初の可動式ホーム柵が栄町駅にお目見えしたのは2016年7月19日。
以来、設置工事は順調に進み、工事が完了した駅から順次共用を開始しています。




元町駅にて ホーム柵越しに前方を注視する車掌と警備員
警備員は「HITACHI」と書かれた黄色い腕章を付けている

札幌市電で荷物配送実験が行われた3月2日、狸小路5丁目の大豚白(だいとんぱく)で食事を取ってから1時間ほど東豊線に入り浸っていました。
元町駅は最近になって可動式ホーム柵が設置されたばかり。
通電工事が済んでいないためホームドアが始終全開ですが、乗務員用の扉は閉じられていました。




新道東駅にて 柵こそないが床面を見ると、準備工事が為されている事が分かる

この日の時点で東豊線全14駅中、可動式ホーム柵が未設置の駅は新道東駅を残すのみとなっていました。
ここもあと何日かでホームドアがお目見えするんでしょうね。




新道東駅にて 乗務員室扉を開け放った状態で列車監視を行う車掌

思えば去年6月に7000形が全廃され、9000形に統一されてもうじき1年が経とうとしているんですよね。
地下鉄車両のデザインはすっかり札幌らしさが薄れてしまいました。
来月には車掌も居なくなり、当たり前だった光景が過去帳入りするのは寂しいものです。




可動式ホーム柵が設置された月寒中央駅にて
出発反応標識を確認し「出発進行」の指差喚呼をする車掌役の兼務運転士

札幌市営地下鉄の各乗務係(他社局の乗務区・運輸区に相当)では1990年代後半より、運転士が車掌としても乗務する兼務制を採用しました。
同様の兼務制は東海道新幹線、京王電鉄、阪急電鉄(乗務助役のみ)、京都市営地下鉄烏丸線、神戸市営地下鉄西神・山手線などでも採用されていますね。
最近ではJR東日本でも運転士の車掌兼務発令がありましたが、東労組や動労千葉など旧動労系の労働組合が反対を表明している状況です。

札幌市営地下鉄では兼務制の導入に伴い次々に車掌が運転士へと養成され、2003年時点では3路線合わせて専業車掌が2名しかいませんでした。
2004年4月には札幌市営地下鉄が事業を終了した事に伴い、一部のバス運転手が地下鉄の乗務係に配転。
専業車掌として乗務した後、2006年に動力車操縦者運転免許を取得して先輩と同じ兼務運転士になりました。
一方で交通局は、2006年から非常勤車掌(3年契約)の募集を開始。
以降、長きに渡って正職員車掌の募集が実施されず、乗務員の高齢化が進行する事態になってしまいました。
交通局は後継者の養成が急務であるとし、2012年度より運転士への登用を前提とした正職員車掌の募集を復活。
採用された若い車掌達は次々と運転士になり、中には既にワンマン運転を実施している南北線・東西線に転属した人も見受けられます。

気になるのは今後の乗務員採用。
現在、札幌市営地下鉄は全駅の駅務を、外郭団体の札幌市交通事業振興公社に委託しています。
交通局の現業職員は言わずもがな現業公務員ですが、振興公社は一般財団法人なので同社で採用した駅員は公務員の扱いになりません。
そんな事もあって今までは駅員→車掌→運転士というキャリアパスが無く、交通局も札幌市交通事業経営計画 第2 事業計画」において、全線ワンマン化に伴い新たな教習カリキュラムを構築する旨を表明しています。
今後は市電のように入局後すぐに運転士教習を開始するのか、或いはJR北海道のドライバーコースの如く、一定期間は出向として振興公社で駅務を経験させるのか・・・。
現に駅務課長・管区駅長クラスは出向者が少なくないそうですし。
こうした人事計画に目を向けるのも面白いですね。


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※写真は全て2017年3月2日撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)

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最終更新日 : 2019-07-02

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