今日は非番だったので道新の2月28日付朝刊で報じられていた、札幌市電で初の荷物配送実験を見に行ってきました。
この実験は札幌市、物流業者、商業関係者などが組織した「札幌都心交通研究会」の主導によるもの。
路上駐車が常態化している都心部(大通・すすきの界隈)の荷物配送を市電が担う事により、道路渋滞を解消する事を目的としています。
特に札幌駅前通は2016年12月の市電ループ化に伴い、西4丁目~狸小路~すすきの間にデュアルサイドリザベーション方式の併用軌道が敷設されたため、トラックの停車ができず荷捌きに不便が生じていました。
路面電車における荷物輸送は“嵐電”の通称でお馴染み、京福電鉄嵐山線が2011年5月からヤマト運輸との提携により運行しています。
過去には市営地下鉄でも営業列車での荷物輸送実験を行った札幌市交通局ですが、路面電車での貨客分離による輸送は京福電鉄に次いで全国2件目の実施となります。
嵐電は荷物電車を旅客営業車両と併結し2連を組んで運転していますが、札幌市電には他車との併結が可能な連結器を持つ車両が在籍しておらず、非営業車として別途運行する必要があります。
そのため、実証実験も通勤通学ラッシュが終わった後に行われました。
電車事業所で荷物を積み込んだ後は山鼻西線経由で西4丁目電停へ。
そこで荷物を降ろしてリヤカーに積み替え、各配送先に運ぶ・・・というのが大まかな流れです。
車庫から街中の各配送先への運搬は嵐電と同様、ヤマト運輸が担当します。
下記に道新の記事を抜粋しましょう。
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札幌市電で荷物配送
2日に実験 中心部の渋滞緩和
札幌市などは3月、市内中心部を走る路面電車(市電)を使った荷物の配送を始める。沿線のススキノや札幌駅前付近は商業施設が集中し、配送トラックによる路上駐車が常態化していることから、渋滞を緩和するのが狙い。荷物だけを積み込んだ車両を使い、2日に初の実証実験をする。路面電車による配送は京都市内で導入されている。
市や物流業者、商業関係者などでつくる「札幌都心交通研究会」(会長・広川雄一札幌四番街商店街振興組合理事長)が実証実験をする。市交通局電車事業所(中央区)の車庫で、1両まるごと借り切った市電に、トラックから荷物を積み込んで出発。商店街や百貨店に近い西4丁目停留場で荷物を降ろし、物流業者が台車に積み替えてそれそれの配送先へ運ぶ。
実験は日中に実施し、一連の作業が素早く、安全にできるかどうかを検証する。同研究会の事務局を務める札幌大通まちづくり会社の担当者は「渋滞緩和だけでなく、二酸化炭素削減にもつながる」と話す。
路面電車による配送は京福電鉄(京都市)が2011年、京都市内で運行する嵐山線で始めた。沿線は道路が狭く、観光客が多いため、通行する車両の削減が課題だった。同社によると、物流業者が電車1両を借り切って朝夕の1日2便で運ぶ。通勤ラッシュの朝は、客を乗せた1両に、荷物用の貸し切り1両を接続させている。担当者は「トラブルはなく順調。荷物が多くなれば、便数を増やすことも考えている」と話す。
札幌市電は15年12月、商業施設が多い札幌駅前通に軌道が新設され、ループ(環状)運行を始めている。
出典:北海道新聞 2017年2月28日(火)朝刊第1面
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JR北海道 札幌市交通局 札幌市電 路面電車 京福電鉄 臨時列車 貸切電車 貨物列車
JR北海道 札幌市交通局 札幌市電 路面電車 京福電鉄 臨時列車 貸切電車 貨物列車
荷物電車はデータイムに運行されるとの事だったので、朝ラッシュが終わりを迎える9時頃に電車事業所へ。
車庫の裏手に周り、塀の外から構内を覗くと8500形8501号車が前照灯を点けた状態で停まっていました。
LED式行先表示器には「貸切 社会実験」と、平常時の貸切電車では見かけない表記。
これは分かり易いですね。
事業所脇の道路にはマスコミが集まっていました。
9:29、北海コンノ急送のトラックがやって来ました。
このトラックが運搬してきた荷物を、8501号車に積み替える事になります。
報道陣も皆一様にトラックを撮影していました。
トラックは職員用駐車場の脇で一旦停車。
業務用出入口の前に各TV局の取材クルーが集まっていました。
マスコミだけでも結構な人だかりなのですが、意外な事に私以外の鉄道ファンはゼロ。
大方、ダイヤ改正直前のJR北海道の記録に気を取られる人ばかりだったのでしょうね。
北海コンノ急送のトラックは、これから右折して業務用出入口に進入します。
金線1本入り制帽を被った助役さんが交通誘導棒を持ち、トラックの接近を待ち構えていました。
鉄道職員が警備員さながらに自動車を誘導するなんて、なかなか珍しい事ではないでしょうか。
取材クルーの大半はトラックが移動する前に、先ほど私が撮影していた裏手まで移動。
私はゲートの近くでトラックが進入する様子を撮影してから、急ぎ足で裏手に向かいました。
トラックの入場は9:46の事。
トラックは線路を越えて構内を前進し、保線詰所の手前で停車。
間髪入れず8501号車が屋根の下から出てきました。
荷物はコンテナから中ドアへ直に積み込むため、停止位置を調整する必要があったのです。
8501号車の前面にはクロネコヤマトのヘッドマークが付けられていました。
「札幌都心交通研究会」の表記も為されています。
嵐電の荷物電車もヘッドマークを掲出して運転していますね。
肝心の積み替え作業がほとんど死角になってしまい、コンテナから荷物が出される様子しか見えませんでした。
それでも貴重な瞬間に立ち会えただけ、良しとしましょう!
9:53、荷物を積み終えた8501号車が営業線に向け移動を始めました。
ヘッドマークも誇らしげに、軽快電車が低速で進みます。
9:59、交差点の手前で出庫の時を待つ8501号車。
取材陣も本線への進入を今か今かと待ち構えます。
暫く張り込みの鉄道ファンがいない状況が続きましたが、この頃にはようやく同業者のお爺さんを見かけました。
そして10:00。
遂に札幌市電が始まって以来、初の荷物電車が本線に乗り入れました!
1960年代の最盛期には急行が走った事もある札幌市電ですが、此度の実験は今までに無い試みです。
荷物電車は中央図書館前電停まで内回り線を走った後、折り返して西4丁目電停まで外回り線を走行します。
8501号車が山鼻西線を北上する頃には、取材陣が次々とクルマに乗り込んでいきました。
荷物が降ろされる西4丁目電停まで先回りしようという訳です。
私も一か八かで西4丁目電停に繰り出しましたが、移動中に狸小路で車庫へ帰る途中の8501号車を見てしまいました・・・。
タッチの差で間に合わず、残念!
しかし、札幌市交通局公式サイトを含め、各関係先のHPに告知が一切なかった荷物電車の運行ダイヤ。
もしかしたら2本目が運転されるかも・・・という淡い期待を胸に、西4丁目電停には10:40に到着。
南1条西5丁目交差点にある、西4丁目電停の降車専用ホーム。
平日朝ラッシュ時やさっぽろ雪まつり等のイベント開催に伴う多客時でない限り、使用される事のないホームです。
此度の荷物配送実験では、このホームで電車からリヤカーへの積み替えが行われます。
ホームには白い防水カバーを制帽に装着し、上下アノラック・長靴着用でガチガチに防寒を施した助役さんが立っていました。
積み降ろしの補助要員として電車事業所から派遣されたのでしょう。
その隣には電車から降ろした荷物を載せる台が置かれていました。
降車専用ホームそばの歩道にはマスコミが集まっていました。
札幌大通まちづくり会社とヤマト運輸の各担当者が取材に応じているところでしたね。
そんな中、なんとヤマト運輸の社員の方々がホーム上の荷物台を撤去してしまいました。
直後に各社のマスコミも解散。
今日の配送実験が終了した事を察しました。
積み降ろしの瞬間をカメラに収めたかった・・・。
さて、気になるのは今後も同様の荷物配送実験が行われるのかという事。
帰宅してから各社の報道内容を見たのですが、今日の実施内容に関する話題に終始した記事ばかりですね。
ただ、札幌大通まちづくり会社・服部彰治統括部長の話によると、今回の実験で得た利点・改善点を精査し、次年度(2017年度)に引き続き検証を進めるそうです。
もしかしたら今月中の実証実験は無いのかも知れませんが、今回は電車の到着から積み降ろしまで、目標時間よりも2分早く済ませる事が出来たそうです。
市電を活用する事により都心部の交通渋滞を緩和し、配送の利便性を高められるのであれば、一市民としても実用化の可能性に期待したいですね。
《外部リンク》
市電の撮影が終わったら、狸小路5丁目のHUGイート内にある大豚白(だいとんぱく)で昼食。
このお店は最近、雑誌で知ったばかりで大変気になっていたのです。
ご主人は中華料理30年のベテランなのだそう。
店先に「辛さ一撃!」との大胆なキャッチコピーを掲げた大豚白、今回は看板メニューの大豚白麻婆麺(マーボータンメン)を注文。
シルキーな豚骨白湯スープと、赤々とした麻婆豆腐が好対照。
辛さは5段階から選べるのですが、初来店という事もあり2段階目の「大辛」で。
山椒がよく効いており、痺れる辛さに汗をかきながら美味しく頂きました。
野菜たっぷりなのも嬉しいですね。
肉味噌麻婆チャーハン、あんかけ焼きそば、拳骨シュウマイ等々、他にも気になるメニューが目白押しです。
近々、また行こうと思います。
※写真は全て2017年3月2日撮影
(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)
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最終更新日 : 2019-07-02