タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2017-03-01 (Wed) 21:49

JR北海道が存廃問題で姿勢改善 麻生太郎氏も存続に言及


2016年9月8日撮影 多くの高校生で溢れ返る平日朝ラッシュ時の石北本線愛し野駅
   “JR北海道単独では維持困難な線区”に含まれる石北本線だが、日々の生活に欠かせない

どうも、れーすいさんが2月12日に当ブログへ投稿された記事を見返して、琴電に乗りに行きたいな・・・と思っていた叡電デナ22です。
最近は片上鉄道保存会が毎月第1日曜日に開催している展示運転にも行ってみたいですね。

何やら1週間以上もブログに触れていない間に、Yahoo!のログイン画面が変わりましたね。
以前はIDとパスワードの入力欄が同時に表示されていたのですが、現在はIDを入力しボタンを押さないとパスワード欄が表示されないという若干面倒な仕様になってしまいました。

さて、今朝の道新ではJR北海道の路線存廃問題に際し、道庁で北海道、JR北海道、北海道市長会、北海道町村会の4者による会談が開かれた事が報じられました。
記事によるとJR北海道と沿線自治体の早期協議入りを目指す事で一致し、道も地域での協議に積極的に関わる意向としています。
しかし、これまでJR北海道は沿線自治体に廃止・バス転換を前提とした協議をしようとしてきたものですから、今後の協議入りに慎重な自治体が多い状況です。
下記に2つの記事を引用します。
留萌本線 石北本線 釧網本線 国鉄 ダイヤ改正 JR東日本
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沿線協議 促進で一致
鉄路見直し 初の4者トップ会談

 JR北海道の鉄道事業見直しを巡り、高橋はるみ知事とJRの島田修社長、北海道市長会会長の菊谷秀吉・伊達市長、北海道町村会会長の棚野孝夫・釧路管内白糠町長の4者は28日、道庁で会談した。JRが「単独では維持困難」とした10路線13区間について、沿線自治体とJRの早期の協議入りを目指すことで一致。道が地域での協議に積極的に関与することを確認した。

JR社長「姿勢改める」

 この問題での4者の会談は初めて。JRは沿線市町村と協議したい意向を示しているが、多くの自治体が難色を示しているため、膠着状態の打開を目指して道が開催を呼びかけた。
 冒頭、知事は「JRの動きと地域の受け止めには大きな隔たりを感じざるを得ない」と指摘。菊谷市長は「今までの議論はJRと地域が鉄道維持に向けて協力できるかとの視点が欠けていた」とJRの対応に苦言を呈し、棚野町長も「JRが問題解決を先送りして今日に至った。率直に反省し、話し合いを進めてほしい」と訴えた。
 島田社長は「改めるべきは改めるという姿勢で、いっそう謙虚に地域の声を聞いていかなければならない」と述べ、真摯な対応に努める考えを強調した。
 JRとの地域の協議について、知事は「少しでも前進するよう積極的に取り組みたい」と表明。菊谷市長は「JRが地域とともに考える姿勢が見えると賛同しやすい」と話した。
 会談終了後、菊谷、棚野両氏は記者団に対して、各管内の市町村などでつくる地域開発促進の「期成会」を、JRとの協議の場にするべきだとの認識を示した。

出典:北海道新聞 2017年3月1日(木)朝刊第1面
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膠着打開へ強調演出 JR鉄路見直し初会談

 道とJR北海道、北海道市長会、北海道町村会が28日に開いた4者トップ会談は、鉄路見直し問題を巡る膠着状態の打開に向け、関係者の強調を演出する舞台となった。4者に共通したのは、ともかく話し合いを始めなければ、目の前に迫った課題に対処できないとの危機感だ。しかし、路線の廃止提案につながりかねないJRとの協議入りには、なお慎重な自治体が多い。道の調整力への期待が一層高まった。

4者 危機感は共有 全道への波及不透明

■シナリオ周到
 会談は異例の展開で始まった。「私が進行をさせていただきます」。高橋はるみ知事が、通常は事務方が務める司会役を自ら買って出た。背景には、周到に練られたシナリオがあった。
 冒頭、道市長会会長の菊谷秀吉・伊達市長、道町村会会長の棚野孝夫・釧路管内白糠町長が、JRのこれまでの対応を批判する。島田修社長が「重く受け止めます。建設的な話し合いを通じて十分な理解をいただき、全力を挙げたい」と、あらためて協議を要請する―。
 4者は事前に別の場所で調整もしていた。会談では用意された手元のメモを読み上げ、予定時間の30分より10分以上早く終了。道の主体性を道民にアピールするため、議論の様子はマスコミに全面公開された。

■自治体は慎重
 それぞれが切迫感を抱えていた。
 道には「このまま地域で協議に入らなければ、国への支援要請すらもできない」(幹部)との焦りがあった。2月7日に道の鉄道ネットワークワーキングチームが、鉄道網のあり方を示す報告書を出しても、事態は変化しなかった。
 市町村側にも「JRの経済合理性だけが優先されて、ほとんどの路線が廃線になると不安があった」(菊谷市長)。地域に渦巻く「JRが廃線ありきの『上から目線』を改めなければ、協議どころではない」(町村会関係者)との不満を解消しなければ、前に進めないとの懸念もあった。
 JRは、鉄路見直しなしでは「2020年度中にも資金不足に陥る可能性がある」(幹部)と主張している。自治体側からの批判を真正面から受けてでも、協議入りを急ぎたかった。
 「おかげさまで、みんなが同じホームに立てた」。
 棚野町長は最後に、こう言って会談を締めくくった。
 ただ、その「成果」がすぐに全道に波及するかは不透明だ。石北線と釧網線を抱えるオホーツク圏活性化期成会(管内18市町村)は1日に会合を開き、JRの担当者も出席する。北見市は「JRから説明を受けるだけ。協議の枠組みをどうするかなど議論が必要で、まだ、協議入りの段階ではない」(企画財政部)と慎重な姿勢を崩さない。
 JRがバス転換の方針を示す札沼線沿線の空知管内月形町の上坂隆一町長も「今までと同じ廃線ありきのスタンスでは、JRと協議できない」と反発する。

■「道庁の出番」
 「ようやく道庁の出番が来た」(棚野町長)
 「知事に強力なご指導をいただきたい」(島田社長)
 4者会談では、知事にリーダーシップを求める発言が相次いだ。
 市町村会には、路線維持のために費用負担を求められることへの警戒感がある。地元協議が進むかは、道が財政支援の方向性などを明確に示せるかも鍵となる。
 「簡単な話ではない。もっと汗をかかなければ」。道幹部は自らに言い聞かせるように語った。

出典:北海道新聞 2017年3月1日(木)朝刊第3面 総合・ひと
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白糠町の棚野町長が「みんながホームに立てた」と話していますが、それはあくまで会談に出席した面々での事。
多くの自治体は依然としてJR北海道当局に対する不信感を抱いています。
2016年3月のダイヤ改正でも、JR北海道当局は「通学の支障にならない程度に普通列車の減便を行う」と説明していました。
しかしいざ改正されると寧ろ、宗谷管内幌延町のように沿線住民が不便を強いられる結果になった地域が少なからず見受けられます。
実際には地域の事情を無視した改正が敢行された訳で、自治体がJR北海道を信用できないのは仕方ない事でしょう。
更に下記記事でサラリと暴露されたのですが、JR北海道は各駅の平均乗降客数についても実は詳細に調べていないそうです。
私個人としては予てより違和感を覚えていたもので、「やはりそうか・・・」と思ってしまいました。
無人駅の廃止が進められる中、これは新たな波紋を呼びそうですね。

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守れるか地域交通① 線路あっての小集落

 ホームに音もなく雪が降り積もる。空知管内沼田町のJR留萌線恵比島駅で、浅岡信久さん(66)と喜美子さん(67)夫妻が、身を寄せ合うように列車を待つ。雪まみれの深川行き普通列車に乗ると、先客は会社員らしきスーツ姿の男性とカメラを持った鉄道ファンら7人。1両編成のディーゼル車が、エンジン音を響かせて雪原へ走り出した。
 信久さんが土木建設会社を退職した8年前、仙台市から妻の故郷・恵比島へ移り住んだ。家は旧営林署事務所の建物を「ただ同然」で借りた。「家賃は安く、駅まで歩いてすぐ。住めば都ですよ」と信久さん。

列車は日々の足
 2駅先の石狩沼田駅まで約6分。農協系金融機関で年金をおろし、町役場で国保税を納め、スーパーで食品を買い、書店へ寄る。1時間半後、町営バスで恵比島へ。維持費がかさむので車を持たない夫妻は、いずれも本数が少ない留萌線と町営バスを組み合わせ、日々の暮らしの足とする。
 恵比島は、沼田町内の炭鉱へ向かう私鉄留萌鉄道(1971年廃止)と、留萌線の分岐点として栄え、かつて400人以上が住んでいた。駅はNHK朝の連続テレビ小説「すずらん」のロケ地となり、一時脚光を浴びた。今や周辺で暮らすのは9世帯13人。車を持つのは2世帯だけだ。
 住民が不安な気持ちを抱くようになったのは昨年11月。JR北海道が留萌線の廃止とバスへの転換方針を発表した。2015年度の1㌔当たり1日平均乗客数が、全道5番目に少ない183人だったのが理由だ。
 バスだと深川市まで約1時間と列車の3倍。信久さんは椎間板ヘルニアで長時間移動はきつい。恵比島で50年以上暮らす大場幸夫さん(84)も5年前に脳梗塞で倒れ、妻(79)と週に1度、留萌線で深川市へ通院する。「バスの狭い座席はつらい。汽車の方が速くていいんだ」。足腰が痛む大場さんの切実な訴えだ。

「平均」に埋もれ
 留萌線沿線自治体へのJRの説明によると、12年度の1日平均乗客数の内訳は深川-石狩沼田間は390人、恵比島を含む石狩沼田-留萌間は130人と、区間によって利用者に偏りがあることが分かる。
 商圏を分析するコンサルタント会社ディー・アイ・コンサルタンツ(東京)の試算では、恵比島駅の乗降客数は1日延べ10人。住民13人に対し、高い利用頻度を示す。JR北海道は「そこまで細かくは調べていない」(広報部)という。
 JRは留萌線に加え、札沼線の北海道医療大学-新十津川間、根室線の富良野-新得間も廃止・バス転換する方針だ。この中には、恵比島のように、小集落であっても鉄路への依存度が高い地域が埋もれている可能性はあるが、実態は分からない。
 廃止対象の3区間34駅(他路線を走る深川、富良野、新得駅を除く)の半径1㌔圏内の住民は約2万3千人、1日の平均利用者数は延べ約1400人。ディー・アイ・コンサルタンツがはじいた数字だ。
 実態を細かく調べ、利用者に寄り添うような経営努力をしたのか。そんな疑問を残しながら、JR北海道は30年前に国鉄が分割民営化された当時と同じように、「平均乗客数」という物差しでローカル線を切ろうとしている。
 炭鉱や鉄道と歩んだ恵比島で行政区長を務める亀谷良徳さん(76)は案じる。「駅があるから住み続ける人は多い。廃線ならマチはなくなる」。

出典:北海道新聞 2017年3月1日(木)朝刊第33面 第1社会
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これはよく聞く話なのですが、JR北海道の総合職は就職するまで北海道で暮らした事のなかった道外出身者が多数を占めるそうです。
総合職は入社後1~3年の現場業務を経験した後、札幌、旭川、函館、釧路・・・と地方都市にある本社・支社に勤務するのが当たり前。
各駅の平均乗客数の調査を行うのも総合職の仕事です。
車掌が提出したノリホ等を頼りに駅間の利用状況を算出できても、田舎で暮らした経験が浅いと小さな駅の利用実態に気付きにくいものなのかも知れません。
取締役会も昔から道産子の役員が少ない事は有名ですし、島田修社長に至っては東京出身・東大卒のいわゆる“国鉄キャリア”。
道の鉄道ネットワークワーキングチームが報告書で示しているように、今まさに「地域に根ざし、地域とともに発展するとの認識」を強める必要を迫られている状況だと思います。

政府でもJR北海道の支援に向けて議論が重ねられています。
特に麻生太郎副総理・財務相は2月8日の衆院予算委員会で、国鉄の分割民営化を「商売のわかっていない「学校秀才」が考えるとこういうことになるという典型」と批判されていました。
麻生さん自身は分割民営化に反対だったものの、当時は力が無く食い止める事が出来なかったのだそうです。
2月28日の参院予算委員会でも麻生さんはJR北海道の支援について言及し、遂にはJR東日本との合併も一つの可能性として提示されました。
内閣の重鎮による提言は心強いものがありますが、それに反して石井啓一国交相はドライな見解を繰り返しており、閣僚の間でも不協和音が生じているようです。

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麻生氏 JR支援「弥縫策」
東日本と合併 「一つのアイデア」

 麻生太郎財務相は28日の参院予算委員会で、国が過去にJR北海道に対して行った資金支援について「弥縫策だ」と指摘し、不十分だったとの認識を示した。同社の経営改善に向けては、JR東日本との合併も「一つのアイデアだ」と述べ、抜本的な方策が必要だとの主張を展開した。

国の積極関与を強調

 1987年の国鉄改革で鉄道事業の大幅な赤字が見込まれたJR北海道には穴埋めのための経営安定基金(6822億円)が設けられたが、その後の金利低下で運用益が減少した。
 政府の当初想定に比べ、過去30年間で総額4300億円が不足し、JRの経営悪化の最大の要因となっている。
 麻生氏はこうした状況を踏まえ「JR北海道の努力が足りないと書く新聞記者もいるが、(記者は)経営をやったことがない」と、JR北海道を擁護した。
 さらに、安全投資などを名目とする1200億円の無利子融資など国の資金支援についても「弥縫策はやっているが、黒字になるかといえば、そうはならない」と延べ、国の積極的な支援の必要性を強調。「(JR北海道を)やたらと黒字のJR東日本と、JR四国をJR西日本と合併させるとか。アイデアはいろいろ出ると思う」と述べた。
 一方、安倍晋三首相は「北海道における持続可能な交通体系のあり方について、国も道と連携しながら協議に参加し、検討していきたい」と明言。「北海道のみなさんにとってJRは大切な足であることも十分に認識しながら、考えていきたい」と強調した。
 ただ、28日に道庁で開かれたJR北海道、道、道市長会、道町村会のトップによる会談に、国土交通省など国の関係者は出席していない。
 石井啓一国交相は、JR北海道の経営悪化の要因について「人口減少が進み、マイカーなど他の交通手段、高速道路などが拡充した」などと説明。30年前の国鉄分割民営化についても「適切なやり方だった」とし、同省の公式見解を繰り返した。
 いずれも民進党の小川勝也氏への答弁。

出典:北海道新聞 2017年3月1日(木)朝刊第2面 総合
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既に多くの線路を失った北海道。
更なる廃止は北の大地の存亡に関わります。
JR北海道が資金不足に陥る危険性のある2020年まで残り3年、一刻も早い対策の確立を願うばかりです。


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)

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最終更新日 : 2019-07-02

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