タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2017-01-23 (Mon) 22:57

京浜急行電鉄・車掌の確認動作について


2014年3月8日、京急本線汐入駅にて 800形に乗務する主任車掌
主任車掌・主任運転士は銀線1本入り制帽を着用する

赤い電車でお馴染みの関東大手私鉄・京急。
泉岳寺・品川から横浜を経て三浦半島に至る路線網を有し、東京の空の玄関・羽田空港にも乗り入れています。
複雑なダイヤの中で高加減速・高速運転を実施し、特に人身事故の復旧が驚異的に早いため、“赤い彗星”と仇名される事もあります。




2014年3月8日、京急本線汐入駅にて
閉扉後の指差確認を行う車掌

そんな京急における運輸系現業社員のスタートは、駅業務を受託する子会社・京急ステーションサービスの駅員。
親会社の京急では2005年頃から直接的な採用活動を総合職に限定し、乗務員の採用は京急ステーションサービスを仲介しています。
駅員は車掌に登用されて初めて京浜急行電鉄の社員になり、その後は運転士に登用されるか主任車掌に昇進。
大抵は10年ほどで乗務を終えるそうで、その後は乗務区の助役に昇進したり、出向扱いで京急ステーションサービスに戻る等します。
確かに京急の乗務員って、同業他社に比べて若い人ばかりですよね。

現場で働く社員の動作を見ていると、さすが“赤い彗星”を支えている人達だな・・・と実感する迅速さ。
車掌の動きも実に俊敏で、待避時に先行列車を見送ったら走って乗務員室に戻る様子もしばしば見られます。
それこそ、置き去りにされた車掌が全速力で線路を走り、列車に追いついた事象も何度か(直近では昨年末)ありましたね。

京成電鉄 一畑電車 都営浅草線 東京都交通局 東急電鉄 京王電鉄 JR東日本 琴電
京成電鉄 一畑電車 都営浅草線 東京都交通局 東急電鉄 京王電鉄 JR東日本 琴電

2014年3月8日、久里浜線京急久里浜駅にて
ITVで編成最前方の閉扉状態を確認する車掌
京急2100形
さて、ここからは本題です。
京急の車掌は長らく、乗務員室扉を開け放った状態で停車前・発車後の列車監視を行う、いわゆる「箱乗り」を基本動作としてきました。
同様の動作は相互乗入先の都営地下鉄や京成電鉄に加え、長野電鉄・富山地方鉄道・一畑電車などの地方私鉄でも見られますね。
かつては東急電鉄・京王電鉄・十和田観光電鉄・高松琴平電鉄(琴電)など、各地の私鉄で幅広く実施されていました。
箱乗りは言わば旧時代的な動作といえます。、
京急では現在も見られる動作ではあるのですが、2014年春頃の教習から基本動作の変更が確認できました。
まずは2013年以前の基本動作を下記に示します。

あくまで一個人の観察を元としております。
鉄道事業者への問い合わせはご遠慮下さい。

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《駅停車時の確認動作》
①停車駅が近づいてきたら合図ブザー2打で運転士に停車指示し、
  運転士からの返答(ブザー1打)を確認する
②停車前、乗務員室扉を開け、身を乗り出して列車監視
③列車が止まる寸前、ホーム床面に記された停止位置限界線を見る
  停止位置にズレがなければ「○両よし!」と指差喚呼し、戸開スイッチを押す
 (例)乗務列車が8両編成の場合、「8両よし!」
④ワイヤレスマイク(駅スピーカーと連動)を持ってホームに出る
 ※立会い駅員が構内放送を担当する駅では、ワイヤレスマイクの携行を省略
⑤出発反応標識(レピーター)の点灯を確認し「進行!」と指差喚呼
⑥ワイヤレスマイクで閉扉予告の構内放送をかける
 (例)「普通・神奈川新町行き、発車です。ドアを閉めます」
 ※立会い駅員が構内放送を担当する駅では、駅員の閉扉予告後に手笛を吹く
⑦戸閉スイッチを押す
⑧全ドアの閉扉・側灯の消灯を確認し「側面よし!」と指差喚呼
 ※ITVがある場合、ITVを見て「テレビよし!」と指差喚呼し、続けて前方を見て「側面よし!」と
     指差喚呼
⑨列車に乗り込み発車合図のブザーを1打
⑩列車がホームを出るまでの間、乗務員室扉を開け放ったまま非常ブレーキ弁(車掌弁)に
   手を預けて列車監視
⑪ホームを出たら後ろを振り向き「後方よし、○○(乗務中の列車種別)!」と指差喚呼、
  乗務員室扉を閉める
 (例)乗務列車が快特の場合、「後方よし、快特!」
===========================================================================================
《駅通過時の確認動作》
⑫通過駅に差し掛かったら、非常ブレーキ弁(車掌弁)に手を預けて後方を監視
  監視はホームが進行方向左側にある場合は車掌側、進行方向右側にある場合は運転士側で行う
⑬通過駅を抜けたら構内の状況を確認し、「異常なし!」と指差喚呼
===========================================================================================

このうち、①の入線前にブザーを鳴らして停車指示を行う動作は、東武や相鉄など他の関東私鉄でも見られますね。

個人的に京急らしさがよく出ていると思うのは③と⑥。
③の停止位置確認は他社ならば完全に停止してから行いますが、京急では停止する寸前で早めに済ませてしまうのです。
単なる横着かと思いきや教習中の見習い車掌もやらされているので、基本動作で間違いないでしょう。
⑥の車掌によるワイヤレスマイクでの放送は1973年から実施しているそうで、駅員の放送や発車ベルの使用を極力省く事で停車時間の短縮に繋がっています。
しかも、関西私鉄で実施されている車載スピーカーでの車外放送とは違い、乗務員室を離れても案内放送が可能です。
速達列車と接続する際の立ち番でも、ワイヤレスマイクが大いに役立っています。
長きに渡り箱乗りを続けてきたのも、乗務員室扉を閉める動作によって生じる「ホームを注視できない時間」を極力無くすためでしょう。
他社と比べても複雑なダイヤを組んでいますから、短い時間の中で無駄のない確認動作を遂行する必要があったのでしょうね。
なお、京成3000形・北総7500形・千葉ニュータウン鉄道9200形などの他社車両は車体側面にスピーカーが設置されており、京急でもこれを活用して車外放送をかける車掌が見られます。

⑪の後方確認も独特で、「後方よし」と指差喚呼した後に列車種別を称呼します。
間違った区間で運転士に停車指示を出さないために、駅を出る度に乗務中の列車種別を再確認させるよう徹底しているのだと思います。

⑫、⑬の通過監視ですが、これは大抵の大手私鉄で実施されているものでしょう。
公営地下鉄ですと都営浅草線・都営新宿線でも行われていますね。
ただし、東急は立ち位置が真逆ですし、京成に至っては京浜東北線・京葉線などのように落とし窓から顔を出していますね。




2014年3月8日、京急本線新馬場駅にて
カメノコの体勢で列車監視を行う車掌

それでは現行の動作も見ていきましょう。
実はこれ、2013年以前も12両編成の列車と、可動式ホーム柵のある羽田空港国際線ターミナル駅で実施されてきた動作です。

===========================================================================================
《駅停車時の確認動作》
①停車駅が近づいてきたら合図ブザー2打で運転士に停車指示し、
   運転士からの返答(ブザー1打)を確認する
②停車前、乗務員室扉の落とし窓を開け、顔を出して列車監視
③列車が止まる寸前、ホーム床面に記された停止位置限界線を見る
  停止位置にズレがなければ「○両よし!」と指差喚呼し、戸開スイッチを押す
 (例)乗務列車が8両編成の場合、「8両よし!」
④ワイヤレスマイク(駅スピーカーと連動)を持ってホームに出る
 ※立会い駅員が構内放送を担当する駅では、ワイヤレスマイクの携行を省略
⑤出発反応標識(レピーター)の点灯を確認し「進行!」と指差喚呼
⑥ワイヤレスマイクで閉扉予告の構内放送をかける
 (例)「普通・神奈川新町行き、発車です。ドアを閉めます」
 ※立会い駅員が構内放送を担当する駅では、駅員の閉扉予告後に手笛を吹く
⑦戸閉スイッチを押す
⑧全ドアの閉扉・側灯の消灯を確認し「側面よし!」と指差喚呼
 ※ITVがある場合、ITVを見て「テレビよし!」と指差喚呼し、続けて前方を見て「側面よし!」と
     指差喚呼
⑨列車に乗り込み乗務員室扉を閉め、落とし窓から顔を出して発車合図のブザーを1打
⑩列車がホームを出るまでの間、カメノコの体勢で非常ブレーキ弁(車掌弁)に手を預けて列車監視
⑪ホームを出たら後ろを振り向き「後方よし、○○(乗務中の列車種別)!」と指差喚呼、
  落とし窓を閉める
 (例)乗務列車が快特の場合、「後方よし、快特!」
===========================================================================================
《駅通過時の確認動作》
⑫通過駅に差し掛かったら、非常ブレーキ弁(車掌弁)に手を預けて後方を監視
  監視はホームが進行方向左側にある場合は車掌側、進行方向右側にある場合は運転士側で行う
⑬通過駅を抜けたら構内の状況を確認し、「異常なし!」と指差喚呼
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お分かり頂けたかと思いますが、変更内容は列車監視時の箱乗りをカメノコに改めた程度。
喚呼の内容自体は全く変わっていません。
要するに従来の箱乗りだと転落のリスクを伴うため、列車監視の方法だけ変更したという訳ですね。
一方で停車時間が延びる要因にもなってしまい、慣れた旧動作を続ける車掌が少なくないですね。


京急800形

2014年3月8日、京急本線黄金町駅にて
構内放送をかけつつ閉扉体勢に移る主任車掌

札幌市営地下鉄やJR北海道、京成電鉄ほどではありませんが、京急も確認動作にバラつきが見られます。
大まかに分けると下記の4種類ですね。


A.今も見られる箱乗りの旧動作
 入線時:乗務員室扉を開ける
      →身を乗り出した状態で入線、停止確認
      →乗降口を開扉し、ホームに出る
 発車時:乗降口を閉扉
      →発車合図のブザーを1打
      →発車後の列車監視
      →ホームを出てから乗務員室扉を閉める

既に色々と語っていますが再掲します。
この動作を12連でもやっている車掌を見た事がありますが、かなりの少数派でしょうね。
自社車両・他社局車両とも、乗務員室扉の落とし窓には縦書きで「乗務員室」と書かれているため、車外からでも窓を開けているか否かが容易に見分けられます。


B.入線・発車とも箱乗りだが窓を開けておく
 入線時:落とし窓を開け、乗務員室扉を開ける
      →身を乗り出した状態で入線、停止確認
      →乗降口を開扉し、ホームに出る
 発車時:乗降口を閉扉
      →発車合図のブザーを1打
      →発車後の列車監視
      →ホームを出てから乗務員室扉を閉め、続けて落とし窓を閉める

背中に窓ガラスが当たる圧迫感が嫌なのか、一切カメノコにならないのに落とし窓を開ける車掌も見られます。


C.札幌市営地下鉄と同じ動作
 入線時:落とし窓を開け、顔を出して停車確認
      →乗降口を開扉
      →乗務員室扉を開けてホームに出る
 発車時:乗降口を閉扉
      →発車合図のブザーを1打
      →発車後の列車監視
      →ホームを出てから乗務員室扉を閉め、続けて落とし窓を閉める

入線時はカメノコ、発車時は箱乗りですね。
乗入先の都営浅草線や京成電鉄、北総鉄道でもよく見られます。


D.発車合図を送ってからカメノコに
 入線時:落とし窓を開け、顔を出して停車確認
      →乗降口を開扉
      →乗務員室扉を開けてホームに出る
 発車時:乗降口を閉扉
      →発車合図のブザーを1打
      →乗務員室扉を閉めて顔を出し、発車後の列車監視

相鉄やJR西日本などの動作に近いですね。
こちらは京成電鉄でも多く見られますね。




2013年9月28日、空港線羽田空港国内線ターミナル駅にて
引退した北総7260形(京成3300形のリース車)と京急の車掌

以上、京浜急行電鉄における車掌の大まかな動作を取り上げました。




(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)

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最終更新日 : 2019-07-02

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