タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2017-01-12 (Thu) 21:33

石北本線網走駅 監獄と流氷の町のターミナル【前編】



オホーツク管内の中心都市・網走市の市街地にある、JR北海道の網走(あばしり)駅。
石北本線を所属線とし、他に釧網本線が乗り入れています。
国鉄時代は湧網線の終点でもありました。
特急オホーツク・快速しれとこの終着駅であり、オホーツク海の流氷や世界自然遺産・知床を目当てに多くの観光客が訪れる中継地点です。
すぐ近くを網走川が流れている事から周辺には河岸段丘が形成されており、網走駅は小高い段丘の上に建っています。
メインストリートの南中央通に面しており、駅前にはホテルが軒を連ねています。
南中央通を東へ1kmほど進むと網走バスターミナルと網走市中央商店街があり、更に1km東方には「流氷観光砕氷船おーろら」の船着場があります。
網走川を挟んで北方に広がる住宅地には、北海道オホーツク総合振興局、網走桂陽高校などがあります。
南中央通を西へ2kmほど進むと網走刑務所がありますが、博物館網走監獄は更に南方の網走湖畔にあるので訪問の際は混濁しないようご注意を。

JR北海道 国鉄
JR北海道 国鉄


現在の網走駅は2代目。
初代網走駅は1912年10月の国鉄網走線野付牛~網走間開業に伴い、現在地よりも0.8km東方(現・網走セントラルホテル付近)に一般駅として設置されました。
網走線は同年11月を以って網走本線に改称され、1924年11月には網走~北浜間が延伸開業。
最終的に札鶴(現・札弦)まで延伸した網走本線は、1931年9月に網走~札弦間が釧網線に吸収されています。

網走駅が現在地に移転したのは1932年12月の事。
2代目網走駅は旅客・荷物のみの取扱いとする一方、初代網走駅は貨物のみの取扱いに変更の上、浜網走駅に改称されました。
1935年10月、湧網東線網走~卯原内間が新規開業。
1950年2月には北見客貨車区網走支区が設置され、1953年10月に湧網東線が湧網東線と繋がり全通した事から湧網線に改称されています
1961年4月、網走本線北見~浜網走間が石北本線に吸収され、網走駅の所属線も網走本線から石北本線へと変更されました。
1977年12月には駅舎が改築されています。





1969年10月には浜網走駅が網走駅を挟んで西方に移転。
移転場所は石北本線呼人~網走間に該当するのですが、貨物支線が網走駅を経由するように敷かれていたため、網走~浜網走間の改キロ(0.8km→1.3km)を実施しています
この貨物支線は1984年2月を以って廃止され、一部線路が網走駅の入換作業線として残されています。

1984年6月に湧網線が第2次廃止対象特定地方交通線に指定され、分割民営化直前の1987年3月に全廃されました。
網走駅は1986年11月に荷物取扱いを廃止し1987年4月の民営化に伴いJR北海道に継承されています。
北見客貨車区網走支区は少なくとも民営化直前に廃止されたそうで、当時の車庫は夜間滞泊用として北見運転所網走詰所に組み込まれました。
2016年3月にはキヨスクとツインクルプラザが営業を終了しています。





正面玄関へと続く階段の手前には、勇ましく銛を掲げるモヨロ人漁撈の像が建っています。
この銅像は網走ライオンズクラブの第1回チャーターナイト記念事業の一環として、1967年に設置されたものです。
土台には「1963年6月23日」との日付が記されており、どうやら4年の月日を経て建立されたようです。
モヨロ人とは6~10世紀頃、サハリンや大陸のアムール川流域からオホーツク沿岸に渡来してきたとされる海洋狩猟民族です。
鯨やトド、アザラシ等を主な生活の糧とし、オホーツク文化の一端を構成していたようですが(オホーツク人と混同される場合もある)、消息を絶っており謎に包まれています。

そんなモヨロ人の痕跡が見つかったのは1913年の事。
青森のアマチュア考古学者・米村喜男衛氏(よねむら・きおえ/本業は理髪師)が網走を訪れ、網走川の河口付近で発掘した土器の特徴から、アイヌ文化・縄文文化とは異なる文化が存在した事を突き止めました。
土器の発掘現場は現地のアイヌから「モヨロ・コタン」と呼ばれていた事から、この遺跡をモヨロ貝塚と名付け、謎の民族をモヨロ人と名付けました。
やがて米村氏は歴史の浪漫を追い求めて網走に移住し、理髪店を営む傍らモヨロ貝塚の調査を続け、網走市郷土博物館の初代館長を務めるようになりました。
モヨロ貝塚は1936年に国指定史跡となり、現在は隣接して網走市立郷土博物館分館「モヨロ貝塚館」が設けられています。





モヨロ人漁撈の像とは階段を挟んで反対側に掲示されている。木製の駅名看板。
その隣に看板に関する解説文が添えてあるので、下記の通り抜粋します。

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網走駅の駅名看板と網走刑務所

 この網走駅の桂板で作られた駅名看板は、横書き駅名表示の多いなかで縦書きの看板となっています。旧国鉄時代には、網走刑務所で刑を終えた元受刑者のほとんどが、この網走駅から列車に乗車して故郷等へ向かって行きました。その網走の町を去る際、「この縦書き看板のように、横道にそれることなく、まっすぐに歩んで生きて行って欲しい。」との願いが込められて縦書きになっていると伝えられています。
 これは、厳しい中にも豊かな幸をもたらしてくれるオホーツクの海に沿って生きる、おおらかで人情味あふれる網走市民の暖かな気持ちに支えられ、網走の市民とともに網走刑務所が歩んできた歴史を物語っているものです。

平成15年10月5日

網走刑務所長 記
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本文中には縦書きの駅名看板が珍しいように書かれていますが、実際にはさほど珍しい代物ではないと思います。
道内でも藻琴駅、止別駅、比布駅、雄信内駅、留萌駅など、複数の駅で確認できますし。
それこそ何処の駅も、ホームに掲示されている平仮名表記の駅名標は縦書きな訳で。
そんなものですから網走駅の縦書き看板にそのような想いを込めているなんて、つい見逃してしまいそうな逸話ですよね。





駅前ロータリーには流氷の天使・クリオネをあしらった電話ボックスがあります。
オホーツク水族館によるクリオネの解説板も設置されています。







駅舎はコンクリート造り2階建ての母屋と平屋の離れに分かれており、雨除け屋根で繋がっています。
玄関周りの作りが如何にも1980年前後の建物といった感じですね。
離れの平屋は輸送本部(輸送係駅員の詰め所)と思われます。







防寒のため2重になっているとはいえ、やけに広い母屋の玄関。
自動販売機や無料配布のパンフレット類が置かれています。





玄関には先述したモヨロ貝塚で出土した、オホーツク式土器も展示されています。







コンコースも広々としています。
ブルーシートで覆われているのは、2016年3月に閉店されたキヨスク網走店です。
おそらく店舗の撤去工事をしている最中だったのでしょう。
下写真の左側に見えるドアは、同じく2016年3月に営業を終えたツインクルプラザ網走支店でしょう。





改札口と出札窓口(みどりの窓口)の様子。
改札口には2台のラッチが設置されていますが基本的に使用されず、窓口寄りに設けられた通路で改札業務が実施されます。
発車時刻案内表示器はLCD液晶ディスプレイが使われています。

網走駅は終日社員配置駅(直営駅)で、駅の開放時間は5:30~23:10、窓口営業時間は5:50~22:30となっています。
駅長を筆頭に助役、営業係駅員、輸送係駅員(輸送主任・構内作業員など)が従事しているようです。
加えて構内に北見運転所網走検修詰所があり、車両の清掃業務・一部検査・入換業務を担当する子会社の北海道ジェイ・アール運輸サポートも網走支所を構えています。





自動券売機は1台のみの設置。
その隣には網走市駅観光案内所が設けられており、営業時間は平日12:00~17:00、土日祝9:00~17:00となっています。





コンコースには網走駅プチギャラリーなるものも設けられており、SLの写真や網走刑務所の作業製品(湯呑み、酒器、木工彫刻など)、オホーツク式土器が展示されています。





コンコースに面した待合室。
4人掛けの椅子が左右5脚ずつ配置されており、NHK北見放送局のTVが設置されています。





室内の掲示板には「大正元年十月五日開駅」の札が飾られています。





キヨスクは閉店しましたが、駅弁販売のモリヤ商店は健在です。
かにめし弁当、いくら数の子弁当、オホーツク贅沢三昧など、海の幸をふんだんに使った駅弁を販売しています。
営業時間は9:00~17:00。
訪問当時は朝6時台だったので、売店にはシャッターが下りていました。





待合室の裏口そばには、モリヤ商店が経営している飲食店「キッチンモリヤ」があります。
こちらも営業時間は9:00~17:00で、店内での飲食に加えて駅弁のお持ち帰りも可能です。


写真が多いので今回はここまで。
次回は臨時改札口とホームを見ていきましょう。


※写真は全て2016年9月7日撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)

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最終更新日 : 2019-07-02

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