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2016-10-22 (Sat) 21:05

東武鉄道・車掌の確認動作について


2013年4月28日、野田線柏駅にて
置き換えの進む8000系に乗務する車掌

東京都、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県・・・と関東1都4県にまたがる路線網を有し、大手私鉄としては近鉄に次いで全国2位の総営業キロ数(463.3km)を誇る東武鉄道。
自社線は2系統に大別され、伊勢崎線・日光線・野田線の3幹線を中心に亀戸線・大師線・佐野線・桐生線・小泉線・宇都宮線・鬼怒川線の7支線から成る「本線」と、東上本線・越生線から成る「東上線」があります。
元々、本線と東上線は別会社であり、合併後も現業部門が分かれていました。
そのため両者は同じ系列の車両が走っていても、列車種別や運行体系が異なるなど独自色が強く打ち出されています。
車掌の肉声放送にしても、例えば本線は語尾が基本的に「~です」で通過駅は「途中の○○には停まりません」と案内するのに対し、東上線は「~でございます」と言う車掌が多く、通過駅案内も「途中通過する○○(、××の各駅を)ご利用のお客様はお乗り換え下さい」と言うなど、相違点が見受けられます。
ただし、大まかな確認動作を観察していると、基本的な動作は統一されている事が分かります。

東武鉄道 JR東日本 相鉄 相模鉄道 京急 京浜急行電鉄 JR北海道 国鉄 京成電鉄
東武鉄道 JR東日本 相鉄 相模鉄道 京急 京浜急行電鉄 JR北海道 国鉄 京成電鉄

2013年12月1日、日光線南栗橋駅にて
10030系に乗務する車掌

東武鉄道は私鉄の中でもとりわけ労働組合が強いそうで、それを反映するかのように車掌や運転士が声を出して指差確認を行う場面にほとんど出くわしません。
もちろん、全国的に見ると声を出さずに指差確認をする鉄道職員が多いのですが、それは段々と経験を重ねていくうちに確認動作が自然と身につき、無言で実施するようになっていくという訳です。
その点、東武鉄道の場合は経験の浅い若手でも滅多に喚呼をしないですね。
それでも新米の教習ではしっかりと指差喚呼が実施されており、私自身あまり立ち会う事が出来なかったのですが、確認動作の内容は概ね下記の通りでした。

===========================================================================================
①停車駅が近づいてきたら合図ブザー2打で運転士に停車指示し、
   運転士からの返答(ブザー1打)を確認する
②停車前、乗務員室扉の落とし窓を開け、顔を出して列車監視
③列車が完全に止まったら、ホーム床面に記された停止位置目標を見る
  停止位置にズレが無ければ「○両停止位置よし!」と指差喚呼し、戸開スイッチを押す
④ホームに出て、全ドアの開扉・側灯の点灯を確認し「側灯点!」と指差喚呼
⑤発車時刻になった事を確認したら、すぐさま出発反応標識(レピーター)の点灯を確認し
  「タイムよし、出発進行!」と指差喚呼
⑥発車メロディのスイッチを押す
   (※浅草駅や池袋駅などターミナル駅では駅員が鳴らす)
⑦発車メロディが鳴り終わったら乗降を確認し、戸閉スイッチを押す
⑧全ドアの閉扉・側灯の消灯を確認し「側灯滅、発車よし!」と指差喚呼
⑨列車に乗り込み乗務員室扉を閉め、落とし窓から顔を出して発車合図のブザーを1打
⑩列車がホームを出るまでの間、非常ブレーキスイッチに手を預けてカメノコの体勢で列車監視
⑪ホームを出たら後ろを振り向き「後方よし!」と指差喚呼、落とし窓を閉める
===========================================================================================

あくまで一個人の観察及び、伝聞情報を元としております。
鉄道事業者への問い合わせはご遠慮下さい。

①の入線前にブザーを鳴らして停車指示を行うところは、京急や相鉄など他の関東私鉄でも見られる特徴です。
④の「側灯点」と⑧の「側灯滅」はJR東日本と同様の喚呼です。

面白いのは⑤の時刻確認で、JR各社では駅名と発車時刻を喚呼したり、私鉄でも京王電鉄のように「時刻よし」等と喚呼する一方、東武鉄道は「タイムよし」と横文字を使用。
発車時刻の確認と合わせてレピーターの点灯も確認し、すかさず「出発進行」と喚呼します。
「タイムよし」の喚呼は下記リンクでも聴く事が出来るので、宜しければご覧下さい。

《外部リンク》




2013年12月1日、伊勢崎線曳舟駅にて 10000系と車掌

⑨の発車合図は一昔前まで知らせ灯式だったものを、車内ブザー式に変更したのだそうです。
運転士が閉扉と共に運転台の知らせ灯が点灯した事を確認し、発車する知らせ灯式の発車合図は国鉄でも採用していた方式です。
国鉄では電車、気動車、客車列車と三者三様だった発車合図。
そのうち、電車はJR東日本でも引き継がれている知らせ灯式で、気動車は車内ブザー式、客車列車は挙手か無線式でした。
私鉄で知らせ灯式を採用したのは東武鉄道、豊橋鉄道、伊予鉄道で、このうち豊橋鉄道と伊予鉄道は今でも続けられています。
「開業当初は蒸気機関車での運行だったから、国鉄と東武鉄道は知らせ灯式を導入したんだ」という意見をしばしばネットで見かけますが、個人的には疑問符ですね。
そもそも機関車の運転台に知らせ灯は付いていませんし、車掌長として国鉄札幌車掌区に従事されていた田中和夫さんの著書『車掌の仕事』に書かれていますが、客車列車でも乗務員間の合図に「鈴」が使われていた事があったそうです。
田中さんによると1880年に開業した北海道官設鉄道幌内線では、機関車に合図用の鈴が設置されていたといいます。
鈴には一筋の紐が付けられ、客車の屋根を伝わって編成最後尾の緩急車と結ばれており、車掌が機関士への指示に用いていたのです。
1回鳴らせば「停車」、2回鳴らせば「ただちに停車」、3回鳴らせば「列車を後退させる」という意味だったそうですが、同じような鈴が全国各地で使われており、発車合図にも使われていただろう事は十分に考えられます。

東武鉄道 JR東日本 相鉄 相模鉄道 京急 京浜急行電鉄 JR北海道 国鉄
東武鉄道 JR東日本 相鉄 相模鉄道 京急 京浜急行電鉄 JR北海道 国鉄

2013年4月28日、野田線大宮駅にて
列車に乗り込んでから戸閉めを行う車掌もいる

さて、教習の様子を見ていると、閉扉操作はホームに立った状態で実施するのが基本のようです。
しかし、ベテランや中堅は乗務員室に足を着けた状態で閉扉を行う人が多く見受けられます。
更には閉扉を終えた後、乗務員室扉を閉めながらブザー1打の発車合図を出す車掌も非常に多いです。
ただし、JR北海道や札幌市営地下鉄、京成電鉄のような極端なバラつきは見られません。
例えば発車してからホームを出るまで乗務員室扉を開けたまま列車監視を行う車掌はいませんし、停車中も開扉から閉扉に至るまでずっとカメノコという車掌もいません。

確認動作とはまた別の話ですがJR北海道やJR東日本のように、駅間の走行中は運転席に座るのが基本です。
それでも、8000系や10000系列の未更新車は助士側に車内放送装置を設けているので、マイクを使用する際は席を立っています。




2013年8月2日、東上線池袋駅にて
9000系で唯一、副都心線直通対応化改造が施されていない9101F

以上、東武鉄道における車掌の大まかな動作を取り上げました。


《ブログ内関連記事リンク》


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)

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最終更新日 : 2019-07-02

No title * by うえちゃん
東日本の車掌がパイロット発車(知らせ灯点灯)なのは、労働組合が強いからです。会社は車掌の置き去り事件などがある為、ブザー式に変えたいのだが組合が反対しているのです。(ブザー式にして乗客を引きずったら車掌の責任なる為)
東日本と北海道の車掌が走行中に椅子に座っているのも、組合が強いからです。
東海と西日本は走行中は立って車内監視や駅間が長い区間は、車内巡回をしなければいけません。管理者の裏面添乗(私服添乗)
もあります。

No title * by 札学鉄研OB会
>うえちゃんさん

JR東日本の労働組合が強いというのは全くその通りですね。
本文中でも一応は触れていますけど、そもそも国鉄が電車における発車合図として知らせ灯式を採用していたのです。
JR総連系の東労組が「車掌の責任を重くしない」事を口実に、ブザー合図への変更を受け入れない構えを見せているため、一向に改訂されない訳です。
ただし、国鉄時代からブザー式の気動車では、民営化後も知らせ灯式を取り入れていません。
そうなると、気動車に乗務する場合は車掌の責任が重くなるという事になる訳ですが、その点について東労組がどのように考えているのか気になります。
知らせ灯は気動車の運転台にも設置されていますからね。

ちなみに国鉄時代から気動車が大多数のJR北海道では、1990年代には既に電車でもブザー式の発車合図になっていました。
JR北海道もJR総連系の北鉄労が強いのですが、乗る列車によって基本動作が変わると面倒だと考えたのかも知れません。

(叡電デナ22@札幌市在住)

No title * by 札学鉄研OB会
>うえちゃんさん

JR東海やJR西日本も民営化から暫くは知らせ灯式を用いて来ましたが、2010年にJR西日本、2011年にJR東海が新幹線を除く電車の発車合図をブザー式に改めています。
JR九州に至っては新幹線もブザー式。
JR連合系の組合が最大勢力の会社ですと、「車掌の責任」云々よりも安全性を重視するようですね。
ルーツとなっている鉄労(鉄道労働組合)が労使協調路線だった事もあるかも知れません。

(叡電デナ22@札幌市在住)

No title * by 札学鉄研OB会
>うえちゃんさん

運転席への着席については実は記事で触れた3社の他にも、札幌市営地下鉄や都営地下鉄でも行われています。
といっても都営地下鉄はかなり少人数しか見受けられず、札幌市営地下鉄も一昔前に比べると少ないですね。

札幌市営地下鉄は元から着席を容認しているところがあって、東西線6000形からは乗務員室に車掌用の座席を取り入れていました。
この座席は助士席という訳ではなく、客室側に向いて設置されるものです。
貫通扉を前面中央に設けた6000形は車掌側に椅子がありましたが、南北線3000形・5000形、東豊線7000形、東西線8000形は仕切り扉の正面に配置されたため、車掌が正面を向いて椅子に座る姿が客室からよく見えました。
そのため姿を見られたくない車掌は、運転席に座っていましたね。

そんな車掌席ですがワンマン化が推進される中で、2009年に新製投入された5000形6次車から採用されなくなってしまいました。
その後、在来車もワンマン化改造と共に車掌席が撤去され、今や8000形にしか残っていません。

(叡電デナ22@札幌市在住)

No title * by trm
> 札学鉄研OB会さん

通りすがりの者ですが、ちょっと気になったのでコメントさせてください。「車掌の責任にしたくないから知らせ灯方式」というのはよくある誤解でだと思います。知らせ灯方式だろうが、ブザー方式だろうが、ドア扱いにまつわる事故を起こせば車掌の責任問題は不可避です。

JR東日本等でブザー方式に反対しているのは、職種としてはむしろ運転士です。ブザー打電では物証が残らないため、もし発車に際して事故があった時に、ブザーを送ったのか送らなかったのかは、運転士と車掌の証言に依存します。両者の主張が対立すれば、言った・言わないならぬ、打電した・打電してない、という主張の並行線になります。それに対して、知らせ灯方式であれば、運転士としたら「私は知らせ灯が付いたんだから発車させたんだ。何が起ころうがドア扱いをした車掌の責任だ」と言い張れてしまうのです。

JR東日本内でも、車掌の間では東海や西のようにブザー方式の方が良いのではないか?と言う人もいます。車掌としたら、自分自身が置き去りにされる危険性が少ないブザー方式を望むのは、何ら不思議なことではありません。

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東日本の車掌がパイロット発車(知らせ灯点灯)なのは、労働組合が強いからです。会社は車掌の置き去り事件などがある為、ブザー式に変えたいのだが組合が反対しているのです。(ブザー式にして乗客を引きずったら車掌の責任なる為)
東日本と北海道の車掌が走行中に椅子に座っているのも、組合が強いからです。
東海と西日本は走行中は立って車内監視や駅間が長い区間は、車内巡回をしなければいけません。管理者の裏面添乗(私服添乗)
もあります。
2016-10-23-18:49 * うえちゃん [ 編集 * 投稿 ]

No title

>うえちゃんさん

JR東日本の労働組合が強いというのは全くその通りですね。
本文中でも一応は触れていますけど、そもそも国鉄が電車における発車合図として知らせ灯式を採用していたのです。
JR総連系の東労組が「車掌の責任を重くしない」事を口実に、ブザー合図への変更を受け入れない構えを見せているため、一向に改訂されない訳です。
ただし、国鉄時代からブザー式の気動車では、民営化後も知らせ灯式を取り入れていません。
そうなると、気動車に乗務する場合は車掌の責任が重くなるという事になる訳ですが、その点について東労組がどのように考えているのか気になります。
知らせ灯は気動車の運転台にも設置されていますからね。

ちなみに国鉄時代から気動車が大多数のJR北海道では、1990年代には既に電車でもブザー式の発車合図になっていました。
JR北海道もJR総連系の北鉄労が強いのですが、乗る列車によって基本動作が変わると面倒だと考えたのかも知れません。

(叡電デナ22@札幌市在住)
2016-10-24-17:07 * 札学鉄研OB会 [ 編集 * 投稿 ]

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>うえちゃんさん

JR東海やJR西日本も民営化から暫くは知らせ灯式を用いて来ましたが、2010年にJR西日本、2011年にJR東海が新幹線を除く電車の発車合図をブザー式に改めています。
JR九州に至っては新幹線もブザー式。
JR連合系の組合が最大勢力の会社ですと、「車掌の責任」云々よりも安全性を重視するようですね。
ルーツとなっている鉄労(鉄道労働組合)が労使協調路線だった事もあるかも知れません。

(叡電デナ22@札幌市在住)
2016-10-24-17:07 * 札学鉄研OB会 [ 編集 * 投稿 ]

No title

>うえちゃんさん

運転席への着席については実は記事で触れた3社の他にも、札幌市営地下鉄や都営地下鉄でも行われています。
といっても都営地下鉄はかなり少人数しか見受けられず、札幌市営地下鉄も一昔前に比べると少ないですね。

札幌市営地下鉄は元から着席を容認しているところがあって、東西線6000形からは乗務員室に車掌用の座席を取り入れていました。
この座席は助士席という訳ではなく、客室側に向いて設置されるものです。
貫通扉を前面中央に設けた6000形は車掌側に椅子がありましたが、南北線3000形・5000形、東豊線7000形、東西線8000形は仕切り扉の正面に配置されたため、車掌が正面を向いて椅子に座る姿が客室からよく見えました。
そのため姿を見られたくない車掌は、運転席に座っていましたね。

そんな車掌席ですがワンマン化が推進される中で、2009年に新製投入された5000形6次車から採用されなくなってしまいました。
その後、在来車もワンマン化改造と共に車掌席が撤去され、今や8000形にしか残っていません。

(叡電デナ22@札幌市在住)
2016-10-24-17:07 * 札学鉄研OB会 [ 編集 * 投稿 ]

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> 札学鉄研OB会さん

通りすがりの者ですが、ちょっと気になったのでコメントさせてください。「車掌の責任にしたくないから知らせ灯方式」というのはよくある誤解でだと思います。知らせ灯方式だろうが、ブザー方式だろうが、ドア扱いにまつわる事故を起こせば車掌の責任問題は不可避です。

JR東日本等でブザー方式に反対しているのは、職種としてはむしろ運転士です。ブザー打電では物証が残らないため、もし発車に際して事故があった時に、ブザーを送ったのか送らなかったのかは、運転士と車掌の証言に依存します。両者の主張が対立すれば、言った・言わないならぬ、打電した・打電してない、という主張の並行線になります。それに対して、知らせ灯方式であれば、運転士としたら「私は知らせ灯が付いたんだから発車させたんだ。何が起ころうがドア扱いをした車掌の責任だ」と言い張れてしまうのです。

JR東日本内でも、車掌の間では東海や西のようにブザー方式の方が良いのではないか?と言う人もいます。車掌としたら、自分自身が置き去りにされる危険性が少ないブザー方式を望むのは、何ら不思議なことではありません。
2017-10-21-12:55 * trm [ 編集 * 投稿 ]