タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2016-08-30 (Tue) 05:46

JR釧路工場跡地から引込み線の廃線を辿る



2016年現在、釧路市こども遊学館と釧路地方合同庁舎が建つ釧路市幸町10丁目・11丁目。
釧路駅から徒歩8分の当地区にはその昔、JR北海道の釧路工場がありました。
釧路工場は1902年3月、北海道官設鉄道の釧路機関事務所として設置され、直後の4月から車両修繕業務を兼務するようになりました。
当時は幸町10丁目より南方の浪花町3丁目・4丁目にあったそうです。
この機関事務所に1913年6月、旭川工場釧路派出所が設置され、それが1916年11月には釧路工場へと昇格。
1933年5月には浪花町から幸町に移転しております。
1973年9月に釧路車両管理所へ改称され、国鉄末期の1985年3月にも釧路車両所へ改称。
1987年4月の分割民営化に伴いJR北海道に継承されました。
そして1996年5月、喜多町への移転に伴い釧路運輸所と統合し釧路運輸車両所が設立され、幸町の旧工場は閉鎖される事となりました。
現在の釧路運輸車両所は車両工場・車両基地に加え、運転士・車掌が所属する道東の集約拠点として機能しています。

JR北海道 国鉄 JR貨物
JR北海道 国鉄 JR貨物


1996年5月の閉鎖までは根室本線新富士~釧路間から引込み線が分岐し、釧路工場(釧路車両所)まで単線が延びていました。
私も幼少の頃に釧路市内に住んでいた事がありまして、この引込み線の光景は記憶の奥底に焼きついています。
引込み線の廃線跡は大方、遊歩道(幸町公園通)として整備されており、歩いてみると往事の雰囲気が感じられます。

JR北海道 国鉄 JR貨物
JR北海道 国鉄 JR貨物


釧路市こども遊学館から北へ歩き、まずは1つ目の踏切跡。
この横断歩道を渡ると旧釧路工場の外に出ます。
レールが撤去された後に道路をタイル敷きにしたようで、踏切の痕跡としてよくあるひび割れは見られません。





道路を横断すると幸町公園に入ります。
この幸町公園では1両のSLが静態保存されています。







公園に佇む黒い車体はC58形蒸気機関車の106号車。
1939年1月に大阪汽車製造会社にて竣工し、室蘭機関区で使用された後、1943年3月に釧路機関区に転属したそうです。
その後は根室本線、釧網本線で活躍し、1954年8月に昭和天皇が川湯温泉などを行幸された際はお召し列車を牽引しました。
1972年8月、根室本線帯広~釧路間のさよなら運転を以って引退。
この年は日本初の鉄道である東海道線品川~横浜間が開業して100年の節目であり、C58形106号機は鉄道100年記念として保存される事になりました。
以来、今日に至るまでの44年間、幸町公園で隠居生活を送り続けています。





シゴハチの手前にある踏切を模したオブジェ。





敷板も敷かれており、妙にリアルな出来栄え。
警報機はあるけど遮断機は無いので第3種踏切ですねw





他にも古いレールと枕木を再利用したオブジェが置かれています。
枕木はところどころキノコが生えていましたw





更に、公園内には1927年3月に建立された鉄道記念塔があります。
これは1916年に北海道全体の鉄道の総距離が、1,000マイルに到達した事を讃えた記念碑です。





遊歩道はまだまだ北へ延びています。
2つ目の踏切跡は幸町の北面にあります。





幸町公園の真向かいにある「くしろ丹頂市場」。
すぐ近くには観光客が多く集まる和商市場がありますが、こちらの丹頂市場は地元の人達が買い物に来る印象。
和商市場の騒がしさに比べるとひなびた雰囲気で、ゆっくりと買い物を楽しむ事が出来ます。





そんな丹頂市場に入居する「らーめん工房 魚一(うおっち)」。
このラーメン屋はTV番組『ザ!鉄腕!DASH!!』の企画「世界一うまいラーメン作れるか!?」で取り上げられ、ご主人がTOKIOの松岡君に魚醤の作り方を伝授していました。
言わずもがな釧路ラーメンの人気店であり、スープはあっさり(鶏ガラ)・こってり(豚骨+野菜)の2種類、
味は醤油・赤味噌・白味噌・塩・魚醤・エビ醤の6種類があります。
中でもご主人が研究を重ねたという魚醤はサンマとニシンを材料としており、このお店の看板メニューであります。
3年前に訪問した時に美味しかったので、廃線散策のついでに再訪し牡蠣ラーメンのあっさり・魚醤を注文。
牡蠣は大ぶりな物が何個もスープに浮かび、魚醤はすっきりとしつつも味わい深いですね。
新鮮な海産物が手に入る市場ならではの一品だと思います。





丹頂市場のお隣にある和商市場。
観光客には「勝手丼」が人気ですが、こちらでの飲食はあまりお得感が無いですね…。
如何にも観光地価格といった感じです。





さて、気を取り直して廃線跡を辿っていきましょう。
3つ目の踏切跡は市街地西側のメインストリートである駅前南浜町通を横断します。
昔は左右に2本ずつ警報機があり、2段折れ形遮断桿が配置されていた立派な踏切だったように記憶しています。





踏切跡のすぐ傍には、商業施設「アベニュー946(クシロ)」が建っています。
アベニュー946は2002年2月に閉店した長崎屋釧路店の5階建てビルを再利用し、2003年9月にオープンしました。
フクハラ(スーパーマーケット)やダイソー、ツルハドラッグ等が出店していましたが、2011年にフクハラが撤退。
空き床が著しく増加する事となり、2016年1月には3~5階の閉鎖に伴いダイソーも撤退しました。
客足の減少に歯止めが利かず、なおかつ施設の老朽化も激しいため、2016年8月末、つまり明日を以って閉館する事になりました。
折角なので館内に足を運んでみましたが、早々と見切りをつけたのでしょう、訪問した8月11日時点で既に空きテナントだらけになっていました。
市街地の空洞化が顕著である事を実感し、寂しい気分になりましたね。





遊歩道はこれにて終了。
アベニュー946の脇に引込み線が続いたのですが、廃線跡にはオリックスレンタカーの店舗が建っています。





オリックスレンタカーの更に奥は、JR北海道の子会社であるジェイ・アール道東トラベルサービスが管理する月極駐車場になっています。
壁に薄っすらと見える長崎屋のロゴが、かつての賑わいを思い起こさせます。





月極駐車場の先には4つ目の踏切跡。
路面を見るとひび割れており、踏切の面影が如実に感じられます。







この踏切跡から先は左へカーブしており、廃線跡は釧路駅のパーク&トレイン南側駐車場として活用されています。
釧路駅は駐車場の東側にあります。





別にすぐ手前を線路が通っている訳ではないのに、道路脇に立っている「線路の横断を禁止します」の看板。
引込み線が健在の頃から、撤去されずにいるんでしょうね。





駐車場づたいに歩いていると、根室本線が見えて参りました。





ここで何気なく向かいの月極駐車場に目をやると…





何と、花咲線運輸営業所の来客用駐車場だったようです。
看板にはテープが貼られていますが、すっかり劣化して文字が丸見えです。
アベニュー946そばの月極駐車場と同様、現在はジェイ・アール道東トラベルサービスが管理しています。





そして、遂に根室本線との合流地点に到達!





昔はここから釧路工場まで引込み線が分岐していたんですね。
当時の雰囲気が色濃く残されています。


ちなみに、釧路工場の南東には石川啄木も降り立ったという旧釧路駅がありました。
幸町9丁目にあたる同所には現在、「釧路市交流プラザさいわい」が建っています。
旧釧路駅は1901年7月の官設鉄道釧路線釧路~白糠間開通に伴い設置され、釧路機関庫が併設されていたそうです。
現在地である北大通14丁目に移転したのは1917年12月の事で、釧路本線の釧路~厚岸間延伸開業に伴うものでした。
この移転に伴い旧駅は貨物駅の浜釧路駅となり、宝町・寿町・浪花町を経由する釧路本線の旧線は、根室本線貨物支線として使用を継続。
浜釧路駅は1962年10月に釧路川沿いへ移転し、1989年8月の貨物支線廃止に伴い貨物駅の機能を新富士駅に移転しました。
他にも釧路開発埠頭埠頭線や雄別鉄道、釧路臨港鉄道城山線など、釧路市街は廃線跡に溢れていますね。


※写真は全て2016年8月11日撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)

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最終更新日 : 2019-07-02

No title * by LUN
初めまして
お得感の全くない和商市場脇の線路はよく覚えています
市場に寄らないで工場まで行きたかったと後悔(苦笑)

No title * by 札学鉄研OB会
>LUNさん

どうも、初めまして。

和商市場はぶっちゃけて言うとボッタク(ry
地元・釧路の方々も「なごやか亭」や「まつりや」といった回転寿司屋に行くと話しておりますw

釧路工場の引込み線ですが、ネットで探しても当時の写真がほとんど出てこないもので、鉄道ファンも見落としがちなスポットだったのかも知れませんね。
市街地で気軽に辿れる廃線跡ですので、もし釧路を再訪される機会があれば歩いてみてください。

(叡電デナ22@札幌市在住)

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No title

初めまして
お得感の全くない和商市場脇の線路はよく覚えています
市場に寄らないで工場まで行きたかったと後悔(苦笑)
2016-08-30-23:43 * LUN [ 編集 * 投稿 ]

No title

>LUNさん

どうも、初めまして。

和商市場はぶっちゃけて言うとボッタク(ry
地元・釧路の方々も「なごやか亭」や「まつりや」といった回転寿司屋に行くと話しておりますw

釧路工場の引込み線ですが、ネットで探しても当時の写真がほとんど出てこないもので、鉄道ファンも見落としがちなスポットだったのかも知れませんね。
市街地で気軽に辿れる廃線跡ですので、もし釧路を再訪される機会があれば歩いてみてください。

(叡電デナ22@札幌市在住)
2016-09-01-10:16 * 札学鉄研OB会 [ 編集 * 投稿 ]