タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2016-08-21 (Sun) 19:10

根室本線上厚内駅 国道の外れにある古い木造駅舎



十勝管内は十勝郡浦幌町字上厚内にある、JR北海道の上厚内(かみあつない)駅。
浦幌市街から国道38号線を東へ進んだ山奥に、この駅はポツンと佇んでいます。
すぐ近くを通る国道は交通量が多いですが、駅前の小さな集落は廃墟だらけで人の気配があまり感じられません。
当駅は1910年12月、既に開通していた官設鉄道釧路線に上厚内信号所として開設されました。
1922年4月に上厚内信号場へと改称。
1926年8月には駅に昇格され、旅客・貨物・荷物の取扱いが開始されました。
北海道内の一般駅は国鉄末期に貨物・荷物扱いを廃止している所が多いのですが、上厚内駅は1971年10月という早い時期に廃止され、同時に簡易委託化されています。
浦幌に住んでいた親戚の話によると、これより前から上厚内周辺の人口減少が始まっており、人里にヒグマが出没するほどになっていたそうです。
駅前に何軒もある廃屋は、その当時に住民が姿を消した物が多いでしょうね。

JR北海道 国鉄 臨時列車 京王電鉄 阪急電鉄
JR北海道 国鉄 臨時列車 京王電鉄 阪急電鉄


1987年4月、分割民営化に伴いJR北海道が継承。
1992年4月には簡易委託も廃止され、完全無人駅となりました。
発着する列車は上り(帯広・滝川方面)7本、下り(白糠・釧路方面)6本の普通列車のみですが、2012年7月に「北海道デスティネーションキャンペーン」の看板行事として運転された臨時急行「北海道一周狩勝号」が停車しています。

高台に建つ現在の駅舎は1953年5月に改築された物で、木造の平屋です。
この木造駅舎は根強い人気があり、「青春18きっぷ」のシーズンには当駅で下車する鉄道ファンも少なくありません。
ちなみに、訪問当日は1台のクルマが乗り込んできまして、鉄道ファンかと思いきや旅行中の台湾人女性2人組でした。
2人とも若く、木造駅舎を見物して大いに喜んでいました。
上厚内駅の周辺にはめぼしい観光名所も無いものですから、台湾で放送されたドラマのロケ地にでもなって、聖地巡礼をしていたんだろうか・・・と思います。
最近は台湾や中国のTV制作会社が北海道で撮影を行う事も多いですし。

JR北海道 国鉄 臨時列車 京王電鉄 阪急電鉄
JR北海道 国鉄 臨時列車 京王電鉄 阪急電鉄


木造駅舎の隣には、これまた古めかしいトイレ。

JR北海道 国鉄 阪急電鉄 京王電鉄 秘境駅
JR北海道 国鉄 阪急電鉄 京王電鉄 秘境駅




待合室の様子。
施設灯は1個しか付いておらず、夜は薄暗そうです。
かつての出札窓口と向かい合うように、4人掛けの椅子が設置されています。

簡易委託駅 無人化 無人駅
簡易委託駅 無人化 無人駅


板で塞がれた手小荷物窓口と出札窓口。
駅事務室の様子を窺い知る事は出来ません。





出札窓口は有志の鉄道ファンによるメモリアルスペースとなっています。
上厚内出身と思しき方による「あー故郷と上厚内」の詞がでかでかと貼られ、「旅びとメッセンジャー・メモリーノート」と題した4冊の駅ノートが置かれています。
この駅ノートはもう1冊あったそうで、2010年10月頃に盗難被害に遭っている模様。
心無い輩が無人駅や廃駅を荒らすのはよくある事で、悩みの種です。
これとは別に、「上厚内の駅ノートであって欲しい」と表紙に書かれたノートも・・・置いていった人の切実な気持ちが読み取れますw





2本の糸に吊るされた折鶴。
たしか厚内駅にもあったような気が。





駅ノート以外の手段で、降り立った痕跡を残していく人もいます。
注意書きの左下をよく見ると、何故か阪急百貨店と京王電鉄、2社のロゴが貼られていました。





ホーム側から駅舎を見た様子。





1971年10月の簡易委託化から、長きに渡り使われていない改札口。
左右にラッチを配置し、真ん中に1人分の通路を設けています。





改札口に据え付けられた切符入れ。
簡易委託駅になってから、1993年3月の普通列車ワンマン化(滝川~釧路間)まで使われていた物ですね。





こちらは駅事務室の出入口。





柱には「安全第一」の札が掲示されています。
交換設備を持つ上厚内駅ですが、簡易委託後に運転取扱い職員(運転主任)が残される事は無かったようです。







2面2線の相対式ホーム。
両ホームが向かい合う距離が短く、かなり千鳥式ホームじみています。
どちらも有効長は20m車4両分といったところでしょうか。
床面は全くの未舗装で、基礎部分はほとんど木造です。
駅舎側が1番線で下り列車(白糠・釧路方面)、反対側が2番線で上り列車(帯広・滝川方面)が発着します。
また、これとは別に釧路方から駅舎の手前まで1本の留置線が延びています。





ホームの行き来には跨線橋を使います。
この跨線橋は簡易委託化後に建設されたそうですが、詳細は不明です。





1番線の停止位置目標は、改札口の真ん前に設置されています。





2番線の停止位置目標は跨線橋のすぐ手前。





昭和の雰囲気を色濃く残す上厚内駅。
周辺の人口が極端に少ない事もあって、2012年度の乗車人員は1日平均0人だったそうです。
日常的な利用客はおらず、一部の鉄道ファンが乗降する程度となっています。
JR北海道が利用の少ない無人駅の廃止を推し進める方針を掲げ、次々と消滅していく事になる秘境駅。
上厚内駅も近い将来に廃止される可能性が十分に考えられますので、今のうちに訪問する事をオススメします。


※写真は全て2016年8月20日撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)

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最終更新日 : 2019-07-02

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