タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2016-07-10 (Sun) 18:04

根室本線幕別駅 パークゴルフ発祥の町とベニヤ工場



十勝管内は中川郡幕別町錦町にある、JR北海道の幕別駅。
1905年12月の官設鉄道釧路本線(後の根室本線)帯広~利別間延伸に伴い、止若(やむわっか)駅として同区間に設置されました。
地元自治体の幕別町が駅の増改築に費用を出しており、1951年7月に跨線橋が設置され、1957年12月に駅舎が改築されて現在の平屋になりました。
1963年11月には駅名が止若から幕別へと改称。
国鉄末期の1982年9月に貨物取扱いが廃止され、1985年3月に荷物取扱いが廃止。
開業当初から一環して有人駅ですが、1997年10月より同じ幕別町内の札内駅ともども、JR北海道の子会社であるジェイ・アール道東トラベルサービスに業務委託されております。
駅長含め2~3名の初老の駅員が勤務しており、業務委託ゆえ駅長が白い盛夏服を着用する事はありません。
幕別駅の周辺地域は幕別町民が便宜的に「本町」と呼んでおり(住所上の本町に錦町・寿町などを含める)、宅地が連続しない同町内の札内や旧・忠類村などと区別しています。
駅周辺は古い一軒家の多い住宅地で、宅地造成が進む札内とは対照的。
幕別町役場や北海道幕別高校もあり、日常的に鉄道を利用する人が多いですね。

JR北海道 国鉄 臨時列車 JR貨物
JR北海道 国鉄 臨時列車 JR貨物


ちなみに、幕別駅に乗り入れていた鉄道は根室本線以外にも存在しました。
1911年8月には新田帯革(現・ニッタ株式会社)十勝製渋工場が操業を開始し、同駅から工場への専用線が敷設されました。
その後、1919年7月には関連企業の新田ベニヤ(現・株式会社ニッタクス)も進出。
同社初の製造所が建造され、十勝製渋工場の専用線からベニヤ製造所へと専用線が分岐。
十勝毎日新聞のWebメディア「勝毎ジャーナル」によると、落成式には十勝各市町村から来賓数百名が迎えられ、止若~池田間には臨時列車が運行されたそうです。
田舎町での新産業の登場は地元住民にも大きな衝撃を与えましたが、残念ながら当時はベニヤ板の需要が思うように伸びなかったそうです。
製渋工場も1920年に起きた火災によりタンニン製造を凍結、ベニヤ製造所に統合されました。
しかし、昭和に入ると航空機に使用するベニヤ板のニーズが増大。
戦後は技術革新によりFRP合板や不燃合板などの製造も担うようになり、ニッタクス十勝工場は地元・幕別町に無くてはならない存在となっております。
工場は現在も幕別駅の近くにありますが、トラック輸送に切り替わったため専用線は残っていません。

1970年に国鉄が編纂した「鉄道公報6358号」内の、専用線一覧表に使用者名が掲載されていたとの事。
おそらくは現在も駅前で営業している、笹井金物店の先代かと思われます。

JR北海道 国鉄 臨時列車 JR貨物
JR北海道 国鉄 臨時列車 JR貨物


幕別町はパークゴルフ発祥の地として知られています。
パークゴルフとは「公園で幅広い年代の人ができるスポーツ」を志し、1983年に考案されたゴルフ風のスポーツです。
日本パークゴルフ協会が公認したコースが1283箇所あり、そのうち22箇所は幕別町の位置する十勝平野。
幕別町内のパークゴルフ場は13箇所あり、そのうち5箇所が協会の公認となっております。
駅前ロータリーにはパークゴルフを嗜む3人家族の像が建っています。
先述したニッタクス十勝工場でも、長年に渡りパークゴルフ用のクラブを製造しています。




2016年5月26日撮影

2016年3月26日の北海道新幹線開業後は大谷翔平選手とのタイアップを意識してか、3体の像に北海道日本ハムファイターズのユニフォームが着せられていました。
十勝管内の北海道新幹線に対する関心が低いだけに、クラブを掲げるお父さんが野球のユニフォームを着ているというのは少し気恥ずかしい感じもしますね。





駅前にはバス停が設けられており、十勝バスが乗り入れています。
発着する路線は十勝バス本社南口~幕別東緑町団地間の幕別線(10番系統)と、ふるさと銀河線の代替路線バスで十勝バス本社南口~陸別間の陸別線(17番系統/スターライン)。
この2路線は札内や帯広駅前を経由するため、列車の来ない時間帯は代わりにバスを利用する事も可能です。
加えて、幕別本町にて運転されているコミュニティバス「まくバス」も乗り入れます。





防寒対策のため、2重になった駅舎の玄関。
バスの待合室として利用する人も見られます。







待合室の様子。
1台のストーブを囲むように木製のベンチが配置されており、座敷も設けられています。
平日の朝ラッシュ時は帯広・芽室方面へ向かう通勤・通学客で溢れ、改札時間になると行列が出来ます。





窓口営業時間は平日・土曜が6:50~16:50で、日曜・祝日は休み。
営業時間外は無人駅となり、ワンマン列車も一番前のドアしか開閉されません。
出札窓口の横には簡易自動券売機があるため、駅員不在時も近距離での利用なら切符を買う事ができます。





改札口に設置されている案内板。
改札時間が近づくと発着する列車の時刻・行先を記した札を、乗り場別に用意されたフックにかけていきます。
基本的に普通列車が発着するのは駅舎側の1番線で、2番線や3番線が使用されるのはごく稀です。





トイレの傍には、かつて臨時改札口だったものと思しき空間があります。
かつては現在と比べ物にならないほど混雑し、幕別高校の生徒やニッタクス十勝工場の従業員など、定期利用者向けに開放していたのかも知れません。
室蘭本線の母恋駅にも似たような改札口がありましたね。





ホームは2面3線で、単式ホームと島式ホームを組み合わせた国鉄型配線。
停車するのは普通列車と一部の貨物列車のみで、特急列車は全て通過します。
駅舎側の1番線が本線で、20m車4両分の有効長です。
ホームには構内自動放送装置が設置されており、接近放送が流れます。





1番線ホームの向かいには「パークゴルフ発祥のまち幕別町」と記された看板が立っています。
クマゲラをモチーフにした幕別町のシンボルマークも描かれています。





1番線と2・3番線は跨線橋で繋がっています。
1番線の下り列車(池田・釧路方面)停止位置目標は、跨線橋の手前に置かれています。
ワンマン列車用のバックミラーも付属。




2016年5月26日撮影

上り列車(帯広・新得方面)停止位置目標は、編成長ごとに別々に設けられています。
1両編成と2両編成は停止位置目標にバックミラーがありますが、3両編成は車掌が補助乗務に当たるためバックミラーを設けていません。
一昔前はキハ40系の4連も運転されていました。




2016年5月11日撮影

平日朝ラッシュ時のキハ40系3連。
最後尾に車掌が乗務し、高校生・大学生やサラリーマンが次々に乗り込んでいきます。




2016年5月26日撮影

一方、こちらは2番線・3番線の島式ホーム。
2番線は20m4両分の有効長ですが、3番線は部分的に切り崩されており3両分となっています。
写真のようにキハ40系が入線する事は滅多になく、臨時普通列車の運行日にこのような光景を見る事ができます。
外側の3番線にはしばしば貨物列車が停車しますが、時折運転される幕別始発の臨時普通列車も利用します。

《実際の臨時列車はこちらのリンクにて》




2016年5月26日撮影

3番線には下り列車(池田・釧路方面)停止位置目標が、編成長ごとに設置されています。




2016年5月26日撮影

2番線には上り列車(帯広・新得方面)停止位置目標が設置されています。
なお、3番線には停止位置目標こそ無いものの、臨時の折り返し列車が運行される事からバックミラーを設置しています。




2016年5月26日撮影

島式ホームより駅舎を望む。


《幕別町内の他の駅はこちら》


※写真は特記を除き、全て2015年8月6日撮影


(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)

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最終更新日 : 2019-07-02

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