16時過ぎに旧・名鉄美濃駅を出発。
徒歩移動で長良川鉄道の美濃市駅に行きました。
駅前のモニュメントには、東京音頭や蘇州夜曲など歌謡曲の作詞で知られる詩人・西條八十の手による短詩が記されています。
長良川 鮎は落ちても また来ておくれ も山紅葉の燃えるころ
のどかな秋の濃尾平野を流れる一筋の清流が目蓋に浮かんできますね。
最後に「作詞・西條八十 作曲・中山晋平」とクレジットが為されている事から(中山氏は東京音頭の作曲もしている)、何らかの歌詞から抜粋されたものだと思います。
しかし、肝心の曲名がモニュメントに明記されておらず、ネットを漁っても楽曲を特定する事はできませんでした。
なお、西條氏も中山氏も共に岐阜の出身ではありません。
JR東海 名鉄 国鉄 越美南線 名古屋鉄道 名古屋市交通局 名古屋市営地下鉄 越美北線 JR西日本
JR東海 名鉄 国鉄 越美南線 名古屋鉄道 名古屋市交通局 名古屋市営地下鉄 越美北線 JR西日本
長良川鉄道の前身は、1923年10月に開業した国鉄越美南線。
開業当初の美濃市駅は「美濃町」という駅名で、越美南線の終着駅でした。
その後、同駅から北へ徐々に延伸を進め、1934年8月には美濃太田~北濃間を結ぶ現在の線形が出来上がりました。
本来なら山脈を越えた福井県側に敷設していた越美北線(九頭竜線)と繋げ、越美線という1路線にまとめる予定だったのですが、残念ながら計画は中止になってしまいました。
国鉄末期の1984年6月には第2次特定地方交通線として廃止が承認され、分割民営化を目前に控えた1986年12月を以って第三セクター化されました。
戦前生まれの駅舎らしさを感じる待合室。
自動券売機は無く、出札窓口でパートのおばさんから切符を購入しました。
有人駅ながら札沼線の石狩月形駅と同じで改札業務は行っていないらしく、ワンマン列車が停まったら後ろのドアから乗車するよう促されました。
改札口を進んで階段を上り、高台にある1面2線の島式ホームへ。
向かって左側の1番線には北濃行きのナガラ300形306が停車しており、交換する上り列車の到着を待ち構えていました。
名古屋とは真逆になるため、こちらの気動車には乗車しません。
16:11、美濃太田行きのナガラ500形502が入線。
土休日限定運用の普通列車「ゆら~り眺めて清流列車2号」であります。
他の普通列車と違い、日本三大清流の一つ・長良川の景観を楽しめるよう、要所要所で速度を落として走る列車です。
列車を待ち構えていた女子高生や青年は、当たり前のように後ろのドアへと歩いていきます。
私も地元の人達の後を追い、ワンマン列車に乗り込むと意外にも乗車率は高く、座席はほぼ埋まっていました。
前ドアからは運転士に切符・運賃を渡した乗客が降りていきます。
沿線地域は人気のサイクリングスポットらしく、このように収納袋を付けた自転車を持ち込む人もしばしば。
それこそ、収納袋不要で自転車を乗せる事が出来る「サイクリング列車」(事前申込要)が運転されていますし、駅でのレンタサイクルも行われています。
ロードレーサーで長良川沿いを疾走すれば、見える景色も大分変わってくるでしょうね。
車窓には緑深い山々、水田が広がります。
停車する駅も昭和の雰囲気を色濃く残した所が多く、駅員や運転士の懐かしさ漂う制服デザインと相まって(車両はともかくとして)国鉄時代にタイムスリップしたかのような気分に浸れます。
OBいしかわさんからも「オススメの路線だから」と進められましたが、ここは実に味わい深いですね。
このように牧歌的な光景を楽しめる訳ですが、駅に停まる毎に車内はどんどん混み合っていきます。
部活帰りの高校生や大学生、買い物帰りの主婦、出勤途中のパートタイマーらしき人・・・客層も様々です。
16:39、長良川鉄道で最も若いナガラ500形503と交換。
最年少でありながら白・赤・青の旧塗装をまとっています。
ちなみにここの駅名はズバリ、富加(とみか)!
何だか少し惜しい駅名ですが、さすがにプラレールは有り得ないか・・・w
16:48、終点の美濃太田駅に到着。
同駅はJR東海の高山本線・太多線と接続するターミナル駅ですが、長良川鉄道の乗り場はこじんまりとした1面1線の単式ホームです。
出札窓口と自動券売機はホーム上に設けており、やや窮屈な印象を受けます。
ホームから階段を上がり、連絡通路に出てから乗り場の入口を振り返ってみます。
入口はこの一箇所だけで、JR東海との連絡改札口は設けておりません。
同じ通路に面しているJR東海の改札口。
長良川鉄道とのギャップが大きいですね。
16:58発の高山本線746D(多治見16:21始発・岐阜行き普通列車)に乗って、終点の岐阜まで移動します。
充当車両はキハ75-3208+キハ75‐3308の2両固定編成。
多治見~美濃太田間はワンマン運転で、これより岐阜駅までは車掌が乗務するツーマン運転となります。
左右に2人掛けの転換式クロスシートが並んだ車内。
何れの座席も田舎の路線バスを思わせる、ビニール製の白い枕カバーが付いています。
長良川鉄道では始終立ちっ放しでしたが、幸いにも今回は若干空いていました。
これでようやく楽になれる・・・。
貫通路の横に設置された車内案内表示器。
「指定席」との表示に一瞬ビックリしましたが、どうやら不具合で「自由席」に幕回しできなくなってしまったようです。
乗り込んできた車掌さんも、この誤表示を見つけて乗客に説明して回っていました。
やはり旅客鉄道会社の中でも特に厳格なJR東海らしく、車掌さんはかなりキッチリとした身だしなみで、丁寧かつ明瞭な接客姿勢。
JR北海道は他所と比べて職員の身だしなみの悪さが目立つため、少しは見習った方が良いのではないかと思います。
ただ、JR東海の場合は社員に厳しすぎるきらいがありますが・・・未だにクールビズが導入されていないですし。
746Dは定刻通り16:58に美濃太田駅を出発。
車掌さんは身だしなみや接客の良さに表れているように、安全確認動作も基本に忠実。
一つ一つ声に出して正確に確認しており、有名な「ドア、ホーム、オーライ」の三角形に手を振る指差喚呼も見る事ができました。
車体側面からある程度離れて出発確認を行うため、車内からでもよく見えるんですよね。
17:32、終点の岐阜駅に到着。
ここからは名鉄に乗り換え、名古屋へ向かいます。
JR東海の岐阜駅と名鉄岐阜駅は少し離れており、一旦屋外に出て歩かなければなりません。
本日2度目となる名鉄岐阜駅。
1番線には「パノラマスーパー」こと名鉄1000系・1200系A編成の1016Fが停車していました。
17:47発の快速特急・豊橋行きへの充当で、この列車に乗って名鉄名古屋駅へ直行する事にしました。
発車まで時間があったので、先頭のク1016を撮影。
展望席のある特急型車両はロマンですよね。
豊橋方から2両目の車掌室つき中間電動車・モ1066。
車掌が室内から直接ホームに降りられるよう、車掌室には乗務員室扉を設けています。
中間車の車掌室に乗務員室扉を付けるのは、JR北海道だけではないんですよね。
この車掌室を境に座席種別が変わり、2ドア車2両は指定席車、3ドア車4両は自由席車となっています。
何度か触れていますが自由席車を利用する場合、特別料金は不要です。
本音を言うとク1016の展望席を体感してみたかったのですが、節約のため自由席車を利用します。
岐阜方の制御電動車・モ1416の車内へ。
自由席とはいえ、2回連続でクロスシートに座れるのは嬉しいですね。
18:16、名鉄名古屋駅に到着。
例によって乗客が待機している相対式ホームとは正反対の、島式ホームに降ろされます。
降車が済んだら、女性車掌さんは先に島式ホーム側のドアを閉めます。
ドアを閉めたら、下から上へと指差しつつ戸ばさみの有無を入念に確認し、「ドアよし」と喚呼するのが名鉄流です。
今回の旅行ではJR名古屋駅西口に宿を確保した訳ですが、先に寄りたい場所があったのでチェックインと晩飯は後回しにします。
名古屋市営地下鉄桜通線の名古屋駅から、18:22発の徳重行きに乗車。
充当車両は6050形6854Fでした。
都心の名古屋駅に加えて国際センター駅や丸の内駅など、沿線にオフィス街が連続するものですから、土曜日でも車内はすこぶる混雑します。
18:27、久屋大通駅で下車。
車内はすっかりギュウギュウ詰めになり、危うく乗り過ごすところでした。
桜通線の可動式ホーム柵は設置前よりワンマン運転を実施していたからか、停止位置付近に乗務員が立てるだけのスペースが確保されておりません。
そんな事もあって、前面の撮影が尚更難しく感じる訳で。
桜通線に加え、日本の地下鉄で唯一ループ運転を実施している名城線も乗り入れる久屋大通駅。
ホームには駅の構造を表した模型が展示されています。
地上に出ます。
移動ついでに久屋大通公園の名古屋テレビ塔を撮影。
そして今回の目的地、カラマツトレインMEGA名古屋店に到着。
札幌・苗穂に拠点を構える鉄道ショップ・カラマツトレインの中でも、札幌本店を差し置いて最大規模を誇る店舗です。
店内はだだっ広く、部品や書籍、古い制服など様々な商品が並びます。
特に中古の鉄道模型が充実しており、NゲージのみならずHOゲージのセットも多数取り扱っていました。
その後は久屋大通18:46発の中村区役所前行きに乗り、名古屋駅へとUターン。
充当車両は6000形6112Fでした。
そして真っ直ぐ今回の宿であるミユキステーションホテル名古屋へ。
JR東海の名古屋駅とは目と鼻の先、しかも近鉄や名鉄、名古屋市営地下鉄の乗り場へも楽々移動できる鉄道ファンにとっては大変嬉しい立地です。
そんな恵まれたロケーションの割に宿泊費の安いビジネスホテルで、3泊4日の東海旅行における拠点としました。
チェックインを済ませたら名古屋駅構内にある「味仙 JR名古屋駅店」へ。
味仙(みせん)は台湾出身の料理人が1960年に開業した、名古屋ローカルの中華料理店です。
前々から行ってみたかったお店であります。
本家本元の台湾ラーメンがこの日の晩飯。
台湾ラーメン自体は初めてではないのですが、食べたのは他所のお店が出しているインスパイア的な物。
元祖は如何なる味かとすすってみたら・・・予想外に辛すぎてビックリ!
口の中がビリビリとし、汗がガンガン噴出して目に染みる・・・それほどの激辛ぶりです。
今まで食べてきた中で最も辛かったのは「蒙古タンメン中本」の蒙古タンメンだったのですが(しかし旨味たっぷり、中毒性抜群)、それを遥かに上回るように感じられました。
下手したら北極ラーメンより辛いんじゃないか・・・あれは恐くて未だに食べた事がないんですけどね。
激辛ラーメンのお供は、キリン一番搾りの名古屋づくり。
全国に9箇所あるキリンビールの工場で、各地域の味の好みを意識して作られた限定ビールですね。
面白い事に名古屋では、この名古屋づくりを提供している飲食店が非常に多く見られます。
それだけ、地元生まれのビールを愛する人が多いのでしょう。
道内限定醸造(サッポロクラシック等)もやっているサッポロビールがありながら、アサヒビールびいきが目立つ札幌の居酒屋とはエライ違いです。
飲んでみると甘味があり、のどごしもサッパリというより濃厚な印象。
個人的には濃い目のビールが好きなので、この名古屋づくりは美味しく飲めました。
東海旅行の最中、名古屋づくりにはホテルでの晩酌でもお世話になりましたね。
食後は真っ直ぐホテルに戻り、翌朝は早くから行動するため早めに就寝しました。
次回に続きます。
※写真は全て2016年5月14日撮影
(文・写真:叡電デナ22@札幌市在住)
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最終更新日 : 2019-07-02