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2024-02-01 (Thu) 22:50

JR北海道も都市型ワンマンを検討か?735系に車両側面カメラ設置

車掌4(20180708苗穂)

まだ現車を見ていないのですが、735系A-102編成の車体側面に監視カメラが設置されたと話題になっています。
2024年1月26日から目撃情報が相次いでおり、どうやらJR北海道は3両編成のワンマン化に向けて試験を行なうようです。

2024年3月16日に控えるダイヤ改正では函館本線岩見沢~旭川間に737系を投入する予定です。
現行の721系を置き換える事で2両編成化し、岩見沢~滝川間では朝・夜間の一部を除き普通列車のワンマン化を開始。
滝川~旭川間では既に気動車でワンマン運転を実施しているところ、電車も新たに加わる事となります。

更に千歳線では千歳~苫小牧間の普通列車をピストン輸送に切り替え、ここにも737系を投入してワンマン化する予定です。
これは札幌~新千歳空港間の快速エアポート増発に伴うもので、北広島~千歳間については区間快速が事実上の各駅停車となるため、普通列車の種別が消滅する事となります。


721系 白服車掌 盛夏服 普通列車 函館本線 千歳線
車掌(20180924豊沼)

一方、735系は3両固定編成です。
しかも乗務員室は広く運転台も非常に高いため、737系と同じ運賃収受型のワンマン運転を行なうには無理のありそうな構造です。
ただし車体側面にカメラを設置した事から察するに、JR東日本が中編成ワンマン化に際し開発した「車両搭載型ホームモニタシステム」を導入するものと考えられます。

車両搭載型ホームモニタシステムとはカメラ、モニタ等の連動が車内で完結する乗降確認支援システムです。
少子高齢化・人口減少に対応してより効率的な鉄道経営を実践するため、地方線区において3~6両編成の都市型ワンマン運転を実施するべく発案されました。
このシステムは2021年3月13日、千葉県内の末端区間(内房線木更津~安房鴨川間・外房線上総一ノ宮~安房鴨川間・鹿島線成田~鹿島神宮間)に投入されたE131系が初搭載となりました。

その後、JR東日本はE131系の量産を進め、成田線成田~香取間、相模線全区間、東北本線小山~黒磯間、日光線全区間に都市型ワンマン運転を拡大。
鶴見線でも2024年3月16日より同様のワンマン化を行なう予定です。


札幌車掌所 札幌車掌区 旭川車掌所 旭川車掌区 室蘭運輸所車掌科 室蘭車掌所 室蘭車掌区
車掌2(20180708苗穂)

車両搭載型ホームモニタシステムは実に革新的なアイデアです。
これまで地下鉄などで導入されてきたワンマン方式と違い、地上設備を必要としないため設置コストとメンテナンスコストを抑えられます。
そのため他社も導入の検討に入っており、例を挙げるとJR西日本では2022年1月26日から山陽本線福山~徳山間、可部線全区間、呉線全区間で227系による検証を行ない、2024年度中に実用化を見極める事としています。

また、JR東海も2023年1月より315系4両編成に車両側面カメラを設置して試験運転を行ない、2023年6月1日から関西本線名古屋~亀山間の営業運転に投入。
様々な時間帯や天候におけるホーム上の状況を撮影し、データを集めてAIに学習させる事で、検知精度の向上を図っている最中です。

さて、JR北海道は此度のカメラ設置について未だに公式発表をしていません。
しかし他社の前例を鑑みるに、札幌近郊で車両搭載型ホームモニタシステムを活用した都市型ワンマン運転を検討しているものと見受けられます。
都市型ワンマン運転を行なう場合、運転士による運賃収受を省略するので、無人駅でも全てのドアを開ける事になります。


733系 車掌 JR北海道 国鉄 JR四国 JR西日本 JR東海
車掌5(20180708苗穂)

ここで気になるのはJR北海道が「信用乗車方式」を採るか否か。
この方式は1970年代から欧米で広く採用されており、乗客に切符を自己管理させる事で改札を省略するものです。
無人駅での乗降時間を短縮できるメリットがある一方、不正乗車を誘発しかねないという危険性もはらんでいます。

札幌近郊の無人駅には簡易改札機を置いている箇所が多いですが、これもフラップドアが付いている訳ではないため、素通りしてキセル乗車を働く輩も少なくないそうです。
また、JR四国や福島交通などの車掌は無人駅で降車した客すべての切符を確認して回りますが、JR北海道の車掌は停車中の集札を省く事が多く、これもキセルを招く要因だと感じます。
ツーマン運転を実施している現状でも車掌や駅員のチェックを掻い潜る輩がいる訳で、都市型ワンマン運転を始めたら余計に不正乗車が増えそうです。

なお、無人駅のある線区で都市型ワンマン運転を実施しても、信用乗車方式に依らないケースも見られます。
例えば南海電鉄は無人駅にもフラップドア付きの自動改札機を完備し、更に自動券売機や精算機も併設しています。
こうすれば係員の目が届かないところでも確実な運賃収受が出来るでしょう。
もちろん設備の導入・維持にかかるコストをJR北海道が負担できるかが問題になりますが・・・。


721系 車掌 盛夏服 普通列車 函館本線 千歳線
車掌1(20180708苗穂)

もう一つ気になるのは、ワンマン運転拡大に伴う組織体制の変化ですね。
現在、道央圏の普通列車は札幌車掌所と旭川車掌所が受け持っています。
これら車掌所の乗務範囲は結構被っており、小樽方面や千歳方面で車内を巡回する車掌の名札を見たら「旭川車掌所」と書かれていた・・・なんて事もしょっちゅうあります。
聞けば内勤・外勤を合わせて札幌車掌所には約200人、旭川車掌所には約90人が所属しているそうな。

来る737系の導入拡大によるワンマン化、そして何れ始まるだろう札幌近郊の都市型ワンマン化が為されたら、当然ながら車掌所の人員は大きく減少するでしょう。
現に2012年10月27日ダイヤ改正では、室蘭本線室蘭~苫小牧間の711系をキハ143形に置換えてワンマン化し、これと引き換えに室蘭運輸所車掌科(旧:室蘭車掌区)を廃止しています。
この室蘭運輸所車掌科も旭川車掌所と同様、札幌近郊の普通列車や快速エアポートの乗務も担当していました。
流石に宗谷・オホーツク方面の特急列車も担当する旭川車掌所が全廃という事は無いでしょうが、人員削減に伴い旭川運転所と統合して「旭川運輸所車掌科」に改組・・・という可能性も有り得そうです。

車体側面カメラは現在、735系の1編成にしか設置していないので現車を探すのも大変そうですが、撮影できたら改めて当ブログに投稿しようと思います。


《外部リンク》
武田哲也・尾﨑隼人・中村信彦・齋藤浩司(2022)「車両搭載型ホームモニタシステムの開発」『JR EAST Technical Review-No.67-2022』東日本旅客鉄道株式会社


※写真1枚目、3~5枚目は2018年7月8日、苗穂駅で撮影
※写真2枚目は2018年9月24日、豊沼駅で撮影
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最終更新日 : 2024-02-02

* by 〇〇
JR北海道も現場の現役の人の人手がおそらく足りてないんでしょうね。

乗務員関係も一般職の現役の人の退職などで少なく、一時的に働く総合職の人と60歳以上の国鉄採用の人を合わせ、なんとか行路を回しているのでしょうね。

今回のダイヤ改正でもエアポートの増発以外は減便やワンマン化も目立っており、おそらく乗務員の行路を減らすことも年々大きな課題となっていると思います。

そのため恐らく都市電車においても減便とワンマン化を行い、運転士と車掌行路の削減に努めるのではないかと思います。

Re: タイトルなし * by 叡電デナ22
〇〇さん

乗務関係について言うと「人手不足」は建前で、本音は「人件費を少しでも減らしたい」というところにあるような気がします。
同じ道内では札幌市営地下鉄が3路線をワンマン化しましたが、これも別に乗務員不足という訳ではなく、まさに合理化の一環でした。
JR北海道が1990年代に推し進めたワンマン化も人件費の削減を図った施策ですね。

むしろ人手不足が深刻なのは保線関係でしょう。
JR北海道の工務系統は転勤が多く、保線管理室によっては僻地での生活を余儀なくされます。
しかも日常業務は軌道検査、(比較的簡易な)補修作業、工事計画、請負業者との打ち合わせ、果ては深夜から翌朝にかけての外注工事立会いと目まぐるしく、こうした負担の大きさから若い保線社員の離職が相次いでいるのです。

2020年8月31日には室蘭保線所の若手社員が、早朝に外注工事の立会いを終えて社用車で自所に戻る途中、対向車と正面衝突して亡くなるという悲しい事故もありました。
この事故がきっかけで保線社員の負担を減らそうという動きも起きているそうですが、それでも人材の流出に歯止めが効かない状況です。

一方、乗務関係は事あるごとに業務の縮減を重ねてきていますので、さすがに保線ほどの人手不足が深刻という訳ではないと思います。
むしろ車掌については現状でも「人手余り」の状況なのではないでしょうか?

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JR北海道も現場の現役の人の人手がおそらく足りてないんでしょうね。

乗務員関係も一般職の現役の人の退職などで少なく、一時的に働く総合職の人と60歳以上の国鉄採用の人を合わせ、なんとか行路を回しているのでしょうね。

今回のダイヤ改正でもエアポートの増発以外は減便やワンマン化も目立っており、おそらく乗務員の行路を減らすことも年々大きな課題となっていると思います。

そのため恐らく都市電車においても減便とワンマン化を行い、運転士と車掌行路の削減に努めるのではないかと思います。
2024-02-02-21:01 * 〇〇 [ 編集 * 投稿 ]

叡電デナ22 Re: タイトルなし

〇〇さん

乗務関係について言うと「人手不足」は建前で、本音は「人件費を少しでも減らしたい」というところにあるような気がします。
同じ道内では札幌市営地下鉄が3路線をワンマン化しましたが、これも別に乗務員不足という訳ではなく、まさに合理化の一環でした。
JR北海道が1990年代に推し進めたワンマン化も人件費の削減を図った施策ですね。

むしろ人手不足が深刻なのは保線関係でしょう。
JR北海道の工務系統は転勤が多く、保線管理室によっては僻地での生活を余儀なくされます。
しかも日常業務は軌道検査、(比較的簡易な)補修作業、工事計画、請負業者との打ち合わせ、果ては深夜から翌朝にかけての外注工事立会いと目まぐるしく、こうした負担の大きさから若い保線社員の離職が相次いでいるのです。

2020年8月31日には室蘭保線所の若手社員が、早朝に外注工事の立会いを終えて社用車で自所に戻る途中、対向車と正面衝突して亡くなるという悲しい事故もありました。
この事故がきっかけで保線社員の負担を減らそうという動きも起きているそうですが、それでも人材の流出に歯止めが効かない状況です。

一方、乗務関係は事あるごとに業務の縮減を重ねてきていますので、さすがに保線ほどの人手不足が深刻という訳ではないと思います。
むしろ車掌については現状でも「人手余り」の状況なのではないでしょうか?
2024-02-02-21:38 * 叡電デナ22 [ 編集 * 投稿 ]