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2024-01-23 (Tue) 22:51

最後の苗穂工場製「デゴイチ」 北海道鉄道百年記念ミニSL

苗穂工場製ミニSL(D51形239号機)a04

先日は国鉄時代の苗穂工場で機関車検修に携わった「機関車職場」と「製罐職場」について書きました。
機関車職場は各種機関車の解体・艤装・車体修繕などを担当し、製罐職場はSLの心臓であるボイラーの修繕・製作や台枠の溶接加工などを担当しました。
動力近代化計画によってDL・ELの量産が進むと、これら現業部門も業務内容を大きく変えていきました。

1975年10月3日、滝川機関区所属のD51形603号機が中間検査を終えて「国鉄最後の検査出場」を果たしました。
それから5ヵ月後の1976年3月2日、追分駅で構内入換に当たっていた9600形(追分機関区所属)が引退した事により、保存機を除く国鉄の蒸気機関車は全廃となりました。


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苗穂工場製ミニSL(D51形239号機)a01

一度は潰えたSL検修ですが分割民営化後の1987年4月7日、小樽築港機関区で眠っていたC62形3号機が復元工事のため苗穂工場に入場。
機関車職場や製罐職場などのOBも復元工事に協力し、1988年3月23日に晴れて落成出場しました。
そして1988年4月29日より動態保存列車「C62ニセコ号」として営業運転に復帰しています。

紆余曲折あってC62ニセコ号は1995年11月3日にラストランとなりましたが、2000年4月1日には同じく山線を走る「SLニセコ号」がデビュー。
苗穂工場のSL検修も再開し、現在はJR貨物苗穂車両所と連携して「SL冬の湿原号」の牽引機・C11形171号機の検修に当たっています。



苗穂工場製ミニSL(D51形239号機)a05

そんな苗穂工場では、毎年秋の一般公開でミニSLを走らせるのが恒例となっています。
このミニSLはD51形239号機を模したライブスチームで、前面には寝台特急「北斗星」のヘッドマークを掲出。
基本的に14系客車4両を連結して単線区間を往復します。
線路は資材立体倉庫前から展示車両上屋(D51形237号機・キハニ5005)を経由し、JR貨物第3検修整備室の脇に至るルートで敷設します。



苗穂工場製ミニSL(D51形239号機)a02
日本国有鉄道苗穂工場(1983)「ミニSL落成式 8月22日」『なえぼ』1983年9月号、p.3より引用

「北斗星」のヘッドマークこそ付けていますが、実はこのミニSLは北斗星より5年も先輩です。
もとい北海道における鉄道開業100周年を記念して、国鉄末期の1980年6月から製作に着手しました。
若手検修員に対し技能継承を図るという目的もあり、参加者の中には北海道鉄道学園工作一科の生徒達もいたそうです。

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 製作されたミニSLは、D51 238号機、D51 239号機の2両で縮尺は1/5、製作の目的は、昭和55年に北海道鉄道百年を迎えたのを機に若年技能者、工作一科生徒を中心に、ミニSL製作の気運が生じ、技能継承教育の一環として、基礎技術習得のため、技術課長をチーフに企画、設計を行いボイラー、台枠、動力伝達、走り装置などをそれぞれ分担し、ベテラン職員の指導により、通常業務の合間に教育の一環として行われました。そのため昭和55年6月から昭和58年8月まで3年2ヵ月を要し、この間OBの貴重な助言と指導を仰ぎ、苗穂工場74年の技術を結集して、大部分は、廃材料を活用して製作したものです。

《出典》
日本国有鉄道苗穂工場(1983)「ミニSL落成式 8月22日」『なえぼ』1983年9月号、p.3
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苗穂工場製ミニSL(D51形239号機)a03
日本国有鉄道苗穂工場(1983)「ミニSL落成式 8月22日」『なえぼ』1983年9月号、p.3より引用

そして1983年8月22日、構内東側のグランド(野球場)でミニSL落成式を開催。
苗穂工場長をはじめ課長・職場長ら工場幹部、労働組合の代表者、各職場関係者、工作科関係者、OB等が出席しました。
式典は技術課長の開会の辞で始まり、工場長、労組代表、製作者代表の3者によるテープカットを敢行。
その後はD51形237号機のミニSL(1951年10月製作)と三重連で試運転を行なっています。


急行ニセコ 夜行列車 14系客車 寝台特急北斗星
苗穂工場製ミニSL(D51形239号機)a07

現在、カマは「北斗星」のヘッドマークを掲げていますが、客車のテールマークは急行「ニセコ」となっています。



苗穂工場製ミニSL(D51形239号機)a08

ミニSLの線路は間合い時間にハンマーで叩いて点検します。
保線の世界では定期修繕方式が根付いて半世紀が経ちましたが、この路線は未だに随時修繕方式で軌道保守に当たっています。
ハンマーは実際の保線作業員が使うビーターよりも小ぶりな物です。



苗穂工場製ミニSL(D51形239号機)a06

ここ数年は239号機の1両しか稼働していないらしく、同い年の238号機は姿が見えません。
大先輩の237号機は引退し、北海道鉄道技術館の1階に展示されています。


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※写真は特記を除き2015年9月26日、一般公開中に撮影
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最終更新日 : 2024-01-23

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