タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

現在、札学鉄研OB会ブログから筆者投稿の記事を移転中です

Top Page › 関西 › 山陽電車から保線作業を受注 近鉄子会社のマルタイ「つくつくぼうしⅥ」
2023-11-30 (Thu) 22:57

山陽電車から保線作業を受注 近鉄子会社のマルタイ「つくつくぼうしⅥ」

近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a01

瀬戸内海に沿って東西に線路を敷き、神戸と姫路を結んでいる山陽電気鉄道。
実を言うと同社に「保線区」は存在せず、本社技術部に「施設課」を設けて線路、土木構造物(トンネル・橋梁・プラットホーム等)、建築物(駅舎・車庫・その他社屋)の保全・改良および斜面防災を任せています。
とは言え施設課員が自ら保線作業をする事はなく、専ら工事の計画・設計・施工管理を担当しています。
一方、保線作業は外部の軌道工事業者に発注する訳ですが、発注先の一つに近鉄グループの建設会社である近鉄軌道エンジニアリング㈱があります。

近鉄軌道エンジニアリングは1979年2月7日の設立で、同年4月に近畿日本工機㈱と大日本土木㈱の2社から軌道部門を譲り受けて営業を開始しました。
これまでに軌道補修工事、軌道改良工事、軌道新設工事、保線機械の運転・検修、レール溶接、駅舎の新築・改修、高架橋の耐震補強工事などを手がけてきました。
保線作業については親会社の近鉄をはじめ、山陽電鉄、京阪電鉄、阪神電鉄、大阪メトロ、京都市交通局、名古屋鉄道、三岐鉄道など14社局から受注しています。


JR西日本 山陽電車 山陽電気鉄道 山電 MTT 近畿日本鉄道
近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a02

山陽電鉄はマルチプルタイタンパーさえも所有していないため、近鉄軌道エンジニアリングの所属機を使用しています。
もちろんオペレーターも近鉄軌道エンジニアリングの社員です。
尾上の松駅構内に保線機械用の留置線があり、柵越しにマルタイをじっくり眺める事が出来ました。


マルチプルタイタンパー MTT 保守用車 保線機械
近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a03

この時、留置されていたのはプラッサー&トイラー製の「08-16M84型」という形式のマルタイ。
プラッサー&トイラー(Plasser & Theurer)はオーストリアの保線機械メーカーで、スイスのマティサ(Matisa Materiel Industriel S.A.)と並び世界的なシェアを誇ります。


マルチプルタイタンパー MTT 保守用車 保線機械
近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a04

こちらの08-16M84は2003年製。
個体識別のため車体側面に「03-MT-6」という管理番号を付けています。
しかも「つくつくぼうしⅥ」という愛称まで付いています。


マルチプルタイタンパー MTT 保守用車 保線機械
近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a05

愛称が示すとおりツクツクボウシのキャラクターも描いてあります。
このツクツクボウシが着用するヘルメットには、近鉄軌道エンジニアリングの社章が付いていますね。
この社章を90度回転したら何処と無くツクツクボウシに似ているので、マスコットキャラもツクツクボウシにしたのかなあ・・・と思います。

更に言うと「つくつくぼうしⅥ」の「つくつく」は道床搗き固めに由来するのでしょう。
マルタイは道床搗き固めを集中的に行ない、線路の歪み(軌道狂い)を修正する保守用車です。
JR北海道の子会社・北海道軌道施設工業㈱の「つくぞうくん」も、やはり道床搗き固めから名前を取っていますしね。


マルチプルタイタンパー MTT 保守用車 保線機械
近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a06

台車の隣に付く小さな車輪は検測軸。
マルタイは作業現場に着くと検測軸で軌道狂いを調べます。
具体的には、作業地点の線路に凹凸が出来ているか(高低狂い)、線路が蛇行しているか(通り狂い)、左右のレールに高低差があるか(水準狂い)、軌間に寸法不良があるか(軌間狂い)、軌道面に捻れが生じているか(平面性狂い)を確認し、必要な修正量を計算するのです。



近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a07

道床搗き固めにはタンピングユニットを使用。
先端に付いた爪(タンピングツール)によって、各種軌道狂いに対応した搗き固めを行ないます。
その隣にはリフティングユニットを装備し、レール頭頂部をクランプする事で上下左右の歪みを正します。



近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a08

近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a09

西代方の運転室側面には08-16M84型の性能を明示した「諸元表」が付いています。



近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a10

定期検査施工年月を示す車体標記。
かつて国鉄の保線区は本区事務室の機械助役配下に「検修班」を設けていましたが、近鉄軌道エンジニアリングも自前で保線機械の検修が出来ます。


山陽電鉄3050系 山陽電鉄3000系 山電 山陽電車
近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a11
山陽電鉄3050系 山陽電鉄3000系 山電 山陽電車
近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a12
山陽電鉄3050系 山陽電鉄3000系 山電 山陽電車
近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a13

せっかくなので山陽電鉄線内に近鉄グループのマルタイがいるという「証拠写真」を撮影。
三宮以東には乗り入れない3050系ニューアルミカーとのツーショットを狙いました。



近鉄軌道エンジニアリング08-16M84型a14

でもって尾上の松駅の駅名標とも一緒に撮影。
ちなみに山陽電鉄線内において、レール削正車と軌道検測車は基本的に阪急電鉄から手配されています。




※写真は全て2023年11月26日、尾上の松駅にて撮影
スポンサーサイト



最終更新日 : 2023-12-01

Comment







管理者にだけ表示を許可