タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

現在、札学鉄研OB会ブログから筆者投稿の記事を移転中です

Top Page › 関西 › 赤帽から消えた金線 JR西日本の当務駅長「運輸管理係運転担当」
2023-11-17 (Fri) 21:00

赤帽から消えた金線 JR西日本の当務駅長「運輸管理係運転担当」

天王寺駅の運輸管理係運転担当a01

JR西日本は2000年4月1日、大規模な職制改正を実施しました。
この改正は「新たな昇進賃金制度改正」の基軸とするべく実施したもので、従前の年功序列型から成果主義賃金制への一大転換を目指しました。
具体的には各現業機関の準管理職として「係長」を新設し、「助役」については担務指定上の副駅長・副所長・科長・主席助役・総括助役・保線管理室長に相当するポジションを存置する事としました。
そして「職制のフラット化」を謳い文句に主任職・指導職・係職の3段階によった職名の統合に踏み切っています。

これまでの職制は1987年4月1日の分割民営化に伴い、JR各社が共通で定めた内容を踏襲しつつ、バス事業の分社化、事業所や鉄道部・地域鉄道部、設備区の新設といった節目に改正を重ねたものでした。
それを2000年4月1日改正で抜本的に見直し、駅においては営業職(営業主任・営業指導係・営業係)と輸送職(輸送主任・輸送指導・輸送係)の計6職名を統合し「運輸管理係」に一本化したのです。
運輸管理係は営業職が担当したフロント業務(出札・改札・旅客案内)と、輸送職が担当した運転取扱業務(運転整理・列車扱い・信号扱い・操車作業)を一手に担う「統合職」となりました。

ただし全ての駅員がオールラウンダー的に働くという訳でもなく、駅によっては必要に応じて業務分担を続けています。
運輸管理係を束ねる係長についても「教育係長」「営業係長」「輸送係長」「当直係長」などの担務指定を行なっています。
指揮命令系統は「駅長―助役―係長―運輸管理係」となります。

※注釈:設備区とは
近畿圏で駅構内の土木構造物・建築物・機械設備・電気設備を一括管理した現業機関の事。
1996年4月1日に大阪設備区・京都設備区・神戸設備区の3ヶ所が発足した。
2023年現在は一つも残っておらず、駅の施設管理は土木技術センター・建築区・機械区・電力区・信号通信区の分業制に戻っている。


JR西日本 国鉄 輸送主任 立ち番 立会 列車扱い 運転取扱業務
天王寺駅の運輸管理係運転担当a02

さて、JR西日本は2017年4月1日に制服をリニューアルしました。
1988年のオリジナル制服初導入から通算し3代目となるこの制服は、2023年現在も着用されています。
面白いのはホーム上で列車監視、出発指示合図、運転通告券の発行といった列車扱い業務に当たる当務駅長の制帽。
実際に当務駅長としてホームに立つのは「運転担当」に指定された運輸管理係で、2000年4月改正以前の「輸送主任」に相当します。
つまり運転取扱上の「在来線駅長業務資格」または「新幹線駅長業務資格」を取得した駅員という訳です。
運転担当は国鉄時代からの伝統で鉢巻を赤く染めた制帽、いわゆる「赤帽」を着用してきましたが、現行制服では何と赤帽から金色の識別線を省略しています。

JR西日本も初代制服(1988年4月~2007年3月着用)と2代目制服(2007年4月~2017年3月着用)では、赤帽に1本の金線を付けていました。
これは運輸管理係の上司に当たる係長や助役と同じ制帽なので、一見しただけでは管理職と被管理職の区別が付きにくいという難点があります。
対外的にも誰がマネージャーか分かり易くする配慮から、3代目制服では運輸管理係の赤帽から金線を外し、助役・係長と見分けられるようにしたのでしょう。
何しろ趣味歴の長い鉄道ファンでさえ、金線1本の赤帽を被った駅員は誰もが「助役」だと思い込んでいる人が多いですからね・・・。
実際の助役は「中間管理職」ですから、ホーム上で延々と立ち番をする訳ではありません。
それこそ中には営業助役や設備助役、総務助役のように運転取扱業務には直接関わらない人もいます。
国鉄時代だってある程度の規模の駅では予備助役や運転掛(国鉄末期の運転主任)といった駅員が立ち番をしていましたし、ローカル線の小駅では特命運輸掛がタブレット閉塞器を取り扱う事もあったのですが。


大阪環状線 阪和線 関西本線 大和路線 御堂筋線 谷町線
天王寺駅の運輸管理係運転担当a03

今回は国鉄時代、天王寺鉄道管理局(略して天鉄局)のお膝元だった天王寺駅で撮影しました。
列車の到着時刻が迫ると、運輸管理係運転担当はホーム中間の運転事務室から出現。
赤いフライ旗を持って入線・出発時の列車監視に臨みます。


余談ですがJR西日本は他職種でも「職制のフラット化」を実施しており、事務主任・事務係を統合し「事務係」、主任車掌・車掌を統合し「車掌」、主任運転士・運転士を統合し「運転士」、車両技術主任・車両技術係・車両係を統合し「車両管理係」、施設技術主任・施設技術係・施設係を統合し「施設管理係」、電気技術主任・電気技術係・電気係を統合し「電気管理係」、管理主任・管理指導係・管理係を統合し「管理係」・・・といった具合に再編しています。
その後、2005年4月25日に発生した福知山線脱線事故の反省から、2008年度に「専門職制度」を導入。
実務に従事しながら専門的で高度な指導を行なえる社員を「専門職」に任命し、このうち駅務・車掌は「専門主任」、運転士・車両検修・保線・建築・機械・電気は「技術主任」と称しています。
専門職は係長・助役の比ではない狭き門だといい、JR西日本のプロパー社員21,727人のうち200人ほどしか任命していないそうな。




※写真は全て2023年11月3日、天王寺駅にて撮影
スポンサーサイト



最終更新日 : 2023-11-17

Comment







管理者にだけ表示を許可