JR北海道は2023年9月9日、苗穂工場の一般公開を開催しました。
毎年秋(9月または10月)に開催してきた一般公開ですが、新型コロナウィルスの感染拡大防止につき2020年から3年連続で中止となりました。
そのため今回は実に4年ぶりの開催となり、告知されるや大いに話題を呼びました。
例年どおり開催時間は9:30~15:00で、構内の一部施設を間借りするJR貨物苗穂車両所も見学者を受け入れています。
こう書くと「去年も一般公開をやったじゃないか」と言う人が出そうなので断っておきますが、2022年11月4日に開催されたのは一般公開ではなく「特別見学ツアー」です。
このツアーは午前コース(9:00~12:30)と午後コース(13:00~16:30)の2回に分け、各コースとも募集対象を18歳以上20人に限定していました。
しかも1人当たり28,000円の参加費を徴収していたのです。
年齢制限・定員を設け、なおかつ有料という見学ツアーは「一般公開」と呼べるものではないでしょう。
JR北海道 国鉄 JR貨物 車両基地 苗穂駅
私は開場30分前に現地入りしました。
既に正門前には長蛇の列が出来ています。
私が並んでからもゾロゾロと見学者が来て、行列は更に伸びていきました。
暫くすると苗穂工場総務科の事務員が行列の人数を数え出し、私の手前に来たところで「150人突破しました!」と声を上げました。
「これはもしかして今年も工場ツアーの申込みが出来ないんじゃないか・・・?」と冷や汗が出ました。
待ち時間中はジャマイカのスカバンド、スカタライツ(The Skatalites)を聴いて暇を潰しました。
9:20を過ぎると、行列は少しづつ前へ詰め始めました。
ふと計画科事務所の裏手にある駐車場に目を向けると・・・
・・・何と桑園自動車学校のワゴン車が停まっているじゃないですか!
桑園自動車学校はJR北海道グループ唯一の自動車学校で、子会社のジェイ・アール北海道バスが運営しています。
一般公開の告知には協賛企業としてジェイ・アール北海道バスの名前が載っていましたが、本社や営業所ならともかく自動車学校の従業員が設営に来るとは・・・。
計画科事務所の2階では総務科の事務員と思しき男性社員がスマホを構え、我々見学者の行列を撮影していました。
社内誌にでも使う写真を撮っていたのでしょうか?
ちなみに苗穂工場には総務科、工程管理科、品質管理科、技術開発科、設備保全科、組立科、部品科、内燃機科、合わせて7つの部門があります。
このうち総務科、工程管理科、品質管理科、技術開発科、設備保全科の5部門を総称して「計画科」といい、これら部門が入居する計画科事務所は苗穂工場の中枢と言えます。
対して組立科、部品科、内燃機科の3部門を総称して「生産科」といい、車両の解体・艤装や各種部品の製造・修理といった「製修工事」に当たっています。
《ブログ内関連記事リンク》
9:30、いよいよ正門が開きました。
行列はゆっくりと進んでいきます。
正門では左右にカウンターを置き、見学者にパンフレットを配っていました。
例年どおり札幌鉄道少年団の子供達も接客に当たりますが、見慣れた制服姿ではなくラフな格好でしたね。
正門前広場では工場長をはじめ科長、担当助役ら管理職9名が整列し見学者を出迎えました。
なお、JR北海道ではヘルメットで大まかな職制を見分ける事が出来ます。
工場長は黒帯2本の間に白帯を加えた識別線、助役(副工場長・科長・総括助役を含む)は黒帯2本の識別線がヘルメットに付きます。
一般の検修員(車両技術主任・車両技術係・車両係)や、検修員を教育するエキスパート職(技師・技師補)は黒帯1本です。
ちなみに識別線の色は職種によって異なり、輸送職駅員は赤帯、工務社員(保線・建築・機械)は青帯、電気社員は緑帯となります。
運転所・運輸所で仕業検査・交番検査・機動検査に当たる検修員は、工場勤務と同じ黒帯がヘルメットに付きます。
《ブログ内関連記事リンク》
こちらが2023年度一般公開のイベントマップ。
東西南北がほぼ逆転した平面図です。
これも例年どおりの話ですが、事前告知のプレスリリースには詳細なタイムテーブルを載せないため、各種イベントの予定時間は当日になって初めて分かるのです。
今回は残念ながら鋳物作業場が立入禁止になってしまいました。
《ブログ内関連記事リンク》
入場して早々、驚きの光景に出くわしました。
何と引退したキハ281-901が25番線に留置されています!
キハ281系はJR北海道初の振り子式車両として1994年3月1日にデビュー。
以来28年間に渡り函館~札幌間を結ぶ特急列車として活躍しましたが、老朽化に伴い2022年9月30日に定期運用を終了。
その後、2022年10月22日・23日に臨時列車「スーパー北斗」に充当され、本運用を以って引退となりました。
試作車のキハ281-901は引退直前の2022年8月30日、スカートを銀色に塗った新製時の塗装デザインに復刻されました。
今回の一般公開では「スーパー北斗」のヘッドマークを掲出していました。
乗務員室の側面にも「HEAT281」のロゴを復刻。
キハ281-901を後ろ側から眺めた様子。
引退から1年が経とうとしているキハ281-901。
いつ廃車解体されてもおかしくない訳ですが、未だ健在である事に驚きました。
分割民営化後の創意工夫が詰まった車両ですから、静態保存されたら良いなあ・・・と期待を寄せてしまいますね。
せっかく苗穂工場にいるので、赤レンガの機関車検修場とのツーショットも狙います。
しかし人通りが多いため上手く決まらず。
キハ281-901を眺めた後は構内を南下。
「今年こそは工場ツアーの参加資格を獲得するぞ!」と躍起になって受付に急ぎました。
※写真は全て2023年9月9日撮影
スポンサーサイト
最終更新日 : 2023-09-22