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2023-06-23 (Fri) 21:04

土讃線大歩危駅[2] 吉野川の渓谷は妖怪・子泣き爺の出身地

大歩危駅a101

引き続き徳島県は三好市西祖谷山村字徳善西(旧:三好郡西祖谷山村字徳善西)にある、JR四国の大歩危(おおぼけ)駅を取り上げましょう。
駅の大まかな歴史、駅舎内の様子については既に書いたとおりです。
今回は駅構内のホーム側を見ていきましょう。



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ホーム側から駅舎を眺めた様子。
入母屋屋根のトタン板に駅名をでかでかと書いています。



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改札口に注目!
かの有名な子泣き爺の木彫り像が立っているじゃあないですか!



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子泣き爺(児啼爺)は大歩危峡の一角・山城町上名に伝わる妖怪です。
民俗学の権威・柳田國男も著書『妖怪談義』で取り上げています。
本来は老人の姿をしていますが、夜道で赤ん坊のような泣き声を上げるのです。
それを発見した人が捨て子だと思い、憐れんで抱き上げると体重が次第に重くなり、しがみつかれて命を奪われてしまうのだといいます。

やがて水木しげる先生が『ゲゲゲの鬼太郎』において、鬼太郎の仲間として描くと人気が出て日本全国にその名が知れ渡りました。
しかし阿南市の妖怪研究家・多喜田昌裕さんが調査を重ねると新事実が発覚。
何と子泣き爺にはモデルとなった実在の人物がいたのだそうな。
その老人は赤ん坊の声を真似た奇声を上げつつ徘徊しており、地元では親が子供を叱る際に「あの爺さんがやって来るよ」などと言って怖がらせたといいます。
そこに様々な妖怪の特徴が加わって柳田先生に伝わり、今の妖怪・子泣き爺を形作っていったというのが有力説です。


JR四国 国鉄 JR貨物 無人駅 駅長 制帽 土讃本線 臨時列車
大歩危駅a106

地元住民の団体である「JR大歩危駅活性化協議会」の働きかけにより、大歩危駅では2011年4月から子泣き爺が駅長を務めています。
頭にはJR四国の制帽を着用していますが、本物の制帽に比べて歪みまくっており、流石は妖怪駅長といったところ。
ちなみに『ゲゲゲの鬼太郎』の作中では、鬼太郎が一瞬だけ京王線の駅長に化けた事がありました。
水木しげる先生は鳥取県境港市の出身ですが、上京してから亡くなるまで京王線沿線の調布に住んでいたのは有名な話ですね。


1000型 1000形 JR四国 気動車
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子泣き爺は駅前ロータリーの擁壁にも姿を見せています。
擁壁の脇には保線資材置き場の出入口があるため、ご覧の通り列車と子泣き爺のツーショットを狙えます。



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擁壁にはアンパンマンも描かれています。
子泣き爺とアンパンマンの共演・・・何だかシュールです。



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改札口の左脇には観光列車「四国まんなか千年ものがたり」のロゴマークを掲げています。



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改札口の右側で子泣き爺と共に並ぶのは、駅事務室を改装した観光案内所の玄関。
その頭上には「ほっと案内所」との表札を掲げています。



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観光案内所には運転事務室の大窓も残っています。
自動信号化する前は運転事務室にタブレット閉塞器を置き、当務駅長が構内を見渡しながら運転取扱いに当たっていました。



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玄関引き戸には徳島県の名所を描いたステッカーを貼っています。
上のステッカーは「祖谷渓の小便小僧」ですね。
その昔、地元の子供達が度胸試しとして大断崖に登り、そのてっぺんで立ち小便をしたそうです。
この逸話を基に小便小僧の像を置いたのだといいます。
大歩危駅から小便小僧までの道程は13.2kmです。



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駅舎とプラットホームを結ぶ構内踏切。
遮断機と警報機を備えています。



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構内踏切の脇には古い木マクラギで作った舟が一艘。
その上には2体の妖怪、エンコと一つ目入道が乗っています。
エンコは四国における河童の呼び名で、漢字で書くと「猿猴」となります。
一つ目入道は豪雨の時に建物を川に落とす妖怪です。



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妖怪達の背後には前回記事で取り上げた旧国鉄アパートがあり、そのベランダには「ようこそ大歩危駅へ」との横断幕を掲げています。



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大歩危駅を出発する琴平行きのキハ1000型。
妖怪達は線路を向いて列車の出迎え・見送りをします。



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構内踏切とプラットホームはスロープで繋がっています。



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こちらはスロープの脇に設置されたのりば案内。
真ん中には入母屋屋根の和式駅舎をデフォルメしたキャラクターを描いています。



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島式ホーム1面2線と単式ホーム1面1線を組み合わせた、いわゆる「国鉄型配線」の駅構内。
駅舎側から1番のりば、2番のりば、3番のりばの順に並び、何れも上下発着線となっています。
島式ホームは盛土式で20m車5両が収まる程度。
単式ホームは桁式で20m車3両分が収まる程度で、その眼前には渓谷が広がります。



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島式ホームの中間には旅客上屋があります。
V字に窪んだベンチが目を惹きますね。



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旅客上屋の東側には「祖谷のかずら橋」を模した吊り橋があります。
祖谷のかずら橋は西祖谷山村(にしいややまそん)の祖谷渓に架かる橋です。
シラクチカズラの蔦を45mに渡って編み連ねた吊り橋で、国の重要有形民俗文化財に指定されています。



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吊り橋には「祖谷のかずら橋 所在地 西祖谷山村字善徳 車で20分」との案内板を出しています。
大歩危駅こそが「祖谷のかずら橋」の最寄り駅なのですが、その道程は10.4kmもあります。
しかも険しい坂道が続くので徒歩は厳しく、楽に行くならタクシーに乗り換える事になりますね。



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3番のりばにも「祖谷のかずら橋 ここで下車してください」との看板が立っています。



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子泣き爺が見守る中、島式ホームに並んだ1000型の普通列車2本。
ワンマン運転の普通列車が多い土讃線ですが、1番のりばの土佐山田行きは2両編成で車掌が乗務していました。



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1番のりばに入線する岡山行き特急「南風」の2700系。



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大歩危駅での集札に素早く対応するため、上り特急列車の車掌は編成前方の乗務員室から車外に出ます。
この時の「南風」は5両編成で、車掌は前から2両目(4号車)に乗っていました。
ホームに降りると前後を指差確認し、それからドアを開けて構内踏切前に駆け込みます。



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ホーム上の駅名標。


※写真は全て2023年5月5日撮影
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最終更新日 : 2023-06-23

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