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2023-04-07 (Fri) 21:21

石巻線石巻駅[6] 東北ロジスティクスによる貨物列車の機回し作業

石巻駅a501

引き続き宮城県は石巻市鋳銭場にある、JR東日本の石巻(いしのまき)駅を取り上げましょう。
駅の大まかな歴史については第1回で書いたとおりです。
第4回、第5回では各プラットホームを見ましたが、今回も引き続き駅構内を観察していきましょう。



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駅構内東側、3番線ホームを抜け切った所に平屋のコンクリート建築があります。
パッと見は操車関連の運転事務室といった趣きですね。



石巻駅a503

玄関には「株式会社ジェイアール貨物・東北ロジスティクス石巻事業所」との表札を掲げています。
ジェイアール貨物・東北ロジスティクスはJR貨物の100%子会社で、2023年4月現在は212名もの社員が在籍。
元々は1995年4月1日に東北フレートサービス㈱として創業し、2006年8月1日に現社名へと改称しました。
仙台貨物ターミナル駅構内(旧:宮城野駅)に本社を置き、東北地方においてコンテナの販売・貸出、月極駐車場やコイン洗車場の運営、駅業務の一部受託といった事業を展開しています。
このうち駅業務については操車作業(車両入換・機関車誘導)、フォークリフトによるコンテナの積卸、貨物フロント(貨物受付・輸送枠調整)、コンテナ操配を引き受けています。


石巻駅運転事務室 石巻駅構内 JR東日本 国鉄 JR貨物 仙石線 石巻線 JR北海道
石巻駅a505

石巻事業所は仙台支店に属する現業機関です。
石巻駅構内の本所に加え、出先機関として小牛田駅構内に「小牛田派出所」を設けています。
このうち本所では石巻駅における貨物列車の操車業務、石巻港駅における操車・荷役作業などを受託しています。


構内踏切 車両基地 操車 業務委託駅 受託業務
石巻駅a504

石巻事業所の正面には業務用の構内踏切があります。
遮断機の類は一切無く、路面に「指差確認」の注意書きを施しています。


操車係 駅員 操車掛 運転取扱業務
石巻駅a506

東北ロジスティクスの操車係はヘルメット、上着、ズボンに至るまで、全身真っ青な制服に身を包むため大変目立ちます。
ヘルメットの正面には社名の略記である「TL」をあしらった社章が付きます。
親会社のJR貨物ですと、駅員は紺色を基調とした制服上下に身を包み、ヘルメットも白・黄色の2種類なので全然デザインが違いますね。



石巻駅a507

さて、石巻駅は国鉄時代の1971年11月30日、釜駅(現:石巻港駅)への貨物集約に伴い貨物フロントを廃止しています。
以降は当駅で一切の貨物を取り扱っていないのにも拘らず、JR貨物の子会社が駅構内で操車作業を受託しているのです。
それは何故かというと貨物列車のスイッチバックが必要になるからですね。

現在、石巻駅に乗り入れる貨物列車は、石巻線小牛田方面と仙石線貨物支線(石巻臨港支線)の直通列車に限られます。
駅の西側では石巻線と仙石線が二手に分かれており、これが貨物列車を運行する上でネックになっているんですね。
すなわち小牛田方面から石巻港駅に向かう場合、途中の石巻駅で方向転換をしなければ仙石線に乗り入れられないのです。
逆もまた然りで貨物列車が入線する都度、機関車の連結位置を入れ替える作業、すなわち「機回し」を実施する事になります。
この機回しに伴う機関車の誘導を担当するのが、東北ロジスティクス石巻事業所の操車係という訳ですね。



石巻駅a508-1

石巻駅a508

青ずくめの操車係は無線機を使い、機関車の運転士に入換合図を送ります。
「前オーライ(前へ進め)」「後オーライ(後へ進め)」「やわやわー、やわやわー(速度を節制せよ)」「ちょい前(わずかの進退をせよ)」「とまれー、とまれー(停止せよ)」といった合図用語を使い、機関車を所定の位置へと誘導します。



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貨物列車が停止位置に着くまで、操車係は無線機ごしに入換合図を出し続けます。



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貨物列車が停止したら、すかさず解結作業を実施。
石巻駅の操車業務は基本的にワンオペです。



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切り離された機関車の下り方デッキに操車係が乗り込むと、構内東側へと誘導。


DE10形3510号機 DE10-3510 国鉄型ディーゼル機関車
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石巻線の下り出発信号機を過ぎた辺りで一旦停止します。


DE10形3510号機 DE10-3510 国鉄型ディーゼル機関車
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操車係は上り方デッキに移り、運転士に対し「前オーライ」と呼びかけます。


DE10形3510号機 DE10-3510 国鉄型ディーゼル機関車
石巻駅a514

機関車は構内を西へと進んでいきます。


DE10形3510号機 DE10-3510 国鉄型ディーゼル機関車
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操車係は前方を注視する間も、非常事態に備えて無線機を手にしています。



石巻駅a516

機回しが完了すると貨物列車は出発。
この一連の流れを遂行するには操車係と運転士の連携が欠かせません。



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もちろん石巻駅には信号を取り扱う駅員も勤務しています。
駅構内に入換信号機と入換標識(線路表示式)を備え、入換中の車両に対し進路の開通を表示します。



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ここでもう一度、駅構内東側を見てみましょう。
東北ロジスティクス石巻事業所の隣には、2階建てのコンクリート建築がありますね。


駅輸送業務 石巻駅信号扱所
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この建物こそがJR東日本に属し、駅構内の信号機を統べる「石巻駅信号扱所」です。
2階に継電連動装置を備えており、信号担当の駅員が構内を見渡せるよう窓を大きく取っています。



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線路向かいの広場から信号扱所を眺めた様子。
石巻駅は常時運転取扱駅なので、駅員も24時間体制で信号扱いに当たります。



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鋳銭場の商店街から信号扱所を眺めた様子。
2階に直通する外階段を設けています。



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階段前には「関係者以外立入禁止」の注意書きを掲げています。



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信号扱所の南側には大和リース㈱が運営する「Dパーキング石巻駅前バス駐車場」があります。



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こちらは3番線ホーム東端と信号扱所、東北ロジスティクス石巻事業所を繋ぐ業務用通路。
金網の門扉には「一般の通行禁止」「開放厳禁」といった注意書きを掲げています。



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門扉ごしに各詰所を眺めた様子。



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信号扱所の更に東には蓄電池設備を格納した小屋と、社用車を入れる車庫が並んでいます。
駅の社用車は被管理駅を巡回したり、本線上での障害対応に向かう際に使います。



石巻駅a530

長くなったので今回はここまで。




※写真は全て2022年9月23日撮影
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最終更新日 : 2023-04-13

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