胆振管内は苫小牧市若草町2丁目にある「白鳥王子アイスアリーナ」。
室蘭本線苫小牧駅から徒歩11分という好立地の屋内競技場です。
元々の名称は「白鳥アリーナ」ですが、苫小牧に工場を構える王子製紙の親会社・王子ホールディングスがネーミングライツを取得し、2015年4月1日より現在の名称となりました。
このネーミングライツは4年契約で、2019年4月1日の契約更新により2023年3月31日まで延長しています。
当施設はアジアリーグアイスホッケーに属する「レッドイーグルス北海道」(旧:王子イーグルス)の本拠地でもあり、晩夏から春にかけてのシーズン中は観戦客で賑わいます。
アイスホッケーの試合は第1ピリオド・第2ピリオド・第3ピリオドで構成し、1ピリオドの所要時間は20分間、3ピリオド合わせて60分間と定めています。
更に15分間の休憩時間(インターミッション)を2回設けており、これらを含めると試合時間は90分間となります。
また、試合開始前に選手達がスケートリンクに出てウォームアップを行なうため、これを見ようと早めに会場入りするファンも少なくありません。
ウォームアップや試合本番では選手達が激しく動き回ります。
するとスケートの刃がリンクの氷面を削り、デコボコとした溝を作ってしまうのです。
この溝が出来ると滑りにくくなり、放置して溝が更に深まると転倒事故を誘発しかねません。
そこで試合中のインターミッションを利用し、整氷車を走らせて氷面がフラットになるよう整える訳ですね。
具体的にはデコボコとした氷の表面をブレードで削り、その後に水をまいていきます。
この作業を走りながら繰り返す事で氷面がならされ、まいた水が凍ればリンクは再び平らになるのです。
白鳥アリーナで使用しているのは、アメリカのザンボニー社(ZAMBONI)が製造するモデル。
創業者のフランク・ザンボニー(Frank Joseph Zamboni Jr.)はイタリア系移民の息子で、スケートリンクの経営者だった1949年に整氷車を発明したそうです。
従来なら5人で90分を要した整氷作業は、整氷車の導入により1人15分で済むほどに合理化できました。
そして整氷車の製造・販売を展開するべく、1950年に設立したのがザンボニー社という訳ですね。
同社製の整氷車は「ザンボ」と呼ばれる事もあります。
白鳥アリーナの整氷車はピンク・紫・白のスリートーンという鮮やかな塗装。
他所のスケートリンクでは見られない専用塗装ですね。
この塗装パターンを基本として、2015年頃は王子サーモンの車体広告をラッピングしていました。
白い車体下部も当時は1面オレンジ色にラッピングし、白抜きで鮭のイラストを描いていましたね。
試合中は2台1組でリンクを周回する整氷車。
昔は2台とも専用塗装だったのですが、2019年頃から1台だけ白と藍色のメーカー標準色に変わってしまいました。
作業が終わると整氷車はバックヤードに戻っていきます。
撮影当日は「H.C.栃木日光アイスバックス」との対戦で、『ゴールデンカムイ』TVアニメ版とのスペシャルコラボレーションデーでもありました。
ゲストに呼ばれたのは「不死身の杉元」こと杉元佐一を演じる小林親弘さん、「脱獄王」白石由竹を演じる伊藤健太郎さんのお2人。
どちらも声優と舞台俳優を兼ねた名役者で、本人登場に観客席は大盛り上がりでしたね!
2大声優による選手入場コールも聞けて最高でした!
伊藤健太郎・・・といっても、ひき逃げ事故を起こした若手俳優とは同姓同名なだけで全くの別人です!
誤解のなきようご注意を!
あちらさんは何を思って「健太郎」から「伊藤健太郎」に芸名を変えたのやら。
イトケンの出演予定をネットで調べようとしたら、検索結果に若手俳優の情報が多く出るようになってしまい困った事もありましたw
仲間内では「検索妨害だ」などと語り合ったものです。
インターミッションでは余興として、2大声優と地元の女の子がシュートを競い合いました。
しかしそこはリンク慣れした「氷都・苫小牧」の子供ですから、大の大人とはいえ東京から来た2人に負けるはずがなくw
観客席では「祝・再創生 ガンバレ野田先生」との横断幕を掲げるファンも。
野田サトル先生が『ゴールデンカムイ』の連載を終え、次に目指すのは『スピナマラダ!』の再創生です。
『スピナマラダ!』は2011年~2012年、野田先生が苫小牧を舞台に描いたアイスホッケー漫画。
10年近いアシスタント生活を経ての初連載でしたが、ヤングジャンプ読者の反応は薄く全6巻で打ち切りとなりました。
野田先生にとっては20代後半の貴重な時間を費やした作品であり、『ゴールデンカムイ』が売れたらリベンジしたい、完全版として再び描きたいと思っていたそうです。
その新連載は2023年春に予定しており、地元・苫小牧でも期待が高まっています。
私も凄く楽しみです!
白鳥アリーナには苫小牧のご当地キャラ、クラップダイナソー寺野さんも来ていました。
スネ毛の生えた生足がセクシーと評された寺野さんですが、諸般の事情によりタイツを穿くようになったそうな。
しかも見てください、この足!
何と親分の刺青人皮じゃあないですか!?
『ゴールデンカムイ』のキーアイテムである金塊の暗号、刺青人皮を足に入れたのは若山輝一郎だけ!
何せ上半身にはヤクザ特有の倶利伽羅紋紋を彫っていますからね・・・。
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう(雑誌掲載時のアオリ)
JR北海道 国鉄 JR貨物 保線区 株式会社蒼建軌道工業 室蘭本線 日高本線 千歳線
蒼建軌道工業の本社ビル
Googleマップのストリートビューより引用
話は変わりますが2023年1月31日、苫小牧市内の㈱蒼建軌道工業が事業停止しました。
社名の「蒼建」は「そうけん」と読みます。
同社は2007年に創業した軌道工事業者で、2010年4月に株式会社化。
資本金は500万円、従業員数は25名で、北海道軌道施設工業㈱の協力会社でした。
沼ノ端駅に程近い東開町4丁目に本社を構え、主に室蘭保線所管内での保線作業(軌道補修工事・軌道改良工事など)を受注してきました。
近年は七飯町に「函館出張所」を新設し、北海道新幹線の保線作業にも携わりました。
しかし工事予算が厳しく、最近は受注不振も重なって資金繰りが悪化していたそうです。
JR北海道 国鉄 JR貨物 保線区 株式会社蒼建軌道工業 室蘭本線 日高本線 千歳線
イオン苫小牧店の近くにある北海道軌道施設工業㈱苫小牧出張所
Googleマップのストリートビューより引用
受注不振は日高本線の不通・廃止に加え、同業他社との競合が影響しているのだろうと思います。
事実、苫小牧市内では㈱ユイットワークスという会社も保線作業を受注しています。
ユイットワークスは農業ヘルパーや軽作業スタッフ等の人材派遣を核としつつ、建設、船舶修繕、アウトソーシングと多角的に事業展開しています。
保線作業については軌道事業部が受け持っており、自前で軌道工(日給月給制の保線作業員)を雇っています。
また、元請けの北海道軌道施設工業㈱はJR北海道の子会社で、こちらもマクラギ更換・レール更換・道床更換などの保線作業を担当する「苫小牧出張所」を設けています。
同社は国鉄時代から道内各地の鉄道工事を請負ってきた建設会社で、元請けという立場でありながら保線作業員を正社員または軌道工として雇用しています。
蒼建軌道工業が「函館出張所」を設けた渡島管内も、㈱丸工軌道工業や道南軌道㈱、㈱匠 函館支店といった同業他社がJR線の保線作業を請負っています。
函館市電に進出するという選択肢もあるでしょうが、そこも㈱カネス杉澤事業所をはじめ㈲翔栄工業、㈲ヤマタツ北辰工業などが保線作業に当たっています。
岩見沢の㈱猪股組や名寄の第一建設㈱みたいに、保線作業と並行して道路工事や外溝工事なども受注している会社は企業体力があるでしょう。
しかし蒼建軌道工業は保線以外の事業展開が一切無く、道内の鉄道を取り巻く状況に上手く対応できなかったのかも知れません。
車両基地 苫小牧運転所 建設会社 請負業者
蒼建軌道工業の本社敷地
Googleマップのストリートビューより引用
2018年3月期に約2億円を記録した売上高も、2022年3月期には約1億円に半減。
負債額は約1億円に上り、遂には自己破産に至りました。
みずほ綜合法律事務所に事後処理を一任し、現在は破産手続開始の申立準備中だそうです。
まだ若い会社の倒産は誠に残念だと思います。
※写真は特記を除き2023年3月4日撮影
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最終更新日 : 2023-03-11