引き続き空知管内は雨竜郡沼田町北1条3丁目にある、JR北海道の石狩沼田(いしかりぬまた)駅を取り上げましょう。
既に書いたとおり沼田町開拓の祖・沼田喜三郎が留萌本線の誘致に関わっており、同氏が寄贈した5,000坪の土地に石狩沼田駅が建設されました。
今回は駅舎の中に足を踏み入れましょう。
まずは正面玄関の風除室。
ここも待合所として使えるようにベンチを設置しています。
風除室には2018年3月17日ダイヤ改正から、JR北海道が深川~石狩沼田間で運行している「函館線接続バス」の利用案内ポスターを貼り出しています。
高校通学日の朝に上り1本(深川行き)だけ運行しており、留萌本線の通勤通学定期券を持った人に利用対象を限定しています。
運行ダイヤは以下の通りです。
石狩沼田6:50始発→(北秩父別は通過)→秩父別7:00発→(北一已は通過)→深川7:25終着
このバスは函館本線2320M(深川7:41始発・岩見沢行き普通列車)との接続を図るべく設定したもので、深川から更に先の滝川・砂川方面へ向かう通学客に配慮しています。
なお、深川市内への通学ならば7:29発の4922D(留萌6:47始発・深川行き)で十分間に合います。
こちらは赤い羽根共同募金のポスター。
撮影当時は2021年4月でしたが、2020年度版のポスターを貼ったままでした。
沼田町では500円を寄附するとクラウス15号蒸気機関車のピンバッジを進呈していました。
その後の2021年度版は観光名所「ほたるの里」、2022年度版は史跡「本願寺駅逓」をピンバッジに採用しています。
JR北海道 国鉄 JR貨物 北陸本線
コンクリート駅舎 待合室
コンクリート駅舎 待合室
コンクリート駅舎 待合室
待合室の様子。
風除室に比べて天井が低いですね。
壁の大部分はコンクリートブロックの地肌が剥き出しです。
出札窓口 手小荷物窓口 精算所 改札口 チッキ台
窓口側を眺めます。
左から出札窓口、手小荷物窓口、精算所(改札口)の順に並んでいますね。
手小荷物窓口と精算所は板で塞がれています。
出札窓口は駅員3人分の窓枠を設けていますが、今や真ん中の1ヶ所しか開いていません。
国鉄時代は朝夕ラッシュや繁忙期に、全ての窓口を開いて乗車券類を売る事もあったのでしょう。
前回記事でも触れたとおりですが、石狩沼田駅は1998年5月から地元関係者に切符の販売を任せる「簡易委託駅」となっています。
窓口営業時間は7:20~13:40と短く、しかも8:15~9:15と11:25~12:35の2回に分けて休憩時間を取ります。
定休日は土日祝なので、定期券を購入する高校生や、深川市内の病院に通う地元住民のためにしか営業していないようなものでしょう。
少なくとも他所から来る旅行者の利用は視野に入れていないはず。
こちらは窓口の休業日を示したカレンダー。
赤い斜線を引いた日がお休みですが、祝日ではない2021年3月5日(金)までも休業扱いにしていますね。
駅務長(委託駅員)の都合次第では、このように臨時休業を設定する事もあるようです。
簡易委託駅なので改札業務は契約に含まれません。
「当駅は改札をいたしておりませんので列車の発車時刻になりましたら、ご自由にホームへお通り下さい」との案内を貼っています。
こちらは沼田町役場が設置した、切符の購入に関する但し書き。
以下に本文を抜粋しましょう。
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石狩沼田駅でのJR切符購入のお願いについて
現在の石狩沼田駅は、深川駅から依頼された嘱託職員によって切符販売や清掃作業等が行なわれています。こうした形式で運営されている駅は珍しいとの事ですが、町としても利用者の利便を確保する上から、今後とも現状の状態を維持いただくことが必要と考えており、そのためには沼田駅の利用実績を確保することが必要です。
沼田駅では、札幌、旭川へのSキップを含め、道内各駅への切符を購入することができますので、今後においてもJR切符、定期券等を購入される際には、是非とも沼田駅をご利用下さいますようご理解とご協力をお願い致します。
★切符販売時間 午前7時20分から午後1時40分
(職員が一人のために不在の場合もあります)
沼田町
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この貼り紙だけ読むと沼田町役場の職員が駅務長として働いているように思えますが、実際は「地域おこし協力隊」の隊員が出札を担当しています。
出札棚の右端には沼田町が発行した「JR乗り方冊子」を備えています。
少しでも鉄道利用を増やそうという役場の意図を感じられます。
傍らには「JRに乗り続け隊」のロゴ。
沼田町役場は2020年2月から「JRに乗り続け隊サポーター」を募集しており、加入特典として留萌本線を中心とする利用促進活動、関連イベントなどの案内をしています。
掲示板と化した手小荷物窓口と精算所。
窓口は封鎖されましたが、チッキ台と精算棚は健在です。
チッキ台の前にはJRへの意見などを募るメッセージボードがあります。
「来年もJRで通学できますように」「病院に行くのに電車を利用していたのでなくさないで下さい」「急に運休になることもあるので代替バス等の対応をしてほしい」など、地元住民が思いのままにメッセージを寄せています。
精算所の脇に置かれた駅ノート。
これも地域おこし協力隊が設置したのでしょうか、表紙にファンシーな装飾を施し一般的な駅ノートとは一線を画しています。
精算所の掲示板はローカル色の濃い掲示物が揃っており、見応えがありますね。
出札窓口の向かいにはトイレがあります。
以前は管理駅である深川駅がトイレットペーパーを設置していましたが、経費節減により設置できなくなってしまいました。
現在は深川駅に代わって、沼田町役場がトイレットペーパーを設置しています。
しかし困った事にトイレットペーパーの盗難が多発しているそうです。
痺れを切らした役場は「よ~く考えよう!1ロール30円で購入するのと、窃盗罪で20万円の罰金(判決実例)と あなたはどちらを選びますか?」と、なかなかにエスプリの効いた警告文を出しています。
役場の予算を投じたトイレットペーパーを盗む訳ですから、窃盗犯は税金泥棒という事にもなります。
税金泥棒を許すな!
待合室には灯油ストーブを設置しています。
寒いからといってこのストーブに触る輩が多いらしく、消防法に抵触するとして石狩沼田駅管理人(つまり地域おこし協力隊員)の名義で警告文が出ています。
危険なので絶対にやめましょう。
そんなストーブの頭上にはクラウス15号の現役時代を記録した写真が飾ってあります。
かつて沼田町内の恵比島と昭和炭鉱を結んだ留萠鉄道炭礦線で活躍しました。
留萌炭田の数少ない遺産と言えるカマですね。
長くなったので今回はここまで。
《ブログ内関連記事リンク》
留萌本線石狩沼田駅[2] 駅事務室を拠点とする地域おこし協力隊員
※写真は全て2021年4月3日撮影
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最終更新日 : 2023-01-29