北海道を代表する空の玄関口、新千歳空港。
国内線ターミナルビルの3階は飲食店がひしめいており、駐機場や誘導路などを一望できるフードコート、道内の人気ラーメン店が集う「北海道ラーメン道場」などがあります。
そんな3階の一角には「市電通り食堂街」なるコーナーも。
念のため申し上げておきますが、実際に千歳市内を路面電車が走った事はありません。
市電通り食堂街は2011年7月15日の空港リニューアルに伴いオープン。
昭和北海道の商店街をイメージした装いが目を惹きます。
写真手前の左側は釧路の日本料理店「ふく亭」が営む釜飯屋、右側は函館の回転寿司屋「函太郎」の新千歳空港店です。
ちなみに「函太郎」のテナントは元々、同じく回転寿司の「根室花まる」が入居していました。
「根室花まる」は札幌のスナックを前身に持ち、根室市内で開業したという変わり種です。
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もちろん「市電通り」というほどですから、床には線路が敷かれています。
しかし直線的なルートなのに不自然なスラロームを描いています。
市電通りの奥には転車台(ターンテーブル)らしきサークルがあります。
日本国内の路面電車で転車台って聞いた事が無いですね。
海外ではアメリカ・サンフランシスコの路面ケーブルカーが転車台を設けているくらいかな・・・?
オープン当初はスッキリとしていた転車台ですが、現在はフードコート化したため食卓が並びます。
転車台の傍には石造りのレトロな車庫があり、「親子電車」の愛称で親しまれた札幌市電M100形が顔を出しています。
このM100形は実車そっくりに作ったレプリカのカットボディです。
本物のM100形は1961年にM101号車の1両だけが製造され、当初はTc1形Tc1号車と連結して市内を走行。
1970年10月にM101形のみワンマン化改造を受け、連結運転を取り止めました。
その後は車体に白帯を纏うなどのマイナーチェンジを重ね、2021年10月31日のラストランを以って引退しています。
前面方向幕は昭和レトロを意識してか旧名称の「千歳飛行場」を表示しています。
そんなM100形レプリカは車内に入る事が出来ます。
新型コロナウィルス対策のため、前ドアの左脇には「密接をさけよう」との注意書きを貼っています。
前ドアから車内を眺めた様子。
昔懐かしい「バス窓」も見事に再現。
座席も実車に則して橙色のモケットを張り、端っこに曲線状の手すりを設けています。
「市電通り食堂街」のオープンから12年近く経つので、モケットの汚れが目立ちますね・・・。
座席に座って運転台を眺めた様子。
狭い車内の圧迫感を軽減するためか、実車にある乗務員室仕切りを省略しています。
縦軸式の運転台。
こちらは精巧に作り込んでいます。
心無いイタズラに遭ったのか、ワンマン運転用ドアスイッチの表示ランプが欠損しています。
復元されると良いのですが・・・。
M101号車は1981年以降、一切の車体更新を施していなかったため、ツーマン運転・ワンマン運転の切り換え設備が残っていました。
新千歳空港のレプリカも実車同様に「ツーマン」「ワンマン」の表示灯が付いています。
運転台左端には電流計や自動放送装置、肉声放送用のマイクジャックがあります。
運転台右端にもスイッチ類が色々。
M100形レプリカはよくあるテーマパークの単なる飾りとは違い、随所に製作者の並々ならぬこだわりが窺えます。
しかし降車ボタンは何故か札幌市電で採用されていないオージ製WS-230S。
ボタンを押すとランプが反転表示します。
実車はメーカー不明の四角いボタンを装備しています。
運転台の右上には1本の紐が垂れ下がっています。
「ロープを引くとベルが鳴ります」との札から分かるとおり、これは往年の「チンチン電車」を再現するための装置ですね。
要するに運転士と車掌が、互いの連絡合図に使っていたベルを鳴らす紐なのです。
ベルは天井に設置されています。
「市電通り食堂街」のオープン当初は綺麗に「チンチン」と鳴ったものですが、長年の酷使がたたり「ガラ・・・ガラ・・・」という歯切れの悪い音になってしまいました。
何だか2004年頃の東豊線7000形720号車を思い出しちゃうなあ。
札幌市営地下鉄は乗務員間の連絡に電鈴を用いており、車掌が運転士に対し発車を指示する時は「チリン」と1打していました。
ところが720号車は他の編成に比べて電鈴が劣化しており、車掌がボタンを押すと「ガラ・・・」と鈍く鳴っていたのです。
東豊線7000形としては一番若い1994年製であったのにも拘らず。
流石に現場もまずいと思ったのか、2005年頃には電鈴が取り替えられて綺麗に響くようになりました。
あの頃は札幌市営地下鉄の観察も面白かったなあ・・・。
運転台の先には「味噌キッチン」が見えます。
北海道産の味噌をふんだんに使った「味噌料理専門店」ですね。
苗穂運転所
以上、新千歳空港のM100形レプリカを取り上げました。
道内在住の方も、道外から旅行にいらした方も、飛行機に乗る前に足を運んでみては如何でしょうか?
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※写真は全て2022年7月16日撮影
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最終更新日 : 2023-01-15