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2022-12-31 (Sat) 17:07

【苗穂工場】年末の大掃除!混金クズ置き場にフォークリフト現る

苗穂工場(2022年12月)a01

社員達の昼休み中に工場内を俯瞰すると、混金クズ置き場の留置線がカラッポになっていました。
普段は何かしら車両が留置されているのですが、1両たりとも姿を見せないのは珍しいと思います。
一昔前はフラノエクスプレスや711系900番台など、引退して久しい車両達が放置されていたものです。
線路は除雪されていませんが、2本のレールのシルエットがくっきりと浮かび上がっていますね。



苗穂工場(2022年12月)a15
苗穂工場百年史編集委員会(2010)『百年のあゆみ 鉄輪を護り続けて一世紀』p.2より引用

混金クズ置き場は苗穂工場の構内西側に位置します。
上の平面図に赤丸を付けた箇所が混金クズ置き場です。
ここは製修工事の過程で発生した鉄屑や廃材を捨てる場所。
集められた産業廃棄物は宮坂商店㈱、北海道クリーン・システム㈱といった業者が回収し、リサイクルされます。

ちなみに宮坂商店は廃車体の解体作業も受注しています。
一方、北海道クリーン・システムはJR北海道の子会社で、苗穂工場に対し警備員や清掃員の派遣も行なっています。


JR北海道 国鉄 JR貨物 苗穂車両所 札幌交通機械 千歳線 函館本線 苗穂駅 混金クズ置場 ゴミ捨て場
苗穂工場(2022年12月)a02

13:27、混金クズ置き場に1台のフォークリフトがやって来ました。
フォークには古ぼけた鉄製の箱を載せています。


入換機関車 操車 運転取扱業務 DE15形ディーゼル機関車 DL
苗穂工場(2022年12月)a03

構内入換に一区切りを付けて休息中のDE15形をよそに、フォークリフトから荷役作業員が降りました。
この荷役作業員も構内作業員(操車係・構内運転士)と同様、委託業者である札幌交通機械㈱の社員です。
国鉄時代の工場輸送世話掛・工場輸送掛に相当するポジションですね。



苗穂工場(2022年12月)a04

荷役作業員は鉄箱から一斗缶を取り出すと・・・



苗穂工場(2022年12月)a05

・・・トーチカのようなゴミ捨て場に投げ入れました。



苗穂工場(2022年12月)a06

その後、再びフォークリフトに乗り込むと、西端のトーチカ(?)に移動。
するとおもむろに鉄箱をフォークの先端にずらしました。



苗穂工場(2022年12月)a07

そして思い切り鉄箱を倒し、中の廃材を勢い良く塀の隅っこに流し込みます。



苗穂工場(2022年12月)a08

ゴミを捨て切ったフォークリフトは、鉄箱を宙ぶらりんにした状態で来た道を戻っていきました。
11月に比べて混金クズ置き場のゴミが大幅に減っており、年末の大掃除は順調に進んでいるようです。



苗穂工場(2022年12月)a09

フォークリフトのリアには「SKK-61」との管理番号が付いています。
SKKは札幌交通機械の公式略称で、このフォークリフトも同社の資産という訳ですね。
苗穂工場ではJR北海道、JR貨物、SKK、北海道クリーン・システム、これら4社の従業員が入り乱れ働いています。



苗穂工場(2022年12月)a10

この日は苗穂工場の土曜出勤日であると共に、北海道鉄道技術館の開館日でもありました。
正門警備室で入場手続きを済ませると、先ほどのフォークリフト「SKK-61」が立体倉庫へ向かっていきました。
咄嗟にカメラを構え、10ヶ月以上も25番線に留置中のキハ40系400番台と一緒に撮影。
なかなかお目にかかれないツーショットに思わず笑みがこぼれました。



苗穂工場(2022年12月)a17

ちなみにこちらが苗穂工場の立体倉庫。
SKKの荷役作業員は伝票発行などの事務処理を含む倉庫作業全般も担当しています。



苗穂工場(2022年12月)a11

せっかく来たので正門守衛室の掲示板もチェック。
この掲示板は技術館の見学者も自由に閲覧できます。
苗穂工場設備保全科が管理する「事故防止」のコーナーを覗いてみましょう。



苗穂工場(2022年12月)a12

苗穂工場の12月安全目標は「高所作業時の墜落事故を防止しよう」。
実施事項として「高所作業時に無胴綱になっていないことの確認」「脚立・梯子等の設置、昇降時の安全確認の励行」を掲げています。



苗穂工場(2022年12月)a14

JR北海道本社鉄道事業本部の安全啓発ポスターも貼り出し、冬期触車事故防止標語として「雪に隠れる危険の芽 意識を持って再確認」を掲げています。
屋外作業に当たる操車・保線・電気などの係員、請負業者の作業員は一層の注意が必要です。

ポスターのイラストはJR北海道グループに属する建設コンサルタント、ジェイアール北海道エンジニアリング㈱の社員が描きました。
線路に向かうキャラクターはヘルメットや作業服の色調からして、どうやらJR北海道の子会社・北海道軌道施設工業㈱に所属する軌道工(日給月給制の保線作業員)をイメージしたようです。
軌道会社は正社員のヘルメットを白色帽体、軌道工のヘルメットを黄色帽体としています。
ついでに言うと作者の勤めるジェイアール北海道エンジニアリングは白色帽体です。



苗穂工場(2022年12月)a13

こちらは「苗穂工場冬期型労働災害防止ハザードマップ」。
ここ15年間に冬の工場内で発生した労災およびヒヤリハットをまとめています。
例えば「平成19年1月:更衣所前の通路を歩行中に転倒(J)」「平成24年12月:第1旅客車検修場東側通路で、足を滑らせ転倒(セ)」「令和3年1月:凍結した蒸気バルブから蒸気が噴き出す(E)」といった具合に内容を書き、発生箇所を矢印で示しているのです。
なお、文末の「(J)」「(セ)」「(E)」は所属部門の記号です。
Jは部品科、セは設備保全科、Eは内燃機科を意味します。

もちろん苗穂工場で働く子会社社員の労災も網羅しています。
「平成28年2月:計画科玄関に入る際、足を滑らせ転倒(旧工営)」「平成24年3月:第3旅客車検修場北側通路歩行中、8乙下屋の屋根から雪が落ちてきた(旧CYB)」「平成26年1月:第4旅客車検修場2番線南側で作業中、落雪で窓ガラスが割れて飛散(SKK)」といった具合です。
このうち「旧工営」は札幌工営㈱、「旧CYB」は北海道ジェイ・アール・サイバネット㈱を意味し、何れもJR北海道グループの再編に伴いSKKに吸収合併されました。


操車掛 操車係
苗穂工場(2022年12月)a16

2022年も1年間ありがとうございました。
コロナ禍により3年連続で苗穂工場の一般公開が中止になった反動により、夏から冬にかけて苗穂工場関連の記事が多くなってしまいました。
11月に有料の見学ツアーがありましたけど、近隣住民も大勢集まる一般公開の賑わいこそが待ち遠しいのです。
2023年こそは新型コロナウィルスの勢いが落ち、無事に一般公開が再開される事を願います。


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※写真は全て2022年12月24日撮影
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最終更新日 : 2022-12-31

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