JR北海道は社員の年間休日日数を112日と定めており、現業機関によっては不定休のシフト制を組んでいます。
このうち苗穂工場においては非現業(本社・支社)と同じく土日祝定休を基本としつつ、祝日のある週を主な対象として年間10回程度の土曜出勤を設けています。
土曜出勤は北海道鉄道技術館の開館日と被る事があり、その日は構内を行き交う検修員や荷役車両(トラック・フォークリフト)、入場車両の構内入換作業などを間近に見る事もできます。
なお、苗穂工場の勤務時間は日勤のみで、駅や運転所などのような宿直勤務は原則としてありません。
就業時間はJR北海道のプロパー社員が9:00~17:35。
一部業務を受託する札幌交通機械㈱の社員が、プロパーよりも1時間早い8:00~16:35。
何れも休憩時間は60分、実働時間は7時間35分と定めています。
ただし北海道クリーン・システム㈱から派遣されている警備員については、24時間体制のシフト制勤務としています。
JR北海道 国鉄 JR貨物 苗穂工場 苗穂車両所 苗穂駅 函館本線 千歳線 運転取扱業務
2022年12月24日、クリスマスイブ。
この日は北海道鉄道技術館の開館日であると共に、苗穂工場の土曜出勤日でもありました。
12時台の昼休み中、苗穂駅自由通路から工場内を俯瞰すると、第3旅客車検修場前の11番線に入換機関車(DE15形)が待機しています。
よく見るとテールランプが点灯した状態で、昼休み明けに構内入換を控えているものとにらんで様子を窺う事に。
運転取扱業務 DE15形ディーゼル機関車 H100形 庫内運転士
13:00、昼休みが終わると従事員達がぞろぞろと持ち場に戻っていきます。
第3旅客車検修場前にもSKK(札幌交通機械)の操車係員が現れ、DE15形の側面デッキに設けた黄色い箱をまさぐります。
箱から取り出したのはフライ旗。
何と苗穂工場ではカマにフライ旗を積んでいるのです。
苗穂工場には入換信号機の類が一切なく、手旗信号だけで運転保安を守っています。
フライ旗を手にした操車係はDE15形に乗り込みます。
既に運転室では構内運転士がスタンバイしており、13:08に11番線車庫の中へとカマを勧めていきます。
この車庫は2010年代前半に新設された物で、品質管理科が車両の出場検査に使用しているそうな。
13:10、再びDE15形が庫外に姿を現すと、その後ろにはキハ261系1000番台を連結した状態。
いよいよ出場前の構内入換です。
操車係が緑色のフライ旗を横に掲げると、構内運転士はカマを苗穂工場の第三門へと進めます。
・・・と思いきや、10mほど進んだ所で一旦停止。
すると庫内から無線機を持った操車係が駆け込んできました。
どうやら詰所と連絡を取り合いながら、編成後方の監視をしていたようです。
業務委託化 外注化 子会社
2人目の操車係が後側デッキに乗り込むと、前側の操車係が緑旗を大きく振りました。
DE15形は再びゆっくりと動き出します。
出場するキハ261系1000番台は2両。
中間車の車号は視認できませんでしたが、先頭車のフロントガラスには「ST-1208」との編成番号を表示していました。
この事から2両は函館運輸所所属のキハ261-1208、キハ260-1208だと特定できます。
カーブを徐行して2番線に転線。
そして13:11、苗穂工場第三門を通過しました。
赤文字で「部外者の立入禁止」と書いた看板が、第三門の目印です。
ちなみに苗穂工場の門は他に第一門(正門)、第四門、第五門があります。
第二門については2018年11月17日、苗穂駅の移転に伴い閉鎖されました。
操車掛 構内係 誘導掛 誘導係 構内入換業務 操車業務 運転取扱業務 手信号合図
苗穂工場では2003年4月1日に構内入換業務(入換機関車の運転を含む)を外注化しました。
当初は札幌工営㈱が構内入換を受託していましたが、2018年4月1日の吸収合併に伴い札幌交通機械㈱が引き継いでいます。
札幌交通機械は「SKK」を公式の略称としており、ヘルメットにもJRマークではなく社章のSKKマークを掲げています。
なお、構内入換部門のヘルメットには札幌工営時代の識別線(白帯)が残ったままです。
鋳物部門や荷役部門も札幌工営の所管だったので、工営からの移籍者であれば同じく白帯が残ります。
JR北海道のプロパー社員は黒帯入りヘルメット、SKKの生え抜き社員は帯無しヘルメットを着用するので、容易に見分ける事が出来ます。
制服の色もJR北海道はチャコールグレーですが、SKKは群青色です。
入換機関車は苗穂駅自由通路を潜ると、入出場線のポイントを少し超えて停まりました。
すると手旗担当の操車係が先頭デッキから連結側デッキへと移動します。
13:12、スイッチバックして再び苗穂駅自由通路の真下を通過。
手旗担当が構内運転士の「目」となって前方を注視します。
入換車両は苗穂運転所の入区線に面した1番線へ。
第三門には無線機を持った操車係が立ち、スイッチバックするキハ261を見守ります。
遠目で見ても「前オーライ(前へ進め)」「やわやわー、やわやわー(速度を節制せよ)」「ちょい前(わずかの進退をせよ)」といった無線合図の声が聞こえてきそうです。
無線担当が「とまれー、とまれー(停止せよ)」と指示すると、入換車両は3両全てが自由通路を潜り切った所で停止しました。
停止後は解結作業を実施。
DE15形からキハ261系2両を切り離します。
13:13、連結器を切り離したら手旗担当が緑旗を大きく振ります。
これを見た構内運転士はカマを自由通路側へとゆっくり前進。
少し離れて停止したら操車係2人がカマに乗り込みます。
そして手旗担当が緑旗を振ります。
するとDE15形はキハ261系2両を置いて移動。
再びスイッチバックし、今度は2番線、12番線、16番線と転線。
更に転線して17番線へ。
トーチカのような混金クズ置き場を横目に進みます。
この17番線は北海道鉄道技術館の裏手に続く線路なのですが、そこには何と733系が留置中。
入換機関車の次なるターゲットは733系だと分かりました。
留置中の733系は3両固定編成のB-103編成でした。
13:17、連結作業が完了。
DE15形のヘッドライトが光り、これから733系を牽引して第三門へ向かおうとしています。
一方、1番線ではキハ261系2両が未だ迎えを待ち続けています。
苗穂工場の入換機関車は車籍が消滅しているので、本線上を経由し自所に戻るには車籍がある別のカマに連結し直す必要があるのです。
この後も構内入換を眺めましたが、長くなったので今回はここまで。
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※写真は全て2022年12月24日撮影
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最終更新日 : 2022-12-30