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2022-12-10 (Sat) 23:40

五稜郭車両所廃止でどうなる?JRアパート群「港社宅」の7棟

五稜郭駅西のJRアパートa01

2023年3月末の廃止まで残り4ヶ月を切った、JR北海道の五稜郭車両所。
その西側には5階建てのJRアパートが7棟も建ち並ぶ区画があります。
住所は函館市港町1丁目11番地・12番地です。
五稜郭車両所とJRアパート群の間には大型商業施設の「ポールスターショッピングセンター」があります。
北側には市立函館病院もあり、利便性の良い立地と言えますね。



五稜郭駅西のJRアパートa04

このJRアパート群は正式名称を「港社宅」といいます。
1980年前後に建設された「国鉄アパート」を流用しており、どの建物も築40年以上が経過しています。
国鉄時代は五稜郭車両所の前身である「苗穂工場五稜郭車両センター」をはじめ、五稜郭駅(五稜郭操車場を含む)、五稜郭機関区、五稜郭貨車区、函館保線区、函館建築区、函館電気区、函館さん橋有川支所などの職員が暮らしたそうです。
近隣には国鉄物資部の五稜郭配給所も置かれ、国鉄職員とその家族に対し生活物資を配給していました。


JR北海道 国鉄アパート JR貨物 五稜郭工場 五稜郭車両所 道南いさりび鉄道
五稜郭駅西のJRアパートa02

2022年12月現在、港社宅の周辺にあるJR北海道の現業機関は五稜郭駅、五稜郭車両所、函館保線所本所事務室、函館保線所函館保線管理室、函館設備所、函館電気所の合計6ヶ所。
これら現業機関に所属する社員とその家族が港社宅で暮らしているのです。
なお、近隣にはJR貨物の函館貨物駅と五稜郭機関区、道南いさりび鉄道の五稜郭駅店(直営売店)と工務センター(保線・電気)も所在します。
このうちJR貨物は社宅制度を備えていますが函館近郊に自社物件が無いため、JR北海道と借上契約を結んで港社宅を利用しているのかも知れません。



国鉄官舎(五稜郭駅西)
1976年8月3日に撮影された五稜郭駅周辺の空中写真

こちらは1976年8月の五稜郭駅周辺における空撮。
現在のポールスターショッピングセンターから国道235号線の手前にかけて、広大な用地に長屋スタイルの国鉄官舎が建ち並んでいますね。
それはもう夥しい数です!
当時は苗穂工場五稜郭車両センターだけで300人以上の国鉄職員が働いていたそうなので、他の現業機関も含めると1000人は下らなかったのではないでしょうか?
この上空撮影から暫くして官舎の一部が取り壊され、近代的な国鉄アパートに建て替えられたようです。


JR北海道 国鉄アパート JR貨物 五稜郭工場 五稜郭車両所 道南いさりび鉄道
五稜郭駅西のJRアパートa11
JR北海道 国鉄アパート JR貨物 五稜郭工場 五稜郭車両所 道南いさりび鉄道
五稜郭駅西のJRアパートa07

港社宅は集合住宅が東西2列に分かれ、南北に建ち並んでいます。
このうち東列は3棟が並んでおり、何れの棟も1フロア6部屋、合わせて30部屋を設けています。
建屋は南から705号、706号、707号とナンバリングされています。


JR北海道 国鉄アパート JR貨物 五稜郭工場 五稜郭車両所 道南いさりび鉄道
五稜郭駅西のJRアパートa10
JR北海道 国鉄アパート JR貨物 五稜郭工場 五稜郭車両所 道南いさりび鉄道
五稜郭駅西のJRアパートa09

西列は南から701号、702号、703号、704号の4棟が並びます。
東列のアパートよりも大きく、1棟につき1フロア8部屋、合わせて40部屋を設けています。


JR北海道 国鉄アパート JR貨物 五稜郭工場 五稜郭車両所 道南いさりび鉄道
五稜郭駅西のJRアパートa05

7棟とも横長の廊下を配さず、階段踊り場の左右に戸別の玄関を設けた「階段室型」。
共用玄関は東列で各棟3ヶ所ずつ、西列で各棟4ヶ所ずつ設けています。


JR北海道 国鉄アパート JR貨物 五稜郭工場 五稜郭車両所 道南いさりび鉄道
五稜郭駅西のJRアパートa06

これらJRアパートは函館設備所が管理しています。
函館設備所は函館建築所(旧:函館建築区)と函館機械所(旧:函館機械区)を統合し、1990年10月1日に発足した現業機関です。
JR北海道函館支社管内において、各種建築物(駅舎・事務所・車庫・社宅など)と各種機械設備(自動券売機・自動改札機・エレベーター・エスカレーター・空調・ボイラー等)の保守管理、鉄道用地の管理を受け持っています。
ただし北海道新幹線の駅機械設備、青函トンネル内の換気設備・列車火災検知装置などについては函館新幹線工務所機械テーブルの受け持ちです。



五稜郭駅西のJRアパートa03

函館設備所は港社宅の外壁に注意書きを取り付けています。
「野球・サッカー・バレー・テニスなどのボールを壁にぶつけて遊ばないで下さい。壁が落ちたり、穴があきます」と書いていますね。



五稜郭駅西のJRアパートa08

経営難が続くJR北海道はここ数年、経費削減のため組織統合や施設の処分を進めています。
五稜郭車両所の廃止も経営改善の一環で、同所が受け持っていた気動車(函館運輸所・いさ鉄所属)の全般検査・重要部検査も苗穂工場に移管されます。

76人の車両所員については苗穂工場や函館新幹線総合車両所などに配転する予定です。
つまり五稜郭車両所が廃止されると、港社宅のJRアパート1棟分に相当する人数がいなくなるという訳です。
流石に76人全員が港社宅に住んでいるとは限らないと思いますが、それでも結構な人数が港社宅を去るだろう事は想像に難くありません。

跡地は社会医療法人高橋病院に譲渡され、2024年に新病院が完成する予定です。
こうして既に社宅が処分されている訳ですから、五稜郭車両所廃止を機に港社宅でも施設の削減が起きるかも知れません。



五稜郭駅西のJRアパートa12

ちなみに港社宅の北端には「アイン薬局 函館みなと店」があるのですが、同じ建物にJR北海道の子会社、北海道クリーン・システム㈱の函館支店が入居しています。



五稜郭駅西のJRアパートa13

北海道クリーン・システムは国鉄時代の弘済美装㈱を前身とする総合ビルメンテナンス会社です。
函館支店はJR北海道函館支社管内における駅構内・運輸所構内・支社ビル内などの清掃・警備・設備管理を受注しています。




※写真は全て2022年10月16日撮影
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最終更新日 : 2022-12-11

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