引き続き岩手県は八幡平市荒屋新町(旧:二戸郡安代町字荒屋新町)にある、JR東日本の荒屋新町(あらやしんまち)駅を見ていきましょう。
駅の大まかな歴史と待合室は第1回、駅舎の風除室とプラットホームは第2回で取り上げました。
今回も駅構内の見所を取り上げましょう。
花輪線の下り始発列車1923D(盛岡5:00始発・大館行き)は、早朝に盛岡駅から荒屋新町駅まで4両編成で運転されます。
終点の大館駅まで向かうのは前2両だけで、後2両は締切回送扱いとなります。
なお、花輪線は2022年8月14日、豪雨により鹿角花輪~大館間で54ヶ所の路盤流出が生じたため、当該区間の運休と代行バス輸送が続いています。
したがって下り1923Dも鹿角花輪止まりに変更して運行中です。
JR東日本盛岡支社・秋田支社は2023年4~5月頃の運行再開を目指し、不通区間の復旧工事を進めています。
JR東日本 国鉄 JR北海道 JR貨物 分割作業 切り離し作業 解結作業 連結作業 キハ110系
下り1923Dは6:14、荒屋新町駅に到着。
すると盛岡運輸区所属の乗務員4人が前2両と後2両の解結作業を行ないます。
乗務員のうち2人は1923Dに終点まで乗務する運転士・車掌で、もう2人は切り離された後2両に乗務する運転士・車掌。
この時間帯は駅員が不在にしているため、乗務員だけで編成を分割します。
・・・まあ駅員がいるとしても、業務委託駅なので運転取扱資格は無いのですが。
下り1923Dは10分間停車。
出発時刻が迫ると、車掌がホームに出て出発信号機を確認します。
キハ110系 車掌 花輪線 盛岡運輸区 ツーマン運転
乗務員室に入ってカメノコの体勢になったら閉扉操作を実施。
ドアが閉まり、全ての車側灯が消灯すると「側灯滅!」と指差称呼します。
キハ110系 車掌 花輪線 盛岡運輸区 ツーマン運転
6:24、下り1923Dが発車。
車掌は折り返し列車を担当するベテランの女性乗務員達と敬礼を交わします。
キハ110系 車掌 花輪線 盛岡運輸区 ツーマン運転 女性車掌 女性運転士
下り1923Dがホームを抜けていく中、折り返し列車の運転士・車掌は乗務員室へと戻ります。
切り離された後2両は上り1924D(荒屋新町6:59始発・盛岡行き)に充当されます。
荒屋新町駅の窓口営業時間は8:00~15:40なので、こちらも駅員の不在中に出発します。
ここからは駅舎以外の建築物を見ていきましょう。
島式ホームの中間には平屋の待合所があります。
国鉄時代に建てられた待合所ですが、近年のリフォームで外壁に金属サイディングを施しています。
玄関引き戸も開け易いよう大型の取っ手を付けています。
待合室の様子。
如何にも国鉄らしい、壁に密着したベンチが伸びています。
待合所の3番線側は玄関はおろか窓もありません。
1番線ホームの北側には1980年代以降、各地のローカル線に出現した信号用ハットがあります。
この信号用ハットは特殊自動閉塞の導入線区の交換駅に設置されており、室内に閉塞装置を備えています。
大抵は日本信号㈱が製造しています。
荒屋新町駅の信号用ハットですが、製造銘板を見れば1999年4月製造だと分かります。
花輪線は1999年に特殊自動閉塞(軌道回路検知式)を導入しており、同年7月に大更~荒屋新町間、12月4日ダイヤ改正で荒屋新町~大館間が自動閉塞化しました。
ちなみに全区間のCTC化は1999年12月4日に実施しています。
駅舎の北隣には「あばら屋」という言葉がピッタリな木造の小屋。
おそらく利用客から預かった手小荷物の倉庫だったのでしょう。
駅前広場から小屋を眺めた様子。
小さな庇を付けた六連窓が独特です。
小屋と駅舎の間に通路がありますが、手前には「通行禁止」の標識を掲げています。
無断進入を防ぐなら柵を設置するべきだと思うのですが、JRは「駅構内の監視カメラだけでも抑止力として十分」だと考えているのでしょうか?
駅舎の南隣にも木造の倉庫があります。
玄関頭上には「物品保管庫」との札。
国鉄では業務用資材を「物品」や「用品」と称していたので、この倉庫も業務用資材の倉庫だったものと思われます。
ちなみに運転区所や保線区などに置かれる資材管理担当の助役は、区所にもよりますが「物品助役」「用品助役」「資材助役」などと称しました。
例を挙げると青森運転所では物品助役と称していましたね。
北海道総局管内では長らく用品助役と称していましたが、1980年代には資材助役に改称したそうな。
大阪鉄道管理局管内では専ら資材助役と称したそうです。
中には総務助役や経理助役などに資材管理を兼任させる場合もありました。
玄関脇には「担架」のホーロー看板を掲げています。
急病人の搬送に使う担架も、この倉庫に仕舞っていた事が分かりますね。
物品保管庫と駅名標のツーショット。
物品保管庫の南隣にはコンクリートの土台を剥き出しにした平屋があります。
片流れ屋根は大きく傾斜しています。
窓一つ無い様子を見るに、灯油などを保管する危険品庫だったのでしょうか?
真正面から危険品庫らしき建物を眺めた様子。
ホーム上の駅名標。
長くなったので今回はここまで。
《ブログ内関連記事リンク》
花輪線荒屋新町駅[3] 駅員不在で解結作業を行なう下り始発列車と諸施設
※写真は全て2022年9月24日撮影
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最終更新日 : 2022-12-04