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2022-11-01 (Tue) 21:29

【苗穂駅西】東9丁目踏切に出現した「北海道新幹線事業用地」

東9丁目踏切(苗穂)a101

道内唯一の「開かずの踏切」であり、国土交通省も「緊急に対策の検討が必要な踏切」に指定した東9丁目踏切。



東9丁目踏切(苗穂)a105

そんな東9丁目踏切ですが2022年現在、西側(札幌方)に工事現場が広がっています。
ただし「苗穂駅連絡通」の建設工事とは無関係です。



東9丁目踏切(苗穂)a103

出入口の看板には「北海道新幹線事業用地」と書かれています。
用地の管理者はJRTT(鉄道・運輸機構)の北海道新幹線建設局札幌鉄道建設所。
同建設所は2019年4月1日の開設で、札幌市営地下鉄西車両基地(札幌市交通局高速電車部車両課二十四軒検修係)の真上に拠点を置いています。
そして苗穂の事業用地は、JRTTが札幌駅の新幹線用留置線を建設するべく取得した土地なのです。
留置線の正式名称は「札幌車両基地」ですが、一般的な車両基地のイメージに反し小規模な施設となります。


JR北海道 国鉄 JR貨物 北海道新幹線 731系 苗穂駅 函館本線 千歳線
東9丁目踏切(苗穂)a119

JRTTは2030年度の延伸開業を目指し、北海道新幹線新函館北斗~札幌間の建設工事を進めています。
札幌駅のキロ程は新青森駅起点360.3kmですが、更にそこから苗穂まで約1.3kmの高架橋を建設する予定です。

北海道新幹線は車両の配置箇所を既存の函館新幹線総合車両所のみとし、延伸開業後の札幌に総合車両所は新設されません。
とはいえ新函館北斗~札幌間は211.5kmもあるので、円滑な運行が出来るように折り返し検修を実施する施設が必要不可欠。
そこで計画されたのが終点から苗穂まで伸びる「札幌車両基地」という訳です。
すると同車両基地には函館新幹線総合車両所の「派出所」を設置するものと考えられます。

これに関連して、既に2022年5月から現地調査・設計確認などの「技術協力業務」がスタート。
その後、2023年6月~2028年3月の工期で高架橋の建設工事を進め、その上に3本の留置線を敷く事になります。

《外部リンク》



東9丁目踏切(苗穂)a109

東9丁目踏切(苗穂)a107

踏切西側の事業用地を眺めます。
ここはつい最近まで、JR北海道の子会社である北海道ジェイ・アール都市開発㈱が運営していた月極駐車場(ジェイパーキング北3東9)でした。
アスファルト舗装された路面に駐車場時代の面影を残しています。



東9丁目踏切(苗穂)a108

線路寄りに廃材が無造作に置かれています。
留置線の建設工事に先駆け、何らかの解体工事が実施されていたようです。


重機 保線 株式会社猪股組 ショベルカー
東9丁目踏切(苗穂)a110

その奥にはコマツ製のバックホー(PC138US)が留置。
足回りには車輪が無いので軌陸車ではありません。



東9丁目踏切(苗穂)a111

コマツのロゴと一緒に並ぶのは「INOMATA」のロゴ。
これは岩見沢の建設会社・㈱猪股組のロゴですね。
猪股組は1982年1月の設立で、道路・駐車場・ガス管などの工事に加え、JR線の保線作業にも携わっています。
保線作業についてはJR北海道から直接受注するのではなく、北海道軌道施設工業㈱の協力会社として軌道補修工事や分岐器・踏切の改良工事などを請負っています。
つまり受注の流れは「JR北海道→北海道軌道施設工業→猪股組」となる訳です。
普段は岩見沢保線所管内における保線作業を担当していますが、今回は北海道新幹線の建設工事にも動員されたんですね。


東海道新幹線 北陸新幹線 東北新幹線
東9丁目踏切(苗穂)a120

ところで最近の話ですが東9丁目踏切の廃止を巡り、とあるツイッターアカウントが主張する持論が引っかかりました。
ですがそもそも東9丁目踏切の廃止に向けた動きは、2006年に国土交通省が実施した「踏切交通実態総点検」から始まっているんですよね。
それから11年後の2017年、国土交通省が踏切道改良促進法に基づいて「改良すべき踏切道」に指定したのも事実です。
道新の記事もまさに今までの動向を踏まえた内容であり、よく調べもしないで「事実が書いていない」などと嘯くのは如何なものかと思います。

そもそも「新幹線高架の建設工事をするには、すぐ傍を通る在来線の踏切を廃止しなければならない」という訳でもありません。
実際、新幹線高架のすぐ傍に在来線の踏切があるケースは至る所にあります。
ストリートビューでも良いから徳山駅周辺、小山駅周辺、南福島駅周辺、森本駅周辺、西牟田駅周辺などの風景をご覧いただければ、「踏切があると工事の邪魔」というような主張には至らないと思うのですが・・・。
私の知人も当該ツイートを鵜呑みでリツイートしており、居ても立っても居られなくなった次第です。


※写真は全て2022年10月22日撮影
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最終更新日 : 2022-11-01

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