石川県白山市の鶴来(つるぎ)では、2022年10月8日(土)・9日(日)の2日間に渡り「ほうらい祭り」が開催されました。
ほうらい祭りは鶴来の産土神である金劔宮(きんけんぐう)の秋祭りで、800年もの歴史があると言われるほどの伝統行事です。
新型コロナウィルスの感染拡大により2020年、2021年の2年連続で中止となりましたが、2022年は3年ぶりの開催に漕ぎ着ける事が出来ました。
開催地である鶴来には北陸鉄道石川線の終着駅と車両工場が置かれています。
石川線は金沢市内の野町駅から鶴来駅まで13.8kmを結ぶ路線で、ほうらい祭りの開催中は列車の混雑が予想されました。
普段どおりのワンマン運転では無人駅の停車中、2両編成の前側2ヶ所しかドアが開かず、降車時の運賃収受に至っては一番前のドアでしか対応できません。
万が一、途中駅での乗降に手間取ればダイヤが大幅に乱れるでしょう。
そこで今回はスムーズな多客輸送を実施するべく、無人駅でも2両4ヶ所のドアを開閉(※各車両の中ドアは締切扱い)。
臨時対応として車掌が乗務し、運転士に代わって乗車券の販売やホームでの集札を行なう事となったのです。
JR西日本 国鉄 東急7000系 北陸鉄道石川線 ツーマン運転 臨時列車
こちらは野町駅の待合室に貼り出された案内。
「車内係員の臨時乗務のお知らせ」と題し、ほうらい祭り開催中における車掌の臨時乗務を告知しています。
8日・9日の両日とも、鶴来駅を9:34~19:10に出発する野町行きと、野町駅を10:15~19:50に出発する鶴来行きを対象としています。
すると車掌の臨時乗務は1日当たり14往復の実施となるのです。
また、この2日間は新西金沢駅でも臨時窓口営業を行なっています。
8日(土)は6:40~19:00の営業で、通常の土曜営業に比べ7時間も延長。
普段は日曜定休ですが、9日(日)も10:00~19:00に臨時営業。
共に営業時間中は駅員が集札・改札業務を担っています。
JR西日本 国鉄 東急7000系 北陸鉄道石川線 ツーマン運転 臨時列車
JR西日本 国鉄 東急7000系 北陸鉄道石川線 ツーマン運転 臨時列車
臨時乗務の車掌は到着・出発時の列車監視も担当。
基本的には編成最後尾に乗り込み、乗務員室扉の落とし窓を開けて安全確認を行ないます。
野町駅から多くの見物客を乗せ、終点の鶴来駅に滑り込んだ7000系。
列車の停止寸前に車掌が素早くホームに降ります。
車掌が駅舎に駆け込んでいくと、タイミングを見計らったかのようにドアが開きました。
この様子を見ても分かるとおり、ドア操作については通常のワンマン運転と同様、運転士が担当しています。
鶴来駅待合室 駅舎 臨時改札口 車掌
どうして車掌が駅舎に駆け込んだかというと、待合室の臨時改札口を開いて集札を行なうため。
通常の改札口でも2人の駅員が集札を行なっており、車掌も含めると3人の改札要員で続々と降りる客を捌いていきます。
普段の臨時改札口は、ご覧の通り2枚引き戸で締め切っています。
待合室の端に佇むラッチが何ともシュール。
参考までに、こちらが普段使いの改札口です。
ラッチの形状が臨時改札口とは異なりますね。
ワンマン運転用の整理券発行機はカバーを被って休止状態。
車内改札 東急7000系 北陸鉄道石川線 ツーマン運転 臨時列車
車掌は昔ながらの車掌鞄を携えて「切符をお持ちでないお客様はお声掛け下さい」と声を上げつつ車内巡回。
無人駅で乗車した客から運賃を受け取ると、車内補充券に鋏を入れてから渡します。
出入口の位置は無人駅によってまちまち。
場合によっては乗務員室に引き返さず、停車駅の出入口に近い乗降口からホームに出て、ぞろぞろと降りる客から手際よく切符を回収していきます。
そして車内放送は全区間に渡って自動。
何処と無く福島交通飯坂線を彷彿とさせる対応です。
JR西日本 国鉄 東急7000系 北陸鉄道石川線 ツーマン運転 臨時列車
有人駅(臨時営業の新西金沢駅を含む)に停車する際は必ず最後尾の乗務員室を陣取り、ホームに出て安全確認を行ないます。
JR西日本 国鉄 東急7000系 北陸鉄道石川線 ツーマン運転 臨時列車
ドアを閉める時は先頭の運転士と一緒にホームを注視。
運転士が閉扉を済ませると、車掌は戸閉め状態と車側灯の消灯を見て指差称呼します。
JR西日本 国鉄 東急7000系 北陸鉄道石川線 ツーマン運転 臨時列車
出発合図は車内ブザーを一切使わず、運転台の知らせ灯の消灯を運転士が確認して出発する「知らせ灯式」となっています。
日本国内の鉄道会社は大抵、知らせ灯と車内ブザー(または電鈴)を併用していますが、知らせ灯のみ使うところも福島交通飯坂線と似通っていますね。
列車が動き出すと車掌は乗務員室扉を閉め、落とし窓から顔を出して列車監視。
JR西日本 国鉄 東急7000系 北陸鉄道石川線 ツーマン運転 臨時列車
ホームを抜け切るまで列車監視を続けます。
7000系に車掌が乗ると東急時代を想起させて嬉しいですね。
せっかくの機会なので「ほうらい祭り」も少し楽しんできました。
ほうらい祭りは「造り物」と呼ばれる山車が町内を練り歩く事で有名です。
こちらは北陸鉄道石川線の廃止区間(鶴来~加賀一の宮間)に残る踏切に出現した巨大ダルマ。
その名も「ほうらいだるま」で、廃線跡をなぞるように南下していきました。
米田硝子前では勇ましい子供の演舞が見られました。
こちらは太閤・豊富秀吉をモチーフにした山車。
「ましら」という読み仮名が似合うほどに見事な猿顔です。
TVゲーム『Ghost of Tsushima』の主人公・境井仁も山車で再現!
街中で「ほうらいだるま」とすれ違ったのは、平成の歌姫・安室奈美恵さんをイメージした山車!!
和をモチーフにした山車ばかりの中で浮いてるなあ、と思っていたのですが・・・
圧倒的新町 カイジ
その直後に出くわした・・・・・・悪魔的軽トラ・・・・・・!
とまあ、こんな感じで各町内の人達が豊かな発想を持って祭りを盛り上げていました。
また見に行きたいですね、ほうらい祭り。
もちろん石川線のツーマン運転も改めて記録したいものです。
※写真は全て2022年10月9日撮影
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最終更新日 : 2022-10-12