タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2022-09-13 (Tue) 21:27

根室本線浜中駅 ルパン三世を生んだモンキー・パンチの故郷

浜中駅a01

釧路管内は厚岸郡浜中町浜中桜北(旧:厚岸郡浜中町大字後静村字浜中市街)にある、JR北海道の浜中(はまなか)駅。
根室本線東釧路~根室間の通称「花咲線」に属しています。
浜中町は漫画『ルパン三世』の原作者、モンキー・パンチ先生の故郷として有名です。
自治体の名前を付した浜中駅は実質的な町の代表駅ですが、それとは裏腹に駅前集落は民家が若干まばらに建ち、店も極めて少なく閑散としています。
飲食店に至っては2km圏内に1軒も見当たりません。

しかしこれがまた重要なのですが、浜中駅の駅前集落は「浜中町の中心部」ではないのです!
実際の中心部は浜中駅から約9km南方にある霧多布(きりたっぷ)の市街地で、町役場や商工会、信金、高校もそこにあります。
もちろん小売店や飲食店も霧多布に集まっており、「ルパン三世通り」の沿線では飲み屋が軒を連ねています。
モンキー・パンチ先生も霧多布のご出身で、実家は漁師だったといいます。

一方、浜中駅周辺は元々「後静村」(しりしずむら)という大字で、駅前集落については「浜中市街」という字を定めていました。
ところがややこしい事に浜中町内で「浜中」と付く地名は他にもあって、それは茶内駅周辺の大字である「浜中村」でした。
「大字後静村浜中市街」と「大字浜中村」の混同にご注意を。
なお、大字後静村字浜中市街は2000年6月26日を以って、新設した「浜中桜東」「浜中桜西」「浜中桜南」「浜中桜北」の4町名に再編しています。
このうち浜中桜北に浜中駅が位置するんですね。
何だかニュータウンみたいな地名になりましたが、新興の宅地開発を実施する気配は一向に見られません。


JR北海道 国鉄 JR貨物 ダイヤ改正 無人駅 簡易委託駅
浜中駅a02

浜中駅は1919年11月25日、国鉄釧路本線厚岸~厚床間の延伸開業に伴い一般駅として開設されました。
1936年8月18日には旧駅舎の改築工事が竣工しています。

1973年2月5日には営業範囲を改正し、貨物フロントを車扱貨物のみの取扱に縮小。
1974年10月1日、貨物フロントを全廃して一般駅から旅客駅に種別変更しました。

国鉄は1984年2月1日ダイヤ改正において、ヤード系集結輸送から拠点間直行輸送への一大転換を実施。
浜中駅も小荷物フロントを廃止し、窓口営業は旅客フロント(出改札・旅客案内)のみとなりました。

1986年11月1日には根室本線東釧路~根室間が特殊自動閉塞(電子符号照査式)化され、同区間におけるタブレット閉塞の運用が終了。
これに伴いタブレット閉塞器の取扱いを終了し駅員無配置となりました。
ただし出札業務については簡易委託化し、地元在住の国鉄OBが夫婦で乗車券類を販売するようになりました。
窓口営業時間は6:40~17:00です。



浜中駅a03

1987年4月1日、分割民営化に伴いJR北海道が浜中駅を継承。
1989年12月27日、浜中町役場の出資により新駅舎が新築落成。
この駅舎には観光案内所と物産展示室を併設しています。

1991年7月1日には根室本線東釧路~根室間の運営を釧路支社から分離し、地域密着型の効率的な線区経営の実践を目的として花咲線運輸営業所が発足。
これに伴い浜中駅は花咲線運輸営業所に組み込まれ、運輸営業所長の管轄となりました。

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“ミニ支社”、運輸営業所を新設

 平成2年7月1日、日高線全線(苫小牧ー様似間146.5km)を管轄する日高線運輸営業所が新設された。鉄道企業は、稼ぎ頭の幹線線区と大都市圏輸送がある一方で、赤字ローカル線も抱える。このローカル線の効率化を図るため、地域密着の“ミニ支社”として登場したのが運輸営業所だ。翌3年7月1日には花咲線(根室線東釧路ー根室間132.5km)、同11月13日には宗谷北線(宗谷線名寄ー稚内間183.2km)の両運輸営業所も開業し、運輸営業所は3ヵ所になった。
 営業キロは100kmを超え、行き止まり線で沿線が地域的に一定のまとまりを持つことが条件。列車ダイヤの車両運用、予算執行といった権限を可能な限り与えて地域密着型の経営を進める一方、工務社員が営業もこなすなど、社員の業務もある程度融合して、効率化を図っていくのが狙いだ。

《出典》
JR北海道20年史編纂委員会(2007)『JR北海道20年のあゆみ』(北海道旅客鉄道株式会社)p.p.23,24
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「花咲線」と呼んでください
JR線釧路ー根室間の愛称決まる

 【釧路】根室本線の釧路ー根室間(135.4㌔)の利用拡大を図るためJR釧路支社が募集していた同区間の愛称は15日、「花咲線」に決まった。
 この愛称を応募したのは釧路管内厚岸町の会社員大庭朋子さん(23)ら9人。「花咲」は港やカニの名前として広く親しまれ、花が咲く明るいイメージもあるとして、採用が決まった。
 応募総数は東京、京都などの本州勢も含めて557人、615件だった。

《出典》
『北海道新聞』1991年5月16日付 朝刊第25面 第3社会
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JR釧路ー根室間
愛称に期待込め花咲線スタート

 【釧路】JR根室本線の釧路ー根室間の愛称として新たに名付けられた「花咲線」の出発式と、同区間を管理する「花咲線運輸営業所」の開所式が1日午前、JR釧路駅構内などで行われた。
 路線の愛称と新たな営業所の開設は、同区間の利用者を増やそうという狙い。JR北海道の路線の中で愛称がつけられたのは津軽海峡線(函館ー青森)と学園都市線(桑園ー新十津川)に次いで3番目。愛称の募集では557人の応募の中から9人が「花咲線」と名付けた。
 出発式では同社鉄道事業本部の中島尚俊営業部長が「名前の通り将来大きな花が咲くようかわいがって」とあいさつ。午前9時41分、約50人の利用客を乗せ、拍手に見送られて出発した。
 釧路ー根室間は普通列車で2時間半。1日上下合わせて24本出る。
 一方、花咲線運輸営業所は釧路市喜多町2に設けられ、職員90人で花咲線を一元管理する。

《出典》
『北海道新聞』1991年7月1日付 朝刊第1面
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浜中駅a29

花咲線運輸営業所は20年に渡って根室本線東釧路~根室間の経営改善に努めてきました。
しかし『交通年鑑』(財団法人交通協力会)の2010年度版に掲載された、2009年10月1日当時のJR北海道の組織一覧表を見ると、前年まで確認できた花咲線運輸営業所の名が何処にも載っていません。
どうやら花咲線運輸営業所は2008年10月~2009年10月の間に廃止されたようです。

なお、釧路駅事務所棟の玄関に掲げられた表札を見ると、「花咲線運輸営業所」の記載があります。
この事から察するに、どうやら総合的な現業機関としての運輸営業所は廃止されたが、大幅に規模と権限を縮小した同名の組織が駅の付属機関として稼働している模様。
所長についても釧路地区駅長が兼務するようになっており、おそらく現・花咲線運輸営業所の業務は広報・セールス活動に限定されているのかも知れません。

浜中駅では2008年11月1日を以って簡易委託窓口が廃止。
国鉄OB夫妻が22年間に渡り続けてきた切符の販売に終止符を打ち、完全無人駅となりました。



浜中駅a04
現在の駅舎は先述したとおり、浜中町役場が出資し1989年12月27日に竣工。
ロッジを彷彿とさせる洋風建築です。



浜中駅a05

正面玄関の真上にはステンドグラスをはめ込んでいます。



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軒下には石川五ェ門と次元大介。



浜中駅a07

駅前広場には古いタイヤを使った「交通安全」のモニュメントがあります。
「オアシス運動」の標語も一緒に書いていますね。



浜中駅a08

こちらは駅舎正面左手にある「浜中町宝島MAP」。
町内の観光スポットを案内しています。
ルパンのジャケットが青ですが、これは2015年12月~2016年3月に放送された『ルパン三世PART4』に合わせたデザインですね。



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待合室の様子。
簡易委託化後の建設なので駅事務室を小さめにした分、待合室を広めにしています。
ベンチには座布団を敷いていますね。



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出札窓口では峰不二子が来客を出迎えます。



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観光案内所はもぬけの殻。
シャッターは開いたままで、その中に「桜の街・浜中」の風景写真を飾っています。



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「モンキー・パンチの故郷 浜中町へようこそ」とのメッセージを掲げた巨大ポスター。
大量の昆布を漁船に載せたルパンと次元が描かれていますが、この絵面を見ていると『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』のクライマックスを思い出しましたw



浜中駅a17

待合室の隅っこに設けた物産展示室。
名産品の霧多布昆布をはじめ、㈲ヤマダ飯高商店の生干こまい、㈱あら川菓子司の北寄パイ、厚浜木材協同組合の木材加工品、タカナシ乳業㈱北海道工場の乳製品、コープはまなかのホエイ豚ジンギスカン等を展示しています。



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ホーム側から駅舎を眺めた様子。



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待合室の出入口には小さな段差があります。



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写真右側の引き戸は駅事務室の玄関です。



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簡易委託窓口が廃止されて久しく、駅事務室は近隣で保線作業を実施する際の休憩所と化しています。
玄関引き戸の窓ガラスには「労働災害を防止しよう!!(転倒労災)」との注意書きを貼っています。



浜中駅a25

駅事務室にはストーブが1個。
冬場に使う除雪用具も備えています。



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出札窓口は1段高くなっており、かつて国鉄OB夫妻が切符の収入金を仕舞うために使った金庫も残っています。
金庫のドアには1枚のステッカーを貼っており、「指差確認 鍵はかけたか! ダイヤルはくずしたか! 鍵は身につけたか!」との文言を表示しています。
このステッカーは夫妻が自主的に貼り付けた物でしょうか?
鉄道職員を引退してもなお日常的に指差確認を行ない、確実な作業を徹底していた事が伺えます。



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1面1線の単式ホーム。
かつては交換設備を有しており、単式ホームの向かいに1面2線の島式ホームを設けていました。
現存する旧1番線ホームの全長は20m車3両分ほどで、細かな砂利を敷き詰めています。



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島式ホーム跡地には副本線(3番線)が残っていますが、釧路方が寸断された状態です。
車止めは古い木マクラギを1本、レール上に置いただけの簡素な代物。
沿線に更換用のレールを並べている様子を見るに、どうやら保守用車の留置線として残しているようです。



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ホームに立つルパン三世。



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入線する根室行きのキハ54系。



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駅構内南西には貨物ホームが残っています。
草木に覆われても盛土式ホームの積壁がくっきりと見えますね。



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貨物ホームのすぐ傍には㈱浜中運輸があります。
浜中運輸は1974年12月設立で、浜中駅が貨物フロントを廃止した直後に生まれた会社です。



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浜中運輸の冷凍コンテナにもルパン一味と銭形警部が描かれています。


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※写真は全て2021年5月4日撮影
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最終更新日 : 2022-09-13

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