タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2022-08-25 (Thu) 20:18

【夏の安全衛生】苗穂工場における熱中症の注意喚起

苗穂工場の熱中症予防a01

こちらの記事にも書きましたが2022年8月13日、北海道鉄道技術館の開館に合わせて苗穂工場へと足を運びました。
開館時間中(13:30~16:00)は苗穂工場構内の一部エリアに入る事が出来ます。
この日はお盆休み中とあって、普段の開館日とは比較にならないほど多くの見学者で賑わいました。



苗穂工場の熱中症予防a02

さて、私は鉄道技術館の展示を飽きるほど見ているため、技術館自体に用はありません。
では何でわざわざ訪問したのかというと、別のお目当てが苗穂工場の構内にあるからです。
それは正門警備室の南面にズラリと並んだ掲示板。
この掲示板は開館時間中の立入可能区域にあり、見学者は誰でも自由に閲覧する事ができます。
私が苗穂工場に到着すると、先客が熱心に掲示物を読み込んでいました。


JR北海道 国鉄 JR貨物 苗穂工場 苗穂車両所 博物館
苗穂工場の熱中症予防a03

まずは組立科・部品科・内燃機科の掲示板をチェック。
組立科は車両の解体・組立、車体の改造を担当する苗穂工場一の大所帯です。
部品科は組立科で取り外した空気部品、電機部品、走行装置などの検査・修理を担当する部門です。
内燃機科は組立科で取り外したディーゼルエンジンの検査・修理を担当する部門です。
これら3部門を総称して「生産科」といい、工程管理科が立てた検査計画に従い作業を実施します。
各種部品の修理が終わり車両を組み立てたら、品質管理科が出場検査を実施する流れになっています。

ところで生産科には昔から画伯が多く、各氏が思うままに描いた個性豊かなイラストを安全啓発ポスターに採用してきました。
時にはドラえもん、アゴなしゲン、内藤大助さん、室伏広治さん等々、漫画のキャラや有名人を描いたポスターが掲示板に貼り出される事も。
今回の訪問も手作りの安全啓発ポスターを楽しみにしていた訳ですが、残念ながら3科すべて中災防(中央労働災害防止協会)のポスターを貼っていました。



苗穂工場の熱中症予防a18

こちらは設備保全科が管理する「設備・教育」の掲示板。
設備保全科は工場内の設備管理を担当し、車両検修に使う各種機械・器具(約1,000台)の検査や修理計画を立てる部門です。
自分達で収集した検査データを分析し、修理計画を立てたら札幌交通機械㈱に修理依頼を出しています。



苗穂工場の熱中症予防a17

8月安全目標として「感電事故を防止しよう」を掲げています。
具体的には「車両加圧時の確実な連絡・確認」「電気機器・電動工具の使用前の確実な点検」の2点を実施事項としています。



苗穂工場の熱中症予防a04

「設備・教育」の右隣は「事故防止」の掲示板。
こちらも設備保全科が管理する掲示板ですね。
設備保全科の担当業務は設備管理に留まらず、苗穂工場全体の安全推進も引き受けているのです。



苗穂工場の熱中症予防a05

2022年8月は熱中症対策に重点を置いています。
「防ごう!熱中症」と題した貼り紙によると、JR北海道の運輸系統(車掌所・運転所・運輸所・工場・車両所・運輸車両所)では2021年度に5件の熱中症の労災が発生。
この年間件数はJR北海道の発足後(1987年4月以降)としては最多だといいます。
近年は地球温暖化によって熱中症リスクが高まっており、2022年8月8日~14日の7日間だけでも全国で5,959人が救急搬送されました
このうち道路工事現場・工場・作業場等の「仕事場」における発症者は880人にのぼり、全体の14.8%を占めています。
鉄道会社にとっても熱中症予防は喫緊の課題となっている訳です。

苗穂工場では熱中症を防ぐべく
①適度に休憩をとる
②水分・塩分をとる
③社員間で目配りや声掛けをする
④状況に応じてマスクを外す
⑤体調が悪い時は無理をせず上司に報告する
の5点を社員に啓蒙しています。



苗穂工場の熱中症予防a16

中災防が制作した「防ごう熱中症」のポスターも掲示しています。
熱中症が発生した時の対処方も丁寧に解説。


労働災害
苗穂工場の熱中症予防a06

苗穂工場の熱中症予防a07

「事故防止」の掲示板には、過去にJR北海道の運輸系統で発生した熱中症事例集も貼り出しています。
これらはおそらく全社員に回覧した「労災報告書」の内容を抜粋・再掲したものと思われます。
鉄道各社では自所・他所の別を問わず、発生した労災の内容を事細かに記した資料を回覧し、安全衛生に活かす事が度々あるそうです。
時には他の鉄道会社や請負業者(車両・機械・軌道・土木・建築・電気等)で発生した労災も資料にまとめ、回覧して同様の事故を防ぐための参考にするのだとか。


785系
苗穂工場の熱中症予防a08

掲示された熱中症事例は8件。
このうち2件は苗穂工場で発生したものです。
以下に内容を抜粋しましょう。
本文中の「管理者」には工場長、副工場長、科長、助役が該当します。

なお、所属等の欄に書かれた「車技係」とは部署ではなく職名(社員個々人の肩書き)で、正しくは「車両技術係」と言います。
JR北海道では車技係のような略称を用いる事が多く、車両技術主任なら「車技主任」、建築技術係なら「建技係」、営業指導係なら「営指係」といった具合になるそうです。
現業機関の名称についても札幌運転所なら「札転所」、岩見沢保線所なら「岩保所」、釧路電気所なら「釧電所」・・・などと略します。

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1 平成27年7月29日 検修 (参考 外気温28℃、湿度68%、最高気温28℃、最低気温21℃)

【発生日時】
平成27年7月29日(火) 13時15分頃 天候 晴れ

【発生場所】
苗穂工場留置1番線 入場車両(NE-3編成)

【所属等】
苗穂工場 組立科 車技係 27歳

【診断名】
熱中症 休業

【概況】
 当日本人は、留置1番線に留置された入場車両(NE-3編成)の検査に13時から従事していた。検査開始後15分程度で多量の発汗とふらつきを感じたため、作業を5分程度中断した後、作業を再開した。13時55分頃、車両が整備室建屋内へ移動後は床下作業をしていたが、再度休憩を取った方がよいと感じたため、12番整備室詰所および旅客車解艤装場にて吸水をした。14時10分頃になり、手足の痺れから全身の痺れを感じたため管理者に報告した。直ちに、安静な体勢を取り塩水補給、体の冷却処理を行うと共に救急車を手配し、JR病院へ搬送された。  
《その他》

【原因】
・暑くて寝苦しい日々が続いたことと、留置された室内温度が高い入場車両での作業を行ったことも重なり、体調を崩した。

【背後要因等】
・これまでに熱中症を発症したことがなかったことから、発汗とふらつきが熱中症によるものだという認識がかなった。(M1)
・入場車両は札転所から回送で工場に入場するため、室内温度がかなりの高音となっていた。推定車内温度37℃以上(無加圧のため冷房は入っておらず、札転所から回送された状態で留置されていた)(M3)

【対策】
・熱中症特有の症状を周知し、身体の不調を感じたらすぐに涼しい場所へ移動して給水し、安静にすることを周知する。(M1-E1)(緊急の取り組み)
・外気温が高いときに入場する車両においては、1番線での入場検査業務をやめ、整備室建屋内に入線してから入場検査業務を行う。
・疲労感がある場合は休憩を多めに取りながら作業を行い、必要により休養を取り体調回復に努める。

※凡例 4M4E分析 M1:人間 M2:物・機械 M3:環境 M4:管理  E1:教育・訓練 E2:もの対策 E3:環境対策 E4:管理対策
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苗穂工場の熱中症予防a09

続いて苗穂工場2例目を見ていきましょう。
熱中症にかかるのは現場で汗水流す検修員だけではありません。
デスクワークの事務員も油断は禁物、という事例です。

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6 令和3年8月3日 事務 (参考 外気温29℃、湿度72%、最高気温34℃、最低気温23℃)

【発生日時】
令和3年8月3日(火) 9時20分頃 天候 晴れ

【発生場所】
苗穂工場構内

【所属等】
苗穂工場 総務科 事務主任 45歳

【診断名】
熱中症疑い 不休

【概況】
 本人は、産廃保管庫に向けて構内を歩行中、めまいがしたが、しゃがみ込んだところ回復したため、引き続き作業場所へ向かった。
 作業場所で、業者が回収した産廃カゴを元に戻し終え、事務所に戻る際、再びめまいがしたため、しゃがみ込んだ。その場にいた管理者が状態を確認したところ、熱中症の症状が見受けられたことから、管理者付き添いのもと病院で受診した。
《その他》

【原因】
・当日の暑さに対し、水分・塩分補給が不足していたため。(推測)

【背後要因】
・作業場所へ向かう途中、めまいの症状がでたものの、作業を継続したこと。(M1)
・熱中症指数が警戒であったが、普段以上に水分・塩分の補給を行わなかったこと。(推測)(M1)

【対策】
・本労災の速報を社員へ周知し、注意喚起を図る。(8月3日~)(M1-E1)
・朝礼時の体調確認を継続して実施する。(M1-E1)
・産廃カゴを戻す作業を産廃業者に依頼できないか検討する。(M1-E1)

※凡例 4M4E分析 M1:人間 M2:物・機械 M3:環境 M4:管理  E1:教育・訓練 E2:もの対策 E3:環境対策 E4:管理対策
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キハ283系
苗穂工場の熱中症予防a10

ここからは苗穂工場以外の事例で、検修に関連した2例を見ていきましょう。
まずは釧路運輸車両所です。
何と未成年の見習い検修員が熱中症になりました。
当人は適宜水分補給をしていましたが、塩分の補給まではしていなかった事から発症に至ったようです。

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2 令和元年8月8日 検修 (参考 外気温23℃、湿度87%、最高気温23℃、最低気温16℃)

【発生日時】
令和元年8月8日(木) 11時00分頃 天候 小雨

【発生場所】
釧路運輸車両所 客車庫2号(DC交検庫)

【所属等】
釧路運輸車両所 車両係 19歳

【概況】
 当日本人は、客車庫2号(DC交検庫)1番線でキハ282-103号の交番検査油担務見習いとして従事した。
 本人は9時から作業を開始し、10時30分頃に多量の発汗があったことから、作業を一旦中断し交番検査詰所で水分補給を行い車両に戻り、作業を再開しようとしたところ、急に吐き気を感じたため、再度、交番検査詰所に戻った際、主任が本人の体調不良に気づき直ぐに管理者に報告した。
《その他》

【原因】
・多量の発汗に対し、水分補給が足りなかったため。

【背後原因】
・本人は、これまでも多量に発汗することはあったが体調不良になったことはなく、当日も普段どおり水分補給したことから、熱中症になるとは思っていなかった。(M1)

【対策】
・管理者は、熱中症対策として水分の適宜補給をするよう注意喚起すると共に、塩分補給用タブレットを各職場に配備した。(M1-E1・E2)

※凡例 4M4E分析 M1:人間 M2:物・機械 M3:環境 M4:管理  E1:教育・訓練 E2:もの対策 E3:環境対策 E4:管理対策
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北海道新幹線
苗穂工場の熱中症予防a14

続いて函館新幹線総合車両所の事例です。
こちらは実務経験を積んだ車両技術主任が熱中症になりました。
当時、主任は作業中に手の痺れとふらつきを感じましたが、作業進捗の遅れを取り戻そうとそのまま作業を続行した事で無理が祟りました。
車両技術主任は実務の傍ら検修助役を補佐し、部下の車両技術係や車両係を指導する社員。
言わば準フォアマン的な立場ですから部下の手前、中途半端に作業を終わらせる事は出来ないと感じていたのでしょう。
その責任感の強さが裏目に出て労災を起こしてしまったものと推察します。

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7 令和3年8月4日 検修 (参考 外気温30℃、湿度73%、最高気温30℃、最低気温21℃)

【発生日時】
令和3年8月4日(水) 13時30分頃 天候 曇り

【発生場所】
函館新幹線総合車両所 仕交検庫1番線

【所属等】
函館新幹線総合車両所 車両技術主任 30歳

【概況】
 本人は、H4編成の鉄道総研の車軸軸受油採油作業対応担当として、仕交検庫1番線にて各3位L型車両ガイド脱着作業に従事していた。
 12時頃から、7、10、6、1号車の順に当該ガイドの取り付け作業を進め、1号車の施工中に手の痺れとふらつきの症状が出たが、そのまま完了まで作業を続けた。
 その後、詰め所での休憩時間中に水分補給を行ったうえ、空調やネッククーラー等で体を冷やしていたが、症状が改善されなかったため、管理者付き添いのもと病院で受診した。
《その他》

【原因】
・暑いなかでの作業中に、熱中症の症状が出たものの、そのまま作業を継続したため。

【背後要因】
・作業進捗が遅れ、昼からの交番検査の工程に支障するとの思いから、全ての作業を終わらせようとしたこと。(M1)

【対策】
・朝礼や作業前ミーティング等で本事象を説明するとともに、小まめな水分と塩分の補給、熱中症対策品の活用、小休止をするように注意喚起した。(M1-E1)
・天候や業務内容等の状況を考慮し、仕交検庫内のハッチを2箇所「開」とし、より空気が流れるよう作業環境の改善を図ることとした。(M1-E3)

※凡例 4M4E分析 M1:人間 M2:物・機械 M3:環境 M4:管理  E1:教育・訓練 E2:もの対策 E3:環境対策 E4:管理対策
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労働災害
苗穂工場の熱中症予防a11

残りの4件は乗務員に関する事例となります。
1件目は札幌行き特急北斗21号に乗務した車掌(札幌車掌所所属)のケースです。
脱水症状により乗務の継続が出来なくなり、白老駅で病院に搬送されました。
なお、本文中の「当番」とは車掌所の当番助役や内勤車掌(国鉄時代の運用教導掛に相当)の事で、乗務員の勤怠管理や体調確認、シフト調整、緊急時の交代要員の手配などを担当しています。

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3 令和2年8月26日 車掌 (参考 外気温24℃、湿度89%、最高気温29℃、最低気温20℃)

【発生日時】
令和2年8月26日(水) 19時56分頃 天候 晴れ

【発生場所】
北斗21号 3号車乗務員室 (281系7両)

【所属等】
札幌車掌所 車掌 28歳

【診断名】
脱水症 休業

【概況】
 当日本人は函館駅発車後、特段体調に不調はなかったが、八雲駅発車後から胸の違和感を感じ、長万部駅付近では動機と手足の痺れ、息苦しさを感じるようになり、本輪西駅付近で自所当番に状況を報告した。
 本人は、苦しさが和らぐこともあったことから乗務を継続したが、登別駅発車後から息苦しさが強くなり、再度自所当番に報告、当番から指令を介し白老駅で救急車手配する旨を伝え、白老駅到着後、救急車で搬送先の病院で脱水症の疑いがあると診断を受けた。
《その他》

【原因】
・水分補給等が足りなかったため。(推測)

【背後要因】
・本人は、乗務開始前から汗がとまらない状態で、水分補給はしていたが車掌室の温度も上がっていたことから水分補給が追い付かなかったと思われる。(M1)

【対策】
・管理者は出発点呼において、乗務中もこまめに水分補給・塩分補給を実施するよう周知し、利尿作用のあるお茶やコーヒーは水分補給に向かないため、水やスポーツドリンクを飲用するよう指導した。(M1-E1)
・乗務途中の電話点呼においても体調の確認を積極的に行うこととした。(M1-E4)

※凡例 4M4E分析 M1:人間 M2:物・機械 M3:環境 M4:管理  E1:教育・訓練 E2:もの対策 E3:環境対策 E4:管理対策
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苗穂工場の熱中症予防a12

乗務員2件目は千歳線の普通列車に乗務した車掌(札幌車掌所所属)のケース。
朝食を摂らなかった事により塩分が足りず、水分補給しても吸収が追い付かなかったため熱中症になったものと推測しています。
この事例では当番が迅速に代替人員を手配し、事なきを得ています。

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4 令和3年6月26日 車掌 (参考 外気温28℃、湿度49%、最高気温28℃、最低気温15℃)

【発生日時】
令和3年6月26日(土) 13時30分頃 天候 晴れ

【発生場所】
第1760M列車 最後部乗務員室 (731系)

【所属等】
札幌車掌所 車掌 27歳

【診断名】
熱中症 休業

【概況】
 本人は、本列車の上野幌駅発車後に、立ち眩みと目がチカチカするなどの症状があったものの、大丈夫だと思い乗務を継続した。その後、千歳駅到着前の放送を行った際、口の痺れを感じたため、千歳駅到着後、業務用携帯電話で症状を当番に報告した。
 折り返し列車の北広島駅到着後、当番手配の代替え乗務員に引継ぎ、本列車で自所へ戻り、管理者とともに病院で受診した。
《その他》

【原因】
・乗務員室の暑さに対して、塩分等の補給が不足していたため。(推測)

【背後要因】
・朝食を摂らなかったことと、水分補給したものの吸収が追い付かなかったこと。(推測)(M1)

【対策】
・出発点呼時に、乗務中もこまめに水分補給・塩分補給を実施することの周知と、掲示物により、利尿作用のあるお茶やコーヒーでは水分補給に向かないため、水やスポーツドリンクを飲用することを周知するとともに、電話点呼時には、体調の確認を行う。(M1-E1)

※凡例 4M4E分析 M1:人間 M2:物・機械 M3:環境 M4:管理  E1:教育・訓練 E2:もの対策 E3:環境対策 E4:管理対策
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苗穂工場の熱中症予防a13

乗務員3件目は長万部発・函館行きの普通列車に乗務した運転士(函館運輸所所属)のケース。
塩分不足に睡眠不足のダブルパンチで体調を崩しました。

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5 令和3年7月26日 運転士 (参考 外気温27℃、湿度55%、最高気温27℃、最低気温22℃)

【発生日時】
令和3年7月26日(月) 12時30分頃 天候 晴れ

【発生場所】
第820D列車 運転室(キハ40)

【所属等】
函館運輸所 運転士 24歳】

【診断名】
熱中症の疑い 不休

【概況】
 本人は、長万部駅発函館駅行きの本列車に乗務、途中森駅到着後に息苦しさを感じたため、熱中症にならないよう水分補給を行いながら運転を継続した。
 新函館北斗駅到着後、視界の範囲が若干狭くなったように感じたため、顔の横に手を当て視界の範囲を確かめるも異常が無いと感じ、函館まで運転を継続した。
 入区後、自所に戻りソファーに座っていたところ、視界が狭くなったような感じとともに、吐き気を感じた為、管理者付き添いのもと病院で受診した。
《その他》

【原因】
・熱中症に起因する環境下で業務し、塩分等の補給が不足していたため。(推測)

【背後要因】
・水分は補給していたものの、吸収が追い付かなかった。(推測)(M1)
・前日の森駅休養室では、睡眠時間が1~2時間程度しか取れず、休養が十分ではなかった。(M1)

【対策】
・労働災害発生状況を掲示するとともに、朝礼や点呼執行時に、水分・塩分の補給により熱中症予防を図るよう注意喚起を図る。(7/26~)(M1-E1)
・8月指導訓練においても熱中症予防の注意喚起を実施する。(8/5~8/10)(M1-E1)

※凡例 4M4E分析 M1:人間 M2:物・機械 M3:環境 M4:管理  E1:教育・訓練 E2:もの対策 E3:環境対策 E4:管理対策
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苗穂工場の熱中症予防a15

乗務員4件目は小樽発・新千歳空港行き普通列車に乗務した車掌(札幌車掌所所属)のケース。
症状が出て一旦は乗務の継続を決めたものの、めまいが酷くなり途中駅で救急車に乗せられました。
乗務中、水分と塩分は補給していましたが、乗務員室内が暑く汗をかいていたといいます。
晩夏の冷涼な夜、旅客の誰もが長袖を着ているような時にも半袖シャツ姿の乗務員をよく見かけますが、それだけ乗務員室の暑さは強烈なのだろうと思いますね。

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8 令和3年8月5日 車掌 (参考 外気温27℃、湿度83%、最高気温33%、最低気温24℃)

【発生日時】
令和3年8月5日(木) 21時35分頃 天候 晴れ

【発生場所】
第814M列車 最後部乗務員室(733系)

【所属等】
札幌車掌所 車掌 25歳

【診断名】
熱中症 休業

【概況】
 本人は、第814M列車小樽駅発車後、体調に問題はなかったが、札幌駅発車後に若干の立ち眩みと吐き気の症状があった。その後、上野幌駅到着前に吐き気の症状がひどくなり、新たにめまい、手足の痺れの症状が現れた。上野幌駅発車後、業務用携帯電話で当番に症状を報告し、乗務を継続する旨伝えた。
 北広島駅到着に備え、椅子から立ち上がった際にめまいがひどかったため、症状を運転士に伝え指令への報告を依頼した。北広島駅到着後、駅社員が用意した車椅子に乗り、駅事務室で休んだものの体調が改善されないことから、救急車手配を依頼し、恵庭第一病院に搬送された。
《その他》

【原因】
・水分と塩分の補給はしていたが、乗務員室内が暑く汗をかいていたため。(推測)

【背後要因】
・水分等の吸収が追い付かなかったと思われる。(推測)(M1)

【対策】
・引き続き、点呼等において乗務中にこまめに水分補給・塩分補給を実施すること、利尿作用のあるお茶やコーヒーでは水分補給に向かないため、水やスポーツドリンクを飲用することを周知するとともに、電話点呼では体調確認を行う。(M1-E1)

※凡例 4M4E分析 M1:人間 M2:物・機械 M3:環境 M4:管理  E1:教育・訓練 E2:もの対策 E3:環境対策 E4:管理対策
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苗穂工場正門警備室
苗穂工場の熱中症予防a19

以上、8件の熱中症事例を見てきました。
熱中症対策で重要なのは、水分だけでなく塩分も抜かりなく補給する必要があるという事。
スポーツドリンクを飲むのはもちろん、塩飴を舐めながら作業するのも効果的です。

そして気をつけるべきはお茶の利尿作用。
特に緑茶はカフェインが多いので、飲めば飲むほど水分がみるみる身体から出てしまいます。
そういえば3~4年ほど前、北見保線所から軌道補修工事を受注している請負業者の若い軌道工(日給月給制の保線作業員)が、水分補給の度に緑茶を飲んでいたせいで熱中症にかかったという話を聞いた事があります。
その軌道工は「水分補給に緑茶は逆効果だ」という事をそもそも知らなかったそうな。
間違った知識が生命の危機を招く可能性もあるので要注意です。

ただし同じお茶でも麦茶ならカフェインを含みません。
原料の大麦には身体を冷ます働きがあるので、麦茶で水分補給をするのも良いと思います。
熱中症対策を心がけ、暑い夏を乗り越えましょう!


※写真は全て2022年8月13日撮影
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最終更新日 : 2022-08-28

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