引き続き岩手県は奥州市水沢東大通り1丁目(旧:水沢市東大通り1丁目)にある、JR東日本・JR貨物の水沢(みずさわ)駅を取り上げましょう。
駅の大まかな歴史については既に書いたとおりです。
今回は駅舎の中に足を踏み入れましょう。
広々としたコンコース。
天井は格子状の梁が露出したいわゆる「構造あらわし」で、梁に沿って照明を配置しています。
前回引用した書籍『水沢市史5 近代(Ⅱ)』の文章には「駅舎デザインは、平城であった胆沢城を現代に引き戻したイメージを原形としている」とあるので、構造あらわしの天井もおそらくは城の内装を想起したものでしょう。
JR東日本 国鉄 JR貨物 東北本線 旅客駅 みどりの窓口 出札窓口
出札窓口(みどりの窓口)と改札口の精算窓口。
窓口営業時間は6:00~20:00ですが、8:25~8:45は朝礼のため一旦閉めています。
水沢駅はLiViT(JR東日本東北総合サービス㈱)が営業を受託する業務委託駅で、一ノ関駅の被管理駅となっています。
自動券売機は2台設置しており、青い券売機はクレジットカードを使って切符を買う事が出来ます。
写真左端の自動ドアは「びゅうプラザ水沢駅」の旧店舗で、2015年4月16日に閉業したそうな。
改札口の脇には「NewDaysミニ 水沢1号」があります。
営業時間は6:45~20:15です。
「水沢1号」と思わせぶりな店名ですが、2号店は何処にもありません。
運営者は㈱JR東日本クロスステーションですが同社は社内カンパニー制度を導入しており、駅構内の店舗(NewDays・専門店等)については「リテールカンパニー」が受け持っています。
コンコース南側には待合室と水沢観光案内所があり、共に大きな切り文字看板を掲げています。
水沢観光案内所は奥州市観光物産協会が運営しています。
観光案内所には「開館時間 9:00~17:00」との貼り紙がありますが、実は2015年7月1日から職員不在の無人案内所と化しています。
現在は観光PRのポスターやパンフレットを置くのみとなっています。
待合室の様子。
椅子やテーブル、畳ベンチ等が多く配置され、市民の憩いの場としても活用されています。
ホーム側は畳ベンチをコの字に配しており、その中間には囲炉裏が置かれています。
水沢は東京市長、内務大臣、鉄道院総裁などを歴任した政治家・後藤新平の故郷でもあります。
待合室には後藤新平の功績を讃える解説板があります。
待合室の片隅には水沢の郷土品を集めた展示コーナーがあります。
「鋳物の町」に相応しく特産品の南部鉄器が多く展示されています。
こちらは鋳物歴50年の大ベテラン・及川栄喜さんが制作した「平丸葦模様鉄瓶」。
緩やかに美しい曲線を描いた鉄瓶です。
同じ形状の急須でも、模様や色を分ける事でバリエーションを増やしています。
展示品の南部鉄器はレパートリーが豊富。
こちらは「茶の湯セット 夏目 松」です。
「独眼龍」の異名を取った大名・伊達政宗を描いた絵皿。
ちなみに水沢は伊達政宗の孫・伊達宗利を祖とする「水沢伊達家」の城下町でもありました。
南部鉄器以外の特産品も眺めましょう。
こちらは「秀衡塗り」を今に伝える漆芸家・及川守男さんの手がけた「肩喰型秀衡模様吸椀」です。
大小合わせて5つ展示されています。
こちらは奥州市内の江刺で作られた「岩谷堂箪笥」。
岩谷堂箪笥は平安時代末期にルーツを持つ伝統的なタンスです。
同じく江刺の㈲吉田製麺が製造している卵めん。
鶏卵と小麦粉、塩を練りこんだ麺で、素麺と同じようにつゆに付けて食べます。
水沢は国産はと麦の貴重な産地です。
岩手ふるさと農業協同組合の通販サイト「奥州うまいもん屋」では、地場のはと麦を原料にした「はと麦茶」を販売しています。
こちらは江刺の只勝市兵衛本店が製造・販売している「弁慶のほろほろ漬」。
人参・大根・胡瓜・茄子・唐辛子などの野菜を細かく刻み、自家製のもろ味に漬け込んでいます。
待合室からコンコース方向を眺めた様子。
長くなったので今回はここまで。
※写真は全て2022年5月2日撮影
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最終更新日 : 2022-09-08