タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2022-07-21 (Thu) 19:00

団臨「ふらの号」と金山保線支区、駅弁の立ち売り

団体臨時列車「ふらの号」a201

引き続き2022年7月2日、根室本線富良野~東鹿越間で2往復が運行された団体臨時列車「ふらの号」について書きましょう。
「ふらの号」のダイヤは以下の通りです。

【ふらの1号 東鹿越行き】
富良野9:10発→布部9:17着/9:31発→山部9:38着/9:44発→下金山9:53着/9:57発→金山10:06着/10:17発→東鹿越10:35着

【ふらの2号 山部行き】
東鹿越12:00発→金山12:13着/12:23発→下金山12:32着/12:35発→山部12:44着

【回送 富良野行き】
山部12:57発→富良野13:08着

【回送 山部行き】
富良野13:15発→山部13:28着

【ふらの3号 東鹿越行き】
山部13:35発→下金山13:44着/13:48発→金山13:57着/14:08発→東鹿越14:21着

【ふらの4号 富良野行き】
東鹿越14:30発→金山14:43着/15:00発→下金山15:07着発→山部15:16着発→布部15:22着/15:23発→富良野15:30着


国鉄一般気動車標準色 キハ40系1700番台 キハ40形1700番台 JR北海道 国鉄
団体臨時列車「ふらの号」a202

東鹿越駅で折り返し待ちの「ふらの号」を撮影した後、金山駅まで先回りする事に。
往路は撮り鉄の縦列駐車が凄まじかった鉄橋付近は、まるで蜘蛛の子を散らしたように1台残らず消え去っていました。
周辺ではパトカーが警戒に当たっており、どうやら現場の撮り鉄連中も軒並み取り締まられたようです。
金山駅には11:37に到着。
「ふらの号」の入線まで36分の待ち時間を過ごします。



団体臨時列車「ふらの号」a206

管理駅である富良野駅の駅員も派遣されていました。
布部駅や東鹿越駅で見かけた駅員達はヘルメットに赤帯が付いており、普段から運転取扱業務を担当している輸送職である事は一目瞭然でした。
しかし金山駅に派遣された駅員は除雪作業員と同じ白帯入りヘルメットを着用。
どうやら普段は運転取扱業務に関わっていない営業職(営業主任・営業指導係・営業係)だったようです。


JR北海道 国鉄 団体臨時列車ふらの号
団体臨時列車「ふらの号」a205

駅構内南側には年季の入った保線詰所があります。
2階建てのコンクリート建築ですね。



団体臨時列車「ふらの号」a204

この建物は1967年11月15日に開設された「新得保線区金山保線支区」の事務所棟です。
保線支区とは国鉄施設局が1963年4月に開始した「軌道保守の近代化」において、従前の線路分区に代わる新組織として全国各地に開設した分掌機関です。
この組織改正により保線作業の方法も人力作業に依存した「随時修繕方式」から、保線機械を駆使し限られた時間の中で能率的に行う「定期修繕方式」へと移行していきました。
従来は混同していた「検査」と「作業」も分離。
線路班を「検査班」(換算軌道キロ10~15kmおきに設置/1支区につき3~5班)と「作業班」(1支区につき1班)に再編し、担当業務を振り分けました。
具体的には検査班が日常的な軌道検査で得たデータを支区長に報告し、支区事務所の計画担当(計画助役と技術掛)が作業計画を策定。
その作業計画に従い作業班が軌道補修工事を実施するという流れになりました。

国鉄施設局は1982年3月より「線路保守の改善」を敢行。
釧路鉄道管理局でも1983年11月1日に新体制へ移行しており、作業班は保線機械業務に特化した「保線機械グループ」、検査班は軌道検査とこれに伴う簡易な修繕作業、工事計画と外注工事の監督を担う「保線管理グループ」に改組しました。
保線管理グループは「管理室」とも称しており、例えば「新得保線区金山保線支区金山管理室」というような呼び方になりました。

しかし国鉄施設局は分割民営化を間近に控えた1986年度、保線支区・保線駐在・分駐所(管理室)の大規模な統廃合に踏み切ります。
釧鉄局管内でも同年8月1日に3保線区18管理室体制に移行しており、廃止対象となった新得保線区の担当区域を帯広保線区が継承。
新得保線区金山保線支区は「区長代理」の担務指定を受けた助役1名を筆頭とし、大幅に規模を縮小した「帯広保線区金山保線管理室」に改組されました。



団体臨時列車「ふらの号」a203

1987年4月1日、分割民営化に伴いJR北海道が帯広保線区金山保線管理室を継承。
JR北海道は1990年3月12日、現業機関の組織単位である「区」を「所」に改称・統一する事とし、帯広保線区金山保線管理室も「帯広保線所金山保線管理室」に改称しました。

それから7ヵ月後の1990年10月、JR北海道は工務系統の現業機関を対象に組織改正を実施。
この改正は業務の融合による効率化を目指したもので、新たに「工務所」と「設備所」が開設される事になりました。
このうち「工務所」とは保線所と電気所を統合したもので、この改正より前の1988年3月に開業した海峡線では既に保線・電気・機械設備の各部門を統合した「青函トンネル工務所」が稼働していました。
帯広保線所については1993年3月19日、帯広電気所と統合し「帯広工務所」に改組。
帯広保線所金山保線管理室については電気部門を統合せず、保線を専門とした「帯広工務所金山保線管理室」に改組されています。

そして1994年4月1日、保線管理体制の更なる合理化を図るべく帯広工務所金山保線管理室が廃止となり、その担当区域を岩見沢保線所富良野保線管理室が継承。
同時に本社・釧路支社の境界が変更となり、根室本線布部~落合間の7駅が本社直轄エリアに移管されました。

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(5) 工務系統現業機関の統廃合
 6年3月18日に、より効果的な保守業務体制の確立を図るため、小規模な保線管理室を最寄の保線管理室に統合した。

(6) 本社と釧路支社との境界変更
 6年4月1日に、帯広工務所金山保線管理室の岩見沢保線所富良野管理室への統合に伴い、布部駅から落合駅までの7駅が釧路支社から本社に境界が変更になり移管した。

《出典》
交通協力会(1995)『交通年鑑 平成7年度版』p.p.221,222
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団体臨時列車「ふらの号」a228

今や常駐する保線係員は1人も居ない旧金山保線管理室ですが、近隣で保線作業を行なう際に休憩所として活用しているようです。
Googleマップのストリートビューでは、偶然にも保線作業員達の出入りで玄関引き戸が開き、ワゴン車やダブルキャブトラックも停車している様子が写っています。
銀色のワゴン車も、青いダブルキャブトラックも、JR北海道グループの軌道工事業者・北海道軌道施設工業㈱が各出張所に配備している社用車ですね。
保線の詰所を使うのはJR社員だけとは限りません。



団体臨時列車「ふらの号」a207

定刻より2分遅れの12:15、ツートンカラーの「ふらの号」が金山駅に入線。



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ここでは旧金山保線管理室とのツーショットが撮りたかったのです。



団体臨時列車「ふらの号」a209

編成最後尾の停止位置は、ちょうど旧金山保線管理室の手前。
古びた保線詰所の前に車掌2人が立つという貴重な光景も記録できました。



団体臨時列車「ふらの号」a213

駅構内は途中下車したツアー客で大賑わい。



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団体臨時列車「ふらの号」a210

周囲の動向に配慮しつつヨンマルを撮影します。



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駅舎の手前には旭川運転所の運転士が立っていました。
まるで改札に臨む駅員のよう。
しかしスニーカー履きで動力車乗務員のムードを隠しきれていませんw



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構内踏切からヨンマルの正面を撮影。



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団体臨時列車「ふらの号」a216

駅弁の立ち売りも見られました。
まるで国鉄時代にタイムスリップしたかのようです。



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鉄道ファンがこぞって駅弁を買い求めます。



団体臨時列車「ふらの号」a218

いよいよ発車1分前。
本務車掌が運転士に対し挙手合図を送ります。



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「出発現示よし!」「乗降よし!」と指差称呼。



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上体を大きく傾けてドアスイッチに手を預ける本務車掌。
助士側ドアスイッチの配置は本当にどうにかならなかったんでしょうか?
国鉄時代の設計士も随分と適当な仕事をしたものです。



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問題なくドアが閉まり、車側灯が消灯した事を確認したら「車側灯滅灯よし!」と指差称呼。
何度も書いていますがJR北海道では車側灯を何故か「しゃがわとう」と読みます。



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大きな段差をよじ上って乗務員室へ。



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乗務員室扉を閉め、落とし窓から顔を出したら「発車!」と称呼しつつ車内ブザーを1打。



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到着時刻は2分遅れでしたが、出発時刻は定刻通り12:23。
白帯入りヘルメットの駅員が警戒に当たる中、「ふらの号」は徐々に加速をつけていきます。



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ホームを抜ける寸前、本務車掌は鉄道ファン達に手を振って応じました。



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ホームを出ると本務車掌は後ろを振り向き「後方よし!」と指差称呼。



団体臨時列車「ふらの号」a227

国鉄金山保線支区の面影残す保守用車庫を横目に、ヨンマルは下金山駅へと向かっていきました。


長くなったので今回はここまで。




※写真は特記を除き2022年7月2日撮影
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最終更新日 : 2022-07-28

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