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2022-04-23 (Sat) 21:38

【札幌市営地下鉄】最近聞かなくなった車内放送用語「お膝送り」

東豊線7000形3次車・車内放送装置02
東豊線7000形3次車の乗務員室ドア越しに車内放送装置を眺めた様子(2014年5月5日撮影)
東西線Mc'6900、南北線Mc'3800、東豊線Mc'7800は写真の折りたたみ可能な放送装置を設置していた
客室に向けてマイクスタンドを押し上げると畳む事が出来た

今月(2022年4月)を以って、札幌市営地下鉄の全線ワンマン化完了から5年が経過しました。
最初にワンマン化したのは東西線で、2006年増備の8000形804号車からATO(自動列車運転装置)、運転台ドアスイッチなどワンマン関連機器の設置を開始。
ワンマン化への“つなぎ”として非常勤車掌を採用するようになったのもこの頃ですが、実を言うと1990年代には既にワンマン化を見据えて正職員車掌の兼務運転士化を進めていました。
そして2008年5月31日~2009年3月3日に東西線全駅へ可動式ホーム柵を設置し、2009年4月1日よりワンマン運転を開始しました。
その後、南北線は2013年4月1日、東豊線は2017年4月1日にワンマン化を為しています。

ツーマン時代は自動放送装置を搭載した車両でも、マナー啓発や交通安全運動の案内などで車掌の肉声放送を聞く事がよくありました。
こうした放送もワンマン化後は自動音声に置き換わりましたが、中には未だに自動化していない放送もあります。
それは朝夕ラッシュ時や催事開催日など混雑時の注意喚起です。
具体的には「お乗りになりましたら立ち止まらずに、車内中ほどまでお進み下さい」というようなものですね。
「ご乗車ありがとうございます。○○です。前の方に続いてご順にお降り願います」「○○行き、発車します。お体をお引き下さい。ドアが閉まります。」「駆け込み乗車は大変危険ですのでおやめ下さい」といったレパートリーもありますね。
これら文言は今なお肉声放送に依っており、停車中に運転士がマイクを手繰り寄せてアナウンスします。


札幌市営地下鉄 乗務員室 車内放送装置 メトロ おひざ送りJR北海道 国鉄 札幌市交通局
東豊線7000形2次車・車内放送装置02
東豊線7000形1・2次車の乗務員室ドア越しに車内放送装置を眺めた様子(2014年5月5日撮影)

しかし中には全線ワンマン化後、めっきり聞かなくなってしまった放送もあります。
それが表題にある「お膝送り」という言葉ですね。
具体的には以下のように放送で使いました。

「お乗りになりましたら立ち止まらずに、車内中ほどまでお進み下さい。座席のお客様は一人でも多くの方が座れますよう、お膝送り願います」

この「お膝送り」という言葉は元々、お江戸の方言だったそうです。
先に座っている人に対し、後から来た人が座れるように隙間を詰めてもらう時に使う挨拶言葉なんですね。
本来は落語の寄席で使われた言葉だといい、寄席が混雑してきたら聴衆に少しずつ前に進んでもらい、その背後に出来た隙間に新たに座布団を敷いた事に由来するそうな。

そんな江戸言葉がどうして遠く離れた札幌で使われていたのか?
開拓時代の北海道は移民募集により、北は青森から南は沖縄まで全46都府県から入植者が集まってきました。
俗に言う“北海道弁”も各都府県の方言が混じったキメラで、例を挙げると「しゃっこい」は津軽弁、「いずい」は仙台弁、「なまら」は新潟弁、「みったくない」は上越の高田弁、「はんかくさい」は能登弁、「よしかかる」は金沢弁、「わや」は関西弁をルーツに持ちます。
「お膝送り」も東京から入植した人が日常的に言い続け、次第に定着していったという事なのでしょう。
おまけに札幌近郊の江別市角山には1945年、空襲に遭った東京都世田谷区の罹災者達が入植し、集落を築き定住に至りました。
比較的近年に近場へ都民が集団移住してきた事も、「お膝送り」という言葉の定着に大きく絡んでいたのかも知れません。
それこそ昔の交通局職員に世田谷集落出身の方がいて、しかも車内放送マニュアルの作成に関わっていた・・・とか有り得そうです。



南北線3000形と車掌(20120310)
今は無き南北線の連接車・3000形(2012年3月10日撮影)

私も高校時代は地下鉄通学で、登下校の度に車掌の一挙手一投足を観察するのが日課になっていました。
特に朝ラッシュ時は毎日のように「お膝送り」のアナウンスを聞いたものですから、まるっきり耳にしなくなった事に一抹の寂しさを覚えます。

ただしJR北海道の車内放送で「お膝送りをお願い致します」というのは聞いた事が無いですね。
作者は札幌市在住の方なので、おそらくは地下鉄を日常的に使っていて、その車内放送のイメージが強く印象に残っていたのでしょう。

いくら自動運転と言えどもワンマン化で運転士の手間が増え、停車中の肉声放送も端折るようになってきました。
最近は「お膝送り」という言葉を知らない人も徐々に増えてきた感があります。
正直言って、熱心な落語ファンくらいしか分からないようなレベルになりつつある気も・・・。
そのうち札幌周辺で聞く事も無くなってしまうのでしょうか?





話は変わりますが4月に入ってから、FMラジオノースウェーブでSOIL & "PIMP" SESSIONSの新曲「ピンクの女 feat. 向井秀徳」がよく流れています。
ジャズとファンクが大好物な私にはドストライクな一曲。
ゆらゆらと怪しく揺れるグルーヴが堪りません!!
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最終更新日 : 2022-04-23

こんばんは😃 * by らんちゃん
えっ、「よしかかる」も、方言なのですね!知らなかったです。

「お膝送り」、初耳です。デナさんより年上ですが、地下鉄は札幌に行った時に乗る程度で記憶になく😥確かに、JR車内では、聞いたことないです。

Re: こんばんは😃 * by 叡電デナ22
らんちゃんさん

どうも、こんばんは。

元は江戸言葉の「お膝送り」ですが、実は意外と首都圏の鉄道会社でも聞かない言葉です。
遠く離れた札幌の地下鉄で使われてきたのが寧ろ不思議なくらいw
札幌市民ですら「お膝送り」を知らないという人は少なくないですね。

「よしかかる」も方言なんですよね。
標準語に直すと「寄りかかる」になります。

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こんばんは😃

えっ、「よしかかる」も、方言なのですね!知らなかったです。

「お膝送り」、初耳です。デナさんより年上ですが、地下鉄は札幌に行った時に乗る程度で記憶になく😥確かに、JR車内では、聞いたことないです。
2022-04-23-22:12 * らんちゃん [ 編集 * 投稿 ]

叡電デナ22 Re: こんばんは😃

らんちゃんさん

どうも、こんばんは。

元は江戸言葉の「お膝送り」ですが、実は意外と首都圏の鉄道会社でも聞かない言葉です。
遠く離れた札幌の地下鉄で使われてきたのが寧ろ不思議なくらいw
札幌市民ですら「お膝送り」を知らないという人は少なくないですね。

「よしかかる」も方言なんですよね。
標準語に直すと「寄りかかる」になります。
2022-04-23-22:56 * 叡電デナ22 [ 編集 * 投稿 ]