タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2022-03-19 (Sat) 23:54

苗穂運転所に入区するロイズタウン駅開業記念列車

ロイズタウン駅開業記念列車a01

2022年3月12日、JR各社は全国一斉にダイヤ改正を実施しました。
道内では此度の改正に伴い函館本線5駅(池田園駅・流山温泉駅・銚子口駅・石谷駅・本石倉駅)、根室本線1駅(糸魚沢駅)、宗谷本線1駅(歌内駅)の計7駅が廃止されました。
経営の厳しいJR北海道は2016年3月26日を皮切りに毎年、ダイヤ改正の度に利用者が特に少ない無人駅を廃止してきました。

今回も廃駅は避けられなかった訳ですが、これまでと違うのは開業した駅もあるという事。
それは札沼線あいの里公園~太美(旧:石狩太美)間に開設された「ロイズタウン駅」です。
現地にはロイズの製造拠点である「ふと美工場」があり、同工場の増設に合わせてアミューズメント施設や周辺の宅地開発を計画している事から新駅開設に至りました。
駅舎とホームの建設費用はロイズが負担し、これから造成が進む駅前広場の整備費用は当別町役場が負担しています。
JR北海道は駅構内施設の維持費のみ負担する事となっており、順当に考えれば今後の施設保全は札幌設備所(国鉄札幌建築区・札幌機械区を前身とする現業機関)が担当するものと思われます。
電気設備の保全については電灯・ブレーカー等が札幌電力所、鉄道電話機が札幌信号通信所の受け持ちとなるでしょう。
道内在来線としては石北本線の西留辺蘂駅以来、22年ぶりの新駅です。

苗穂運転所所属のキハ261系「ラベンダー編成」を団体臨時列車に充当し、ツアー客を乗せて札幌駅を9:44に出発。
ロイズタウン駅には10:04に到着し、そこでツアー客はバスに乗り換えて当別町内を周遊しました。
ツアー客を見送ったラベンダー編成は団臨の仕事を終え、暫く当別駅(旧:石狩当別駅)に留置されてから苗穂運転所へと帰ってきました。
12:50、札幌方面から苗穂駅構内の出入区線に進入。


JR北海道 国鉄 苗穂運転所 苗穂工場 JR貨物 苗穂駅 函館本線 キハ261系5000番台
ロイズタウン駅開業記念列車a02

ラベンダー編成はゆっくりと苗穂駅の跨線橋を潜り抜けます。


キハ261系ラベンダー編成 札幌~ロイズタウン間(ツアー)
ロイズタウン駅開業記念列車a02-1

そして「苗穂運転所境界」と書かれた標識の手前まで移動。


ロイズタウン駅 開業記念入場券 発売
ロイズタウン駅開業記念列車a03

境界の手前では赤緑2色のフライ旗を持った構内係が待機していました。
この構内係、実はJR北海道の社員ではありません。
JR北海道は2005年4月に運転所の構内入換業務を、子会社の北海道ジェイ・アール運輸サポート㈱に委託しているのです。
北海道ジェイ・アール運輸サポートの略称は「JUS」。
苗穂運転所においてはJUS苗穂事業所が構内入換と一部の車両整備作業を受託しています。
JR北海道の検修員がチャコールグレーの作業服と黒帯入りヘルメットを着用するのに対し、JUSの社員は紺色の作業服と山吹色の帯が付いたヘルメットを着用します。

苗穂工場における構内入換のルーツは、国鉄時代の苗穂工場輸送職場です。
分割民営化後は組織再編により苗穂工場鉄工科が構内入換を継承。
鉄工科は他にもブレーキシューなど鋳物の製造、車体の修繕・溶接、塗装作業などを担当してきましたが、札幌工営㈱及び札幌交通機械㈱への業務委託化に伴い2003年4月1日付で廃止されています。
構内入換については札幌工営㈱が受託しましたが、2018年4月1日に札幌交通機械㈱に吸収合併されました。


ロイズタウン駅 開業記念オンラインツアー 運転取扱業務 構内入換業務 操車業務
ロイズタウン駅開業記念列車a04

JUSの構内係はステップに足をかけ、先頭車に乗り込みます。
運転室に入ったらフライ旗による手信号合図で、運転士を運転所構内の所定位置へと誘導します。
一昔前までは運転士側のステップに上がり、風を浴びながら操車を行なうのが当たり前でしたが、昨今では転落事故防止の観点から車内やオープンデッキで行なうようになってきました。



ロイズタウン駅開業記念列車a05

ラベンダー編成は苗穂運転所を目前に小休止を挟みます。



ロイズタウン駅開業記念列車a07

停車中の今がチャンスと、前面をズームして専用ヘッドマークを捉えます。
「祝開業ロイズタウン」の文言と共に描かれているのは当別町のマスコットキャラクター「とべのすけ」。



ロイズタウン駅開業記念列車a08

ロイズタウン駅開業記念列車a06

12:52、ラベンダー編成は構内係の誘導により発車。



ロイズタウン駅開業記念列車a09

「苗穂運転所境界」の標識を過ぎれば、そこはもう苗穂運転所の構内です。
5km/h以下の牛歩で車両洗浄装置を潜っていきます。



ロイズタウン駅開業記念列車a10

編成最後尾が抜け切るまで油断は禁物。
ラベンダー編成はそろりそろりと前進します。



ロイズタウン駅開業記念列車a11

12:54、ようやく車両洗浄装置を通過したラベンダー編成。
少しだけ速度を上げて運転所の奥へと引っ込んでいきました。




この日は苗穂工場構内にある北海道鉄道技術館の開館日。
ラベンダー編成を撮影した後はジャズトランペッター、ドナルド・バード(Donald Byrd)の「Fancy Free」を聴きながら苗穂工場を目指します。


※写真は全て2022年3月12日撮影
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最終更新日 : 2022-03-20

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