意外と知られていませんが「ら~めん共和国」はJR北海道の関連事業で、子会社の札幌駅総合開発㈱が運営しています。
札幌駅総合開発㈱は2005年10月1日に札幌ターミナルビル㈱、札幌ステーション開発㈱、札幌駅地下街開発㈱、札幌駅南口開発㈱の4社が合併し発足した会社です。
このうち札幌ターミナルビル㈱から継承した物件が札幌エスタで、現在はビックカメラをはじめユニクロ、ロフト、ニトリEXPRESS、ヴィレッジヴァンガード等が入居しています。
札幌エスタは北海道新幹線延伸に先駆けた再開発計画により、新ビル建設と引き換えに2023年8月末での閉館が決まっています。
「ら~めん共和国」についても特に移転の予定は無く、札幌エスタと運命を共にする事となります。
JR北海道 国鉄 JR貨物 札幌ラーメン共和国 札幌らーめん共和国
曲がりなりにも鉄道会社の関連施設とあって、共和国の館内にも「鉄道」が存在します。
レストラン街から“入国”して早々、広々としたSL広場に辿り着きます。
国鉄7100形を少し縮めたような風貌の蒸気機関車が停まっています。
といっても本物のSLではなく、SLに似せて作られた大型模型です。
実際の7100形は北海道初の鉄道である官営幌内鉄道から国鉄に引き継がれた車種。
1880年~1889年にアメリカのポーター社(H.K.Porter,Inc.)で8両が製造され、末期2両を除き1両ずつ「義經」「辨慶」「比羅夫」「光圀」「信廣」「しづか」と名付けられました。
共和国のSLは赤く塗られたバンパー、板チョコを連想させるフロントガラスの配置に7100形らしさを感じますね。
正面の煙室扉にはラーメンテーマパークに相応しく、なるとの渦巻き模様が描かれています。
車号板には「7RU10」とあり、まんま「なると」と読めますw
煙突もよーく見ると、てっぺんがラーメン丼をひっくり返したような形!
もちろんラーメン丼にはお馴染みの模様、即ち「雷紋」も描かれています。
ヘッドライトは電球が普及する前の「油灯式」を再現しています。
実際の7100形もオイルランプをヘッドライトに使用していました。
汽笛と鐘を併用して接近を知らせるアメリカンスタイル。
アメリカは郊外型の鉄道路線でも併用軌道を敷くケースが多く、歩行者への注意喚起としてこまめに鐘を鳴らしていたんですね。
日本でも7100形を含む初期の蒸気機関車は鐘を装備していましたが、長距離路線の軌道を路上に敷く事が少なかったため、後年のカマは鐘無しとなっていきました。
車体側面には箸と丼を並べたマークが付いています。
丼の内側には「なると線 7RU10 道産子交通」との表記。
この事から共和国内に敷かれた鉄道は「道産子交通なると線」だと分かります。
車号が「7RU10」なのは路線名に合わせているから?
足回りに目を向けると、動輪の中心までもなると。
ここまでなるとに拘るのは面白いですね。
7RU10が停まっているのはこじんまりとした駅。
プラットホームは東急世田谷線と見紛うほどの低さです。
ホーム上の駅名標には「ら~めん共和国」とあります。
国名がそのまま駅名になっているんですね。
隣駅名は右側に「さっぽろこく」とあるだけなので、ら~めん共和国駅が道産子交通なると線の終着駅だと分かります。
ちなみに駅名標が指し示す札幌国駅の方向へ歩くとエスカレーターがあり、そこからどんどん下りていくと地下鉄さっぽろ駅まで移動できます。
ら~めん共和国駅の駅舎に待合室は無く、屋外に向けて1ヶ所の窓口を設けています。
その窓口には「改札口」と書かれていますが、「出札窓口」は特に見当たらず。
どうやら駅員は改札業務の片手間に出札業務をこなしているようです。
…とまあ想像を膨らませましたが、実際は観光客向けに入国記念スタンプを配置していました。
しかしコロナ禍に突入してからは、感染拡大防止のためスタンプが撤去されています。
残念ながらプラットホームは立入禁止なのでラッチ外からの撮影に留めます。
ホームには小さな旅客上屋が設けられています。
こうして見ると昭和の頃に道外で散見された、路面電車の有人駅を見ているような気分。
上屋の下には運賃表と発車時刻表が掲げられています。
蒸気機関車が牽引する客車は上等・中等・下等の3段階にランク分け。
列車本数は1日14本で、このうち札幌国行きは3本、旭川国行きは4本、函館国行きは2本、釧路国行きは5本です。
何気に釧路方面が優遇されていますね。
しかし現実の共和国では、釧路ラーメンの出店は14年間も皆無…ちょっと悲しい。
プラットホームのすぐ手前に踏切があります。
昭和時代によく見られたワイヤー式踏切です。
八角形の警戒標識。
芸が細かい事に踏切銘板まで付いています。
銘板によると、この踏切の名前は「ら~めん共和国踏切」。
キロ程は41K893M、つまり道産子交通なると線の41.893km地点に設けられた踏切です。
連絡先として「道産子交通ら~めん共和国支社信号通信指令」の電話番号が書かれています。
本物の鉄道さながらに踏切銘板を作る辺り、JR北海道グループの拘りを感じられます。
共和国駅からは線路がスラロームを描いています。
軌間には路面電車さながらに石畳を敷いていますね。
この線路を辿ってみましょう。
道産子交通なると線の線路は「らーめん空」「札幌真麺処幸村」「旭川ラーメン梅光軒」を横目に続きます。
そして共和国の出口を目前に、波トタンの壁と赤錆びた門扉が立ちはだかります。
まるで車庫のような佇まい。
しかし札幌国駅の方向に延びる線路はこの1本だけなので、扉の先にはトンネルでもあるのでしょう…多分。
商店街には臨時の増発を知らせるポスターが貼られています。
以上、道産子交通なると線を取り上げました。
共和国の閉館まで残された時間は1年半もありません。
前回引用の道新にあるとおり、閉館までに一大イベントを開催する予定との事。
激混みしないうちの撮影をオススメ致します。
※写真は全て2022年2月27日撮影
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最終更新日 : 2022-03-17