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2022-02-07 (Mon) 20:33

根室本線幾寅駅[2] 幌舞駅の待合室とロケの決め手になった階段

幾寅駅a101

引き続き上川管内は空知郡南富良野町字幾寅にある、JR北海道の幾寅(いくとら)駅を見ていきましょう。
既に書いたとおりですが2022年1月28日、遂に沿線自治体が当駅を含む根室本線富良野~新得間のバス転換に合意しました。
今後は当該区間の廃止に向けて議論を進める事になりますので、訪問はお早めに。


待合室 木造駅舎 出札窓口 手小荷物窓口 フロント JR北海道 国鉄 JR貨物
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待合室 木造駅舎 出札窓口 手小荷物窓口 フロント JR北海道 国鉄 JR貨物
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待合室 木造駅舎 出札窓口 手小荷物窓口 フロント JR北海道 国鉄 JR貨物
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待合室 木造駅舎 出札窓口 手小荷物窓口 フロント JR北海道 国鉄 JR貨物
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待合室の様子。
駅舎の外壁が下見張りなのに対し、内壁は羽目張りになっています。
窓額縁の上には映画『鉄道員(ぽっぽや)』のロケセット、かなやま湖のキャンプ場やカヌー等を撮影した写真が飾られています。
ベンチは全て座布団が敷かれています。


待合室 木造駅舎 出札窓口 手小荷物窓口 フロント JR北海道 国鉄 JR貨物
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映画本編の雰囲気が漂う出札窓口と手小荷物窓口。
チッキ台には観光案内のパンフレットが陳列され、テレビが『鉄道員(ぽっぽや)』のプロモーションビデオを流しています。
駅事務室は南富良野町役場が東映の協力を得て「ロケーション記念展示コーナー」に改装しており、毎日9:00~17:00の開放中は自由に入室できます。
展示コーナーについては後回しにします。



幾寅駅a107

待合室にも『鉄道員(ぽっぽや)』に関連したポスターが貼り出されています。
こちらは1999年12月10日のビデオレンタル開始を告知するポスターです。
映画館での放映を開始したのが同年6月5日ですから、半年ほどで全国のレンタルビデオ店が取扱いを開始した事になりますね。
高倉健さんと広末涼子さんが写っていますが、窓際に貼りっ放しだったのでかなり色褪せてしまいました。



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「南富良野町ロケーションマップ」なる地図もあります。
これを見ると『鉄道員(ぽっぽや)』のロケ地が一目瞭然です。

佐藤乙松の妻子(雪子と静枝)が眠る墓は、幾寅駅から約1.2km南西にある町営幾寅墓地にありました。

志村けんさん演じる炭鉱夫・吉岡肇が働いていた炭鉱は、東鹿越駅の裏手にある王子木材緑化㈱ 鹿越鉱業所。
本来は炭鉱ではなく石灰石のドロマイト採掘を手がけており、それを原料として炭カル肥料・製紙製造原材料・アスファルトフィラー等の製造もしています。

引退間近の国鉄型気動車「キハ12-23」(本来の車号はキハ40-764)が駆け抜けた金山鉄橋はダム人造湖の「かなやま湖」に架かっています。
橋梁の保全は岩見沢保線所土木テーブルが担当しています。

撮影スタッフと俳優陣が宿泊した「ログホテルラーチ」は幾寅駅から西へ約6.3km、かなやま湖の湖畔に佇むログハウスホテルです。



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「列車が来るまで隣の情報プラザでお休みください」との貼り紙。
情報プラザの施設管理者である南富良野まちづくり観光協会が貼った物でしょう。
文末には「幾寅駅(幌舞駅)」と両方の駅名を書いています。



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幾寅市街には北海道南富良野高校があるので、待合室には同校の活動をPRする貼り紙も見られます。
特に道内唯一のカヌー部と、カナダの国際大会に出場した事もあるカーリング部は盛んに活動しています。



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ホーム側から駅舎を眺めた様子。



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改札口の様子。
『鉄道員(ぽっぽや)』の撮影当時はパイプのラッチが置かれていました。
駅事務室の玄関引き戸もありますね。



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改札口にでかでかと掲げた「ようこそ幌舞駅へ」との歓迎看板。



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縦書きの駅名標も「ほろまい」表記です。



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改札口の頭上には幾寅駅の駅名板もあります。



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駅舎の東側に視線を向けると・・・



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一目でトイレと分かる小屋が建っています。



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このトイレは『鉄道員(ぽっぽや)』の劇中において、駅に置き忘れた人形を取りに来た女の子が乙松と出会うシーンで登場します。
女の子について詳しく書くとネタバレになってしまうので、その先は君の目で確かめてくれ!(Vジャンプ)



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ただし小屋のトイレは撮影のために建てられたセットに過ぎず、実際に用を足す事はできません。
本来の駅のトイレは駅舎東面にあるのですが・・・



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・・・南富良野まちづくり観光協会が注意書きを貼っています。
要約すると「このトイレを使うのはオススメしない」との事です。

はしょらずに詳しく書くと
①昔のボットン便所なので朝夕、一生懸命掃除しても悪臭が取れない
②冬に水道管が凍結するリスクがあるので水洗化できない
③ボヤがあったのでトイレットペーパーは設置していない
④情報プラザと道の駅に水洗トイレがあるので、そちらを利用してほしい
という訳ですね。

情報プラザのトイレは8:30~17:00に限り開放。
道の駅なら24時間利用可能です。



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こちらは駅事務室の勝手口です。
引き戸の背丈が恐ろしく低め。



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駅事務室の東側には国鉄時代のコンテナが置かれています。
錠前が付いている様子から、どうやら除雪用品の収納に使われているようです。



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幾寅駅のプラットホームは高台の上。
改札口の向かいにはホームに上がる階段があります。



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当時の映画関係者がそう語っていたそうです。
高架線という訳ではないのに、駅舎とホームで大きな高低差が生じる幾寅駅。
ホームに上がる階段は、劇場のステージに上がる階段のようでさえあります。
言わば佐藤乙松の不器用な鉄道人生を象徴する舞台です。
いや、もしかしたら「天に昇る」イメージ、つまり死のメタファーだったのかも・・・?
これ以上書くとネタバレになってしまうので、その先は君の目で(ry


長くなったので今回はここまで。


《ブログ内関連記事リンク》
根室本線幾寅駅[2] 幌舞駅の待合室とロケの決め手になった階段


※写真は全て2021年4月17日撮影
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最終更新日 : 2022-02-13

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