タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2022-01-12 (Wed) 23:33

旭川地区駅輸送業務センターによる継電連動装置の展示

旭川駅新駅舎10周年記念イベントa601

引き続き2021年11月23日に開催された「旭川駅新駅舎グランドオープン10周年記念イベント」の模様を取り上げましょう。
1階南コンコースの西側は鉄道用品の展示場となっており、多種多様な鉄道用品が集まっていました。
その窓際にはベルトパーテーションで区切られた一角が。
仕切られたスペースには3脚のテーブルと4台の機械が置かれ、傍には輸送職用の作業服を着たベテラン駅員が座っていました。
ベテラン駅員の名札には「旭川地区駅輸送業務センター センター長」と書かれています。


JR北海道 国鉄 JR貨物 京王電鉄 JR東日本
旭川駅新駅舎10周年記念イベントa602

ここは旭川地区駅輸送業務センターが設営した継電連動装置の展示コーナーです。
同センターは旭川駅を拠点駅とする旭川地区駅(担当区域:函館本線江部乙~旭川間、留萌本線全区間、富良野線旭川~学田間、宗谷本線旭川~東風連間、石北本線新旭川~上越間)において、各有人駅を対象に運転取扱業務の指導・支援を行なっています。
国鉄時代なら大規模駅の輸送本部に、運転取扱業務の指導を専門とする指導助役を配置していましたね。

JR北海道の駅輸送業務センターは、2006年4月開設の岩見沢地区駅輸送業務センターを皮切りとして、2010年4月には旭川を含む10センターを道内主要駅に開設。
2016年3月には北海道新幹線開業に伴う並行在来線の経営分離により、木古内地区駅輸送業務センターが廃止。
2017年4月には宗谷北線運輸営業所の廃止と引き換えに、名寄駅を拠点とする名寄地区駅輸送業務センターが発足しました。
そして駅輸送業務センターは2022年現在、札幌、千歳、室蘭、岩見沢、釧路、帯広、旭川、北見、名寄、函館、長万部の計11ヶ所があり、駅員達に対し操車・信号扱い等の教育と異常時訓練、安全教育を実施しています。
センター長は地区駅の拠点駅に所属する助役1名が担当しており、旭川地区駅輸送業務センターの場合は旭川駅の助役がセンター長を担当。
その配下には経験豊富なベテラン輸送職が教育担当として集まっています。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa603

展示品の継電連動装置は実物そっくりに作られたシミュレーターです。
駅輸送業務センターでは信号取扱訓練にシミュレーターを使用。
駅員達に運行障害や列車の故障など、異常事態を想定した手動操作をレクチャーしています。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa605

こちらのシミュレーターは「A駅」との札が付いており、駅構内には島式ホーム2面4線と入換線、留置線、保線線(保守用車を滞泊させる線路)を設けています。
駅の前後は単線区間で、左側は2路線に分岐しています。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa604

継電連動装置とは継電器(リレー)を使用し、駅構内の信号機・転轍機を連鎖させる事によって個々の誤作動を防ぎ、安全な進路構成を為せるようにした保安装置の事です。
その動作は鎖錠・連鎖・連動、これら3つの仕組みにより成り立っています。
「鎖錠」とは制御盤で進路を構成した後、列車が通過するまでの間に転轍機・信号機の操作が出来ない状態です。
「連鎖」とは転轍機・信号機が相互に鎖錠の関係にある事です。
「連動」とは連鎖した機器同士が一緒に作動する事を意味し、「インターロッキング」とも呼ばれます。

従前の機械式連動装置に代わる新機軸として、1926年にアメリカで継電連動装置の研究がスタート。
日本国内では1933年8月に帝都電鉄(現:京王井の頭線)渋谷駅・永福町駅・吉祥寺駅の3ヶ所に設置されたのが最初で、1934年には国鉄も総武本線津田沼駅に1号機を設置しました。
継電連動装置の導入によって、駅構内の各所に配置された転轍機や信号機(出発信号機・場内信号機・入換信号機など)を1ヶ所で制御できるようになります。
したがって従来は分散配置だった信号扱所や転轍詰所の機能を1ヶ所に集約する事ができ、運転取扱業務の合理化や人員削減にも効果を発揮しました。



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継電連動装置は制御盤のツマミ(テコ)を捻る事で、駅構内の信号機・転轍機を操作できるようになっています。
テコは種別ごとに色分けされています。
赤いツマミは場内信号機・出発信号機を操作するテコ、一斉非常停止装置のテコ、手信号代用器のテコ・・・と3種類があります。
黄色いツマミは方向・照査・進路・自動切換のテコ。
緑のツマミは入換標識・鎖錠・進路開通のテコ。
ピンクのツマミは誘導信号機のテコ。
白いツマミは入換信号機のテコ、またはCTC(列車集中制御装置)の集中・駅扱を切り換えるテコ。
黒いツマミは転轍テコ、つまり転轍機を操作するテコとなっています。

これらツマミに加え、押しボタンも制御盤に付いています。
白いボタンは信号電源の切換えボタン、または進路選別式において進路の振り分けに使用する選別押しボタン。
緑のボタンは列車の接近に合わせて警報音を鳴らす接近電響器のボタン。
赤いボタンは停電回復ボタン。
テコや押しボタンは他にも種類がありますが、展示のシミュレーターに付くのは以上です。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa607

A駅継電連動装置の左上には2つの鍵穴があり、それぞれ「富良野線場内代用」「富良野線線閉」と表記されています。
「場内代用」の鍵穴は即ち「場内代行テコ」で、鍵を差して右に捻る事で取り扱う事が出来ます。
場内代用テコは場内信号機が故障により使用できない時、或いは自駅を出発した列車が何らかの都合により戻ってくる場合などに閉塞を解除するテコです。
一方、「線閉」の鍵穴は線路閉鎖を実施する際に使用するテコです。
線路閉鎖とは一定の閉塞区間において信号機を常に停止現示(赤信号)とし、一切の列車を進入できない状態にする事です。
保線作業員や重機などを集めて軌道補修工事を行なったり、マルタイや軌道モーターカー等の保守用車を運転する時などに線路閉鎖を実施します。
鍵を差して右に捻ると線路閉鎖状態になり、左に捻ると解除できます。

鍵穴の下には「富良野線退行解錠」「富良野線誤出発」と書かれた押しボタンがあります。
これらは特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)を採用した線区の交換駅に設けているボタンです。
退行解錠ボタンは自駅に到着した列車が退行する場合に使用します。
誤出発ボタンは運転士が出発信号機の停止現示を見落とし、列車を前進させてしまった際に使用します。
何れも駅の前後に設置した開電路式軌道回路(OT) 、閉電路式軌道回路(CT)に作用し、閉塞を解除する事で列車が後退できるようになります。

写真右側の赤いツマミ2個は「踏」のステッカーが貼られています。
これらは出発信号機などの故障により代用手信号を用いる時、本来なら出発信号機と連動する踏切の遮断機・警報機を手動操作する「踏切代用テコ」です。
踏切を作動させる際はツマミを左に捻ります。



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こちらの黒いツマミ群は転轍テコ。
先述したとおり転轍機を制御するテコで、定位なら「N」のランプ、反位なら「R」のランプが緑色に点灯します。
制御点はN・C・Rの左右回転3位式となっており、通常はC(中央)の位置にあって信号テコにより総括制御されています。
しかし時には信号テコの総括制御を外し、転轍機単独で取り扱う必要が生じる事もあります。
例えば輸送職駅員や保線作業員が転轍機の清掃をしたり、電気所の係員が細密検査を実施する時は、N・Rの右回転2位式により手動操作します。

A駅の転轍テコには42、43、44、47、48・・・と番号を振っており、連動図表に記された各転轍機の番号と紐付いています。
単独制御に切り換えてからツマミを捻ると、該当する箇所の転轍機が作動するという訳です。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa609

こちらは制御盤の左下に付いているスイッチ類。
「遠方」と書かれた赤いツマミは、カーブなどで場内信号機の見通しが悪い場合に設置される遠方信号機のテコですね。
遠方信号機は場内信号機よりも手前に設置され、運転士に対して場内信号機の現示を予告します。

緑のボタンは接近電響器を作動させるボタンですね。
これを押すと線路沿いに置かれた接近電響器が警報音を鳴らし、付近で作業をしている輸送職駅員や保線作業員などに列車の接近を知らせます。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa610

連動装置の基礎である連動図表には、線路、各種信号機、駅本屋、ホームなど、駅構内の設備配置を明示しています。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa611

制御盤の上中央にあるテコ群。
左の赤いツマミは一斉停止テコで、駅構内で運転事故等の緊急事態が発生した際、全ての信号機を停止現示にして列車の運行を止めます。

右はCTC区間の駅に設けている「駅扱」の切り換えテコです。
A駅における信号制御は「駅扱181」と「駅扱182」に分かれており、連動図表の点線より下が駅扱181、点線より上が駅扱182の制御エリアとなっています。
例えばF駅~C駅間で輸送障害が発生している場合は駅扱181を手動扱いに切り換え、平常運転のB駅方面が発着する駅扱182をCTC扱いのままにする事も出来ます。
写真の場合は2つとも駅扱のランプが緑色に点灯しているため、共に手動扱いの状態だと分かります。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa612

制御盤の右上には、これまた転轍テコ群。
その右端には「解放」の鍵穴があり、鍵が右側に回した状態で差してありました。
これはつまり駅構内の信号扱いが全て、駅での手動扱いに切り換わっている事を意味します。



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こちらは制御盤の右下。
下り入換線はA駅構内で唯一、誘導信号機を設置している線路です。
そのため誘導信号機のテコであるピンクのツマミが付いています。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa614

A駅継電連動装置には「操作卓」と書かれた小ぶりな機器が接続されています。
これは駅輸送業務センターのエキスパート職(チーフリーダー・リーダー)が使用します。
輸送の認定を受けたリーダー達は、駅員達に対し運転取扱業務を教育する立場。
信号取扱訓練の際は、この操作卓のスイッチを操作して転轍機・信号機などの停電・故障・断芯といった事象を起こし、異常時の取扱いをシミュレーションしています。




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旭川駅新駅舎10周年記念イベントa616

こちらは「B駅」の連動装置シミュレーター。
A駅に比べて小規模な、単線区間の交換駅です。



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A駅の連動装置は線路上にツマミや押しボタンを配置していましたが、B駅では全て連動図表の外側に配置しています。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa618

連動図表を見ると「本屋」に白丸と1本の線を並べたマークが付いていますね。
このマークは構内配線略図において「信号扱所」を意味する記号です。
つまりB駅は駅本屋の中に継電連動装置を設置しているのです。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa619

B駅は特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)を運用する線区の中間駅なので、制御盤には上下双方向の退行解錠ボタン・誤出発ボタンが付いています。



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa620

B駅連動装置にもリーダー達が使用する訓練用の「操作卓」が接続されています。
こちらは踏切支障も想定した訓練を行なえる仕様です。



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ちなみに旭川駅5・6番線の東端をよく見ると・・・



旭川駅新駅舎10周年記念イベントa622

・・・何と、旭川駅輸送事務室の表札から「旭川地区駅輸送業務センター」の記名が消されているではありませんか!
「旭川駅輸送事務室」の下に白テープを貼り、文字列を消した痕跡がありますよね。
2010年4月の開設以来、長らく輸送事務室を間借りしていた駅輸送業務センター。
しかし大掛かりなシミュレーターの増備により手狭となったため、移転したという事なのでしょう。



旭川地区駅輸送業務センターn01
2019年9月8日撮影

参考までに、駅輸送業務センターが同居していた頃の旭川駅輸送事務室です。
こんな感じで表札に両者の名前をでかでかと書いていました。


展示された鉄道用品は他にも色々ありますが、長くなったので今回はここまで。




※写真は特記を除き2021年11月23日撮影
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最終更新日 : 2022-01-23

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