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2022-01-01 (Sat) 16:38

札幌市交通局の「年末年始輸送安全総点検」における違和感

福住駅事務室と年末年始輸送安全総点検a01

明けましておめでとうございます。

旧年中にあった鉄道関連の話題を振り返ると、JR東日本が2022年に実施予定だと判明した「現業機関における柔軟な働き方の実現」が大いに注目されましたね。
これまでの事務・営業・輸送・乗務・車両・施設・電気による枠組みを職制から取り払い、社員のゼネラリスト化を推し進める考えだという訳です。
小規模なローカル私鉄の業務体制に学んだ取り組みだったのですが、その後に発生した大事故や不祥事を受けて方針転換。
JR西日本ではエキスパートの養成に注力するべく「業務の融合化」を縮小し、JR北海道では運輸営業所の廃止や業務統合駅の解消によって白紙となりました。
こうした他社の動きに反し、JR東日本は2022年3月12日ダイヤ改正に伴い、業務の融合化を盛り込んだ新たな現業機関として「統括センター」や「営業統括センター」を各地に開設します。
はたしてこの取り組みは定着するのか、これから注視していきたいですね。

今年も宜しくお願い致します。



福住駅事務室と年末年始輸送安全総点検a02

さて、毎年12月10日~1月10日は国土交通省が定める「年末年始輸送安全総点検」の実施期間です。
陸・海・空すべての交通機関が繁忙期を迎えるタイミングで、自主点検による安全確保と事故防止の徹底を図ります。
駅構内や列車内でも「ただいま年末年始輸送安全総点検を実施しております」との決まり文句に始まる放送をかけ、乗客に対して「ドアの開け閉めにご注意ください」「駆け込み乗車はご遠慮ください」などと安全啓蒙を行なっていますね。

札幌市交通局の場合、地下鉄全49駅の事務室前に「年末年始輸送安全総点検実施中」との懸垂幕を掲げるのが風物詩。
大抵の駅事務室は改札口の傍にあるため、利用客の目にも付きやすいですね。



福住駅事務室と年末年始輸送安全総点検a03

札幌市営地下鉄の車内放送でも、年末年始輸送安全総点検に伴う安全啓蒙を実施しています。
ツーマン時代は車掌(兼務運転士を含む)が肉声放送をかけていましたが、全線ワンマン化後は自動放送を流しています。
自動放送の内容を書き起こしてみましょう。


ただいま、年末年始輸送安全総点検を実施しております。電車の乗り降り、ドアの開閉(かいへい)、足元にご注意ください


・・・何だか違和感がありませんか?
「電車の乗り降り、ドアの開閉・・・」のくだりですね。
乗降時にドアの動作や足元の段差・隙間に気をつける訳ですから、「電車の乗り降り」の後に時機を意味する言葉が付くはずですが、それが省略されてしまっているのです。
つまり「電車の乗り降りの際、ドアの開閉、足元にご注意ください」なら日本語としてスッキリした表現になると思うのです。

ただしこれはツーマン時代から放送の文面を定めており、2000年代には若い車掌がマニュアルそのままに「電車の乗り降り、ドアの・・・」とアナウンスする事が多々ありました。
一方、中堅・ベテランは誰もがマニュアルに対する違和感を拭えなかったらしく、啓蒙放送をかける時は「電車の乗り降りの際、ドアの・・・」とアナウンスしていました。
「ドアの開閉」を「ドアの開け閉め」に言い換える車掌も多かったですね。
モーター音が大きく唸る地下鉄の車内では、スピーカーから流れる音声は「開閉」よりも「開け閉め」と、音にメリハリを持たせた方が聞き取り易いのです。
自動放送装置を搭載した車両でも放送の全てを自動化している訳ではなかったので、紋切り型にならない車掌一人一人の細かな気遣いが垣間見えたものでした。


札幌市営地下鉄東豊線9000形
福住駅に停まる東豊線9000形a01

全線でワンマン運転を実施している今は、運転士がデッドマン装置から手を離せないため駅間の放送は自動に頼りきり。
日本語に違和感のある安全啓蒙放送も、自動音声によって垂れ流しになっています。
せめて「電車の乗り降り、ドアの・・・」のくだりだけ録り直していただければ、放送がかかる度に感じるモヤモヤから解放されるのに・・・と思う次第です。


※写真は全て2021年12月31日、東豊線福住駅にて撮影
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最終更新日 : 2022-01-01

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