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2021-10-05 (Tue) 21:58

函館本線岩見沢駅[9] 荷扱作業もこなす清掃員と「ばん馬」の木彫

岩見沢駅a601

引き続き空知管内は岩見沢市有明町南にある、JR北海道の岩見沢(いわみざわ)駅を取り上げましょう。
第1回~第3回の記事では「鉄道の町・岩見沢」の象徴と言える岩見沢駅の大まかな歴史を解説。
第4回からは複合駅舎(4代目駅舎)を眺め、合築の市営施設「有明交流プラザ」も紹介しました。
そして第8回でホームへと足を踏み入れました。
今回もプラットホームの様子を見ていきましょう。


JR北海道 国鉄 JR貨物 岩見沢操車場 車両基地 作業中スイッチ 運転取扱業務 連結作業 分割併合
岩見沢駅a605

岩見沢駅構内では輸送職駅員(輸送主任・輸送指導係・輸送係)が連結作業を行なうため、各ホームに「作業中スイッチ」が設置されています。
第一ホーム(1番線)は跨線橋階段脇、有明交流プラザ脇の2ヶ所にあります。
作業中スイッチを押すと柱に付いたパトランプが黄色く点滅します。


JR北海道 国鉄 JR貨物 作業中スイッチ 運転取扱業務 連結作業 分割併合 指差称呼確認 安全標識
岩見沢駅a606

作業中スイッチの取扱いに関する指差称呼確認を列記した安全標識。
「1,作業スイッチは入れたか」「2,編成通知書はよいか」「3,連結はよいか」「4,手ブレーキはよいか」「5,尾灯はよいか」「6,ブレーキ試験はよいか」「7,作業スイッチは切ったか」と、注意すべき7項目を掲げています。
これを念頭に輸送職駅員が連結作業を行なうのです。



岩見沢駅a602

第一ホームの跨線橋階段下には、黄色い垂れ幕の付いた出入口があります。



岩見沢駅a603

ここは北海道クリーン・システム㈱札幌鉄道支店JR岩見沢営業所の保管庫。
この保管庫にはゴミ箱、箒、雑巾、収納バッグ等の清掃用品が常備されており、水洗いが出来るよう流し台も置かれています。
北海道クリーン・システムJR岩見沢営業所の前身は国鉄時代、岩見沢駅駅務掛詰所(旧:駅手詰所)が担当した駅構内の清掃を業務委託化し発足した弘済美装㈱岩見沢支所。
跨線橋下の保管庫も国鉄時代から存在するものでしょう。


JR北海道 国鉄 弘済美装㈱岩見沢支所 北海道クリーン・システム㈱JR岩見沢営業所 721系 清掃員
岩見沢駅a619

清掃員は列車の到着時刻が迫ると、掃除道具を持ってホームへ。


JR北海道 国鉄 弘済美装㈱岩見沢支所 北海道クリーン・システム㈱JR岩見沢営業所 721系 清掃員
岩見沢駅a620

降車が済んだ事を確認すると列車に乗り込み、デッキのゴミ箱からゴミを回収したり、客室内の履き掃除・拭き掃除を行ないます。
元は労務職(旧:手職)の駅務掛(旧:駅手)や駅務指導掛(旧:駅手世話掛)がやっていた仕事です。
北海道クリーン・システムJR岩見沢営業所の清掃員も駅員と同様、24時間おきの一昼夜交代勤務に当たっています。


711系 JR北海道 国鉄 北海道クリーン・システム㈱札幌鉄道支店JR岩見沢営業所 附帯荷物輸送
岩見沢駅a622
711系 JR北海道 国鉄 北海道クリーン・システム㈱札幌鉄道支店JR岩見沢営業所 附帯荷物輸送
岩見沢駅a621
2枚とも2014年8月26日撮影

清掃員の仕事は掃除だけではありません。
JR北海道は会社発足以来「附帯荷物輸送」という名目で、旅客列車を活用した輸血用血液製剤や競馬新聞などの輸送を行なっています。
この附帯荷物輸送に伴う積卸作業を担当するのも、北海道クリーン・システムの清掃員です。
小荷物は黄色いプラスチック箱やステンレス製の箱に入れた状態で運びます。
本社・支社と各駅間における業務書類のやり取りにも附帯荷物輸送を活用しています。

なお、岩見沢駅における附帯荷物輸送の受託時間は8:30~17:00、引渡し時間は9:00~18:00です。
この時間帯ならホーム上で荷役作業を見る事ができるという訳ですね。


JR北海道 国鉄 北海道クリーン・システム㈱札幌鉄道支店JR岩見沢営業所 サボ保管箱 サボ保管場所
岩見沢駅a623

キハ40系やキハ150系の車体側面に掲出するサボの交換作業も清掃員の仕事です。
これまた国鉄時代は駅務掛や駅務指導掛が担当した仕事ですね。
ホームには「サボ保管場所」と緑色のテプラを貼った箱を置き、南京錠をかけて管理しています。



岩見沢駅a604

清掃用品庫の隣には古レールの骨組みで遮られた引き戸があります。
この部屋も物置の類でしょうか?


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 本屋構内 単式ホーム 島式ホーム
岩見沢駅a612
JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 本屋構内 721系
岩見沢駅a611

跨線橋から1番線・2番線・3番線を俯瞰した様子。


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 本屋構内 跨線橋
岩見沢駅a607

続いては第二ホーム(3・4番線)を見ていきましょう。


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 本屋構内 跨線橋
岩見沢駅a608

第二ホーム階段の天井にはパーク&トレインの宣伝が掲示されています。
特急を往復利用すれば駐車料金は1日500円!


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 本屋構内 跨線橋 モジャくん
岩見沢駅a609

最下層にはモジャくんの亜種がいますw
黄色い体毛、青い瞳という姿は雪男のイメージからかけ離れていますね。
中高生が元から看板に書いてあったモジャくんに落書きをしていったのかなあ?
ある程度長身の人でも届きそうにない高さですけど。
まさか2人1組で肩車して書いていったとか?
たかが落書きのためにそんな手間のかかるマネをするもんかね?
本当にやったなら雑技団にでも入れそうな奴らだな・・・。
色々と疑問が湧き上がりました。


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム
岩見沢駅a615
JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム
岩見沢駅a610
JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム
岩見沢駅a613
JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム
岩見沢駅a614

第二ホーム(3・4番線)は1面2線の島式ホーム。
結構長く20m車12両は収まりそうです。
ホームの大部分は旅客上屋が覆っており、旭川方の屋根無し部分に停止位置は設定されていません


JR北海道 国鉄 古レール ドーマン・ロング社 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム
岩見沢駅a616

旅客上屋の柱にはごく一部を除き、古レールが使用されています。
その中の1本はよく見ると思いっきり低い所に解説板が付いています。


JR北海道 国鉄 古レール ドーマン・ロング社 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム
岩見沢駅a617

解説板は国鉄時代に設置された物で、このレールは1908年にイギリスから輸入されたと書いてあります。
メーカーはイングランドのミドルスブラに本社を構えたドーマン・ロング社(Dorman Long Co.)です。


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム
岩見沢駅a624

旅客上屋は部分的に屋根が高くなっています。


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム 待合室
岩見沢駅a618

第二ホームの中間に置かれたガラス張りの待合室。


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム 農業用場木彫
岩見沢駅a626

跨線橋と待合室の間には威風堂々とした農業用馬(ばん馬)の木彫が鎮座しています。


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム 農業用場木彫
岩見沢駅a629

ばん馬の木彫を正面から眺めた様子。


JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム 農業用場木彫
岩見沢駅a630

ばん馬の木彫は1979年に完成し、1980年4月10日よりホームに展示されています。
作者は旭川市の彫刻家・中川貞司(-ていじ)さん。
中川さんは1943年に士別市多寄町で生まれ、1969年より現在に至るまで旭川市旭神2条1丁目で「木彫ナカガワ」を営まれています。
この木彫は第30代岩見沢駅長・大島光雄さんの発案で制作されました。

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《おや、プラットホームに“ばん馬”》
 北海道の中心札幌駅から函館本線下り急行で37分、そこに岩見沢駅がある。駅につくなり目に映ったのはプラットホームにある大きな“ばん馬”の像。ばん馬とは明治時代屯田兵といっしょに北海道を開拓した農耕馬である。このばん馬にそりを引かせて競う“ばんえい競馬”のふるさとはここ岩見沢。「駅名を全国に広め、市営競馬のPRも」ということで昭和54年に完成。
 これもアイデア駅長で知られる大島駅長の思いつき、乗降客の度肝を充分に抜くもので、岩見沢駅の増収に対する努力の一端をまず感じさせられた。
 この木彫りのばん馬は、長さ3.3メートル、高さ1.8メートル、重さ1トンと実物と同じ大きさ、材料はシナの木。太い足にぶ厚い胸、カッと見開いた目、歯ならびのいい口を半開きにした勇姿はゴール寸前のばん馬が見せるあのダイナミックな迫力があふれている。
 昭和28年から始まった岩見沢市営競馬は、年5億円もの収入をもたらす市のドル箱。ファンは空知近辺にとどまらず、旭川・札幌方面からも詰めかけ、年々客層も広がっている。そこで、平均的な農耕都市で特別これといった観光資源に恵まれない岩見沢に「観光客の目をひきつける駅に」という大島駅長のアイデアで、市営ばんえい競馬をPRしたいと考えている市の協力もあって、このばん馬が、購入費は市が負担し、場所を提供する同駅にプレゼントされた。
「この馬が利用客や競馬ファンを引っぱって来てくれるように」との胸算用も当たってか、55年夏頃からこのばん馬の下に“おさい銭”を投げ込む人が続出、加えて55年の岩見沢市営競馬場はなんと史上最高の売り上げを記録し、市では収入を一般会計に繰り入れるなど笑いがとまらない。供えられたお金を計算したところ1万3172円にもなり、中には埼玉県からわざわざ現金書留で送金してきた旅行者もいたほど。
「大穴を当てた人が、その一部を“守り神”のばん馬に返したのでは・・・・・・」と駅員たちの話題をさらったが、駅長は「いや、ばん馬に対する愛情がお金を寄付する行動にかりたてたんですよ」とニコニコ顔。このお金は市の社会福祉事業に役立ててもらおうと寄付された。

《出典》
国鉄線編纂委員会(1981)「われら第一線 岩見沢駅」,『国鉄線』1981年3月号(財団法人交通協力会)p.28
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JR北海道 国鉄 JR貨物 プラットホーム 岩見沢駅構内 旅客上屋 島式ホーム 農業用場木彫
岩見沢駅a627

木彫と馬橇の制作費は、大島駅長の案に乗った岩見沢市役所が負担。
手綱やハミなど馬具一式は当時、北海道ばんえい競馬馬主会の会長を務めた松浦慶三さんが寄贈しました。


JR北海道 国鉄 JR貨物 岩見沢駅構内 789系基本番台 農業用場木彫 特急ライラック
岩見沢駅a628

タイミングが合えば列車と農業用場木彫のツーショットを撮影できます。
札幌行きの789系0番台「特急ライラック」が出発した直後にシャッターを切ってみました。


長くなったので今回はここまで。


《ブログ内関連記事リンク》
函館本線岩見沢駅[9] 荷扱作業もこなす清掃員と「ばん馬」の木彫


※写真は特記を除き2020年11月24日撮影
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最終更新日 : 2021-11-03

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