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2021-08-12 (Thu) 23:57

根室本線新富士駅[2] 日本最東端のE&Sと三ッ輪運輸㈱JR貨物課

新富士駅・釧路貨物駅a101

引き続き釧路管内は釧路市新富士町3丁目にある、JR北海道の新富士(しんふじ)駅とJR貨物の釧路貨物(くしろかもつ)駅を見ていきましょう。
当駅が開設されてからの大まかな歴史と、釧路貨物駅の改称に至るまでの経緯は前回に書いたとおりです。
日本製紙㈱のルーツの一つである富士製紙㈱が建設費を全額負担し、請願駅として1923年12月25日に開設された新富士駅。
国鉄時代は製紙工場と石炭・石油輸送、農業資材輸送などを支える臨港の貨物拠点として機能しました。
2016年11月から㈱釧路新聞社の代表取締役社長を務め、「釧路臨港鉄道の会」の代表でもある星匠さんは国鉄末期、新富士駅に構内係(連結作業や転轍機の操作を行なう駅員)として勤務されたといいます。

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 私は昭和53年、国鉄に入社しました。まずは「臨雇」として、釧路鉄道管理局文書課に配属となり、守衛室に勤務しました。業務内容は、気象台から情報を受けとること、情報区から「ノリホ」の連絡を司令室に持っていくこと、管理局の各課に届いた文書を振り分けたり、駅など各現場への連絡として「通袋」に文書を入れる作業などで、1昼夜交代が原則でした。駅ビル内の管理局は2階から5階まであり、また、現場の釧路駅や情報区などもたくさんの職員がいて、活気に満ちていたように記憶しています。
 文書課から国鉄バス広尾自動車営業所、そして、新富士駅の構内係で準職員採用となりました。小さい駅でしたが、職員が駅長以下50人ほど在籍していました。もちろん旅客営業もしていましたが、貨物がほとんどで、主には西港からの石油タンク車や十條製紙(現日本製紙)からのワム車、そして新富士駅扱いの貨物もありました。突放による入れ換え作業がまだ行われていて、特に石油類を満載したタンク車の重たいことやなかなかブレーキの効かない貨車もあったなど、その頃の記憶はいまだに残っています。

《出典》
星匠(2001)「鉄路への期待~釧路駅開業100周年によせて」、釧路駅史発行プロジェクト『釧路駅100周年』(釧路駅長 餌取徳幸)p.76
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JR北海道 国鉄 JR貨物 釧路貨物駅 新富士駅 跨線橋 人道橋 歩道橋
新富士駅・釧路貨物駅a102

JR貨物の釧路貨物駅はコンクリート造りの駅舎を構えていますが、JR北海道の新富士駅には駅舎が無く、駅前T字路と旅客ホームを1本の跨線橋で結んでいます。
この跨線橋は1986年11月1日ダイヤ改正時、旅客フロント(出改札・案内)の廃止を受けて建設されたようです。
現在の新富士駅は釧路駅を拠点駅とする釧路地区駅(担当区域:根室本線直別~根室間、釧網本線鱒浦~東釧路間)に属し、地区駅長勤務の釧路駅が直轄する完全無人駅です。
特急列車は全て通過します。


JR北海道 国鉄 JR貨物 釧路貨物駅 新富士駅 跨線橋 人道橋 歩道橋
新富士駅・釧路貨物駅a103

跨線橋の内部には釧路駅長名義で「立小便禁止」を喚起する貼り紙があります。
無人化後の新富士駅にはトイレが無く、我慢できない客が駅構内でこっそり小便をするという事態が何度かあったんでしょうね。


JR北海道 国鉄 JR貨物 釧路貨物駅 新富士駅 跨線橋 人道橋 歩道橋
新富士駅・釧路貨物駅a104

ホーム側から跨線橋を眺めた様子。
跨線橋は釧路貨物駅の荷捌き場をも跨いでいます。


日本製紙釧路工場 チップコンベア パイプライン 十條製紙釧路工場
新富士駅・釧路貨物駅a126
日本製紙釧路工場 チップコンベア パイプライン 十條製紙釧路工場
新富士駅・釧路貨物駅a127

駅の南にある釧路港西港区と、北にある日本製紙㈱釧路工場を結ぶチップコンベアのパイプライン。
日本製紙は2021年8月を以って生産を終了する予定なので、このパイプラインもまもなく役目を終える事になります。


JR北海道 JR貨物 国鉄 新富士駅構内 プラットホーム 島式ホーム 旅客ホーム
新富士駅・釧路貨物駅a106
JR北海道 JR貨物 国鉄 新富士駅構内 プラットホーム 島式ホーム 旅客ホーム
新富士駅・釧路貨物駅a105
JR北海道 JR貨物 国鉄 新富士駅構内 プラットホーム 島式ホーム 旅客ホーム
新富士駅・釧路貨物駅a107
JR北海道 JR貨物 国鉄 新富士駅構内 プラットホーム 島式ホーム 旅客ホーム
新富士駅・釧路貨物駅a108

1面2線の島式ホーム。
コンテナホーム寄りが1番乗り場(運転取扱上は2番線)、駅裏寄りが2番乗り場(運転取扱上は3番線)です。
1番乗り場(2番線)が上下本線、2番乗り場(3番線)が列車交換時などに使用する上下副本線となっています。
ホーム全長は20m車6両分といったところですが、2番乗り場の釧路方は1両半ほど切り欠かれています。

なお、この島式ホームは盛り土式と桁式を組み合わせた構造で、盛り土部分は国鉄時代の木造駅舎があった場所(現:釧路貨物駅事務室)に近く、桁式部分は跨線橋側の約65mに築かれています。
この事から察するに、国鉄時代は盛り土式ホームが更に釧路方へ伸びており、それを旅客フロント廃止後に切り崩し、なおかつ駅構内西側の跨線橋新設に合わせて桁式ホームを建設したようです。


JR北海道 国鉄 新富士駅 簡易駅舎 待合所 待合室
新富士駅・釧路貨物駅a109

島式ホームの跨線橋寄りには近代的な鉄骨造りの待合所があります。
如何にも1980年代に造られたという感じの見た目ですよね。


JR北海道 国鉄 新富士駅 簡易駅舎 待合所 待合室
新富士駅・釧路貨物駅a111
JR北海道 国鉄 新富士駅 簡易駅舎 待合所 待合室
新富士駅・釧路貨物駅a110

待合室の様子。
臨港地区の無人駅に、ガラス張りの都会的な待合所というのは何ともミスマッチな気がします。
駅ノートの類も置かれていません。


JR北海道 JR貨物 国鉄 釧路貨物駅構内 コンテナホーム 貨物積卸線 貨物ホーム E&S方式
新富士駅・釧路貨物駅a112
JR北海道 JR貨物 国鉄 釧路貨物駅構内 コンテナホーム 貨物積卸線 貨物ホーム E&S方式
新富士駅・釧路貨物駅a113
JR北海道 JR貨物 国鉄 釧路貨物駅構内 コンテナホーム 貨物積卸線 貨物ホーム E&S方式
新富士駅・釧路貨物駅a115
JR北海道 JR貨物 国鉄 釧路貨物駅構内 コンテナホーム 貨物積卸線 貨物ホーム E&S方式
新富士駅・釧路貨物駅a114

こちらは釧路貨物駅のコンテナホーム。
1面1線のみとなっており、運転取扱上は0番線です。
前回記事では1989年8月1日の浜釧路駅移転に合わせてE&S化工事を実施したと書きましたが、工事完成から2021年現在に至るまでE&S方式(着発線荷役方式)の導入ケースとしては日本最東端です。
なお、旅客ホームから見て手前には1番線が敷かれており、こちらは貨車の留置に活用されています。


JR貨物 釧路貨物駅 出発信号機 運転取扱業務 指差確認喚呼
新富士駅・釧路貨物駅a117

コンテナホームの先端に設置された釧路貨物駅の出発信号機。
JR貨物の輸送職駅員(輸送主任・輸送指導係・輸送係)が取り扱っており、支柱にはJR北海道の指令所と連絡できるように鉄道電話機を設けています。


JR北海道 JR貨物 国鉄 釧路貨物駅構内 コンテナホーム 貨物積卸線 貨物ホーム E&S方式
新富士駅・釧路貨物駅a118

貨物駅に相応しく夜間の駅構内を照らす照明塔が聳えています。


新富士駅構内 留置線 側線
新富士駅・釧路貨物駅a116

駅裏には2本の留置線が敷かれています。
こちらも貨車の留置に活用されているため、新富士駅の旅客ホームはJR貨物が使用する線路に挟まれている事になります。


釧路貨物駅本屋
新富士駅・釧路貨物駅a124

駅裏の西港臨海公園から釧路貨物駅の駅舎を眺めた様子。
従業員用の玄関と飲料自販機が設けられていますね。
半地下フロアは釧路貨物駅の駅員、釧路営業所の所員が自家用車の駐車場として使用しています。


三ッ輪運輸㈱JR貨物課釧路貨物駅分室 三ツ輪運輸㈱JR貨物課釧路貨物駅分室
新富士駅・釧路貨物駅a120

なお、駅構内の新大楽毛方には・・・


三ッ輪運輸㈱JR貨物課釧路貨物駅分室 三ツ輪運輸㈱JR貨物課釧路貨物駅分室
新富士駅・釧路貨物駅a121

・・・一目でJR貨物関連と察せられる2階建ての事務所があります。


三ッ輪運輸㈱JR貨物課釧路貨物駅分室 三ツ輪運輸㈱JR貨物課釧路貨物駅分室
新富士駅・釧路貨物駅a122

玄関に掲示された看板を目いっぱいズームすると、「三ッ輪運輸㈱ JR貨物課釧路貨物駅分室」と書かれています。
「JR貨物課」と取引先企業の名を冠する部署というのも珍しいですよね。
三ッ輪運輸は新富士駅から西へ約1km、釧路市西港2丁目に西港ビルを構える運送会社です。
登記上の本社は釧路市錦町5丁目にある三ッ輪ビルですが、事実上の中枢は西港ビルとなっており、同ビル内に経営企画室・総務部・経理部などを置いています。
1931年6月の設立以来、釧路港におけるチップ船・石炭船・飼料船・木材船などの荷役業務、飼料・肥料・農産物などに係る倉庫業、トレーラー輸送、鉄道貨物輸送、航空貨物輸送に携わってきました。
2021年現在は釧路市内9ヶ所、札幌市内2ヶ所、帯広市、北見市、網走郡大空町、石狩市、苫小牧市、宮城県多賀城市、茨城県ひたちなか市、東京都千代田区、大阪市、福岡市に各1ヶ所ずつ事業所を設けています。

JR貨物札幌営業所は札幌貨物ターミナル駅の南東、具体的には札幌市白石区流通センター3丁目に置かれました。
当時は浜釧路駅フロントの新富士駅移転から3ヶ月が経ったばかりで、三ッ輪運輸もJR貨物との連携により釧路西港の物流を活性化しようと乗り出した事が窺えます。

それから23年後の2012年4月、三ッ輪運輸は新富士駅から南西500mの西港第一事務所に「輸送部」を開設。
輸送部は輸送課・業務課・JR貨物課・大塚営業所(音別)の4部門により構成し、このうちJR貨物課がJRコンテナ輸送に係る業務を担う事となりました。
道東を中心に農産物・乳製品・工業製品などの集配を行ない、一般汎用コンテナ・クールコンテナを使い道内外に品物を発送しています。
そして釧路貨物駅構内にも分室を構え、JR貨物との連携を密にしているという訳です。



新富士駅・釧路貨物駅a123

釧路貨物駅構内では「三ッ輪運輸㈱」の名を掲げたフォークリフトが使われています。
前回記事で「意外な事に㈱ジェイアール貨物・北海道物流の社員はフォークリフト運転士すら配置されていない」と書きましたが、要するに釧路貨物駅では三ッ輪運輸が貨物列車の荷役作業に携わっているからなんですね。



新富士駅・釧路貨物駅a125

一応、大型フォークリフトは車体側面に「JR貨物」と表示していますが、これも実際の運転は三ッ輪運輸の社員が担当しているようです。
JR貨物はあくまでも荷役機械を所有しているだけみたいですね。
国鉄時代ならば駅の荷役作業に使うフォークリフトの運転は「動車運転係」という駅員が担当していましたが、分割民営化後はその職務を引き継ぐ駅員が居ない状態です。


操車場 ヤード 新富士駅構内 釧路貨物駅構内
新富士駅・釧路貨物駅a129
操車場 ヤード 新富士駅構内 釧路貨物駅構内
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操車場 ヤード 新富士駅構内 釧路貨物駅構内
新富士駅・釧路貨物駅a119

駅の東西にある陸橋から新富士駅・釧路貨物駅構内を俯瞰した様子。
駅裏に広がる更地は貨車ヤードの跡地です。


普通列車 ヨンマル キハ40系 キハ40形 釧路運輸車輌所 列車交換
新富士駅・釧路貨物駅a130

旅客ホームにおけるキハ40系の交換風景。


ヨンマル キハ40系 キハ40形 キハ40-1766 釧路運輸車輌所 国鉄一般気動車標準色
新富士駅・釧路貨物駅a131

釧路~白糠間開通120周年、花咲線全通100周年、釧網本線全通90周年、石勝線開通40周年を記念し、2021年4月に車体塗装を国鉄標準色に復元されたキハ40-1766。



新富士駅・釧路貨物駅a132

旅客ホーム上の駅名標。


※写真は全て2021年5月3日撮影
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最終更新日 : 2021-08-13

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2021-08-14-13:30 * - [ 編集 * 投稿 ]