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2021-01-05 (Tue) 21:09

謹賀新年 2020年に買った鉄道書籍10選[3]

鉄道書籍2020年ac01

引き続き2020年に購入した鉄道書籍10冊のうち、7冊目~10冊目を紹介していきましょう。
7冊目は芝山町立芝山古墳・はにわ博物館(2013)『平成25年度企画展図録 しばやま鉄道ものがたり ー軽便鉄道・幻の鉄道・芝山鉄道ー』
本書は千葉県山武郡芝山町の町立博物館が、2013年11月9日~12月23日に開催した企画展の図録として発行したものです。

芝山町の鉄道と言えば「日本一短い鉄道」を自称する芝山鉄道が真っ先に思い浮かびます。
芝山鉄道は成田空港の建設反対を唱える「三里塚闘争」が一向に終結の兆しを見せない1977年3月、芝山町役場が空港建設の条件として政府に提出した要望書の中で、敷設を求めていた鉄道路線です。
これに対し政府が同年11月に回答し、京成本線成田空港駅(旧駅/現:京成東成田線東成田駅)から先を第三セクター方式で延伸する事が決まりました。
そして1981年5月に芝山鉄道㈱が発足し、長年に渡る計画・調整の末、2002年10月に東成田~芝山千代田間2.2kmの開業を見ました。

総距離2.2kmにして僅か2駅しかない芝山鉄道ですが、自社線内で運行を完結する列車は一切無く、京成電鉄・都営地下鉄浅草線・京急電鉄との相互直通運転を実施しています。
2021年1月現在、芝山千代田駅始発で最も遠い行先は都営浅草線の西馬込駅です。
逆に芝山千代田行きの最も遠い始発駅は京急空港線の羽田空港第1・第2ターミナル駅で、平日19~21時に計5本(エアポート快特2本・エアポート急行3本)が設定されています。
ただし芝山鉄道の自称する「日本一短い鉄道」ですが実のところは違いまして、総距離たったの207mを記録する鞍馬山鋼索鉄道(京都市)こそが日本一の短さです!


京成電鉄 芝山鉄道 千葉県営鉄道多古線 成田鉄道多古線 軽便鉄道 
鉄道書籍2020年ac06
開業当初の千葉県営鉄道多古線の路線図
芝山町立芝山古墳・はにわ博物館(2013)『平成25年度企画展図録 しばやま鉄道ものがたり
 ー軽便鉄道・幻の鉄道・芝山鉄道ー』p.12より引用

ところで、芝山鉄道の敷設は芝山町にとって長年の悲願だった訳ですが、町内初の鉄道だったという訳ではありません。
実は芝山鉄道線の開業から91年前、1911年7月に千葉県営鉄道が「多古線」を開業しているのです。
多古線は軽便鉄道法に基づき建設された路線で、現在は芝山千代田駅がある千代田地区を経由して成田~八日市場間30.2kmを結びました。
本書は芝山町初の鉄道である多古線の歴史を、千葉県営鉄道時代、成田鉄道時代、そして1946年10月の廃止まで順に辿っています。

ちなみに廃止の原因となったのは、戦時下におけるインドネシア・セレベス島への鉄道資材の転用。
当時の千代田村では多古線存続を求める運動が起こりましたが、結局は強行されてしまい1944年1月を以って休止に陥りました。
そして戦後は鉄路復旧を断念し、私鉄の成田鉄道もバス会社の千葉交通へと変貌を遂げる事になりました。
本書では多古線以外にも、芝山町に敷設されるかも知れなかった「幻の鉄道」として、東京成芝電気鉄道、成芝急行電鉄の2社を取り上げています。


芝山鉄道 京成3600形 3618F リース車 京成電鉄
鉄道書籍2020年ac07

芝山町立芝山古墳・はにわ博物館(2013)『平成25年度企画展図録 しばやま鉄道ものがたり
 ー軽便鉄道・幻の鉄道・芝山鉄道ー』p.12より引用

そして後半では芝山町役場の鉄道誘致から、芝山鉄道の開業に至るまでの流れを一挙に解説。
新線敷設に関する様々な資料を掲載しつつ、鉄道再来の歴史を辿ります。
鉄道友の会参与にして佐倉市史編纂委員を務めた白土貞夫さんも、「芝山をめぐる鉄道噺」と題して芝山町と鉄道の繋がりを紐解く寄稿文を執筆されています。
鉄道敷設反対運動の検証や、戦前における各社の鉄道計画、成田新幹線問題など裏話満載です。


京成電鉄85年の歩み 書籍
鉄道書籍2020年ac02

8冊目は京成電鉄株式会社総務部(1996)『京成電鉄85年の歩み』(京成電鉄株式会社)
本書は1994年、関東大手の1社である京成電鉄が創業85年を記念して編纂を開始し、足掛け2年を費やして1996年6月に発行した書籍です。
表紙には1983年9月にスカイライナー(初代AE形)の新塗装に採用し、1990年代に3000形・3200形など通勤型鋼製車の標準色にも採用したグローバルホワイト、フューチャーブルー、ヒューマンレッドの3色を配しています。


マルチプルタイタンパー マルタイ 保守用車 保線機械 京成電鉄
鉄道書籍2020年ac08
京成電鉄株式会社総務部(1996)『京成電鉄85年の歩み』(京成電鉄株式会社)p.7より引用

マルタイでさえもこの3色。
当時の京成電鉄が新たなシンボルカラーとして位置づけていた事が伝わってきますね。
表紙をめくると京成電鉄の企業理念と行動指針が大きく書かれています。

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企業理念
 京成電鉄は、交通事業を中心に良質な商品・サービスを提供し、地域社会の発展に貢献します。そして、健全な事業成長のもと、お客様や社員をはじめ、当社に関わるすべての人々から信頼され愛される企業を目指します。

行動指針
私たちは、安全を何よりも優先して確保します。
私たちは、お客様の立場に立って考え、行動します。
私たちは、向上心をもち、視野を広げて業務に取り組みます。
私たちは、明るく、活気に満ちた職場をつくります。

《出典》
京成電鉄株式会社総務部(1996)『京成電鉄85年の歩み』(京成電鉄株式会社)p.1
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京成電鉄 旧制服 制帽 ダブルスーツ シングルスーツ 駅長 助役 駅員 車掌 運転士
鉄道書籍2020年ac10
京成電鉄が1992年に導入した制服
2010年7月に山本寛斎氏デザインの現行制服にリニューアルしたため、この制服が着用される事は無くなった
京成電鉄株式会社総務部(1996)『京成電鉄85年の歩み』(京成電鉄株式会社)p.190より引用

本書は全7章構成で、1903年の敷設特許取得から1994年の創業85周年に至るまでの企業史を綴っています。
第1章では鉄道全通に至った1933年までの黎明期に遡ります。
第2章では1934~1945年の戦時下における稲毛海岸などの土地分譲、バス事業の拡充、京成工業学校の設立、セレベス開発鉄道の設立など事業の多角化と国策への参画を解説。
第3章では1945~1957年の新京成電鉄の設立、京成電鉄病院の開設、新性能車モハ704の導入など戦後復興の歩みを辿っていきます。
第4章では1958~1974年を「事業拡大の時代」と称し、今日における鉄道輸送の礎を築いた都営浅草線への乗り入れ開始、相互直通運転に先駆けた大規模な改軌工事、京成百貨店の開業、成田空港へのアクセス開始など大躍進の数々をプレイバック。
第5章では一転して「経営危機の時代」、鉄道・自動車業の赤字が嵩んだ1975~1980年の暗黒期を見直します。
第6章では経営再建に取り組んだ1980~1989年の企業活動、具体的には京成グループの社運を賭けた東京ディズニーランドの着工、450名の希望退職者募集、グループ会社の整理、モーニングライナー・イブニングライナーの運行開始がもたらした旅客増などを経て、1988年に13年ぶりの経常利益を計上するまでを振り返ります。
そして最後の第7章では10年ぶりとなる日本民営鉄道協会への復帰、千葉急行(現:京成ちはら線)との相互直通運転開始、公津の杜ニュータウンの分譲開始など、21世紀を目指して経営自立に取り組む京成の“いま”を伝えています。



鉄道書籍2020年ac09
京成電鉄の子会社・筑波観光鉄道が運営する「筑波山ロープウェイ」と、京成バスのデラックス観光バス
京成電鉄株式会社総務部(1996)『京成電鉄85年の歩み』(京成電鉄株式会社)p.133より引用

京成電鉄単体だけでなく、グループ会社の大まかな歩みを知る事が出来るのも本書の良いところだと思います。
他にも京成の記念誌があれば読んでみたいですね。


ナローゲージ 静岡鉄道駿遠線 特殊狭軌鉄道 軽便鉄道 JR東海
鉄道書籍2020年ac03

9冊目は藤枝市郷土博物館(2019)『市制施行40周年記念展 軽便鉄道』(第7版・改訂版)
本書は静岡県藤枝市の市制施行40周年を記念し、同市郷土資料館が1994年3月に開催した記念展「軽便鉄道」の図録を増補改訂したものです。
表題の軽便鉄道とはかつて藤枝市内に敷かれていた静岡鉄道駿遠線の事。
駿遠線は1913年2月に開業した藤相鉄道、1914年1月に開業した中遠鉄道の2社を前身とします。
どちらも軌間762mmの特殊狭軌鉄道で、藤相鉄道は1926年4月までに延伸を重ねて駿河岡部~地頭方間36.7kmが一旦の全通を見ました。
しかし1936年5月には駿河岡部~大手間4.8kmを廃止し、総距離31.9kmに縮小しました。
一方、中遠鉄道は新袋井~新横須賀間10.3kmを開業した後、1927年4月までに新横須賀~新三間7.0kmが延伸しています。



鉄道書籍2020年ac11
夏場にドアを開け放ったまま走るガソリンカーのキハD18
藤枝市郷土博物館(2019)『市制施行40周年記念展 軽便鉄道』(第7版・改訂版) p.38

1943年5月に藤相鉄道・中遠鉄道を含む5社が合併し静岡鉄道㈱を発足すると、藤相線と中遠線を結ぶ線路の敷設工事に着手。
1948年1月には両線の連結が実現し、路線名も駿遠線に改めました。
また、戦前から続くガソリンカーの量産に加え、戦後はディーゼル機関車も導入しており、1954年5月の蒸気機関車廃止を以って無煙化を成し遂げています。
1956年1月には新藤枝~地頭方間で快速運転を開始しました。
しかし次第に旅客はバスに、貨物はトラックに奪われていき、1964年9月からは段階的な廃線を敢行。
最後まで残った新藤枝~大井川間も1970年7月を以って廃止となり、駿遠線の歴史に終止符を打つ事となりました。

本書は駿遠線の歩みを1冊にまとめた貴重な書籍です。
ページをめくると往時の駅構内や沿線の風景、業務を遂行する鉄道職員の姿がありありと浮かび上がります。
ガソリン動車のルックスが北海道の簡易軌道の自走客車と似ており、何だか親近感が湧いてきますね。
しかし2021年1月現在、保存されている駿遠線の車両はB-15号蒸気機関車の1両だけ。
路面電車のようですらあるガソリン動車を間近に見れないのは残念ですが、B-15号が歴史的価値のあるカマなのは間違いないので、何れ現地に行って対面したいですね。


JR貨物 JR北海道 JR東日本 JR東海 JR西日本 JR四国 JR九州 国鉄
鉄道書籍2020年ac04

そして最後、10冊目は日本貨物鉄道株式会社(2019)『JR貨物30年のあゆみ』
JR貨物が会社発足30周年を祝って発行した記念誌なのですが、編纂に手間取ったらしく33年目の2019年9月に晴れて発行となりました。
この本は発行後早々に古書店で売られているのを発見し、迷わず購入に至った代物です。
国鉄の分割民営化に伴い、貨物専門の新会社として発足したJR貨物の歴史を綴っています。


JR貨物 JR北海道 JR東日本 JR東海 JR西日本 JR四国 JR九州 国鉄
鉄道書籍2020年ac05

ただし本書を読む上で、注意すべき点が一つ。
『JR貨物30年のあゆみ』と題してはいますが、実は30年分の歴史を1冊にまとめてはおらず、2002年度~2016年度の15年間しか解説していません。
一応、p.p.6,7の2ページだけ最初の15年間を年表形式で振り返っていますが、かなり大雑把にしか記していないため30年間の歴史を知るには極めて不十分です。
何故ならこの本、2003年7月に発行された『JR貨物15年の歩み』の純粋な続編として編纂されているからなんですね。

JR貨物はこれまで、『JR貨物5年の歩み』(1992)、『JR貨物10年の歩み』(1997)、『JR貨物15年の歩み』(2003)、『JR貨物30年のあゆみ』(2019)、合わせて4冊の記念誌を発行してきました。
このうち私の手元には『10年の歩み』を除く3冊があります。
3冊目の『15年の歩み』は1987年度~2001年度の歴史を解説しており、前2冊で扱っている最初10年間の歴史についても詳しく掲載しています。
なので『30年のあゆみ』を読むには、少なくとも『15年の歩み』を先に読むのが必須となります。
私は既に『15年の歩み』を持っていたため、『30年のあゆみ』を読む上で特に不便を感じませんでしたが、これから読もうとお考えの方はご留意ください。
最初10年間の歴史を更に掘り下げてみたいならば、『5年の歩み』と『10年の歩み』も合わせて読んでみると良いかも知れません。


JR貨物 百済貨物ターミナル駅 ハイブリッド連動装置 継電連動装置 運転取扱業務 信号設備
鉄道書籍2020年ac12
百済貨物ターミナル駅信号扱所に導入されたハイブリッド連動装置
日本貨物鉄道株式会社(2019)『JR貨物30年のあゆみ』p.140より引用

『JR貨物30年のあゆみ』は序盤の60ページ余りで年度別の主な出来事、鉄道事業の黒字化への道のりを解説。
その後、全6章構成により企業全体の取り組みをより深く掘り下げています。
特に注目なのは「第2章 鉄道事業のあゆみ」で、安全、営業、輸送品質の向上、海外事業、ダイヤ改正、駅業務の改善、運転士基地・機関車運用等の改善、車両・技術開発、地上設備の改善、これら10項目に分類して鉄道輸送に関する具体的な施策を説明しています。
JR貨物は新しい連動装置の開発にも取り組んでおり、その概要が本書に記されています。

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(4) 連動装置の技術開発
 基盤整備事業の一環として2011年5月に行った、百済貨物ターミナル駅連動装置の取替えにおいて、継電連動装置(FC表示制御盤方式)(通称「ハイブリッド方式」)を初めて導入しました。この連動装置の特徴は、表示・操作部分は「電子連動装置」と同様にパソコンを使用し、論理部分は「継電連動装置」となっていて、双方の優れた部分を利用しています。これにより「電子」と比較して論理部分の長寿命化を図るとともに、p-work(自動進路制御装置)などによる進路自動設定の運転支援を行えるようになっています。また、2012年1月の隅田川駅の改修工事に伴う連動取替においてもハイブリッド連動を導入しています。
 2013年に実施した川崎貨物駅連動装置老朽取替えにおいて導入した連動装置では、構内が広く入換作業が頻繁であることから、工事等の間合を確保するため、将来の連動変更時には全構内を3分割して部分的に運行状態とし、それ以外を運行状態の箇所と切り離し、部分的に現示停止できる機能を試行的に持たせています。

《出典》
日本貨物鉄道株式会社(2019)『JR貨物30年のあゆみ』p.140
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鉄道事業関連では他にも、運転士教育システムの開発(車両故障応急処置訓練システムなど)や、旅客会社との受委託解消の促進、M250系直流貨物電車の導入、E&S方式の導入拡大、新日鐵住金が開発した150mレールの輸送などを取り上げています。
鉄道以外では東京レールゲートや大型ショッピングモール、駐車場運営などの不動産開発事業、各部門の業務を支援するシステム開発、総務・人事関連にも触れています。
JR貨物の意外な一面を知るきっかけにもなる本だと思います。


以上、2020年に購入した鉄道書籍の中から10冊を選び紹介しました。
昨年は古書店から本を買ってばかりでしたね。
そして今年もまた古本を漁り、知的好奇心を満たす事になるでしょう。
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最終更新日 : 2021-01-05

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