タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

現在、札学鉄研OB会ブログから筆者投稿の記事を移転中です

Top Page › 北海道 › 根室本線赤平駅[3] 「駅長追放」の落書きと運転取扱設備
2020-10-03 (Sat) 18:39

根室本線赤平駅[3] 「駅長追放」の落書きと運転取扱設備

赤平駅a200

引き続き空知管内は赤平市美園町1丁目にある、JR北海道の赤平(あかびら)駅を取り上げましょう。
今回は駅構内にある運転取扱設備などを見ていきます。
駅舎こそ建て替えられて公民館になりましたが、プラットホームを隅々まで眺めていると炭鉱都市の玄関口だった頃の面影が散見されます。
前回の後半で紹介した跨線橋の東面には・・・



赤平駅a231

・・・円形の中継信号機が付いています。
中継信号機とは灯列式信号機の一種です。
一般的な信号機は青・黄・赤の3色により交通を制御する色灯式信号機ですが、灯列式信号機は同じ色の信号灯を数個並べて、縦・横・斜めといった点灯の配列により信号現示を行ないます。
そして中継信号機は場内信号機または出発信号機に従属し、主体となる信号機の信号現示を中継する物です。
カーブや支障物により見晴らしが悪く前方の信号機が見えない、或いは所定の位置からでは信号機が遠すぎて視認できない、といった場合に設置されます。
赤平駅跨線橋の中継信号機は上り出発信号機と連動しており、写真では横一列の「停止中継信号」を示しています。
逆に「進行中継信号」の場合は斜め一列に点灯します。


JR北海道 国鉄 JR貨物 跨線橋 赤平駅 住友赤平炭鉱 北炭赤間炭鉱 豊里炭鉱
赤平駅a201

跨線橋の1番線側を見ると、鉄柱の内側に板張りの壁を造り、東面に窓を設けています。
かつては立ち番の運転事務室として活用されていたのでしょうか?


JR北海道 国鉄 JR貨物 跨線橋 赤平駅 住友赤平炭鉱 北炭赤間炭鉱 豊里炭鉱
赤平駅a203

でもって線路側の外壁には・・・


赤平駅 指差称呼確認 トークバック 運転取扱業務 駅員 操車掛 構内作業掛
赤平駅a202

・・・「指差称呼確認」の安全標識と、操車作業用のトークバック(高声電話機)が付いています。
1番線の線路脇にあるという事は、おそらく駅構内東側にあった貨物積卸線に貨車を誘導する際に操車掛が使用したのでしょう。
しかし設置箇所は列車スレスレ
これを扱うには触車事故のリスクを伴うため「指差称呼確認」の安全標識を併設し、接近する列車が無い事を確認してから使用するよう喚起していたという訳ですね。


赤平駅 指差称呼確認 トークバック 運転取扱業務 駅員 操車掛 構内作業掛
赤平駅a224

トークバックの傍には何やら穏やかでない物が見えます。
落書きを消した痕跡なのですが、目を凝らせば「駅長追放」の4文字が浮かんできますね。
おそらくは国鉄末期の赤平駅における業務委託化と関わりのある落書きでしょう。
部外者には業務委託後も窓口が営業していれば特に変化を感じませんが、実は国鉄から日交観への駅業務委託は元いた駅員を日交観に移すのではなく、他所から来た日交観の社員に業務を引き継ぐケースが多かったのだとか。
赤平駅に残る「駅長追放」の落書きも、日交観への業務委託に異を唱える国労組合員が書いたのかも知れません。

そんな赤平駅ですが1987年4月の分割民営化に伴い、JR貨物がJR北海道から委託を受けて駅業務全般を担当していました。
以降の歩みは第1回の記事に書いていますので、詳しくはそちらをご覧下さい。


JR北海道 国鉄 島式ホーム 赤平駅2番線3番線 旅客上屋
赤平駅a204

2・3番線ホームにも運転取扱設備が残っています。
旅客上屋に潜ってみましょう。


出発指示合図器 当務駅長 運転取扱業務 立ち番 駅員
赤平駅a205

2番線西端の鉄柱には、音符のマークが付いたボタンが一つ。
「上り2番出発」と書かれた札も付いています。
これは国鉄時代、当務駅長(助役・予備助役・運転掛等を含む)が車掌に対し、列車の出発を指示するために使用した「出発指示合図器」の鳴動スイッチですね。
無人駅でもかつて駅員が従事していた箇所では、出発指示合図器が残っている事は珍しくありません。
しかし赤平駅2番線のスイッチは、家の呼び鈴みたいなタイプで異彩を放っています。
呼び鈴型の出発指示合図器は釧網本線標茶駅でも見かけましたね。
標茶駅の記事も何れ書こうと思います。


出発指示合図器 当務駅長 運転取扱業務 立ち番 駅員
赤平駅a206

こんな家の玄関にあるようなスイッチでも、コードが鉄柱を伝ってベルまで伸びています。


乗降終了合図器 客扱終了合図器 当務駅長 運転取扱業務 立ち番 駅員
赤平駅a208

そこから東に1本ずれた鉄柱には比較的オーソドックスなスイッチも。
しかし札には「第2ホーム 乗客なし 乗客あり」と書かれており、どうやら2番線に限らず3番線でも使えるスイッチの模様。
第2ホームというのは2番線・3番線が接する島式ホームの名称ですね。
そして「乗客なし 乗客あり」の文言から察するに、おそらく出発指示合図器ではなく「客扱終了合図器」だと思われます。
大方、赤平駅のフロント業務が日交観に委託された際に新設された設備でしょう。
客扱終了合図はあくまでも乗降が済んだ事を知らせる手段に過ぎず、出発時機の判断は車掌に一任します。



赤平駅a207

冒頭で紹介した中継信号機の近くには、一回り古いタイプの出発指示合図器が残っています。
赤錆に塗れていますがコードは切断されていません。


赤平駅信号扱所 石炭ヤード 国鉄 JR北海道 JR貨物 駅舎
赤平駅a209

島式ホームの東端から富良野方を眺めた様子。
2階建ての施設がありますね。


赤平駅信号扱所 石炭ヤード 国鉄 JR北海道 JR貨物 駅舎
赤平駅a211

線路沿いの駐車場なら、より近くから眺める事が出来ます。
この建物は赤平駅信号扱所。
かつての赤平は空知炭田が誇る一大炭鉱都市で、赤平駅もまた石炭輸送拠点として活況を呈しました。
駅構内には豊里炭鉱、住友赤平炭鉱の各専用線が乗り入れ、北炭赤間炭鉱も駅裏に選炭場を設けて坑外電車軌道で石炭を運んでいました。
そして選炭が済んだ石炭は国鉄の貨物列車に積載され、小樽築港・室蘭港への鉄道輸送を経て全国に供給されたんですね。


赤平駅信号扱所 石炭ヤード 国鉄 JR北海道 JR貨物 駅舎
赤平駅a222

赤平駅信号扱所は長きに渡り石炭輸送拠点を支えた大黒柱的存在。
無人となって久しいですが、玄関には今もなお表札を掲げています。


ード 国鉄 JR北海道 JR貨物 駅舎
赤平駅a212

信号掛が駅構内を見渡せるよう、2階の窓が広く取られています。
同じ根室本線の芦別駅、富良野駅にもよく似た形状の信号扱所がありますね。
かつては輸送助役をはじめ運転掛(後の運転主任)、信号掛(後の運転係・輸送管理係)が2階に詰めて、信号扱いや運転整理(輸送障害に伴う着発番線の変更など)、乗務員に渡す運転通告券の発行、工事に伴う線路閉鎖手続きといった運転取扱業務を昼夜の別なくこなしていたのでしょう。


赤平駅信号扱所 石炭ヤード 国鉄 JR北海道 JR貨物 駅舎
赤平駅a213

ところで写真では裏口のドアが開けっぱなしですよね。
不用心だなあ・・・と思われるかも知れませんが心配無用。
信号扱所から右に視線を移すと・・・


株式会社ドウデン JR北海道グループ 岩見沢電気所滝川派出所
赤平駅a214

・・・JR北海道の子会社、㈱ドウデンのワゴン車が停まっていますね。
実は撮影当時、赤平駅信号扱所にはドウデン岩見沢メンテナンスセンターの電気作業員が入室し、電気機器の保全作業をしていたのです。
この界隈の電気設備の管理はJR北海道岩見沢電気所滝川派出所が担当していますが、メンテナンスについては外注にしている部分もあります。


赤平駅信号扱所 石炭ヤード 国鉄 JR北海道 JR貨物 駅舎
赤平駅a219
赤平駅信号扱所 石炭ヤード 国鉄 JR北海道 JR貨物 駅舎
赤平駅a218

ドウデンの電気作業員が入室するという事は、すなわち屋内の信号設備はまだ残っているという事。
2階の窓をよく見ると継電連動装置らしき物が置かれているのを確認できます。


赤平駅信号扱所 石炭ヤード 国鉄 JR北海道 JR貨物 駅舎 照明鉄塔
赤平駅a210

信号扱所の更に先には、出発信号機を掲げたビームが左右に伸びています。
すぐ近くには夜間の貨物側線を照らした照明塔が聳えており、石炭ヤードの風景がありありと目に浮かびます。


入換標識 信号設備 線路表示式入換標識 運転取扱業務 操車場
赤平駅a221

白いバツ印を付けているのは線路表示式の入換標識。
ランプで数字を示し、対応する番線へと車両を誘導する設備です。


出発信号機 信号機専用ビーム 照明鉄塔 石炭ヤード 操車場
赤平駅a215

滝川方にも信号機専用ビームがあります。
ほとんど使われなくなった3番線も、出発信号機が赤(停止現示)を出しています。
照明塔も残っていますね。


入換標識 信号設備 線路表示式入換標識 運転取扱業務 操車場
赤平駅a220

その手前には線路表示式入換標識が1つ。
こちらも白いバツ印を付けています。


キハ40系1700番台 キハ40形1700番台 苗穂運転所 キハ40-1778
赤平駅a223

1番線に停車した滝川行きのキハ40-1778。



赤平駅a230

運転上は無人駅扱いの赤平駅。
発着する普通列車も前乗前降方式のワンマン運転なので、1番前のドアしか開きません。
しかし待合室の貼り紙によると、平日朝の2本だけ全てのドアが開くとの事です。
該当列車は7:13発の上り2472D(富良野6:23始発・滝川行き普通列車)、7:49発の下り2473D(滝川7:33始発・富良野行き普通列車)。
朝の通勤通学ラッシュに配慮し、全ドア扱いとする事で乗降をスムーズにしているんですね。
これは現地調査をしてみたいなあ。


赤平駅 駅名標
赤平駅a216

ホーム上の駅名標。


※写真は全て2018年10月27日撮影
スポンサーサイト



最終更新日 : 2020-10-04

Comment







管理者にだけ表示を許可