タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2020-07-14 (Tue) 20:35

根室本線芦別駅[3] ホームに残る運転取扱設備と安全標識

芦別駅a101

芦別駅a102

引き続き空知管内は芦別市本町にある、JR北海道の芦別(あしべつ)駅を取り上げましょう。
待合室をひとしきり観察した後はプラットホームへ。
炭鉱都市の玄関口として賑わった大きな木造駅舎は、ホーム上から眺めても風格があります。
駅事務室の勝手口は庇の下に2ヶ所あり、このうち真ん中のドアは背が結構低めです。



芦別駅a103

ホーム側から改札口を眺めた様子。
前回記事で触れたとおり左右にドアを設けていますが、左側については完全に締め切っています。
右手には鉄道電話機が2台。


JR北海道 国鉄 断続ベル ブザースイッチ 出発抑止ベル
芦別駅a104

改札口のすぐ傍には長方形の機械が設置されており、レバーロック式のスイッチが5個付いています。
本体右下の製造銘板には「製造番号6001 製造年月58年1月 株式会社北海第一無線」とあり、「58年」は昭和58(1983)年を指しているものと思われます。
㈱北海第一無線は札幌市東区の北栄地区に本社を構え、放送設備やインターホン設備などの施工・保守をしている電気工事業者ですね。

各スイッチの上にはランプが1個ずつ付いており、かすれてはいますが駅構内の番線を表す数字や「BELL」の4文字を視認できます。
どうやらこの機械は国鉄末期の合理化により、列車扱いの立ち番(運転主任)を省略する駅が増える中で導入された設備のようです。
具体的には改札口の駅員(営業係・営業管理係)が、発車間際の列車に乗り遅れそうな客の存在を確認した際、車掌に出発を待ち合わせるよう対象番線のベルを鳴らして喚起したものと考えられます。
同様のベルは分割民営化後も旭川駅や苫小牧駅、東室蘭駅、帯広駅など、一部の直営駅で使用されていますね。
出発時刻に「プルルルルルル!」とけたたましいベルが鳴り続け、その際に改札口の駅員が「○○○○(列車番号)、ただいまお客様が向かっております」と業務放送をかける光景に遭遇したという方は少なくないと思います。





Youtubeに上がっているかな・・・と思って探してみたら、旭川駅でベルを流す動画がありました!
動画タイトルに「発車ベル」とありますが、実際の用途は寧ろ「発車抑止ベル」ですね。
正式には「断続ベル」と呼ばれており、国土交通省の調査報告書にも記載があります。
旭川駅の場合、改札口の駅員は監視カメラのモニターを注視して客の乗車を確認し、なおかつ他に乗り遅れの客がいない事を確認した上で断続ベルを止めています。
帯広駅なら乗り遅れ客が無事に列車に乗り込んだ後、改札口の駅員が構内放送で「○○○○(列車番号)運転士さん、ご協力ありがとうございます」とフォローを入れる事が多いですね。
そして断続ベルが鳴り止んだら、乗務員は列車を出発させる事が出来るという訳です。
芦別駅改札口のスイッチ箱も、断続ベルを流すために使われていたものと思われます。
もちろん簡易委託駅となった現在の芦別駅では、断続ベルが使用される事はありません。





札幌圏でも函館本線と千歳線が分岐する白石駅で、車掌に接続列車の待ち合わせを指示するために断続ベルが鳴らされる事があります。


JR北海道 国鉄 木造駅舎 三井芦別鉄道 石炭輸送 芦別炭鉱 JR貨物
芦別駅a105

木造駅舎の庇の下。
改札口の左右にベンチが置かれています。


JR北海道 国鉄 木造駅舎 三井芦別鉄道 石炭輸送 芦別炭鉱 JR貨物 駅名標
芦別駅a106

庇の柱には標準的な駅名標に混じって、「星の降る里・芦別」を宣伝するオリジナルの駅名標が付いています。


JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a108
JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a110
JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a109
JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a107

2面2線の相対式ホーム。
駅舎側が1番線、反対側が2番線で、両ホームとも20m車6両分ほどの長さです。
上下双方とも原則として1番線を使用しますが、列車交換が発生する際は上り列車(赤平・滝川方面)が2番線に停車します。
定期列車で2番線に入線するのは8:11発の2474D(東鹿越6:36始発・滝川行き普通列車)、18:27発の2486D(富良野17:57始発・滝川行き普通列車)、22:56発の2492D(富良野22:27始発・滝川行き普通列車)の計3本です。
なお、臨時特急「フラノラベンダーエクスプレス」が札幌~富良野間で運転される際は、10:39の2478D(東鹿越9:15始発・滝川行き普通列車)が当駅でバッティングするため、こちらも2番線の入線に変更されます。


JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a127

2番線ホームについては元々、島式ホームとして機能しており、芦別駅は単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線を組み合わせた「国鉄型配線」を形成していました。
外側の3番線は三井芦別鉄道の旅客列車が発着しており、同社が1972年5月に旅客営業を廃止するまで私鉄の乗り場だったのです。
ローカル情報サイト『芦別物語』に掲載された写真を見ると、1968年頃の3番線には「頼城方面」の案内板を掲げているのを確認できます。
現在の3番線は雑草に埋もれており、線路も既に撤去されています。
写真左に見える線路は貨物列車用の4番線で、石炭輸送が健在の頃はそこから更に外側へと貨物側線が広がっていました。


JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a111

両ホームを繋ぐ跨線橋。
1949年7月に建設された物で駅舎よりも2年若いのですが、駅舎にサイディングが施されているためこちらの方が古く見えます。


JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a112
JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a113

1番線の跨線橋前に作られた上屋。
結構な幅広です。
柱や垂木には古いレールを流用し、白いペンキで塗装しています。
前乗り前降り方式の普通列車ワンマン化から30年近く経過した現在、この雨除けが本領を発揮するのは2両編成の上り普通列車か、ツーマン運転のフラノラベンダーエクスプレスが停車した時くらい。
1両単行だと上下ともに乗降口が屋根の外に出てしまいます。
ちょっと勿体無い気もするなあ。


JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a114

大きな上屋の柱には駅構内の業務連絡に使うトークバック(高声電話機)が残っています。
その裏には指令所や他の現業機関と通話する鉄道電話機も。


JR北海道 国鉄 三井芦別鉄道 出発指示合図器 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a115

別の柱には出発指示合図器のボタンが付いており、製造銘板には「製造 昭和43年3月 札幌 昭和電業株式会社」と書かれています。
芦別駅でもホームに列車扱い担当の当務駅長(助役・運転主任を含む)が立ち、到着列車の車掌に出発するよう指示を出す際にこのボタンを押していたのです。
出発指示合図器はボタンを押すと頭上のスピーカーが鳴動し、その音を合図に車掌がドアを閉め、安全を確認して運転士に出発合図を送ります。


JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a116
JR北海道 国鉄型配線 三井芦別鉄道 芦別炭鉱 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a117

2番線ホームの跨線橋前にも上屋が建っています。
こちらの天井周りは板張りです。


JR北海道 国鉄 三井芦別鉄道 出発指示合図器 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a118

2番線にも出発指示合図器が付いており、しかも黄色く塗られた細長いケースが付属しています。


JR北海道 国鉄 三井芦別鉄道 出発指示合図器 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a119

このケースには「信号旗」と書かれており、フライ旗を仕舞うケースとして使われていた事が分かります。
運転取扱駅には現在でも駅員が携行する物とは別に、非常用としてホーム上にフライ旗を常備している箇所がありますね。


JR北海道 国鉄 三井芦別鉄道 出発指示合図器 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a120

旧3番線側の柱にも色々付いています。


JR北海道 国鉄 三井芦別鉄道 出発指示合図器 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a121

こちらは安全標識。
「列車は○番か 信号は○番か 確認」と書かれていますね。
列車が着発する番線と、出発現示を出した信号の対応する番線が一致するか確認せよ、という注意書きです。
立ち番の当務駅長(助役・運転主任を含む)が出発指示合図を送る際、青信号を出した出発信号機が実は別の番線の物だったら、そして乗務員も気付かずに列車を発車させてしまったら事故を招いてしまいます。
そんな気の緩みで事故を引き起こさないよう、要注意事項を書いて目立つ場所に掲げるのは多くの鉄道の現場で実践されています。
今や駅員のいない簡易委託駅である芦別駅ですが、かつては輸送の安全を守るために働く鉄道職員達がいた事を、この安全標識は物語っているのです。


JR北海道 国鉄 三井芦別鉄道 出発指示合図器 JR貨物 プラットホーム
芦別駅a122

安全標識の下にある出発指示合図器。
製造銘板には「製造 昭和41年10月 札幌 昭和電業株式会社」とあります。
どうやら入換合図器を兼ねた物らしく、6個のスイッチが付いています。


JR北海道 国鉄 三井芦別鉄道 出発反応標識 レピーター JR貨物 プラットホーム
芦別駅a123

そしてこちらは旧3番線に付く出発反応標識(レピーター)。
1番線・2番線は1個ずつ設置されていますが、3番線は2個も設置されています。
出発反応標識にはそれぞれ振り分けを表す札が付いており、それぞれ「3」、「4」と表記しています。
1つの番線に複数の出発反応標識を設けるケースは多く、大抵は路線別に振り分けます。
例えば旭川駅の場合、宗谷本線の出発反応標識は「宗」、富良野線の出発反応標識は「富」と表記していますね。
苗穂駅なら乗り入れる路線は函館本線のみですが、実際は千歳線の列車が直通運転しており、なおかつ中線を使用するので「中」の出発反応標識を千歳線系統に宛がい、函館本線系統の物は「函」としています。

ならば芦別駅3番線の場合、国鉄根室線と三井芦別鉄道とで出発反応標識を分けており、それらがホームに残っているのだと思うでしょう?
しかし出発反応標識に付く札を見ると番線表記になっていますし、しかも2つとも上り方面の列車に向けて付いているため三井芦別鉄道の会社線とは逆方向です。


JR北海道 国鉄 三井芦別鉄道 出発反応標識 レピーター JR貨物 プラットホーム
芦別駅a124

そして4番線は3番線に隣接する、プラットホームの無い貨物列車専用の着発線。
2つの路線ではなく、2つの番線に係る出発反応標識を同一ホーム上に置くというのも妙な話だと思いました。
もしかすると三井芦別鉄道から直通の石炭列車が4番線に停車した際、乗務する列車掛が3番線ホーム上の出発反応標識を見て発車を判断していたのかも知れません。
これは実際の使われ方が凄く気になるなあ・・・。


キハ40系1700番台 キハ40形1700番台 芦別駅 苗穂運転所
芦別駅a125

1番線に停車したキハ40系2連の普通列車。


キハ40系1700番台 キハ183系5200番台 ノースレインボーエクスプレス 芦別駅
芦別駅a126

キハ40系1両単行と観光特急「フラノラベンダーエクスプレス」の交換。
フラノラベンダーエクスプレスにはキハ183系5200番台「ノースレインボーエクスプレス」が充当されています。


・・・実はまだ芦別駅構内には見所があるのですが、長くなったので今回はここまでにします。


※写真は全て2019年6月15日撮影

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最終更新日 : 2020-08-30

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