札沼線の新駅予定地を示す地図
『北海道新聞』2020年6月4日付朝刊第15面より引用
札沼線末端区間(北海道医療大学~新十津川間)が新型コロナウィルスの感染拡大防止による約3週間の運休を経て、2020年5月7日に廃止されてからまもなく1ヶ月が経過します。
元は沿線自治体が樺戸炭田で採掘した石炭の輸送手段を求め、国鉄に粘り強く働きかけて敷設が実現した札沼線。
しかし1960年代以降は炭鉱の閉山や札幌圏における宅地開発の進展、元から人口密度の低かった樺戸郡の更なる過疎化等の事情が重なり、石狩郡当別町を境に南北で明暗が分かれる事となりました。
残された桑園~北海道医療大学間の28.9kmは通勤通学路線として機能しており、沿線には企業も数多く集まっています。
特に石狩太美駅の南西、当別町ビトエには同町出身の山崎泰博社長が創業し、生チョコレートの製造販売を手がけてきた㈱ロイズコンフェクトのふと美工場があり、同社の一大製造拠点として躍進を続けています。
ロイズふと美工場は1999年7月、それまで分散していた工場を集約し、なおかつ物流拠点を統合して開設された施設です。
これが近年の売上拡大により生産能力が限界に近づいたため、同社は2021年以降の完成を目指してふと美工場の増設工事を計画。
既存工場に隣接する約2万2743坪の土地を石狩振興局から新たに取得し、完成した暁には工場全体の面積が現在の2倍以上になる見込みです。
2019年10月には当別町役場と包括連携協定を締結し、工場増設に伴うアミューズメント施設の開設や周辺の宅地開発も計画される事となり、その中には工場の近くを通る札沼線の請願駅構想が含まれていました。
駅間で言うと札沼線あいの里公園~石狩太美間です。
石狩川の東岸から石狩太美駅に至るまでの中間に新駅を設ける計画となっています。
JR北海道 国鉄 学園都市線地区駅 札沼線新駅 札沼線請願駅
札沼線新駅の地質調査予定を報じる記事
『北海道新聞』2020年6月4日付朝刊第15面より引用
当別町役場とロイズコンフェクトは年明け後の2020年1月17日、JR北海道に対し新駅設置を求める要望書を提出。
1ヶ月後の2月21日には町役場、ロイズ、JR北海道、北海道運輸局、北海道庁の担当者が集まり、具体的な協議を開始しています。
千歳線のボールパーク新駅構想に比べて話が早く進んでおり、6月中には新駅予定地の地質調査を行なう方針が新たに示される事となりました。
今朝の道新で報道されていますので、下記に抜粋しましょう。
*****************************************************************
札沼線「新駅」地質調査へ
当別町 ロイズが費用負担
【当別】JR札沼線あいの里公園ー石狩太美駅間への新駅設置に向け、当別町は、予定地の地質調査を6月中にも行う方針を固めた。町は新駅設置をJR北海道に求めており、調査で建設の技術的な可能性を確認し、事業費算定の基とする。費用3600万円を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を、9日開会の定例町議会に提出する。
線路上に駅舎やホーム、駅前広場には駐車場などを整備することになるため、地盤の強さなどを調べる。6月中旬にも業者に発注し、実現可能と判断後、秋ごろ実施設計を行う。JR側が設計を受け入れ、北海道運輸局の認可を得た段階で新駅設置が決まり、本工事に入るという。
予定地は菓子製造販売のロイズコンフェクト(札幌)が増設工事を進めるふと美工場(同町ビトエ)の約300㍍南。新駅は自治体などがJRに設置を求める「請願駅」で、町と同社は1月にJR北海道に要望書を提出。2月から協議を続けている。
費用は、駅舎やホームの建設費をロイズ、駅前広場の建設は町が受け持ち、分担する方向だ。今回の調査費は「JR札沼線新駅設置事業負担金」としてロイズ側が拠出。町は補正予算案で歳入にも3600万円を計上した。
町事業推進部は「1段階、前に進められた。実現に向け着実に協議を続けたい」としている。
(水野可奈)
《出典》
『北海道新聞』2020年6月4日付朝刊 第15面 地域の話題(札幌版)
*****************************************************************
JR北海道 国鉄 学園都市線地区駅 札沼線新駅 札沼線請願駅
2020年6月現在、当別町内としては最南端の鉄道駅である石狩太美駅
この南西、札幌方に新駅を建設する予定
道新の記事によると新駅予定地はロイズふと美工場から約300m南下した地点で、より具体的に言うと15線道路踏切の付近となります。
上下方向の駅との距離を計測すると、同じ当別町内の石狩太美駅からは約1.6km、札幌市北区のあいの里公園駅からは約2.7km離れています。
15線道路踏切の周囲は畑が広がっており、ロイズふと美工場の手前にある農家の敷地には古びたサイロが残るなど、まだまだ長閑な景色です。
新駅の建設も含めてビトエの界隈が、これからどのように変貌を遂げていくのか楽しみですね。
スポンサーサイト
最終更新日 : 2020-06-07