タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2020-01-28 (Tue) 23:14

宗谷本線糠南駅 「朝礼台」の物置駅舎(ヨドコウ製)

糠南駅2

宗谷管内は天塩郡幌延町字問寒別にある、JR北海道の糠南(ぬかなん)駅。
同じく宗谷本線の駅を構える問寒別市街から、西へ道なりに1.5kmほど離れた草原に佇んでいます。
問寒別駅とは徒歩にして片道30分ほどで行き来できるので、列車の待ち時間を活用して両駅を訪問してみるのも良いでしょう。
何しろ両駅が属する音威子府~稚内間を走る普通列車は1日に上下3本ずつしかなく、一度下車すると次の列車まで最短3時間半は待たされますからね・・・。
特急列車は全て通過します。
糠南駅の近くには上ヌカナン川という小川が、北東から流れる問寒別川に合流する地点があります。
上ヌカナン川の上流を辿ると、これまたヌカナン川という別の小川も合流しています。
駅周辺の住所も元は「字ヌカナン」と言いましたが、幌延村役場が1959年4月に施行した住所再編によって字問寒別に統合されました。
駅の至近に暮らす住民も1世帯のみで、家屋の道路向かいには錆付いた青いサイロが建っています。
もといこちらの御宅は酪農家でしたが、1997年頃にリタイアされたのだそうです。
周囲に広がる大草原は牧場があった頃の名残という訳で、現在は牧草地(家畜の飼料となる牧草を栽培する土地)に転用されています。
娘さんが高校時代の3年間、糠南駅から普通列車に乗って通学されていたと言い、夫婦2人だけになった今も駅の掃除と除雪をなさっています。


JR北海道 国鉄 仮乗降場 無人駅 名寄地区駅 幌延駅 糠南仮乗降場 秘境駅
糠南駅4

糠南駅は1955年12月、既に開業していた宗谷本線問寒別~雄信内間に仮乗降場として開設されました。
国鉄旭川鉄道管理局(現:JR北海道旭川支社)は1950~1960年代に地域住民の利便性を高めるべく、留萌本線、羽幌線、宗谷本線、名寄本線、石北本線など管内各線区で仮乗降場の設置を進めていました。
特に宗谷本線では糠南仮乗降場と同じ頃、南比布など6箇所の仮乗降場も開設されています。
1987年4月の分割民営化に伴いJR北海道が継承。
同時に旅客駅に昇格しました。
現在は名寄駅を拠点駅とする名寄地区駅(担当区域:宗谷本線名寄~稚内間)に属し、地区駅配下の管理駅である幌延駅が管轄する無人駅です。

鉄道ファンの間では幌延町内にある6駅の無人駅が「秘境駅」に分類されており、その中には糠南駅も含まれています。
幌延町役場も秘境駅を地元の重要な観光資源と位置づけており、2014年度から秘境駅を活用した町おこしを展開しています。
このクリスマスパーティーには鉄道ファン・周辺住民など計12名が参加し、ネットや新聞などで話題になりました。
毎年夏に幌延町役場が開催している「秘境駅フェスタ」でも、バスツアーの行先になったりオリジナルの硬券入場券が発売される等していますね。



糠南駅3

市街から問寒別橋を渡って道なりに進み問寒別神社を横切ると、カーブに2本の細い道路が合流するイビツな交差点があります。
そこを左に曲がって更に進むと「中問寒糠南線踏切」に辿り着きます。



糠南駅6

踏切を横断してすぐ左手に砂利道が続いており・・・


糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅
糠南駅8

その先には糠南駅がポツンと佇んでいます。


糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅
糠南駅7
糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅
糠南駅9

1面1線の単式ホーム。
床面は全部、木の板張りです。
開業以来、交換設備を置いた事が無い単線区間の棒線駅です。
仮乗降場から交換駅に転身した豊清水駅のようなケースは貴重なんですよね。


糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅 朝礼台 キハ54系 キハ54形
糠南駅10

このプラットホーム、1両分にも満たない短さ。
俗に言う「朝礼台」という奴です。
道内の仮乗降場は人口密度の低い農耕地帯に設置されたものばかりで、元より列車を利用する客は少ないだろうと国鉄当局も見越していたらしく、低コストの朝礼台を設ける箇所が多かったんですね。
昔はそれこそ朝礼台でも全てのドアが開き、ホームから見事にはみ出した乗降口から飛び降りるように下車する客も見られたそうです。
江ノ電や東急大井町線などのドアカットに慣れた関東の鉄道ファンが、「この駅はホームが短いからドアが開く事はないな」と高を括り、もたれかかっていたらドアが開いて危うく落ちそうになった・・・なんて話も札学鉄研OB会の先輩から聞いた事がありますw
しかし1990年代にJR北海道が非電化区間のワンマン化を推し進めると、そんな短いホームが前乗り前降り方式の運用に丁度良く収まった訳で。


糠南仮乗降場 秘境駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅 朝礼台 キハ54系 キハ54形
糠南駅1

朝礼台を後にするキハ54系の単行列車。
ちなみに記事の前半でさも問寒別市街から歩いてきたかのような講釈を垂れましたが、訪問当日は写真の4326D(稚内10:27始発・名寄行き普通列車)に乗ってきたのでしたw
当日は逆に糠南駅から問寒別駅まで徒歩移動するつもりだったのですが、下車後に出会った同業者の方に「問寒別橋が工事中で通れなくなってたよ」と教えてもらい、しかも有難い事にクルマで市街地まで運んで頂けたのでした。
問寒別ほどの田舎になると、通行止めなどの道路交通情報が禄に入ってきませんから大変ですね。
皆さんも訪問の際にはくれぐれもご注意を!


糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅
糠南駅12
糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅
糠南駅11

糠南駅を語る上で外せないのが、金属製物置を改造した駅舎の存在。
㈱淀川製鋼所が製造・販売している「ヨド物置」が、待合所として駅構内に置かれているのです!
側面には引き違い窓が増設されています。


糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅

糠南駅13

こちらは数多あるヨド物置の中でも、1970年に登場した「あぜくら」というモデル。
何とヨドコウが初めて製造した物置であります!
「あぜくら」はその名の通り、日本古来の建築様式である校倉造をモチーフにデザインされた物置で、2002年までの32年間に渡って量産されたロングセラー製品です。
私の母方の実家にも置かれており、祖母が畑仕事に使う道具を収納していました・・・懐かしいなあ。
2016年10月に幌延町役場が開催した「秘境駅キャラクターコンテスト」では、ヨド物置の駅舎をイメージした「ぬかにゃん」という猫のゆるキャラが誕生しています。


糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅
糠南駅16

元々、糠南駅には木造の待合所が建っていたのですが、1987年の台風でボロボロになってしまったそうな。
近隣住民からは新たな待合所の設置を求める声があり、これに幌延町役場が応えて物置の駅舎を開設したという訳です。
よって駅舎部分の施設管理者は幌延町役場、ホーム部分の施設管理者はJR北海道と区別されています。


糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅 待合室
糠南駅14

両開き戸を引いて待合室を眺めます。
ベンチ代わりにビールの空き箱が置かれており、先述の住民が使う雪カキも備えてあります。


糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅 待合室
糠南駅15

座布団の上には「トイレのご案内」を記した紙が1枚。
糠南駅にトイレが無いため、問寒別生涯学習センターのトイレを利用するよう呼びかけています。
しかし最寄のトイレまで1.6kmも離れているのを、丁寧に地図で解説しているのは何だかシュール。
案内地図には「ぬかにゃん」の姿も見られます。


糠南仮乗降場 糠南駅 ヨド物置 淀川製鋼所 無人駅
糠南駅5

糠南駅17

ヨド物置「あぜくら」は朝礼台から延びた桟橋(?)の上に置かれています。
床下の柱が若干頼りなさそうですが、30年以上も物置を支え続けていると考えれば頼もしい限り。



糠南駅18

ホーム上のボロボロな駅名標。
駅構内に置かれている、駅名を示す看板はこの1つだけです。
経年劣化で濁点が無くなった「といかんつ」の表記は、幌延町役場が制作した秘境駅携帯クリーナーでも再現されています。

なお、物置を駅舎に転用した駅は他にも、石北本線の東雲駅が挙げられます。
糠南駅を訪問された方は、話のネタに東雲駅も巡礼してみると良いでしょう。


※写真は全て2019年10月12日撮影

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最終更新日 : 2020-04-10

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2021-10-21-16:50 * - [ 編集 * 投稿 ]