タタールのくにびき -蝦夷前鉄道趣味日誌-

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2019-11-23 (Sat) 00:16

札沼線を往く山紫水明シリーズ2連の団体臨時列車[1]

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JR北海道は2019年11月16日・17日の2日間に渡り、同年デビューの観光車両「山紫水明」シリーズで2両編成を組成したツアー列車を運行しました。
山紫水明シリーズはキハ40系2両を改造したもので、9月にイメージした緑色の「山明号」(キハ40-1790/苗穂運転所所属)、10月に紫色の「紫水号」(キハ40-1791/旭川運転所所属)がそれぞれ運行を開始しています。
共にイベント列車と定期列車のバイプレイヤーですが、在籍する車両基地が異なる上、定期運用の充当範囲も被らないため、これまで一緒に編成を組む事がありませんでした。

ツアー列車は両日とも札幌駅を起点とし、来る2020年5月7日を以って廃止される札沼線の末端区間(北海道医療大学~新十津川間)に乗り入れています。
初日の11月16日は「月形町・当別町コース」として石狩月形駅を終点とし、前半は月形樺戸博物館や篠津山囚人墓地を巡って樺戸集治監の歴史に触れています。
月形という地名は樺戸集治監の初代典獄・月形潔に由来するもので、同氏は後に郷里の福岡に帰って九州鉄道に転職し、後に鹿児島本線となる博多~千歳川間の用地取得に奔走しました。
その後は当別町へと移動し、TV番組『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ』で紹介されて道外にも知れ渡った、北欧風の住宅街「スウェーデンヒルズ」を構える石狩太美を周遊しています。

2日目の11月17日は「新十津川町・浦臼町コース」として盲腸線の終わり・新十津川駅まで乗り入れて、新十津川町開拓記念館や金滴酒造を訪問。
1889年8月の「十津川大水害」に巻き込まれた奈良県十津川村の人々が、北海道に活路を見いだして空知平野に入植し、新十津川町を築いた歴史を辿っています。
ちなみに“ミスターどうでしょう”こと鈴井貴之さんは、大水害を乗り越えて新十津川に移住した元・十津川村民の末裔です。
ミスター自身は新十津川に程近い炭鉱町・赤平のご出身で、しかも鉄道ファンであります。
「サイコロの旅」もミスターの趣味が多少反映されていたんじゃないか、と思ってしまいますねw
そしてツアーの舞台は浦臼町へと移り、鶴沼ワイナリーと「道の駅 つるぬま」を訪問しています。


JR北海道 国鉄 臨時列車 団臨 キハ40形 キハ40系 札沼線 学園都市線
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両日ともに列車移動は片道だけで、それぞれ終点に着いてから貸切バスに乗り換え、各スポットを周遊しつつ札幌駅へと帰還する行程が組まれました。
せっかくの山紫水明2連なのに乗車できるのは片道だけ、というのも何だか勿体無い気がしますね。
各日の列車ダイヤは下記の通りです。

【11月16日 下り石狩月形行き】
札幌8:21始発→(石狩当別 運転停車)→石狩月形9:54終着

【11月17日 下り新十津川行き】
札幌8:21始発→石狩月形9:54着/10:52発→(浦臼 運転停車)→新十津川11:26終着

なお、ドアを開閉しない運転停車が16日は石狩当別駅、17日は浦臼駅と、各日異なる駅に設定されています。
JR北海道の公式プレスリリースによると、この運転停車はツアー内容に沿ったご当地キャラクターの見送りを企画したために設定したものと分かります。
17日は石狩月形駅で1時間近い停車時間を設けていますが、これは石狩月形~新十津川間が30.2kmに渡って1閉塞しかないため、定期列車5426D(新十津川10:00始発・石狩当別行き)と交換するまで発車できないせいです。
ただし、その待ち時間を上手く有効活用し、駅舎内にて物販が催されました。


731系 車内
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苗穂運転所に属する山明号はともかく、旭川運転所に属する紫水号が札沼線に乗り入れるなんて、もう2度と見られないかも・・・と思った私は、ツアー運行2日目の11月17日に撮影してきました。
2日連続で行けば良かったんでは・・・という話ではありますが、前日は念願かなって入手できた希少本『駅史 室蘭駅』(1984年/国鉄札幌鉄道管理局)や、中央鉄道学園編集の書籍『保線支区における作業計画の立て方』(1967年/交友社)を読むのに夢中でありました。
まずは札沼線の下り始発列車531M(札幌6:21始発・石狩当別行き普通列車)に乗り込み、乗り換え地点である石狩当別駅に向かいます。
731系と733系の併結による6両編成です。
山紫水明シリーズを求めて朝一番から移動する同業者はさぞかし多いだろう・・・と思いきや、まさかの空気輸送状態じゃあござんせんか!
しかも車窓を見やると雪がごうごう降っておわすぜ!
そういえば前日の日中に天気予報で暴風雪警報が出ていたのですが、夜が明けるまでに治まるだろうと読んだのが間違いだったか・・・と不安になってきました。
でもJR北海道の公式サイトを見てもダイヤは一切乱れていないし、まあ大丈夫だろうと持ち直し、そのまま札沼線を北上しました。


JR北海道 国鉄 石狩当別駅 キハ40系400番台 キハ40形400番台
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6:59、石狩当別駅2番線に到着。
この頃には降雪が弱まりました。
対岸の3番線に停車中の5423D(石狩当別7:02始発・浦臼行き普通列車)に乗り換えます。
こちらも末端区間の始発列車であり、苗穂運転所から2連を組んだ状態で出区し、石狩当別駅まで回送されてきた訳ですね。
札幌方にはキハ40-401が出ています。



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しかし既に分割された後で、終点の浦臼駅まではキハ40-823の1両単行で走る事になります。
製造当初からのオリジナルエンジンを積んだキハ40系800番台も、今や貴重な存在です。


札沼線 石狩当別駅 運転士 石狩当別駅乗務員
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定刻通り7:02、石狩当別駅を出発。
札沼線石狩当別~新十津川間のワンマン列車に乗務するのは、石狩当別駅所属の運転士です。
苗穂運転所からの人員・行路移管によって、石狩当別駅には1991年11月より運転士が配置されています。
当時のJR北海道は営業(駅営業・駅輸送)、運輸(列車乗務員・動力車乗務員・車両検修)、工務(保線・建築・機械・電気)の統合による合理化を模索していた頃で、同じ1991年11月に札沼線石狩太美~新十津川間の保線管理を担当する石狩当別駅工務(現:札幌保線所石狩当別保線管理室)も設置されました。
石狩当別駅の運転士は初老のベテランばかりで、中にはエルダースタッフ(定年再雇用)もいるようです。


キハ40系800番台 苗穂運転所 車内
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北海道医療大学以北の廃止日が近づくにつれ、鉄道ファンの乗車が増えつつあるイメージの札沼線ですが、今回はまばらでした。
事前に決めた撮影ポイントの最寄、石狩月形駅まで乗車します。



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記事を書いている今日(2019年11月24日)はすっかり雪解けした札幌ですが、この時は道内の至る所が銀世界でした。
道外の人達には11月中旬から、それもまだ紅葉の見られるうちから雪景色になるなんて信じられないかもしれませんね。
札沼線が南北に貫く樺戸郡も見事な積雪でした。



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月ヶ岡~知来乙間を走行中の7:30、次第に日が差してきました。


石狩月形駅 キハ40系800番台 キハ40-823
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7:35、石狩月形駅で下車。
段々と東の雲が薄らいできたなあ・・・。


石狩月形駅 輸送主任 駅員 スタフ授受 タブレット交換 通票授受 運転取扱業務山紫水明-札沼線-a02

降車する客と入れ替わりに、島式ホームにやって来たのは助役と同じ赤帯制帽を被った輸送主任。
石狩月形駅は石狩当別駅の被管理駅で、交代で当務駅長資格を持つ輸送主任・輸送指導係が派遣されています。
輸送主任は下り列車の運転士に対し、通票(スタフ)を入れたタブレットキャリアを渡します。
通票の授受を以って初めて、下り列車は石狩月形~新十津川間に進入する事が出来ます。

石狩月形~新十津川間は道内に現存する最後のスタフ閉塞区間であり、同時に通票を常用する閉塞区間としても道内最後です。
国鉄時代の『運転取扱基準規程』では、通票と閉塞器を併用するタブレット閉塞を「通票閉そく式」と呼称しているのに対し、通票しか使わないスタフ閉塞は「通票式」と呼び分けています。
日本国内においてスタフ閉塞は、末端の駅が1列車しか入線できない棒線駅という閉塞区間において使用されてきました。


石狩月形駅 輸送主任 駅員 スタフ授受 タブレット交換 通票授受 運転取扱業務
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タブレットキャリアを渡した後も、輸送主任は引き続き列車扱いを行うためホームに留まります。
出発信号機が青(出発現示)になり、客の乗降が終わると輸送主任は挙手により出発指示合図を送ります。
万が一の時に列車を緊急停止できるよう、赤いフライ旗の携行も忘れません。


石狩月形駅 輸送主任 駅員 スタフ授受 タブレット交換 通票授受 運転取扱業務
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30秒ほどの短い停車時間を経て、7:35に下り一番列車5423Dが出発。
輸送主任はヨンマルがホームを抜け切るまで列車監視を続けます。


石狩月形駅 構内踏切 駅舎 交換駅 交換設備山紫水明-札沼線-a14

列車を見送ると輸送主任は構内踏切を横断し、駅舎へと戻っていきます。
ヨンマルが浦臼駅から折り返してきたら、今度はタブレットキャリアを回収する事になります。


JR北海道 排雪モーターカー 除雪モーターカー 除雪車 ハイモ 排モ
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JR北海道 排雪モーターカー 除雪モーターカー 除雪車 ハイモ 排モ
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駅舎側の1番線(ホームなし)には除雪型モーターカー(ハイモ)が留置されていました。
ラッセルには雪がべっとりとこびりついています。
どうやら夜間に線路閉鎖を行い、除雪に当たった模様です。


石狩月形駅 駅舎
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幾度も足を運んだ石狩月形駅の木造モルタル駅舎も、あと半年ほどで御役御免になると思うと寂しくなりますね。
駅事務室周りのゴツさが好きです。
かつて信号テコを配置していた場所には、青い機体の除雪機が置かれています。



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構内踏切を渡って駅舎の中へ。


石狩月形駅 待合室
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待合室では地元の農業関係者が物販の準備をしている最中でした。
のぼり旗や横断幕、商品を入れたケース等が置かれています。


石狩月形駅 待合室
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どうやらストーブを目印にして物販スペースを確保している模様。
カウンターに使うテーブルも既に1脚置かれていました。


石狩月形駅 待合室
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玄関前にも月形町の懸垂幕。
樺戸集治監の本庁舎を再利用した月形樺戸博物館をはじめ、月形町の風土を現す写真がプリントされています。


石狩月形駅 待合室 出札窓口
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せっかくなので懸垂幕と出札窓口を一緒に撮影。


石狩月形駅 札沼線 廃止 ポスター 北海道警察 道警 月形駐在速報
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出札窓口には岩見沢警察署月形駐在所が発行した「月形駐在速報」が貼られています。
内容は札沼線の廃止を聞きつけて集まる鉄道ファンに対するマナー啓発で、「無理な写真撮影や駅員への無理な要求などをするな!」と呼びかけています。


阪神電鉄赤胴車 阪急電鉄8000系 札沼線 廃止 北海道警察 道警 月形駐在速報
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そしてまたしてもコイツを見る事になるとは!
阪急8000系・8300系の初期車に阪神赤胴車の塗装を施したウソ電ですw
このイラストってフリー素材なんかなあ?
警察は鉄道ファン向けの掲示物にしばしば使っているんでしょうかね。
道外でも使われているかも知らん・・・つうか元ネタ的にそうでしょうな。



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でもってクリスタルエクスプレスがデビューした1989年当時の宣伝ポスターまで飾られており、もう何が何だか。
千歳空港駅の表記も懐かしいですね・・・と言っても私が物心つく前に南千歳駅へと改称されましたが


石狩月形駅 駅舎
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石狩月形駅に着いてから10分ほど、またも空模様が変化しました。
吹雪がびゅうびゅう、太陽は再びニビ色の雲に覆われました。
寒空の下、山紫水明を待つにはなかなかキツイ状況になってきたな・・・と思いつつも、後で撮影場所が確保できなくなると困るので目的地に向かう事にしました。
・・・とその前に一旦トイレへ。



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西に歩くこと15分、お目当ての撮影ポイントである須部都川左岸線踏切に到着。
よし、まだ誰もいないな!



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ほおら、ちゃんと「須部都川左岸線踏切」って書いてあるだろう?
須部都川は「すべつがわ」と読みます。

暫くすると1台のクルマが走ってきました。
乗っているのは2人の中年男性。
何やら踏切の手前で暫く止まり、周囲の状況を眺めているようだったので「JRと契約して撮り鉄を警戒している警備員か?」と思ったのですが、一旦方向転換して踏切からやや離れて止まりました。
そして撮影機材を降ろして準備を始めたので同業者と判明。
その後も1台、また1台と乗用車が集まってきて、撮り鉄がぞろぞろとクルマから降りてきました。
一方、JR北海道を少しでも支援しようと律儀に切符を買い、列車に乗って来たのは私だけ。
うーむ・・・。

9時を過ぎると再び雲が晴れてきました。


山紫水明シリーズ 2両編成 札沼線 石狩月形 知来乙 紫水号 団臨 山明号
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9:51、大勢の鉄道ファンが固唾を呑む中、山紫水明2連が須部都川の鉄橋を渡り、カーブに差し掛かりました!
よく見ると紫水号の側面窓が1箇所だけ開いています。
大方、車窓の風景を綺麗に撮影したいがためか、エンジン音をじっくり聴きたいがためにツアー客が開けたんでしょうけど寒くないんですかね?


山紫水明シリーズ 2両編成 札沼線 キハ40系 紫水号 団臨 山明号
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豪快に雪煙を上げて須部都川左岸線踏切に接近!


山紫水明シリーズ 2両編成 札沼線 キハ40系 紫水号 団臨 山明号
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間近に迫る紫のヨンマル。


山紫水明シリーズ 2両編成 札沼線 キハ40系 紫水号 団臨 山明号
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すかさずバックショット。
森林をイメージした塗装デザインに相応しく、鉄道林をバックに紫水号と突き進む山明号。
山明号もいつか剣淵の雄大な鉄道林の中を走ってくれないかなあ。


山紫水明シリーズ 2両編成 札沼線 キハ40系 紫水号 団臨 山明号
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雪景色のススキも乙なものですね。


須部都川左岸線踏切での撮影を済ませたら、すぐさま石狩月形駅に向かいます。
続きは次回。


※写真は全て2019年11月17日撮影
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最終更新日 : 2019-11-23

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