引き続き2019年9月7日、2年ぶりに開催されたJR北海道苗穂工場の一般公開について書きましょう。
前回は北海道鉄道技術館前の展示線でのシロクニ牽引運転において、札幌工営㈱を吸収合併した札幌交通機械㈱の社員が構内運転業務を担当する様子をひとしきり眺めたのでした。
展示線の南面は島式ホームのような高床になっていて、その向かい側にはキハ183系1500番台の先頭車が1両だけ留置されていました。
前面の種別幕は「回送」を示していますが、側面方向幕は「特急オホーツク 網走」を示しています。
表示窓も車体も窓枠も汚れており、再塗装のために入場したのかな・・・と思いますが詳細は不明。
JR北海道 国鉄 JR貨物 苗穂工場 苗穂運転所 苗穂車両所
車番はキハ183-1507。
少なくとも廃車の話は出ていない車両です。
JR北海道 モーターカー 保線車両 除雪車 追分保線所 追分工務所 石勝線 室蘭本線
擬似プラットホームから西方の留置線を眺めると、追分保線所(旧:追分工務所管理・線路・土木テーブル)の除雪モーターカーが留置されています。
黄色い車体は色褪せ、塗装の剥がれや錆が目立ちます。
追分の保線車両が苗穂工場にまで姿を見せ、しかも解体線のすぐ近くに留置されているとは・・・。
近いうちに廃車されるのでしょうか?
鉄道技術館の裏手にはキハ261系1000番台が停まっていました。
ST-1210編成を組成するうちの2両で、札幌方から先頭車のキハ261-1210、中間車のキハ260-1210でした。
先頭車落とし窓の下には移動禁止合図の赤旗を掲げており、車両の傍には複数人のプロパー検修員(車両係・車両技術係・車両技術主任)が立っています。
何とキハ261-1210の運転台が公開されていたのです!
しかし見学は先着順・定員制(全54組)であり、我々2人が車両の留置に気付いた10:56時点では整理券の配布が終了していました。
ウーン、ちょっと残念・・・。
そしてTJライナーさんとは未だ合流できていないというねw
JR貨物 苗穂車両所 HD300形500番台 HD300形502号機 入換機関車
さて、イベントマップによると11:00から、JR貨物苗穂車両所の機関車検修場で「機関車車体上げ作業」が披露されるというので行ってみました。
この日2回目の訪問となる機関車職場です。
相変わらずHD300-502の先頭デッキは記念撮影場として開放されており、子供達に人気でした。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場
歴史を感じる赤レンガ検修庫の出入口には、玉掛け作業(クレーン作業)を一目見ようと来場者がぞろぞろと集まっていきます。
我々も「なるべく前に行かなきゃ」と急いで群衆に加わります。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 クレーン ノロッコ号
「くしろ湿原ノロッコ号」、「富良野・美瑛ノロッコ号」のカマも相変わらず検修場内に入った状態です。
JR貨物苗穂車両所はJR北海道に籍を置くディーゼル機関車、蒸気機関車の検修も受託しています。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン
この機関車検修場で車体の運搬作業に使われているのは札幌市のお隣、北広島市に本社を構える中山機械㈱が1977年3月に製造した天井クレーン。
両サイドの壁際に配したレールを伝って、巨大なクレーンガーダが庫内を行き来します。
一度に持ち運べる最大重量は40トンです。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 運転室
天井クレーンの南側には運転室(マントロリ)があり、JR貨物苗穂車両所の検修員がクレーンを操縦します。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン
作業に関する解説は検修場中央で行われており、我々がついた側とはノロッコ釜を挟んで真向かいです。
こちら側には解説の声が全然聞こえてきませんが、それでも滅多に見られない機関車職場の作業がそろそろ開始される事に期待感を寄せました。
11:04、西側に停まっていたクレーンが検修場中央へと移動します。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 DE10形1660号機 DE15形1533号機
我々の立ち位置から見ると、こんなにも離れた場所に行ってしまいました。
私の前に立つ少年はカメラを構えて、熱心にクレーンの滑走を記録していました。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
地上ではJR貨物の検修員達が図太いワイヤーロープを手繰り寄せ、玉掛け作業の事前準備をしています。
JR貨物北海道支社の現業社員は、貨物駅で運転取扱業務を担当する輸送職駅員(輸送係・輸送指導係・輸送主任)、北海道保全技術センターの保線係員(施設係・施設技術係・施設技術主任)および電気係員(電気係・電気技術係・電気技術主任)、札幌機関区と苗穂車両所の検修員(車両係・車両技術係・車両技術主任)の何れも、オレンジの帯が入った白ヘルメットを着用します。
奥で一般来場者と一緒に作業を見学しているJR北海道の検修員は黒帯入りの黄色ヘルメットを被っており、作業服の色調も違うためJR貨物社員とは簡単に識別できます。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
そして作業開始前打ち合わせ。
手笛を咥えているベテラン検修員(おそらく車両技術主任)が「玉掛け作業責任者」です。
JR貨物苗穂車両所の玉掛け作業は、地上にてクレーン1台につき3人1組(責任者1名・補助者2名)のチームを編成して行います。
天井クレーンの運転室に入って操縦する「クレーン運転士」も含めると4人1組です。
そして車体の吊り上げに必要なクレーンは2台なので4人チーム2組、総勢8人での作業となります。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
そして11:06、西側に向けて移動を開始します。
地上からの指示を受けて運転室の検修員が天井クレーンを操縦。
玉掛け作業責任者が手笛を吹きつつ先導し、2人の作業補助者がロープを掴んでフックを誘導します。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
クレーンが向かった先は「くしろ湿原ノロッコ号」の専用機であるDE10-1660の元。
挙手による玉掛け作業責任者の合図に従い、ワイヤーロープを車体の裾にセットしていきます。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
先発隊がせっせとロープを掛けていると、後発隊もフックを誘導してきました。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
ロープをセットし終えると床下の状態を確認。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
そして作業開始から5分、遂に緑色のDE10形が吊り上げられました!
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
11:09、DE10-1660が検修場中央へと運ばれていきました。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
向こうでは検修員が何やら説明を続けています。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業
説明が終わると4脚の黄色い台座に向けて車体を降ろしていきます。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業責任者
玉掛け作業責任者の指示に従い、作業補助者達がズレの無いよう台座に車体を固定していきます。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業責任者
固定が済んだら異常が無いか全員で目視確認。
JR貨物苗穂車両所 苗穂工場機関車検修場 天井クレーン 玉掛け作業 玉掛作業責任者
そして11:16、無事に移動作業が完了しました。
この後は11:30から東側のトラバーサーBで車両移動作業が披露されるため、TJライナーさんとの合流は出来ていないままですが我々2人で現場に直行しました。
次回に続きます。
【2019年9月7日開催 苗穂工場一般公開の記事一覧】
2019/9苗穂工場一般公開[4] 機関車を吊り上げるJR貨物の玉掛け作業
※写真は全て2019年9月7日撮影
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最終更新日 : 2019-10-05